文章は勢いで書いてるので
書き続けたら上手くなるのでしょうか
読みづらいかもしれませんが、お付き合い下さい。
●
行き倒れの男は少女が作ったご飯を食べていた。
既に男は少女の一日分の量を平らげてしまっている。
「…」(男の人って、こんなに食べるんだ)
「…旨い。やっぱり久しぶりの飯は最高だ。」
「……」
「これも…これも…五臓六腑に染みわたる~…」
少女に見つめられていることも気にせず皿に残ったご飯を食べる男。
「あぁーうまかった。こんなに うまい飯を食べたのは初めてだよ」
「…おかわり、いる?」
「いや、もう腹いっぱいだ。ありがとう。」
「…」
男の笑顔に少女は少し照れたように目線を逸らす。
少女にとって自身のご飯をあんなに美味しそうに食べてくれたのは、この男が初めてだったから。
「えっと、助けてくれてありがとう。名前を言ってなかったな、俺は小鳥遊一誠。君は?」
小鳥遊 一誠。
行き倒れの男であり、短髪の好青年という感じである。
「…一ノ宮、優菜」
「ご馳走さま、優菜」
一ノ宮 優菜。
短めの髪に赤茶色のボーダーを着た少女。
身長は平均よりも少し高めで見た感じ巨乳ということが伺える。というか、
「…」(さっきから私の胸をチラチラ見てる)
一誠も男だからなのか
初対面の美少女の胸をチラチラ見てしまうほど欲望を抑えられないでいた。
「あの、タダ飯はなんか悪いし、何かお礼とかできることないかな?」
「…」(お礼?)
「…」(この子、無口なんだな)
「…」(いきなり言われても思いつかない)
優菜に一誠の声は勿論聞こえているが
コミュニケーションの取り方が分からないのである。
優菜としては心で思っているから
問題ないと勘違いしている節があるようだった。
「あの…聞こえるよな?」
「!」
ようやく気付いた優菜は慌てて棚に置いてあった紙とペンを取り
何かを書き始める。
”ごめんなさい。私、話すの苦手で“
可愛らしい丸文字。
いかにも女の子らしい文字がその紙には書かれていた。
「あ、なるほど。だから筆談でっていう」
無口なのは察していたが
まさかここまでとは一誠も思っていなかったので少し苦笑してしまう。
「じゃ、お礼とか何かある?」
”ちょっと考えてみる“
「あ、うん」
メモを一誠に見せ、優菜は俯きながら考える。
一誠も少し待ってみることにした。
「…」
「…」
五分経過。
優菜は動かず、一誠は優菜を見ている。
「…」
「…」
十分経過。
優菜は動かず、一誠は部屋をきょろきょろと見ている。
「…」
「…」
三十分経過。
優菜は動かず、一誠は我慢の限界に到達した。
「…あのー?」
「…」
「まだ?」
「…」
優菜は何かを書いたメモを見せた。
”それなら、また私のご飯を食べてほしい“
「ご飯?」
ご飯を食べさせてもらったお礼にご飯を食べてほしいと言われて
一誠はどうにも納得できない。
「それってどういう意味?」
「…嬉しかったから」
優菜はもじもじしながら一誠に言った。
「え?」
”美味しいって言ってもらえて、嬉しかったから“
「…」
「それじゃあ、またご馳走してくれる?」
「…うん」
「じゃあ、約束だ」
「…?」
一誠は自分の小指で優菜の小指を絡め取る。
「ゆびきりげんまん うそついたら はりせんぼん のーます ゆびきった」
これは誰もが知っている約束の歌。
だが、実際にやるのは優菜にとって初めての経験だった。
「…」
「よしっ」
優菜は微笑んだ。
彼女にとって、一緒に食事をするという約束は とても大事なことなのだろう。
「それじゃあ、俺は帰るよ」
「…何処に?」
「え?そりゃあ…何処だろう?」
「…」
どうやら行き倒れの男には帰る場所はなかったようだ。
●
鈴矢はハードボイルダーで夜の街を走っていた。
「…」(藤江さん、無事で居てくれ)
おそらく牧志真美子の次の狙いが藤江麗奈だ。
牧志真美子は昼間、大島美紀を消しにいったのだ。
牧志真美子が金島敦に持つ歪んだ愛情。
その結果が今回の事件だ。
