元世捨て人の気ままな旅路(艦隊これくしょん編)   作:神羅の霊廟

54 / 54
前哨戦

 愛用の剣を構え、エフィンムは海上に悠然と立つ。その目が見つめる先には、水平線を埋め尽くす数の深海棲艦達。多過ぎて水平線の向こう側が見えない程。

 

 「ふむ。これだけの数を簡単に揃えるとは…流石深海棲艦という所でしょうか」

 

 何百何千と並ぶ敵を前にしても、エフィンムの表情は変わらない。寧ろこれだけの数の敵と戦える事にワクワクしている風だ。

 

 「随分と楽しそうではないか」

 

 背後からの声に振り向くと、アーチェリー用の弓に似た艤装を持ったアークロイヤルが腰に手を当てて立っていた。

 

 「おや、アークロイヤル様。もしや顔に出ておりましたか?」

 「あぁ、もろにな。貴様、まさかその執事の如き恭しさは隠れ蓑で、本性はバトルジャンキーというのではあるまいな?」

 

 エフィンムは「ハハハ、そこまで酷くはありませんよ」と言ってまた深海棲艦に目を向ける。本人はああ言って誤魔化したが、実際アークロイヤルの指摘は強ち間違ってはいない。

 

 

 

 

 さて、ここでエフィンムについて少し解説しておこう。

 

 このエフィンム、元々はヘルヘイムの森で生まれた普通のシカインベスである。本来ならインベスは思考能力や自我を持たず、ただ本能のままに動く生物なのだが、エフィンムは違った。それこそ何気なく置いてあった国語辞書を手に取ると、一心不乱に読み耽るくらいには。

 

 本来なら起こりうる筈のない現象が起きた原因。それは牙也にあった。元々牙也と箒が住んでいたヘルヘイムの森は、この二人以外は精々インベスしか存在しない。また先述したようにインベスは本能的に動く生物なので、何かしら問題が発生した際は二人だけで対処しなくてはならない。普段から常に問題が起きている訳ではないのだが、牙也としては自分達以外にもこれらの問題にある程度対処出来る者ーーつまりは新たなオーバーロードインベスが欲しかった。

 

 しかしオーバーロードが生まれる確率は低いなんて言う物ではない。オーバーロードが生まれるには、大前提としてヘルヘイムの森に実る果実を食し、その膨大な力に打ち勝つ必要がある。並の生物は果実を食した途端にその力に全身を喰われ、やがて身も心もインベスと成り果てる。しかしその力に打ち勝ち、なおかつヘルヘイムの森という環境に適応した者のみがオーバーロードインベスとなれる。が、その確率が低過ぎるのだ。

 

 そしてもう一つ、インベスは元を辿ってみると他世界から迷い込んだ生物がヘルヘイムの果実を食して生まれた存在である、という事。他の生物がインベス、若しくはオーバーロードインベスになる事はあれど、インベスがオーバーロードインベスになる事は無い。何故ならインベスとなった時点でその生物の意志は失われるからだ。意志を失ったインベスがオーバーロードインベスになったとして、じゃあ何処からその失った意志を持ってくるのか、またオーバーロードインベスを生み出す為に余所の世界から生物を攫って来て実験でもするのか、という話になる。

 

 そこで牙也の出番である。牙也は試しとして、自らを形成する黄金の果実の一部をとある下級インベスに与えた。インベスが自分の力の一端を取り込んだらどうなるか、という純粋な興味からである。結果、意志を持ったシカインベスが生まれ、牙也はそのインベスに『エフィンム』という名を与えて傍に置いた。次いで箒もそれに倣い、自らの体内に封印した禁断の果実の一部を別の下級インベスに与えた。勿論同じように意志を持ったツバメインベスが生まれ、箒は『エファジェ』の名を与えて傍に置いた。

 

 以来己の意志を持ったこの二体のインベスは、ほぼ同時期に生まれた事から兄妹のように仲良くなり、また牙也と箒それぞれの側近として数多のインベスを統率する立場となったのである。

 

