元世捨て人の気ままな旅路(艦隊これくしょん編) 作:神羅の霊廟
遅くなりました、牙也sideです。
牙也が鎮守府を飛び出していく僅か数分前ーー
「うぅ……痛いよぉ、痛いよぉ……」
「頑張って!もう少ししたら救援が来てくれるから!」
ハイリアの鎮守府から少し離れた小島の洞窟に、六人の艦娘の姿があった。その内四人が中破、もしくは大破しており、脚部をやられて動けない状態であった。四人を洞窟のゴツゴツした地面に寝かせ、簡易ながら包帯を巻いて止血するなどの治療を行う駆逐艦の姿があった。
「うぅ……お願い、早く助けに来て……!」
涙目になりながら必死に治療をしつつ救援を待つプラチナブロンド髪の駆逐艦ーーグレカーレである。いつものように近海警備の為出撃したグレカーレ達だったが、その途中で何処から流れ着いて来たのか、深海棲艦の中でも特に狂暴で危険な『戦艦レ級』と出会し、戦闘に入ってしまった。轟沈こそ免れたものの、レ級の圧倒的火力に敵う筈もなくグレカーレ達は逃げ続けるしかなかった。
ようやく小島の洞窟に逃げ込んだものの、ここに隠れていられるのも時間の問題。レ級が自分達をしつこく探しているのなら、恐らくここもじきに目をつけられてしまうだろう。
「グレカーレ、皆の様子はどう?」
とそこへ、別の駆逐艦が洞窟へと入ってきた。ストレート金髪にボアコート似の白ミニスカワンピースという服装の艦娘『ジャーヴィス』である。彼女達の中で唯一被弾を免れた為、彼女達の治療を自身の次に無事だったグレカーレに任せ周辺を警戒していた。
「取り敢えず簡単だけど治療はしたわ。今は皆落ち着いてる。外はどう、ジャーヴィス?」
「今のところレ級や他の深海棲艦の姿は無いわ。もう少し休んだら早急にここを離れるべきだと思うけど……」
「賛成。ここもじきに危なくなるし、早めに動くのが良いかもね。ただ問題は……」
「うん……」
二人は頷き合って地面に寝かせられた四人の艦娘を見る。今回近海警備部隊として出撃したのはいずれもジャーヴィスとグレカーレの姉妹艦。いずれも中破ないしは大破しているので、自力では動けない。本来ならジャーヴィスとグレカーレが曳航するのだが、それだとレ級に気づかれて全滅の危険がある。が、ここにずっと隠れているというのもレ級に気づかれた時に同じく危険である為、この後の動きの選択はある種の賭けでもあった。
「……絶対に見捨てないよ。テートクの所に絶対帰るんだもん、皆揃って」
「当たり前でしょ!このラッキージャーヴィスがいるだもん、皆生きて帰れるんだから!」
ジャーヴィスが腰に手を当てそう言う。それが空元気である事はグレカーレも気づいていたが、あえて口には出さない。
「それでジャーヴィス、どうやってここを抜け出す?」
「うーん、それなんだけど……この島をグルッと一周してみたらね、ここの反対側にもう一つ洞穴があるのを見つけたの。まずそこまで移動してから、ちょっと時間を置いてこの島を脱出するのはどうかしら?」
「うーん、良いかもだけど……その洞穴ってここからどのくらいの距離?」
「この小島はそれほど広くないし、素早く動けば本当にすぐよ?近くに敵はいないし、動くなら今だと思うけど……」
選択一つで最良にも最悪にもなりうるこの状況で、とにかく二人は慎重であった。すぐとは言っても、その『すぐ』の間にレ級をはじめとした深海棲艦に出会す事も充分あり得る。が、生きてここから脱出する為にはここから動かなくてはならない。悩んだ末、
「……行きましょう、その洞穴へ。少しでも無事に帰れる可能性を作っておきたいわ」
「決まりね。行きましょ!」
言うが早いか、二人は急いで移動の準備を始めた。今いる洞穴内で偶然見つけたモーター部分の壊れたボートに負傷した四人と艤装を乗せ、船首部分と自分達の艤装を丈夫な紐で結ぶ。結構な重さではあったが、ボートはしっかり海面に浮いている。重さで沈没する危険もない。
「よし、行きましょ!」
「ええ!」
