元世捨て人の気ままな旅路(艦隊これくしょん編)   作:神羅の霊廟

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 明けましておめでとうございました(遅)

 第十八話、牙也sideです


露国の精鋭(?)と中将の怒り

 

 深夜の襲撃から時間が経ち、夜が明け始めた頃。工廠はまだ明かりが灯り、艦娘達の声が響いている。敵に破壊された工廠の扉から次々と哨戒に向かう駆逐艦娘達が飛び出していき、その横では戦艦達が主導となって扉の修理を進めている。

 

 「よっこら…しょ!この辺で良いのか?」

 「あー、もうちょっと左…そう、そこ」

 

 妖精達の協力の下徹夜で新しく作り直した扉の設置場所を微調整しているのはビスマルクとネルソンの戦艦コンビ。かなりの高さと重さがある頑丈な扉を二人がかりで立て、ハイリアの指示の下正しく設置している。

 

 「よし、オッケーよ。妖精さん、後はお願いね」

 

 ハイリアが言うと、彼女の周りに群がっていたツナギ姿の妖精達がワラワラと扉へ向かっていく。それを見ながらハイリアは額に伝う汗を拭う。

 

 「ふー、何とか間に合ったわね。皆、協力ありがと」

 「このくらいなんてことないわよ。それで?次は何をすれば良いのかしら?」

 「いえ、一先ずすべき事は全部済んだわ。貴女達も少し休憩してきなさいな」

 

 ビスマルクは「分かったわ」と言って工廠の奥へ引っ込み、ネルソンも大欠伸しながらついて行った。それにつられてかハイリアからも欠伸が漏れる。

 

 「あふ…私も少し仮眠を取ろうかしら」

 

 眠い目を擦り工廠に入ろうとした時、港からアークロイヤルが駆けてきたのが見えた。

 

 「アーク、どうかした?」

 「哨戒部隊に同行したヴィクトリアスから通信が入った。なんでも、哨戒線で怪しい艦娘を二人見つけたと」

 「艦娘を?所属とかは分かる?」

 

 ハイリアが聞くと、アークの表情が曇る。キョトンとしていると、アークは重い口を開いた。

 

 「それが…どうやらその二人は、ロシアの艦娘らしい」

 「ロシア?なんでロシアの艦娘がヨーロッパまで出張って来てるのよ、おかしいじゃない」

 「あぁ。敵意は無いようだから、今こちらへ連れて帰ってきているとの事だ」

 

 アークの報告を聞きハイリアは考え込む。現状ヨーロッパは深海棲艦との戦闘が激しく、ヨーロッパ諸国以外の他国との艦娘を通じた連携は一部を除きほとんど行われていない。話に挙がったロシアもまた深海棲艦の侵攻激しく、自国の艦娘を他国に送る暇などない筈だ。

 

 「…取り敢えずその艦娘から話を聞くしかないわね。戻ったら私の所へ直行するようにヴィクトリアスに伝えて頂戴」

 

 アークにそう伝え、ハイリアは再び考え込む。

 エフィンムの調べだと、既にソロモンの支配はヨーロッパ全土にまで広がっている。となれば、そこからロシア等のヨーロッパ周辺の国々にまで影響が出ていてもおかしくはない。

 

 (信じたくはないけど…もしやソロモンのスパイ…?それにしてはタイミングが悪過ぎる…目的は一体何?)

 

 悩んでも答えは出てこない。一先ずその二人の艦娘に話を聞く事にして、まずは工廠の奥で書類仕事をしているレイスを呼びに行った。

 

 

 

 

 

 「貴様がここの提督か…私はロシア海軍所属の戦艦『ガングート』だ。まずは勝手に領海に侵入した事を詫びねばならんな…本当にすまない」

 

 癖の強い銀のロングヘアーに左頬に鋭く付いた一筋の傷。白のコートに黒のプリーツスカート。右手には普段から喫煙するのかパイプ。戦艦『ガングート』を名乗るその艦娘はハイリアの前に立つなりそう言って頭を下げた。

 

 「私はこの鎮守府を運営するアルト・ハイリア、階級は大佐よ。それと後ろにいるのがエヴァン・レイス、階級は中佐。私と彼でこの鎮守府を動かしてるの」

 