 そして現在。エフィンムはヘルヘイムの森に迷い込んだ生物への対応を任されるまでに成長し、エファジェもまた数多のインベスを手足のように使い熟す部隊長に近い役割を与えられた。オーバーロードインベスとは違う存在となったとはいえ、それに近い部下をゲット出来た二人は大いに喜び、また次を生み出そうとした。しかしこれ以後同じように意志を持ったインベスは生まれる事は一度たりとてなく、二人は早々にこの手段を諦める事になった。

 

 とはいえエフィンムもエファジェも二人に狂信に近い忠誠心を持っており、寧ろ新たなインベスが生まれる事で嫉妬心からその忠誠心が揺らぐ事が無くなったと考えれば僥倖、だろうか。

 

 (我が主より承った大切な任務…必ずや完遂させて見せましょう!そしてこの素晴らしき私の勇姿を永遠の語り草に…フフフ)

 

 エフィンムは今後を左右するこの大事な任務を牙也から任された事に酷く感激しており、舞い上がっていた。本人も思わず真っ黒い笑みが零れており、側にいたアークロイヤルは若干引いていたが、エフィンムの表情にやや心配してか話しかけた。

 

 「舞い上がるのはいいが、これは大事な任務だ。目的を忘れて暴走してくれるなよ?貴様の尻拭いをするのはこちらも御免だ」

 「おっと、これは…御忠告ありがたく受け取ります」

 

 アークの発言にエフィンムも気を取り直し笑みを引っ込める。

 

 「しかし我が主は何をお考えなのか…このような時にまだご帰還なさらぬとは」

 「奴にも何か考えがあっての事だろうが…というか貴様は奴のお付きのようなものなのだろう?それくらい分からなくてどうする」

 「確かにそうですが…我が主のお考えになる事は、常に私の理解の範疇を超えていきますので」

 

 そう言い苦笑いするエフィンム。実際エフィンムは毎回理解不能な行動を取る牙也や箒に振り回されていたから、今回もつまりそういう事なのだろう、と思っていた。牙也達の行動について色々考えてはいけない、というのがエフィンムとエファジェの共通認識となっている。何故なら自分達の頭脳ではもう理解なんて出来ないから。それは最早諦めとかの境地である。

 

 「…しかし、こうも静かだと逆に不気味ささえ感じますな。互いに敵を目の前にしているというのに、動きがないとは」

 「向こうも様子見しているようだな。どうやら指揮する立場の深海棲艦は相当の手練れらしい」

 

 二人は極めて冷静に深海棲艦の軍勢を分析する。

 

 「まだ攻めないのか?」

 

 後ろからの声に振り向くと、ガングートがパイプを吸いながら退屈そうにしていた。

 

 「こうして互いに邂逅しているんだ、今攻めずしていつ攻める?」

 「ガングート様、今我々は互いの腹の探り合いをしている状況なのです。敵の腹を探らぬ内に攻めるは愚策でございます」

 「ならばどうする?このまま膠着したままでいるのか?」

 「まさか。お互いいつまでもこのままでいられる理由もなし…痺れを切らせた方が負ける。今は辛抱の時ですぞ」

 「よく分からんが、まだ攻め時でない事は理解した」

 

 ガングートはパイプを吹かしながら遠く向こうの深海棲艦を見つめる。

 

 「ところでガングート様。お連れの方は何故に紐で縛られているので?」

 

 ここで今まで疑問に思っていた事をぶつけてみた。よくよく見ればガングートの艤装と彼女の後ろにいたタシュケントの体は専用の紐で繋がれている。繋がれたタシュケント本人は「あはは〜」と呑気な表情。

 

 「こうでもしないとこいつはいつの間にか行方不明になってしまうんだ。こいつの子守をし始めてからはずっとこの戦闘スタイルだ」

 「何と言うか…持ち味を殺し合っていないか?」

 「それは分かっている。だがこうしないと後で面倒な事になるからな…要は慣れだ」

 

 二人を繋いだ紐を引っ張りながらそう言い、ガングートは吸っていたパイプを徐ろに片付けた。そして再び深海棲艦に目を向ける。

 

 「思えば…奴等との戦いが始まった頃は、こんな風に心身に余裕を持って戦況を見つめる事など出来はしなかったな。いつも生き抜く為に必死だった」

 「ほう」

 

 唐突に思い出話を始めたガングートにエフィンムが食い付く。

 

