遊戯王GX 決闘者たちが歩む物語   作:有頂天皇帝

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まえがき

今回は刹那たちが制裁デュエルを行っているのと同時刻に裏で暗躍していた人々の動向について語ります。なので今回はデュエルシーンないです。



第20話 闇で蠢くもの

 

アルカside

 

アメリカのラスベガスのとあるビルの最上階の一室。私の目の前にはプロデュエリストのトップであるDDが膝をついていた。彼は自分が負けたことが信じられないのか目を開いていた。

 

「ば、バカな・・・何故『究極のD』を持つ俺が敗北を・・・いや、それよりもだ」

 

DDはヨロヨロと立ち上がりながら私を睨みつけ声を荒らげる。

 

「何故貴様がそのカードたちを持っている!?そのカードを所有しているのはこの世界でただ1人だけのはずだ!!」

 

DDは震える指で私のデュエルディスクに納まっているデッキを指さしながら聞いてくる。それも仕方が無いことだろう。私のデッキのカード達はこの世界のカードでは無いのだから

 

「あなたのようなこそ泥に答える義理はありません。それに」

 

私はチラリとDDの背後で揺らめく影に目を向けながら言葉を続ける。

 

「これから死にゆくものに何を言っても無駄ですからね」

 

「な、何を───」

 

DDが言葉を続けようとしたが背後から何者かによって腹部を貫かれてしまった。DDの腹部を貫いたそれは爪を抜くとDDは地面に倒れ腹部から流れる血によって出来た血溜まりの中でDDは息を引き取った。

 

「さて、はじめましてと言った方がいいですかね。『究極のD』」

 

私は目の前でDDを殺した影───『究極のD』に挨拶をするが究極のDは何も答えずジッとこちらを見ている。

 

「こちらとしても無駄話をする気は無いので単刀直入に言わせてもらいます。───我々の仲間になりませんか?」

 

そう言った瞬間、究極のDは私に向かってその鋭い鉤爪が迫り、私の喉元を貫こうとした瞬間だった。

 

『調子に乗るなよクソガキ』

 

私の背後から現れた天井に届く程の巨体で下半身が昆虫の下腹部のような膨らみを持ち、そこから身体を支える六本の足が生えている…筋肉質で両腕は歪・・・右腕は鋭い鋏、左腕は五本指・・・顔つきは鬼のように恐ろしく、その身体はところどころに棘のような突起が見え不気味さを際立たせた異形な悪魔───『トラゴエディア』が私に迫る鉤爪を鋏で弾き飛ばしてくれた。

 

『ふん、高々数年しか生きていないガキが俺様の前でイキがるな』

 

「おやもう用事は済ませたのですか」

 

私は思ったより早くこの場に現れたトラゴエディアに少し驚きながら声をかけるとトラゴエディアは右腕の鋏で究極のDを押さえつけながら私に顔を向ける。

 

『ああ。やはりこの男が所持していたようだ。これで残り三枚だ』

 

トラゴエディアはそう言うと1枚のカードを投げつけてくる。そのカードはかつてトラゴエディアが力を取り戻す際に利用したカード『プラネットシリーズ』の1枚の『The supremacy SUN』だった。

 

「それは良かったですね。それではこれ以上この場にいても仕方がないので彼を連れてここから離れましょうか」

 

『ああ、そうだな』

 

トラゴエディアはそういうと究極のDを掴んだままの状態で2体は元から存在していなかったかのようにその姿を消した。

 

「さて、それでは私もそろそろ───「DD!!」これは面倒な時に来ましたね・・・」

 

トラゴエディアたちがいなくなったのを確認してから私もこの場から去ろうとしようとしたのだが厄介な人物に姿を見られてしまった。

 

「貴様!!よくもDDを!!」

 

死んだDDの亡骸を見て涙を流しながら青年──エド・フェニックスは私を睨みつけながらそう怒鳴る。

 

「おや、これはこれは。似非ヒーローのお出ましですか。思ったよりもお早い到着ですね」

 