もう被害者を出さないために
依頼人を守る為に鈴矢は麗奈を助けに行く。
この街の探偵として、仮面ライダーとして
●
「…酷い臭い」
霧子が向かったのは牧志真美子の家。
探偵事務所から藤江麗奈の家よりも近い 場所に先に着いたのだが…
「マグマ・ドーパントは 既に居ないはずなのに」
全焼する牧志家。
中に居たであろう死体のせいなのか
ものすごい悪臭が広まっている。
「これは妙ね…」
「妙って言うのはどういうことですか?」
霧子に話しかけたのは上月 啓介。
30十代半ばの男性で風都署の刑事。
頼りなさそうな見た目だが、人柄の良さが伺えるまともな人だと思われる。
「何故、牧志真美子の家が燃やされたのかよ」
「…」
「裏に誰か居そうなのよね」
「…っ 霧子さん!」
何かに気付いた啓介が慌てて霧子を押し倒した。
「ちょっと、上月さん」
「霧子さん、見てくれ」
「……」
二人が見た場所は燃えていた。
そこは先ほどまで霧子が立っていた場所。
「ちっ、避けられたか」
誰も居ないはずの場所から声が聞こえた。
「お、お前は!」
●藤江麗奈の家。
『ピンポン』
藤江家のインターフォンが鳴る。
『どなたですか?』
「麗奈、私よ」
『真美子?どうしたの こんな時間に?』
「まずは鍵を開けてくれないかしら?」
『…えっと』
「どうかしたの麗奈?」
『…』
麗奈は直観で感じた。
開けてはいけない。
真美子の様子がおかしいと。
「じゃあ、いいわ。自分で開けるから」
「ひぃ!」
インターフォンの画面に映るニヤリと笑った真美子。
その顔を見た麗奈は恐怖すら覚える。
「牧志真美子!」
「…?」
真美子がガイアメモリを鞄から取り出した瞬間、
遠くから自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
「…やっと着いた。あんたが居るかどうかは半信半疑だったが、藤江さんが誰かに狙われているのは分かってたからな」
鈴矢はバイクを藤江家の近くに止め、ヘルメットを外す。
「誰、あなた?」
ヘルメットを外した後、鈴矢は帽子を被りながら こう答えた。
「五十嵐 鈴矢、探偵さ…」
「探偵がなんのようかしら?
こんな時間に非常識よ?」
「お前に言われたくない」
「私はいいのよ。だって…」
真美子は持っているガイアメモリのスイッチを押した。
≪ティーレックス≫
「非常識なこと、しようとしてるんだもの」
ティーレックスメモリを首筋のコネクターに差し込み
真美子はティーレックス・ドーパントに姿を変える。
「恐竜…」
ティーレックス・ドーパントは巨大な恐竜の顔が特徴的なドーパントで、
確かにあれに食われたら 常人ではまず助からないだろう
それほどまでにティーレックス・ドーパントはいかにも人間を捕食しようとする見た目だった。
カニバリズム、食人症である真美子にはうってつけのメモリ。
「あなたも喰って上げるわ。麗奈を食べる前の、前菜としてね」
「てめぇには もう…これ以上、誰も喰わせはしない!」
鈴矢がドライバーを腰にセットする。
「あなた、もしかして?」
「俺はこの街を守る、仮面ライダーだ」
「やめた…。先に麗奈を食べることにするわ」
「っ!?」
ティーレックス・ドーパントは仮面ライダーとは分が悪いと考えたのか
藤江家の方を向き、扉に突進する。
「くっ!」
慌てて鈴矢が壊れた扉から藤江家に入る。
「ったく、どうしてこうなんだよ!」
●
「麗奈、お待たせ」
「いや、来ないで」
逃げる時に階段を上った麗奈だったが、
すぐにティーレックス・ドーパントに追いつめられる。
「どうして?どうして私を」
「あなたは敦に気に入られていたじゃない」
「…そんな」
「それに敦が最後に呼んだのはあなただったわ。
私じゃなくて…だからそこが気に入らないのよっ!」
「いやぁあああああああああ」
ティーレックス・ドーパントが地団駄を踏んだ衝撃で
麗奈は二階から落ちる。
「麗奈さん!」
二階から落ちる麗奈をギリギリでキャッチする鈴矢。