 「島国である日本や超大国アメリカ、それに今私達がいるヨーロッパ諸国が国家存亡の危機に陥っていた中、当然ながら我がロシアも同じように国家の危機を迎えていた。だが問題は山積みだった。何せ我が国ロシアは当時まだ艦娘の運用に懐疑的だったからな」

 「はて…貴公達が出現したのはつい最近ではなかったか?」

 「表向きはな。だが実際は深海棲艦が出現し始めた時点で、私やタシュケントは顕現していたのだ。ただ国に存在を認知されておらず、国家の助力無しで深海棲艦に対抗するしかなかった」

 「国が艦娘の存在に気づいていなかったと?」

 「らしい。信憑性は薄いが、まぁ艦娘という未知の存在を簡単に信じられるか、という点ではそうも言い訳出来るだろうな」

 

 ガングートは話を続ける。

 

 「最近になってようやく私達も国家に認知され、国家の庇護の下戦えるようにはなった。が、他国と違いロシアの艦娘の数はまだ少ない。しかも国家の面積の問題もあってな、未だ対応に苦慮しながら応戦を続けているのが現状だ」

 「ロシアは国土が世界一でしたな。それでいて艦娘の数が少ない…なるほど、それは大変な事で」

 「同情はいらん、これが事実なのだからな。だがそれでも…私達は戦わねばならん。祖国の為…そして国民の為にな」

 

 仏頂面で話すガングートは表情にイライラを募らせているようだった。それが深海棲艦の大軍と向き合っているこの現状からなのか、それとも祖国の為に戦いながらも現状打破が出来ない自分達にイライラしているのか、もしくはそれ以外の事なのかは分からないが、少なくとも強い愛国心と戦いに対する嫌悪感に近いものをエフィンムは彼女の表情から感じ取っていた。

 

 「…なればこそ、皆様は命を大切にしなければなりません」

 

 エフィンムの言に皆の視線が集まる。

 

 「国のためだ民のためだ、とはいくらでも言えますが…そのような事は所詮後付けの理由に過ぎません。結局のところ、全ては生き延びなければ為し得ぬ事。無為に命を散らす事は、貴女方一人一人が持つ命に対する冒涜に他なりません」

 「でもあたし達艦娘ってそういう存在だよ?造られて戦って、そして散っていく…そんな存在だよ」

 「果たしてそうですかな?」

 

 エフィンムの含みある言に皆の表情が引き締まる。

 

 「それではお尋ねしますが…皆様は、何かご趣味や普段から欠かさず楽しんでいる事等は御座いませんか?」

 「趣味?」

 

 エフィンムの質問に皆が考え込む。

 

 「私はあれだな…ウォッカを浴びる程飲む事だ。戦いは好まんが、戦いから戻って来てのウォッカほど喜ばしい物はない」

 「私は…酒よりも紅茶だな、それもアールグレイ。あれ無しにはいられん」

 「ピロシキ!同士達と食べるピロシキって凄い美味しいんだよ、分かる?あーでもボルシチも良いなぁ!」

 

 三人の回答に「そうでしょうそうでしょう」と頷くエフィンム。

 

 「全員飲み食いなのは気にしないとしまして…まぁ言うなればそういうご趣味というものは、時に生きる事への原動力となり得るという事です。人間もそうです。年老いた男性女性が、何か趣味を見つけた事で生きる気力を取り戻した、なんて話はよくありますよ」

 「生きる事への原動力、か…だがエフィンム。私は知っているぞ。戦地でそういう事を語る者にはフラ…フル…」

 「フラグ、ですか?」

 「そう、それだ。それが立ち、生きて帰ってはこれんと…」

 

 アークの説明にエフィンムは思わず吹き出してしまった。

 

 「貴様、何がおかしい!?」

 「ブフッ…いや、失礼しました。確かにそれは間違いではありません。が…それはあくまでも相対した敵があまりにも強大過ぎたが故にそうなっただけです。結婚話を仲の良い友人に語ってすぐに吸血鬼すら喰らう謎の生物に頭を半分喰われたとか、見てくれが子供と侮って攻撃したらとても強い敵で瞬時にサイコロステーキにされたりとか。単に『実力差があり過ぎた』だけの事。ですが今回は違います。艦娘の皆様が勢揃いしております。私がおります。そして何より…我が主がおられます。フラグなど圧し折ってご覧に入れましょう」