「なんだと!?」

 

似非ヒーロー呼びにエド・フェニックスはさらに怒りで顔を赤くする。しかしこれ以上ここで無駄な時間を過ごす訳にも行かないのでこの場はさっさと退場させてもらおうか。

 

「あなた如きに構ってる暇はないので私はこれで失礼させて貰いましょうか」

 

私はエド・フェニックスにそう言うとデュエルディスクにセットしてあるのとは別に用意したカードたちの中から『緊急テレポート』のカードを取り出すとデュエルディスクにセットしてその効果を発動させた。

 

「なっ!?まっ────」

 

エド・フェニックスは何が起こっているのかわからず思わず私に対して手を伸ばしてくるが間に合わず、私は『緊急テレポート』の効果によりこの場から去ることが出来た。

 

 

────彼は私を憎むのだろう。真実を知らないとはいえ死んだ父親の代わりに自分を育ててくれた恩人を殺されたのだ。いつか私の前に復讐の鬼となって私を現れるのかもしれない。だが、それでも私にはやり遂げなければならないことがある。例え、この手が血に濡れ屍の上に立つことになろうとも・・・

 

 

アルカsideout

 

 

???side

 

「そうか、遊城十代たちは無事退学を回避出来たか・・・」

 

『ああ。これで遊城十代たちはより力をつけただろう』

 

童実野町にあるとあるビルの最上階の部屋にてワシはモニター越しにデュエルアカデミアに潜入させている部下であるアムナエルから報告を受けていた。

 

「だがまだ足りない。来るべき戦いに備え彼らにはもっと力を、そしてどんな逆境に追い込まれようと決して折れない心を持ってもらわなければならない」

 

ワシは腰掛けている車椅子を固く握りしめながらアムナエルを睨むようにそう告げる。私たちは知ってしまったのだ。この世界とは別世界の人間たちがこの世界で暗躍していることを。そしてそれによって既に犠牲者が出ていることを・・・

 

「アムナエル。お前はそのままアカデミアで遊城十代たちの成長を促しつつ見所のある生徒たちをこちら側に引き込め。ただしサイバー流の連中には気づかれるな」

 

『あぁ、わかっている。そちらも気をつけろ』

 

アムナエルとの通信を終えるとワシは一息ついて車椅子の背もたれに寄りかかる。やるべきことはまだまだ多いがそれでもこの老耄の老い先短い命でどこまでやれるか・・・

 

「失礼しますお爺様」

 

ワシが物思いにふけっていると部屋の扉を開けて孫の1人である影丸暗吾が部屋に入ってきた。

 

「おお暗吾か、もうそんな時間になったのか」

 

「えぇイリアステルからの使者が来ました。どうぞこちらへ」

 

暗吾はそう言うと扉を開けてイリアステルからの使者を案内する。イリアステルからの使者───プラシドは部屋に入るなりそのままワシの前に立つと勢いよく机を叩いた。

 

「どういうことだ影丸。何故遊城十代の制裁デュエルの相手が迷宮兄弟ではなくあの天馬夜行だったんだ。今回は遊城十代が勝ったから問題はなかったが負けていたらどうするつもりだ」

 

プラシドはワシを睨みながら制裁デュエルのことを聞いてくる。彼らの知る本来の未来ならば遊城十代は丸藤翔とタッグを組んで迷宮兄弟とタッグデュエルをするはずだが何故か遊城十代は丸藤翔とタッグを組まず天馬夜行とデュエルをした。これには天馬夜行の実力を知っているプラシドたちイリアステルも驚いてしまった。

 

「悪いが対戦相手を決めるのはワシではなく鮫島たちだ。それに今回のはペガサス会長自らのご指名ということでこうなったのだ」

 

影丸としてもまさか今回の制裁デュエルにペガサス会長が絡んでくるとは予想外だったのでプラシドたちにその事で文句を言われてもこちらとしてはその事で問い詰められるのはお門違いもいいとこだ。

 

「それに結果的に見れば彼らは今回で大きく成長した。何も問題はないのではないかね?」

 