「…ふぅ、危なかった」
「はぁ、はぁ、ありがとうございます」
「逃げるぞ」
「はい!」
麗奈の手を取り急いで家を出る二人。
バイクのところまで来た二人は足を止める。
そこには数台のパトカーが止まっていた。
「よぉ、探偵」
「名倉さん」
名倉修平。
風都署の刑事。
年齢は40代半ば、サングラスを掛けた坊主の男性だ。
「部下と霧子から連絡が来てな。
さ、行って来い仮面ライダー」
「頼みます。…麗奈さん、必ず君を守る」
「はい」
麗奈は鈴矢を信じ、名倉が乗って来たパトカーに乗る。
ドーパントから逃げる為にパトカーは家の坂道を下って行く。
「よし、ノエル!」
『変身かい?』
「あぁ!待たせたな」
『じゃあ、もうちょっと待ってくれ』
「は?」
『というよりも、君は少しその場を離れた方がいいじゃないかな』
「どういうことだよ」
『僕が予想するにティーレックス・ドーパントは…』
「がぁあああああああああああああああああああああああ!!!」
『そろそろ暴走して巨大化するんじゃないかなって』
「言うのがおせえよぉおおおおおおおおおおお!!!」
巨大な恐竜となったティーレックス・ドーパント鈴矢を喰おうとした瞬間、
巨大な車型のマシン、リボルギャリーに突き飛ばされる。
「…けど、来るのは間に合っただろう?」
リボルギャリーから出てきたのはノエル。
「なんでノエルが」
「ティーレックス・ドーパントについて検索したら面白いことが分かってね。
まさか瓦礫などをくっ付けて巨大化するなんて思わなかったよ」
「そんな人事みたいに…」
「むしろドーパント事だね」
「うまくねえよ。全然」
鈴矢は呆れ笑う。
「なんなのあなたたち?仮面ライダー?
ふざけないでよ!私の愛の邪魔をしないで!私を苦しめて何が楽しいのよ!
女を泣かせるなんて最低よ!」
「「てめぇ(君が)言(わないでくれ!)うな!」」
「くっ…」
「それに、お前は この街を泣かせた。
絶対に許さねえ…」
「喰ってやる…まとめて喰ってやる…ギャッ!?」
油断していたティーレックス・ドーパントは またリボルギャリーに突き飛ばされた。
「じゃあ、一緒に行こうか。この街を泣かせないために」
「あぁ、半分力貸せよ…相棒」
≪サイクロン!≫
≪ジョーカー!≫
二人はガイアメモリのスイッチを押し、
「「変身!」」
ドライバーにメモリを差し込んだ。
≪サイクロン! ジョーカー!≫
ノエルの意識は鈴矢のドライバーに転送され、
鈴矢の身体は仮面ライダーダブルへと変身する。
『「さぁ、お前の罪を数えろ!」』
「仮面ライダーぁあああああああああああああ!!!!」
『さて、この大きさはどうしたものだろうね!』
ダブルはノエルの身体をリボルギャリーの中に放り投げ、ティーレックス・ドーパントから逃げる。
「って、なんか手はないのかよ!」
『そりゃあ、強力な攻撃をぶつけまくれば 勝てるけど?』
「結構難しいこと簡単に言ってくれるな!」
ピピピピピとスタッグフォンが鳴り響く
「あ?誰だこんな時に!」
『霧子から電話のようだ』
「はい、もしもし。今大変な状況なんだよ!恐竜映画の撮影真っ最中って感じだ!」
『こっちはゾンビ映画の撮影中よ』
「なに!?」
電話の向こう側での霧子も大変な状況みたいだ。
『完結に言うけど、敵はドーパントだけじゃなかった。
やっぱり大島美紀のストーカーは別に居たの』
「なんだって!」
『ストーカーの正体はファントム。ヘルハウンドよ。多分、今はそっちに向かってるわ』
「まじか!」
『そして今こっちでは上月さんたちがグールと戦ってる。気をつけて』
「まじかよ…」
「なに電話なんてしてるのよぉ!」
「くっそぉ!!」
ダブルはティーレックス・ドーパントの突進をギリギリでかわす。
「せああっ!」
『危ない!』
≪メタル!≫
≪サイクロン! メタル!≫
ドライバーのメモリを変え、メタルシャフトで突然出て来た怪人の攻撃をガードする。
「お前がファントムか!」
「大島美紀は狙ってたゲートだったのによぉ!