 ハイリアの自己紹介を聞き、ガングートはハイリアとレイスの顔をじっと覗き込む。暫し二人を観察すると、ガングートは「ふむ」と一言。

 

 「二人の提督による共同運営とは…祖国では見なかった光景だな」

 「ちょっと訳ありでね。それで、貴女が首根っこ掴んでる隣の娘は?」

 

 ハイリアはガングートの右手に掴まれているもう一人の艦娘を指差して聞く。先程までジタバタ暴れていたその艦娘は、暴れ疲れたのか今は大人しくなっている。フレンチベージュのロングヘアーをツインテールに纏め、更にその上に三つの星の装飾を凝らした『ウシャンカ』という帽子のようなものを被ったその艦娘。

 

 「ん?あぁ、こいつは私の連れ…というか、私がここに来てしまったのは主にこいつのせいなのだ。タシュケント、挨拶くらいしろ」

 「いたた…同志がいつまでもあたしの首根っこ掴んでるから挨拶出来なかったんじゃないか…」

 

 タシュケントと呼ばれた艦娘は、先程まで掴まれていた首根っこを擦りながら挨拶する。

 

 「嚮導駆逐艦『タシュケント』だよ。ガングートと同じくロシア海軍所属さ」

 「ガングートにタシュケントね。それで、どうして二人はこのフランスまで来てしまったの?」

 

 ハイリアが聞くと、ガングートが頭を抱えながら話し始めた。

 

 「…このタシュケントは、ロシア海軍では『決断力のある方向オンチ』と言われていてな…出撃の際に毎回あらぬ方向へ進み艦隊から落伍してしまうのだ。困り果てた海軍が、比較的こいつと仲の良い私に目付け役を命じたのだが、それでも方向オンチは治らず…」

 「その方向オンチが今回も発動してここまて来てしまった、という事ですか?」

 「そういう事だ。以前はアメリカまで行ってしまった事もあって国家間で問題になりかけた事もあって、こいつには何度も『方向オンチを治せ』と再三言っていたのだが…」

 「それも虚しく、今回のようになったと。海軍本部に連絡は着くの?」

 

 ハイリアが聞くと、ガングートは首を横に振った。

 

 「ここに来るまでで、深海棲艦とは違う謎の敵と幾度も接敵してな。直近の戦闘で遂に通信機器が全て鉄屑になってしまった。こいつの方向オンチの事もあって帰ろうにも帰れなかった所に、貴様達の所の艦娘と出会した…という事だ」

 「そう、そういう事ね…ところて貴女達が接敵したっていう敵の事だけど、もしかして『カッシーン』って名前の三叉槍持った機械人形の奴じゃなかった?」

 「名前までは知らん。だが三叉槍を持った機械人形というのは間違ってないな。それがどうかしたか?」

 

 ハイリアは「やっぱり…」と呟き、軍服のポケットからスマホを取り出して一枚の写真をガングートに見せた。

 

 「それってこいつで間違いない?」

 

 スマホの画面に写っていたのは複数体のカッシーン。それを見てガングートの表情は鋭くなる。

 

 「そうだ、こいつらだ。何故貴様達がこいつを知っている?」

 「ここの鎮守府もこいつらの襲撃を受けたのよ。なるほどね、貴女達もこの件に片足突っ込んじゃってるのね」

 「そうか…つまりこいつらは私達艦娘にとって、深海棲艦とは形が違えど同じ敵になるという事か」

 

 ハイリアが「えぇ」と頷く。二人がカッシーンと接敵していた以上、二人は無関係という訳にもいかなくなった。となればやるべき事は一つ。

 

 「ガングート、タシュケント。申し訳ないんだけれど今回の件、貴女達にも協力してもらうわ。こいつらに会ってしまった以上、貴女達も立派な関係者よ」

 

 ハイリアは二人にそう告げた。タシュケントは驚いて面倒臭そうにしており、ガングートは「チッ」と舌打ちして被っていた帽子を更に目深にする。

 

 「分かった。本当なら一刻も早く祖国に帰るべきなのだろうが…やむを得まい」

 

 納得いかない表情ではあったが、ガングートはハイリアの要請を了承、タシュケントも「…仕方ないか」と呟いて了承した。

 