「それはそうだが・・・」

 

プラシドもその事を理解しているためかそれ以上は何も言わないでいるが彼らの懸念も理解できる。既に彼らの知る未来とは全く異なる道筋を進んでいると言われているがそれでも不安なのだろう。

 

「まぁいい。遊城十代達のことはわかった。それで『三幻魔』の方はどうなんだ?」

 

「そちらの方も問題ない。今アムナエルと黒蠍団を中心にして回収作業をおこなっている。このまま順調に進めば無事に回収できるだろう」

 

「急げよ。既に『三邪神』と『地縛神』が何者かの手によって回収されている。『三幻魔』までもが敵の手に渡れば最悪な事態は免れん」

 

「わかっておる。故に細心の注意を払ってアムナエルに回収を命じておる」

 

しかし、この時のワシは理解していなかった。我々の敵はアカデミアだけではなく、その敵が持つ恐るべき力を・・・

 

影丸sideout

 

 

浩介side

 

「相変わらずここは胸糞悪い場所だな」

 

融合次元のアカデミアにあるドクトルの研究施設を歩いている僕は嫌悪感を隠さずに培養槽を睨む。培養槽の中には本来ならば融合次元を含めた4つの次元には存在しない精霊と精霊が宿るカード、カードとなった人間たち、そしてドクトルが開発した『サイバー・オーバー』や『古代の機械』のカードや『パラサイト・フュージョナー』などが培養液に浸かっていた。

 

「ふん貴様程度の人間では私の素晴らしい研究を到底理解できまい」

 

ドクトルはこちらをバカにするように鼻を鳴らして見下してくるが微塵も興味が無いのでドクトルは無視してドクトルの隣にいるプロフェッサーこと赤馬零王に声をかける。

 

「それで、なんの用で呼んだんですかハ──プロフェッサー」

 

「おい今なんて言いかけた」

 

ロリコンハゲがなんか額に青筋を浮かばせているが大したことないだろうから無視する。既にプロフェッサーがハゲなのも女の子を監禁するのが趣味な変態なのも僕は知ってるから撤回する気は無い。プロフェッサーもそれが分かっているのか追求することなく本題に入った。

 

「まぁいいお前にはこの人物達の調査と捕獲を頼む。これがそのリストだ」

 

ロリコンハゲはそう言って紙束を渡してくる。それには別次元にあるデュエアカデミアの生徒である遊城十代や如月刹那たちの他にあちらの次元のプロデュエリストであるロクス・ハワードや遊城榛名などあちらの世界で精霊や特殊なカードと関わりのあると思わしき人物たちの名が並べられていた。

 

「無論1人で任務をこなせとは言わん。必要ならばこちらからも兵を提供するが・・・」

 

「いえ問題ありません。自分の部下から何人か連れてくから必要ないです」

 

正直、彼らを相手にする場合オベリスクフォースの連中は大して役に立つと思えないしそれ以上の実力者たちは面倒な連中ばかりだから一緒に行動したくなんてないからね。ロリコンハゲは一瞬目を細めたがそれ以上特に何も言わなかった。

 

「そうかならば1週間後に次元転移装置を起動させるからそれまでに準備を整えておいてくれ」

 

「分かりましたそれでは準備もあるのでこれで失礼しますね」

 

「ああ頼むぞ。全ては『アークエリア・プロジェクト』を成功させるために」

 

ロリコンハゲの言葉とドクトルの睨むような視線を無視して僕はこの研究施設から足早に出ていく。正直アカデミアの考える理想の世界の実現など微塵も興味が沸かないが遊城十代たちとアカデミアの衝突は何を起こすのか多少興味はある。

 

(せいぜい道化として最後まで踊って楽しませてくれよ?赤馬零王)

 

私はプロフェッサーに気づかれないように内心でそう呟きながら小さく笑みを浮かべるのだった。

 

 

浩介sideout

 

 

才業side

 

(まさか遊城十代たちが制裁デュエルに勝利するとは・・・)