あのマグマもそこの恐竜も仮面ライダーも余計なことばっかしやがって!。 炙り殺そうとしたらあの女、家には居やがらねぇし!」
キレるヘルハウンド。
ヘルハウンドはゲートである大島美紀を狙っていたのが
計画が大いに狂ってしまい 怒り狂って八つ当たりを考えていた。
気温の上昇とストーカー行為でプレッシャーを与えつつ、大島美紀を少しずつ炙り殺そうとして絶望させる手口だったのだろう。
「お前の事なんか知るかっ!」
そんなことに責任を取れないダブルはヘルハウンドの意見を一掃する。
「ひどっ!!」
『鈴矢!ドーパントが、パトカーの方へ』
「ちっくしょ!」
「いかせねえぞ!ここで燃やし尽くしてやる!」
「邪魔だ てめぇ!」
ティーレックス・ドーパントを追おうとするダブルをヘルハウンドが静止する。
このままではティーレックス・ドーパントがパトカーに追いつい パトカー事喰われてしまう。
●
「こりゃあ やべえな。何してやがんだ仮面ライダーさんわよぉ」
名倉がミラーを見ると
まだ距離があるがティーレックス・ドーパントが追い掛けてくるのが確認できる。
「ジュラシックパーク2ってか?……」
「あの、凄いスピードで追い掛けてきてるんですけど」
「安心しろ 嬢ちゃん!。俺はジュラシックパークを1も2も劇場で見た。車での逃げ方なら 大体分かってる!」
「それって安心できる要素なんですか!?」
確かにあの映画には車で逃げるシーンが存在するが
基本的にスピードを上げて逃げてるだけ
恐竜から逃げるテクニックなどは特に存在しないはずだ。
というよりも道を気にして走ってる分、障害物を気にしないで走ってくるティーレックス・ドーパントの方が早く、距離もどんどん詰まってくる。
「嬢ちゃん、頼みがある」
「な、何ですか?」
「おじさんは 今、あの恐竜から逃げる為にパトカーで 物凄いスピードを出してる」
「はい」
確かにティーレックス・ドーパントに距離は詰められてはいるが、
未だに捕まってないことを考えても このパトカーはかなりのスピードで走っているのが伺える。
これは名倉の高い運転技術によるものだろう。
「速すぎない?って言ってもらえるか?」
「は、速すぎない?」
麗奈の言葉を聞き、
名倉はミラーで恐竜を確認しながら言った。
「これぐらいでいいよ」
「……え?」
そう、これは ただ 名倉が言ってみたかっただけである。
ガソリンスタンドが壊れてなければ、76のボールが転がってない
この風都で……。
●
一誠はコンビニから帰るところだった。
「いやー、まさか。泊めてくれるなんて。」
あの後、取り敢えず部屋が余っている優菜の家に泊まることになり
歯磨きや下着などの必要最低限の 物を買った帰りなのだ。
行き倒れの男を泊めるなんていう大胆な行為に何故 優菜が及んだのか 謎だが
行く宛ての無い一誠には とてもいい話だった。
「……ん?」
パトカーのサイレンと人の悲鳴などの騒がしさを感じ、一誠が 丘の方を見た。
「……嘘やろ?」
一誠の目に広がったのは 自分の方に 物凄いスピードで走ってくる パトカーと恐竜の存在。
「……夢…じゃない!」
一誠は自身が腰に巻いていたバックルを展開する。
「くっ、」
何処からかやって来た バッタ様なアイテムを右手でキャッチする。
「変身!」
バッタの様なアイテム
ホッパーゼクターを腰のバックルにはめ込む。
《ヘンシン》
《チェンジ キックホッパー》
音声が鳴り響き
一誠はキックホッパーに変身する。
仮面ライダーキックホッパー。
マスクドライダーシステムの一つであり、
クロックアップという能力を持つライダー。
その名の通り、緑のバッタのような姿が特徴的で
足技を得意とする。
「……勝てる気しないなぁ」
弱気なキックホッパーに対して
パトカーと恐竜は遠慮なくキックホッパーの方へと近付いてくる。
「なんだあいつ?」
「…仮面ライダー?」