 「その発言がフラグにならなければ良いが…」

 

 他愛ない話をしていると、一瞬空がキラッと光った。

 

 「ハッハッハ、御冗談を…そうだアーク様、一つ付け加えておきましょう。先程のご趣味もそうですが、生きる原動力となり得る物というのは『思い』の強さと堅牢さだと思います。強さだけあっても脆さを露呈してしまいすぐ壊れてしまいますし、堅牢さだけでは状況打破するだけの心持ちは手に入りません。どちらも保有してこそ意味を持つのです。そして、この二つを持ち合わせた存在というのはですね…」

 

 そこまで言いエフィンムはアーク達の方を向いたまま自身の上空目掛けて剣を振るった。斬撃が空へ飛び、遥か上空で爆ぜた。いや、空から降ってきた『何か』とぶつかり合い相打ちとなった。少なくとも深海棲艦の艦載機ではない。高度が高過ぎるのだ。呆然とする三人に、エフィンムは剣を肩に担ぎニコリと笑顔を見せて言った。

 

 「『無敵』なんですよ」

 

 未だ呆然状態の三人を置いといて、エフィンムは深海棲艦の大軍に目を向ける。

 

 「さて…そろそろ傍観を止めて出てきたら如何ですか?えーと確か…ソロモン、でしたっけ?」

 

 そう大声を張り上げると、彼らと深海棲艦のちょうど中間辺りに金色の靄が出現した。靄は段々と形を成し、やがて絢爛なる金色の鎧の剣士となった。アーク達は艤装を構えて戦闘態勢に。一方ソロモンは、エフィンム達を一瞥してため息を吐いた。

 

 「…奴ではないのか。興が乗らん、引っ込んでいろ」

 「我が主はただいま出払っておりまして…僭越ながら私めがお相手させて頂きます」

 「逃げたか?」

 「いえいえ。そもそも逃げるつもりだったと言うのなら、最初からこの世界と関わりを持とうとはしませんからな」

 「一理あるか」

 

 ソロモンは金色の剣を抜いてその切っ先をエフィンム達に向ける。エフィンムも肩に担いだ剣先をソロモンに向ける。

 

 「ならば少しばかり暇潰しに付き合ってもらおうか…それくらいの減らず口が叩けるのだから、相応に強き者なのだろう?」

 「試されてみますか?」

 

 その言葉と共に、二人の姿が搔き消える。と同時に辺りから響く剣のぶつかり合う大きな音と強烈な衝撃波。衝撃波に耐えながら空を見上げると、速過ぎて視認すら出来ないがほんの一瞬だけエフィンムとソロモンが打ち合っている姿が見えた。双方打ち合った場に0.1秒といない。

 

 「何だ、奴等のあの速さは…視認すら出来ん。タシュケントよりも速いぞ」

 「同士…艦娘の速さとあれを一緒にしたら駄目でしょ」

 「どちらも人ではないからな。そういう能力を持っている、というだけだろう。しかし…」

 

 アークは二人の戦闘をまじまじと見つめながら呟く。

 

 「…私達と深海棲艦の戦いに奴等が早くに手を貸してくれれば今頃こんな泥沼になる事もーーいや、考えても仕方ない事か」

 「…奴等、一体何者なのだ?どうにもこの世の者とは思えん」

 「この世というよりもこの世界の者ではないと聴いた。この世界に起こったバグを排除するのが目的という」

 「どういう事?」

 「牙也によれば、牙也達が元々いた世界と私達がいるこの世界がどういう訳か繋がってしまったのだという。だから厳密に言えば、その理由を探り対処する為にこの世界に来た、というのが真実らしいが…」

 

 ガングートもタシュケントも彼女の説明を聴いても何も分からず、頭に?マーク。アークもアークで「これ以上は私も詳しく知らんぞ」という顔。

 

 「…まあ良い、詳しい事は全て片付いてから聴けば良いのだ。それよりも今は目の前の敵を倒す事に全力を尽くすのが先決。幸い奴は味方だ、奴の実力に期待しておく事にする」

 