周囲の安全をしっかり確認しつつ、二人はボートを必死に引っ張って島の反対側にある洞穴を目指す。四人分の重さが直に来るのであまり速くは進めないが、確実に前進していた。
「ジャーヴィス、あとどのくらい?」
「もう少しの筈……待って!」
ジャーヴィスが手で制して進むのを止める。見るとそこには、自分達を探しているのであろうか、レ級が彷徨いていた。
「なんで……!?ここにあたし達がいる事をあいつは知らない筈なのに……!」
「そんな、あそこに洞穴があるのに……これじゃ近付けないわ……!」
「ど、どうする……?」
「……諦めてさっきの場所へ戻るしかないわ。早くここを離れてーー」
ジャーヴィスがそこまで言ったその時、二人の頭上をブオーンと言う音が通り過ぎた。空を見上げると、禍々しいデザインの黒い飛行機が二人の頭上を旋回している。二人はハッとしてレ級を見やると、レ級と目が合ってしまった。たちまちレ級の表情は残虐な笑みとなる。
「しまった、気づかれたわ!」
「は、早く逃げーー」
二人が逃げ出そうとした時、レ級はいつの間にか二人の真正面まで接近しており、二人の服の襟を掴んで島の岩壁に叩き付けた。艤装とボートを繋げていた紐は千切れ、ボートは波に取られて流されていく。
「ハハハハハ、見ィツケタ!鬼ゴッコハ楽シカッタカ?」
「グ……離、して……!」
「ヤダネ。サテ、オ前達ヲ沈メタラ、サッキ流レテッタボートモ沈メルカナ」
「そんな事、させない……!」
「悪足掻キハ止メタラ?ドーセオ前達ジャ勝テナインダカラサ!」
レ級は二人の襟を掴む腕に力を籠めた。二人は空いた手でレ級の腕を叩くが、レ級に効果はない。そうこうしている間にボートは遥か遠くへ流されていった。
「ジャ、止メ。バイバイ」
レ級は尻尾の艤装を二人に向ける。
(やだ……こんな所で、死にたくない……!)
(誰か……誰か助けて……!)
死への恐怖に、二人は目を閉じた。
ボッ
不意に聞いた事もない音が聞こえ、襟を掴んでの拘束が弛んだ。拘束から解き放たれた二人が恐る恐る目を開けると、目の前のレ級は首から上ーーつまり頭が無くなっていた。
「ひっ!?」
二人が驚く中、レ級の体はゆっくりと後ろへ倒れ、そのまま海中へ没していった。
「なんだ、人違いならぬ艦違いか。もしやと思ったんだがな」
そして聞こえた男の声。ジャーヴィスには分からなかったが、グレカーレにはその声が救世主の声に聞こえた。目の前に立つ人物が誰か知っているが故に。
「お兄さん!」
「おー、二人とも見つけた」
グレカーレは思わず牙也に飛び付いていた。そのまま牙也に張り付きワンワンと泣き叫ぶ。ジャーヴィスは目の前の人物の事を知らない上に、一体今何が起こったのかも分からず呆然としていた。すると牙也はグレカーレを抱き締めたままジャーヴィスに近寄ってきた。思わず身構える彼女の頭を牙也は優しく撫でてあげる。
「よく頑張ったな、二人とも。もう大丈夫だ」
その言葉にジャーヴィスも緊張の糸が切れたのか牙也に張り付いて泣き出した。そんな二人を牙也はそっと抱き締めて頭を撫でる。しばらくの間、牙也は泣き叫ぶ二人を優しく慰めるのだった。
一頻り泣いた後、二人はハッとして辺りを見回し始めた。
「お、お兄さん!この辺にボートが無かった!?」
「ボート?それってこれの事か?」
グレカーレに聞かれて牙也が自身の背後に目を向けると、牙也の左腕から延びた蔦があのボートの船首に絡まっていた。二人が急いで駆け寄ると、ボートの中には確かに四人の艦娘と艤装があった。
「良かった……!お兄さん、グラッチェ!」
「ああ。お前達を探してたらこれが流れてきたんでな。もしやと思って流れてきた方向に行ったら大当たりって訳だ」
「良かった、皆無事で……早く鎮守府に帰らなきゃ!」
「そうだな……お、お迎えが来たぜ」
牙也が自身が来た方向を指差すと、ビスマルク達が大急ぎでこちらへ走ってきていた。鎮守府から全速力で来たのか、全員息が上がっている。
「ちょ、ちょっと牙也……!ゼェ、ゼェ……あ、貴方速すぎよ……!私達の事も、ハァ……考えなさいよ……!」