パトカーに乗ってる二人が前を見ると そこには緑色の戦士が立っている。
ベルトの様なものを巻いている事から 雰囲気的にも仮面ライダーだと察するが
「おい!そこのお前、退いてくれなきゃ轢いちまうぞ。
このパトカーは恐竜が止まらない限り止まれない」
パトカーのマイクで名倉はキックホッパーに説得を試みるが
キックホッパーはその場から移動しようとはしなかった。
「クソッ」
名倉はアクセルを緩めるわけにはいかない。
緩めたら最後、麗奈共々 ティーレックス・ドーパントの餌となってしまうからだ。
「…クロックアップ」
≪クロックアップ≫
キックホッパーが腰のベルトを手でスライドした時、クロックアップという音声が響いた。
その瞬間からキックホッパーの時間の流れは周りとはことなり
先ほどまで 猛スピードで走っていたパトカーとティーレックス・ドーパントが 突然スローモーションになる。
「ライダージャンプ」
キックホッパーはホッパーゼクターの足を折り曲げてる。
≪ライダージャンプ≫
キックホッパーは高く飛び上がった。
「ライダーキック」
≪ライダーキック≫
ホッパーゼクターの足を戻すと左足に付いたアンカージャッキが動き出し
強力なキック技をティーレックス・ドーパントの顔面に叩き込んだ。
≪クロックオーバー≫
時間の流れが正常に戻った瞬間、ティーレックス・ドーパントは何が起こったのかも分からず
地面に倒れ込む。
「よしっ」
キックホッパーはアンカージャッキを上手く使い、地面に着地する。
「はぁっ!?」
「えっ!?」
パトカーの乗っていた二人が驚く
目の前に居たキックホッパーは突然消えてしまい
後ろのティーレックス・ドーパントが突然地面に倒れ込んだからだ。
●
そんな倒れ込むティーレックス・ドーパントを丘の上からダブルは見ていた。
誰かまではよく見えなかったが
何者かがティーレックス・ドーパントを倒れさせる程のパワーを持っていたという事だろう。
『ティーレックス・ドーパントが 突然倒れたね』
「誰だか分かんねえけど。感謝しなくちゃな!」
ダブルはメタルシャフトでヘルハウンドの攻撃と対等に渡り合う。
『僕たちはこちらの対応に専念しよう。
気を散らしながら楽に勝てる相手でもない』
「あぁ、さっさと決めさせてもらうぜ」
≪メタル! マキシマムドライブ!≫
『「メタルツイスター!」』
疾風の力を身に纏ったダブルが回転しながらメタルシャフトを振りかざす。
「おっと!」
「なに!?」
ヘルハウンドは影の中に入り込み
攻撃が当たる前に姿を暗ませた。
これこそヘルハウンドの隠された能力。
火の操る力で大島美紀の冷静さを奪い
影の中に入り込む能力で 大島美紀から見つからずにプレッシャーを与え続けていたのだ。
ヘルハウンドの作戦では 数日後には絶望させる予定だったのだが
まさかマグマ・ドーパントが昼間に襲いに来るとは予想もしなかったので
今となっては無駄な努力だったわけなのだけれど。
「どこ行きやがった!」
『落ち着いてくれ 鈴矢』
「わかっああああ!」
ダブルの背後から火炎を出し攻撃するヘルハウンド
「後ろか!」
『違う鈴矢!』
「残念!」
「ぐあっ!」
さらに後ろに回ったヘルハウンドはダブルにまた火炎を出し攻撃する。
ヘルハウンドは影の中を移動でき、
それはダブルが予想するよりも速い移動を可能としていた。
「くっ」
≪ヒート!≫
≪ヒート! メタル!≫
メモリを入れ替えたダブルは守りが追いつかないので
火炎攻撃に耐久度が高いヒートメタルに変わる。
「どうすんだノエル!」
『有効な手を考える。少しの間 耐えてくれ』
「あぁ、なるべく早く頼むぜ!」
メタルシャフトを構え、ダブルはヘルハウンドが居た影の方へ突っ走った。
●
一方 全焼した牧志家では
グールと警察が交戦していた。
警察は四人。
グールの数は二十。
五倍の差だが形成はそこまで危うくはない。