 「取り敢えず二人はうちの工廠で補給。怪我とかあればドックも使って良いわよ。うちの艦娘が案内するからついて行って」

 「さ、こっちよ」

 

 ヴィクトリアスとアークロイヤルが二人を工廠内部へ案内する。それと入れ代わりに、工廠からはカブールが出てきた。カブールは工廠に入っていくガングート達をチラリと見て聞いてきた。

 

 「あの二人がアークロイヤルが言ってたロシアの艦娘?」

 「えぇ。彼女達も襲撃されたって事だし敵のスパイという訳ではないから大丈夫でしょうけど、まぁ念のため警戒するに越した事はないわ」

 「んー、そうかしらね?ワシはあの二人はスパイとかじゃないと思うけど」

 「あら、どうして?」

 「うーん…どうしてって聞かれると分かんない…まぁ勘、としか言えないなぁ」

 

 首を傾げながらそう話すカブールに「そう」とだけ返答しておく。勘だけではまだ弱いが、彼女達の反応を見るあたり少なくともカブールの言う通りスパイという訳ではないと見える。が、油断は出来ない。

 

 「あまり疑いたくはないですが…彼女らには見張りを付けておく事にします」

 「そうして頂戴」

 

 味方すら疑わなくてはならない今の状況にハイリアとレイスは頭を痛める。牙也もまだ戻ってきておらず、不安はつのるばかりだ。

 

 「それでカブール。貴女用があって来たんじゃないの?」

 「あ、そうだった。昨日助けた上司さんがさっき目を覚ましたってレーベが」

 「ほんと!?分かったわ、すぐに向かう。カブール、ここは任せたわよ。レイス中佐、行きましょ」

 「はい」

 

 

 

 「落ち着いて下さい中将さん!まだ貴方は怪我人なんですから寝てないと!」

 「通してくれ!私の大事な艦娘達に万一の事があったら…!」

 

 ハイリアとレイスが仮眠室の前まで来ると、中が何やら騒がしい。もしやと思い彼女が扉を開けるより早く、向こう側から扉が勢い良く開いた。そこには全身包帯や絆創膏だらけのデュノア中将が息急き切らして立っていた。

 

 「ハイリア君か!私を助けてくれた事は感謝している。だが私はすぐに鎮守府に戻らなくてはならないからこれで」

 「駄目です!貴方は命狙われているんですよ!?それに軽傷とは言え怪我人なんですから寝ていて下さい!」

 「駄目だ!行かないと…私が行かないと、鎮守府の艦娘達の命が…!」

 

 先程まて医務室にいたのであろうか、プリンツとレーベ、それにマックスが必死に抑えているが、デュノアは聞く耳持たず。何としてでも鎮守府に戻ろうとしている。

 

 「取り敢えずここまで来た経緯を私達に話して下さい!貴方の鎮守府の艦娘を助けに行くのはその後でも遅くありません!」

 「そうはいかない!私が行かないと彼女達の命の保証はないと…!上官命令だ、今すぐそこを退きなさい!」

 「流石に今回ばかりはその命令は聞けません!お願いですから一旦落ち着いて下さい!傷が開きます!」

 

 埒が明かないので取り敢えず二人も参加し、十分かけてデュノアを一旦落ち着かせ、ベッドに腰を下ろさせた。デュノアはようやく正気に戻ったのかため息をつく。

 

 「すまない…急な事で私も平静を保てていなかったようだ」

 「いえ…取り敢えず話していただけませんか?一体何があって命を狙われるようになったのか」

 

 一先ずプリンツ達を退出させた上でレイスが改めて聞くと、デュノアはようやく話し始めた。

 

 「一昨日夕方のことだ。私宛に本部から書類が届いた。そこに書かれていた内容を読んで、私は狼狽してしまったよ…内容が内容だっただけにね」

 「書類には何と?」

 「…君達の鎮守府に深海棲艦との繋がり、そして本部に対する謀反の疑いがあり、即刻艦娘達を向かわせて鎮圧せよ、との事だった」

 

 信じられない内容に二人は自身の耳を疑った。自分達が深海棲艦と繋がっている?しかも本部に対して謀反?馬鹿げている。寧ろ謀反の疑いがあるのは本部の人間達だと言うのに。本部の決定に二人は憤りを感じていた。