「喧しい、俺がいなかったら今ごろこの二人が藻屑になってたんだぜ?ちったぁ感謝してもらいたいもんだ」
「当たってるだけに、ゼェ、ハァ……釈然としないわね……」
肩で息をしながら牙也と言い合うビスマルク。周りからは乾いた笑いが漏れる。
「さて、目的は果たした。ビス子達は速やかにここを撤退しな」
「ビス子は止めてちょうだい!……分かったわ、もうすぐグラーフ達も追い付いてくるだろうし、合流して鎮守府に戻るわ」
「頼んだ。俺はしばらくこの周辺を回って残りを掃討しておく、ハイリア達に伝えておいてくれ」
「ええ、後はお願いね」
ビスマルク達はグレカーレ等を囲むように警戒陣を敷くと、急いで海域を戻っていった。彼女らが見えなくなるまで見届けた牙也は、腰に手を当てて軽く伸ばす。そして、
「……そろそろ隠れてないで顔出したらどうだ?最上」
周囲に向かってそう声を掛ける。と、空がグニャリと歪んだかと思うと、そこには大量のロボットが牙也を囲むように立っていた。その全てが重火器を持って銃口を牙也に向けている。
「……我々に気づくとは、大したものだな」
牙也を囲うロボットの大軍の一角が左右に割れ、奥から最上が歩いてきた。既にレフトカイザーに姿を変えており、手にはネビュラスチームガンを持っている。
「おやぁ?もしや本当にさっきまでここでずっと待機してたのか。そりゃご苦労様だな」
「……鎌をかけたか。食えない男だ」
心中で舌打ちしながら最上はスチームガンの銃口を牙也に向ける。と、牙也は人差し指を立てて言った。
「一つ聞こう……艦娘達をわざと逃がしたのは、そう言う指示あっての事か?」
「……そうだ。私のーーいや、私達の目的はあくまでも貴様一人。塵屑に用はない」
「そうかよ。じゃあ始めようか」
牙也が言うと同時に彼の背後にクラックが開き、そこからアームズウェポンの『スイカ双刃刀』と『王子鎚(ジャックハンマー)』が飛び出してロボットを蹴散らしていく。それだけで三分の一が瓦礫に早変わりした。
「……まぁそうするだろうな。私でもそうする」
最上は新たにロボットを呼び出して戦力を補充し、スチームガンを牙也に向ける。そして、ロボットに向けて命令一つ。
「……奴を倒せ。どんな手を使ってもだ」
最上の命令と同時に、ロボットが銃火器を一斉掃射してきた。しかし牙也もそれを読んでか素早く回避行動を取り、向かってきたロボットを一刀の元に斬り捨てる。そして残骸を蹴飛ばして他のロボットに命中させてスクラップに変えていく。彼の頭上には絶えずクラックが開き、そこから次々とアームズウェポンが飛び出してきてロボットを破壊していった。
「なるほど、そこそこやるようだな。だが、その余裕がいつまで保つかな?」
しかしロボットは絶えず補充され、一向に減る気配はない。最上が合図を出す毎にロボットは増えていき、その数は最初の倍近くにまで到達していた。
「切りがないな……あれやるか」
このままでは多勢に無勢ーー牙也はそう考え、クラックから羽扇『絆羽扇』を召還した。そしてトリガーを引いて十の文字ーー『火』『水』『風』『雷』『土』『環』『挑』『弱』『浄』『奮』ーーを出現させる。
《水計!》
その内の『水』の文字を扇ぐと、ロボット周辺の海面が持ち上がったかと思うと、そのまま巨大な津波となって襲い掛かった。津波はたちまちロボットを呑み込み、残骸に変えてそのまま押し流していく。
「おまけだ」
《弱化ノ計!》
《奮起ノ計!》
更に最上が新たに補充したロボットには『弱』の文字を幾重に分裂させて張り付け、逆に自身には『奮』の文字を張り付けておく。これで敵は弱体化し、一方の自分は強化された。ロボットが銃火器で攻撃してくるが、玩具の銃の弾のようにボヨンッと跳ね返ってしまい少しのダメージもない。
「効かねぇよ!」
薙刀『紫炎』を振るって迫ってきたロボットをまとめて一刀両断、次々と瓦礫に変える。先程と逆に、ロボットが増えるよりもロボットが残骸・瓦礫に変わるスピードの方が早くなっていく。しかしロボットは決して怯む事なく、仲間の残骸を踏み潰しながら迫ってくる。