 そう言ってガングートが見上げた空では、まだ打ち合いが続いているのか剣撃の音と小さくだが衝撃波が起きている。辺りにはその音以外に雑音はなく、精々が波の音程度。艦娘達も深海棲艦も互いの敵が目の前にいるのを忘れ、二人の戦いを固唾を呑んで見守っている。

 

 そして一際甲高い剣撃の音と衝撃波が起こると、エフィンムもソロモンも優雅に海面に降りてきた。まだ戦闘態勢を崩さないエフィンムに対し、ソロモンは剣を持ったまま唐突に拍手を始めた。

 

 「…何がしたいのですか?」

 「なに、気にする程の事ではない。ただ単に、貴様の実力を認めただけの事だ。確かに貴様は強者だ。奴には及ばんがな」

 「流石に我が主には及びませんよ。あのお方は私めに戦闘についての諸々をご指導なさった方ーー師匠にもあたる方ですので」

 「なるほど、貴様の攻撃一つ一つに奴を思わせたのはそういう事か…だが遠い。奴には遠いな」

 「えぇ、勿論理解しております。我が主の領域に至るには途方もない年月を積み重ねなければなりません。私はまだ若輩者、その境地に至るにはまだ年月が短すぎます」

 「よく弁えているな。それで良い…身の程を弁えぬ輩ほど愚かしいものはないからな。貴様はよく弁えている。だからこそーー付け入る隙がある」

 

 ソロモンが一際強く手を叩くと、後方のガングート達の周囲に無数の剣が出現して取り囲んだ。抜け出す事が出来ぬよう隙間なく設置された剣の切っ先は全て彼女達へ向けられている。

 

 「ほら、このように。悪いが暫しの間人質として預からせてもらうぞ」

 「何さこれ、まるで剣でできた檻だねぇ」

 「感心してる場合かタシュケント!くっ、これでは助太刀出来ん…!砲撃もここまで狭くては逆に私達自身を危険に晒す…!」

 「密過ぎで艦載機も飛ばせんぞ!エフィンム、なんとかならないか!?」

 

 アークが焦りながら叫ぶ。エフィンムは何とか助けようと後方へ下がろうとするが、それをソロモンが許す筈もなく、好機とばかりに一気に距離を詰めて来た。再び剣撃が始まる。

 

 「人質だと言った筈だ。簡単に取り返されては人質の意味がないからな…全力で阻止させてもらうぞ」

 「ご勘弁願いたいですな!」

 

 エフィンムが応戦しつつ彼女達を助けようと動きを見せるが、それを予期してかソロモンは新たに剣を召喚しエフィンムの足元を狙ってくる。それも動きを阻害しつつ人質となったアーク達から距離を取らせるように。エフィンムの表情は徐々に焦りの色が見えてくる。

 

 (このままではジリ貧…!しかし手の打ちようが…!)

 「ほれ、考え事をしている場合か?」

 

 ソロモンの連続攻撃に押されていくエフィンム。既に余裕を無くし始めており、攻撃もお粗末になっていく。

 

 「ふん、やはりこの程度か。少し心を揺さぶるだけでこれだからな。やはり奴には及ばん」

 

 剣撃を続けること数十合、

 

 ガキンッ!!

 

 「しまっーー」

 「終いだ」

 

 遂にエフィンムの剣が手元から弾き飛ばされた。一瞬途切れた集中を逃さずソロモンが剣を振るうーー

 

 

 「今ッ!」

 

 

 のを、突然響いた声と共に起きた爆発が阻止した。爆発が直撃したソロモンは蹌踉めきながらも一旦エフィンムから距離を取る。

 

 「あれは…深海棲艦の艦載機!?」

 

 剣の檻の隙間から見たアークが目にしたのは深海棲艦達が普段使う艦載機。それも急降下爆撃を行う艦爆の類のもの。何故深海棲艦が横槍を?しかも味方の筈のソロモンに?その疑問を他所に、ソロモンの後方におり今まで動きもしなかった筈の深海棲艦達が陣形を組んで動き始めた。その先頭にいたのは

 

 

 

 「ニャハハ…リベンジシニ来タゼ、ソロモン!!」

 

 

 

 尻尾型の艤装が二本に増えた戦艦レ級だった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。