 

 「私も最初は耳を疑ったよ。だから本部に電話して事の真偽を確かめた。しかし本部から返ってきたのは、『これは元帥による決定事項であり、貴官に拒否権はない。命令書を受け取り次第、すぐに作戦を実行せよ』とだけだった」

 「馬鹿な…!そんな決定、元帥が出す筈がありません!あのお方は誰よりも艦娘を大事になさるお方の筈です!」

 「その通りだ。その後で私は元帥に電話を掛けたが繋がらなかった。恐らく本部で元帥は監禁され、発言権を失っているのだろう。今回の件は完全なる上層部の暴走だ」

 

 デュノアは重苦しい口調で更に語る。

 

 「元帥に電話したその後だ…私の鎮守府に、謎の武装集団が襲撃してきたのは。どうやったのかは分からんが奴等は艦娘達を無力化し、瞬く間に鎮守府を制圧した。私は秘書艦のウォースパイトの機転で何とか鎮守府を抜け出せたのだが…」

 「そうでしたか…とにかく中将がご無事だったのは幸いです。すぐに救援部隊を…と言いたいのてすが」

 「この鎮守府も先日、謎の敵に襲撃されていて…今厳戒態勢が敷かれています。中将の鎮守府へ救援を割くのは承服致しかねます」

 「何だと!?君達は仲間を見捨てるつもりか!?」

 「落ち着いて下さい!取り敢えず話を聞いて下さい!」

 

 レイスが憤るデュノアを宥める。

 

 「恐らくなんですが…中将の鎮守府を襲撃した武装集団と、この鎮守府を襲撃した敵は、本部の人間と繋がりがあります」

 「実は我々二人は、明後日を期日にここを去り後任となるオルディエン中将に運営を引き継がせる事が決定していました」

 「何だと!?そんな話私は聞いていないぞ!君達は私の直属の部下なんだ、もしそうなら上司の私にもその連絡が来る筈だ!」

 「連絡が中将の下へ来ていない…となれぱ、恐らく上層部はこの機会に、私達三人を『消す』つもりだったのでしょう。私達三人は本部において目の上の瘤ですから、ちょうど良いタイミングとも言えます」

 「何たる事か…!」

 

 デュノアは頭を抱えてしまう。ハイリアとレイスの表情も苦悶に満ちる。と、静かになった部屋にガチャリ、とドアを開ける音が響いた。

 

 「失礼致します。お話はお済みになりましたか?」

 

 三人が扉に目を向けると、立っていたのは昨夜襲撃してきたあの女だった。思わず身構える三人だが、いち早くレイスが違和感に気づく。本来なら出る所出た女らしい体付きである筈だが、今目の前にいるのは全体的にシュッとしているがどう見ても男らしい体付き。

 

 「体付きが微妙に違う…?それにその喋り方…まさか貴女は、エフィンムさん?」

 「え、エフィンム!?あんたその体は…!?」

 

 ハイリアが驚きながら訊ねると、女ーー改めエフィンムは恭しくお辞儀をして言った。

 

 「昨晩襲撃した者の体を頂戴させていただきました。いつまでもあの姿でいる訳にもいきませんので」

 「そ、そう…びっくりさせないでよ、もう」

 

 ハイリアとレイスは警戒を解くが、デュノアはまだ抵抗があるのか警戒を崩さない。まぁ自身の鎮守府を襲撃した者と同じ顔の者がいれば当然であろうが。

 

 「ハイリア君、この者は一体…」

 「今回の件での私達側の協力者です。あともう一人いるのですが、今は出払っています」

 

 ハイリアに紹介され、エフィンムは再び恭しくお辞儀する。

 

 「ところでエフィンム。一つ頼みがあるんだけど」

 「こちらの方がお務めの鎮守府の件ですね?既に私の配下を使って探りを入れておりますので、そのご報告に上がりました」

 

 早すぎだろ…そんな突っ込みを心の中でしながら、ハイリア達はエフィンムの報告を聞く事にする。

 