「しゃらくせぇっ!」
《連環ノ計!》
『環』の文字を扇いで鎖を顕現、ロボットをまとめて拘束。
《雷鳴ノ計!》
「はいドーン!」
次いで落雷を数本発生させた。落雷は数体のロボットに落ちて破壊、更にロボットを拘束する鎖を伝って他のロボットへ次々と伝播。感電したロボットは黒煙を出しながら機能停止した。
「なかなか踏ん張るな……やはり私がーー私達が出なければ駄目か」
そうして次々とロボットが破壊されていく中、遠巻きにその様子を眺めていた最上はそう呟くと、自身の隣に何やら裂け目のようなものの開き、中から祈祷師のような白い服の男が現れた。最上そっくりの顔をしたその男の手には最上と同じネビュラスチームガンが握られている。
「……行くぞ」
「イッツファンキーターイム!!」
《ギアエンジン!》
《ギアリモコン!》
《ファンキーマッチ!》
『……バイカイザー!』
《FEVER!》
ネビュラスチームガンから赤と青の歯車が射出される。最上ともう一人の最上の体は融合し、そこへ歯車が鎧のように装着されて変身が完了した。
《PERFECT!》
「バイカイザーのーー帝王の力を、思い知るが良い!」
最上ーーバイカイザーがネビュラスチームガンで射撃しながら牙也に迫っていく。それと同時に一斉にロボットが後退して距離を取った為、牙也はバイカイザーに目を向け紫炎を高速回転させて弾を弾き飛ばす。そのままバイカイザーの蹴りを柄の部分で受け止めた。柄がミシリと音を立てる。
(重い……!さっきよりも遥かに……!)
「これでは終わらんぞ!」
更に最上が徒手空拳を繰り出して攻め立てる。息も尽かせぬ素早い攻撃に、牙也は反撃をアームズウェポン召還による奇襲に任せ、攻撃をいなす事に専念する。しかし最上も次々繰り出されるアームズウェポンを余裕で回避する。
「小手先の技で私を倒せると思うな!」
最上の強烈なパンチが牙也の頬を掠める。牙也の頬が少しだけ切れ、風圧で顔が歪む。負けじと紫炎を振るうと、最上はバックステップて下がりながら射撃してきた。それを再度紫炎で弾いたその時、牙也の四方の海面が盛り上がり、ロボットが四体飛び出してきた。その機体はボロボロで最早壊れる一歩手前であった。四体のロボットは出現するや否や、そのまま突進してきた。その手には丸い何かを抱えている。
(爆弾……?自爆か!?)
牙也がそれに気づくより早く、ロボットの機体は遂に限界を迎え、爆発した。爆風に反応してロボットが抱えていた爆弾も爆発、爆風はロボットと牙也を纏めて呑み込んでいく。巨大な水柱が上がり、辺りは何も見えなくなる。やがて視界が晴れると、そこには自爆したロボットの残骸だけが残っていた。
「フン、他愛もない」
最上は残骸に近寄り牙也を探す。先の自爆でやられたなら何処かに死体の一つはあるだろう。そう考えての事だったが、散らばるのは残骸だけ。
「死体がない?まさかーーぬぅ!?」
突如最上の足元が揺れ、そこから水飛沫を上げて何かが飛び出してきた。咄嗟に回避したが、アーマーに斬撃による大きな傷ができる。よろめきながらも最上が顔を上げると、飛び出してきたそれは華麗に海面に着地した。その手には大剣が握られている。
《ゼロアームズ!夢・幻・無・双!!》
「ふう。間に合ったな」
それは漆黒の重装に身を包んだ牙也であった。あちこちに傷のできた重装の鎧という出で立ちの牙也は、手にした大剣を構え直す。
「自爆は失敗か……ならば再びこの物量で押し潰してくれる!」
最上の命令で再び動き出すロボットの大軍。と突然砲撃音がしたかと思うと、大軍の一部が残骸になって吹き飛んだ。更に見覚えのある禍々しい見た目の黒い艦載機が次々飛来して爆弾の雨を降らせ、残骸すらも吹き飛ばした。
「何だと!?新手か!」
「あの艦載機は……!」