 

私は自室で今後のサイバー流のことを考えていると門下生の1人から制裁デュエルの結果を聞いたがその結果は学生側が全員勝利し退学者はなしとなった。

 

今後のことを考えてオシリスレッドでありながらその実力はオベリスクブルー以上の実力を持つ遊城十代と『四天の龍』と『シグナーの竜』を所有する如月刹那を制裁デュエルを利用して学園から追い出そうとしたが失敗した。そう簡単に成功するとは思わなかったがこれで遊城十代たちはより厄介な存在になってしまっただろう。

 

「まぁその程度のことなら問題はないでしょう。多少彼らが強くなったところでサイバー流の力にかかれば潰すのも容易いでしょう」

 

オベリスクブルーを中心にアカデミアの生徒の半数近くはサイバー流のリスペクトデュエルの教えに共感してくれているためもし私たちにとって面倒な相手となった場合は数の暴力で潰せばいいだけの事だ。

 

「そんなことよりも今はKCからやって来る監査官の相手をどうするかを考える必要がありますね」

 

私は机の上に置かれている海馬コーポレーションから送られた書類を手に取りながらため息を吐く。

 

制裁デュエルが起こった原因は遊城十代たちによる廃寮の侵入であるがそれも倫理委員会がしっかりとパトロールを行っていれば防げてたものでありさらには今までの倫理委員会が本当にまともに仕事をしていたのか今回の一件で疑わしく思われたために海馬コーポレーションから監査官が送られデュエルアカデミアを調査されることになってしまった。

 

「とりあえずしばらくは大人しくしておいた方がよさそうですね。研究所の方も見つからないように隠す必要がありますね」

 

元々研究所があるのは森の中なのでそう簡単に見つかるとは思えないが念には念をいれる必要がある。もし研究所が見つかりそこから融合次元の存在を知られ我々サイバー流との繋がりがバレてしまうのは非常に危険だ。我々サイバー流は確かに表向きには世間から高く評価されているがそれでも伝説のデュエリストのひとりにして海馬コーポレーションの社長である海馬瀬人の発言力には劣る。故に監査官の相手は細心の注意を払って対応しなければならないのだ。

 

「ですが問題ないでしょう。こういった事態に備えて前々から準備はある程度できているのですから」

 

問題があるとすればオベリスクブルー生徒によるアンティや教員による横領や賄賂などだがまぁその程度のことはバレたとしても大した問題にはならないだろう。

 

「そんなことより新しく来る手駒の彼が問題ですね」

 

来週、このデュエルアカデミアに教員実習生としてやって来るサイバー流の門下生の1人である龍牙くんだが、彼は単純かつ短絡的な性格な上に欲望に忠実なために使い捨ての駒としては使いやすいのだが、昔から相手にアンティとしてレアカードか男なら大金、女ならそのからだを要求するような性根の腐った人間であるため監査官にそれを見られれば1発でアウトである。

 

「まぁ彼にも監査官のことを伝えておけば少なくとも監査官がいる間は大人しくしてくれるでしょう」

 

私はそう思ってそのことをあまり深く考えないでいた。しかし私はこの後しっかりと龍牙くんに忠告をしておけばよかったと後悔することになろうとは思いもしないのだった・・・

 

 

才業sideout




あとがき

はい有頂天皇帝です。今回は原作にもないオリジナルストーリーとして制裁デュエルの裏側で暗躍している人々の動向を書きました。今回登場していないキャラ以外にも暗躍しているものたちはいますが彼らの動向が今後ストーリーにどう関わっていくのかお楽しみにしてください。DDの退場に賛否両論はあるかもしれませんがこれでエドもさらに復讐に心を燃やしていくでしょうね。イリアステルからプラ/シドさんが登場しましたが今後他のイリアステルメンバーも登場していきますがまだまだ先になると思います。次回は番外編としてARC-Vメンバーの登場か龍牙のデュエルになると思います。それではまた次回もよろしくお願いします。

オリカデッキありかなしか

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