 「まず鎮守府の艦娘、及び鎮守府にお務めの事務員の皆様は現状無事でございます。ただ艦娘としての能力のほとんどを何らかの方法にて封じられており艤装使用も出来ず、また工廠等鎮守府の要衝も一通り制圧された為に反撃は不可能の様子。外への連絡手段も断たれております」

 「皆、無事なのか…?」

 「はい、皆様ご無事です。恐らく貴方を誘き出す為の手段として敢えて生かしているのではないかと」

 「そう…エフィンム、貴方すぐに行ってデュノア中将の鎮守府の艦娘達を助けられる?」

 

 ハイリアに聞かれエフィンムは暫し考えるが、首を横に振った。

 

 「正直に言えば難しいですな。目算ですが、向こうの戦力は多く見積もって数百。しかも鎮守府制圧後、敷地内のあちこちに敵を感知するセンサーやドローンをこれでもかと仕掛けております。実は運悪く鎮守府に潜入した配下がそれに引っ掛かってしまいまして…恐らく今行けば、更に警備が厳重になっているかと」

 「潜入が向こうにバレちゃったの!?」

 「申し訳ございません…私の落ち度にございます」

 

 悔しそうに唇を噛み締め頭を下げるエフィンム。

 

 「牙也に連絡は?」

 「まだ付きません。何処へ向かったのやら…取り敢えず襲撃に備え、この鎮守府内の要所要所に我が配下を置いて様子見させております。また哨戒部隊にも海上や海中での戦闘が得意な配下を密かに付けて対応を任せました」

 「うーん、牙也に連絡が付かないのが心配だけど…一先ずそれで行きましょう。因みにエフィンム、デュノア中将の鎮守府に誰か海軍関係の人が入っていったりしなかった?」

 「いえ、センサーに引っ掛かってしまった故に人の出入りまでは把握出来ておりません。ただ…彼奴らの通信を傍受したところ、海軍本部からと思しき場所との通信がいくつか行われておりました」

 

 エフィンムの報告に三人は渋い表情。

 

 「ほぼ確定、かしらね。やっぱり今回は元帥以外の上層部の暴走で決まりかしら」

 「なんと情けない…!また上層部はあの悪夢の一日を繰り返すつもりなのか!」

 

 憤ったデュノアは思い切り壁を殴り付けた。包帯が巻かれた手から血が滲む。ハイリア達も項垂れて悔しがり、エフィンムは「…心中お察しします」と呟くだけに留めた。と、

 

 「提督、哨戒部隊から緊急の通信だよ!」

 

 そう言いながらレーベが部屋に飛び込んできた。

 

 「緊急?何かあったの?」

 「哨戒線でデュノア中将の鎮守府所属らしい艦娘を発見したんだ」

 「何、本当なのかね!?彼女達は無事なのか!?」

 「は、はい!彼女達は怪我もなく無事です!無事なんですが…」

 

 そこまで言ってレーベが口を噤む。はて…と皆が首を傾げると、レーベの口から信じられない言葉が飛び出した。

 

 「僕達の所属を伝えた途端…いきなり攻撃してきたんだ!」

 「な、攻撃!?なんでよ!?」

 「分かんない…所属を伝えたら、少し考えた後でいきなり攻撃されたって…」

 「哨戒部隊の被害は!?」

 「大丈夫みたい。ギリギリ攻撃は回避したし、次の攻撃が来る直前に、鮫みたいなのが海中から出てきて気を引いてくれたんだ。お陰で皆無事に戻ってこれたんだって」

 「鮫?」

 「哨戒部隊に付けていた私の配下ですな。ところでレーベ様、あちらの編成について何か聞いておりませんか?」

 

 エフィンムが聞くと、レーベは少し考えてから言った。

 

 「確か…ウォースパイト、ローマ、イタリア、アクィラ、デ・ロイテル、パースだったかな。哨戒部隊のジャーヴィスが彼女達の事を知ってたみたいで、はっきり覚えてたよ」

 「中将、やはり…!」

 「うむ、間違いない。皆私の鎮守府の艦娘達だ…しかし何故そんな事を…まさか私が目的なのか?」

 「今はそれを考えていても仕方ありません。とにかく彼女達を止めなくては」

 

 エフィンムの進言に皆一様に頷き、急いで部屋を飛び出していく。鎮守府にまた、嵐が吹き荒ぼうとしていた。

 

 

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