最上が狼狽する中、牙也が目を向けた先から水飛沫を上げながら何かが急接近していた。真っ白い身体に真っ黒のフード、そして尻尾型の艤装。
「見ィツケタァ!!」
「レ級!?」
戦艦レ級が全速力で牙也に飛びかかってきた。咄嗟に回避したお陰でぶつかりはしなかったものの、レ級は勢いそのままロボットの大軍に激突。そのまま大爆発に巻き込まれていった。牙也も最上も唖然としてそれを見つめる。と、爆発したロボットの残骸を吹き飛ばしてレ級が顔を出した。そしてズカズカ牙也に近寄る。
「避ケンナ!折角ノ再会ダロウガ!」
「避けるだろ普通!お前あの勢いで突っ込まれたら確実に骨逝くわ!」
「知ラナイヨソンナノ!ソレヨリアタシヲ放ットイテ、今マデ何処ウロチョロシテタンダ!?」
「お前は俺の嫁じゃねぇだろ!その言い方は誤解招くから止めろ!」
ギャアギャア言い合う二人。最上は完全に蚊帳の外で、仮面の下で呆れた表情。そうこうしている間に、ロボットは次々と牙也達に迫っていく。
『邪魔を……するな(ヲ……スルナ)!!』
鋭い眼光を見せながら牙也は大剣を振るい、レ級は尻尾の艤装の巨大な口で迫ってきたロボットを薙ぎ倒す。その一撃は数多の機械を残骸どころか灰に変えた。そして二人は最上に向き直る。
「さぁ、続きと行こうぜ!最上!」
「アタシノ邪魔スルナラ……オ前モ喰ッテヤル!!」
「まったく……次から次へと邪魔者が入る!」
三人が刃と拳を交えんとしたその時、三人を分断するかのように巨大な剣の形をしたオーラが振り下ろされてきた。剣の一撃は海を割り、近くの小島の岩壁を破壊する。
「なんだ!?」
「マタ邪魔者カ?」
三人が一様に剣の現れた方向を見る。そこには大量の赤黒いガスと金色の粒子が山のようになっており、中で何かが蠢いている。三人は警戒を強め、そのガスと粒子を注視する。ゴボゴボと音を立てるそれは、辺りに散らばるロボットの残骸を少しずつ少しずつ呑み込んでいく。やがて全ての残骸がガスと粒子に呑み込まれると、それらが突如変質し始め、人の姿を形成していく。
《OPEN The Omnibus!Force Of Gods!KAMENRIDER SOLOMON!》
荘厳な電子音声が響き現れたそれは、手にした金色の剣を三人に向けてこう言った。
「ようこそ……『私の』世界へ」
ゼロアームズのスペック
身長 225cm
体重 128kg
パンチ力 20.2t
キック力 25.7t
ジャンプ力 一飛び10m
走力 100m8.2秒
武者修行の為に箒と共に異世界を渡り歩いていた際、とある異世界での戦闘中に目覚めた特殊なロックシードで変身する形態。変身に使用するゼロロックシードは人間の憎悪や狂気等の悪意の感情を感知し吸い取る力を秘めており、数百年以上経った今もなおその力は衰える事なく、数多の世界にアクセスし悪意の感情を絶えず吸い取り続けているという。
スペックは仮面ライダー鎧武カチドキアームズをパワーで凌ぎ、反対に機動力で劣る。防御力もカチドキアームズの比ではなく、生半可な攻撃ではダメージの少しもない。また取り込んだ悪意の感情を戦闘の為のエネルギーに変換する事が出来、これによりスペック以上の実力を発揮可能。
だが代償として変換したエネルギー量が増える程変身者に身体的負担を強い、一度の戦闘における変換エネルギー量が一定を超えるとエネルギーが暴走して変身者を悪意の権化そのものへ変貌させてしまうという余りにも強大過ぎるリスクを背負う。現状牙也は普通に使いこなせてはいるが、いつこの代償が現れるかは牙也本人にも分からない。
専用アームズは『火縄冥々DJ銃』。仮面ライダー鎧武カチドキアームズの『火縄大橙DJ銃』の色違いで、紅と紫をベースに金のラインが入っている。トリガー付近にある『DJテーブル』と『DJピッチ』を操作し大砲・火縄銃・マシンガンの三モードを使い分ける点は同じ仕様。差別点としてモードチェンジの際にエレキギター風の音声が響く、大砲の威力と着弾時の爆発範囲が大きい、逆にマシンガンの威力と連射速度が控えめに設定されている。