「はぁ!」
「上月くん、頑張って!」
「はい!」
女性刑事、井戸田 朋美に対して敬礼をするのは
先程の男性刑事、上月啓介だが、今の姿は先ほどまでの30代半ばの姿とは違う。
彼は井戸田 朋美が造り上げた戦士。
仮面ライダーG3-Xなのだ。
G3-Xとなった啓介にはグールの束相手でも真っ向から勝負できる。
「流石ね、仮面ライダーを造れるだなんて」
「あなたの力は必要ないわよ。
これぐらいの雑魚なら上月くんと私のG3-Xだけで十分だから」
感心する霧子と鼻の高い井戸田。
井戸田朋美は警察の開発班でもあり、
名倉を中心とした超常犯罪捜査課のメンバーだった。
「上月くん、早めに決めなさい!」
「はい!」
G3-XはGX-5 ケルベロスを取り出し、番号を押す。
『カイジョシマス』
ケルベロスをアタッシュモードからガトリングモードに変える。
「みんな 下がって!」
「全員退避!」
残り二人の刑事も井戸田の方へ下がり
G3-Xはケルベロスでグール共を一掃する。
ケルベロスにより放たれた無数の弾丸に耐えきれず 次々とグールは爆発していった。
さっきまで二十とい数が渦巻いていたグールは跡形もなく消え去る。
「よくやったわ 上月くん」
「はい」
上月は仲間の刑事たちに向かってもう一度敬礼をする。
「じゃあ、次は名倉さんの応援に行くわよ」
「「「はい!」」」
刑事たちは専用のトラックとパトカーに乗り込んだ。
「…鈴矢くん、ノエルさん」
煙と悲鳴が絶えない方を見ながら霧子が二人の名を呟いた。
●
パトカーから降り、名倉はキックホッパーの方に駆け寄っていく
「おい!」
「え、あ、はい!」
パトカーから出て来たサングラスの坊主に少しビビったキックホッパー。
やはりライダーといえど 悪いことをしてないのに警察が来たら緊張してしまうものなのである。
「お前は、仮面ライダーか?」
「はい、仮面ライダーキックホッパーです。」
「長ったらしい名前だな」
「すみません」
「ま、キックなんとかさんよ。感謝するぜ この恐竜を倒してくれて」
「いえいえ、流石にあの状況じゃあ放っておけないですし」
「まさか蹴り飛ばすとは 流石は仮面ライダーだぜ。はっはっはっ」
高笑いする名倉の後ろで倒れていたティーレックス・ドーパントが
ぴくりと動いた。
「刑事さん…パトカーに戻った方がいい」
「…え?」
キックホッパーの目線が名倉よりも上の方を見る。
「…」
名倉はそれを察して振り返りもせずにパトカーの方へと全速力で走った。
「あなたも仮面ライダー…なんで邪魔するの。
私はただ喰おうとしただけじゃない!」
「恐竜が喋った!?」
ティーレックス・ドーパントではなく恐竜だと認識していたキックホッパーには
まずそこに驚いた。
「私は人間よぉおおおおおおおおおお!」
「嘘だー!!」
キックホッパーはジャンプし、ティーレックス・ドーパントが振り回す尻尾の攻撃をかわす。
「くっ、人間。つまりは怪人の暴走態か。
確かに、新種の恐竜としては文明っぽいからだしてるしな。
所々お洒落な家具とか付いてるし」
ティーレックス・ドーパントの周りを走りながら、キックホッパーが
ティーレックス・ドーパントの身体を見る。
確かにその身体には麗奈のだと思われるベッドやカーテンなど女性らしいものがくっ付いていた。
「…ライダーキックでダメージは受けてたようだし」
キックホッパーは走るのをストップしティーレックス・ドーパントの目の前に立つ。
「取りあえず、百回 蹴ってみる!」
「がぁあああああああああああああああああああああああ!!!」
ティーレックス・ドーパントはキックホッパーに食らいつこうとするが
キックホッパーはそれを上手く横に滑り込むようにしてかわす。
「ライダージャンプ!」
≪ライダージャンプ≫
再びホッパーゼクターの足を折り曲げ、空高く飛び上がる。
「ライダーキック!」
≪ライダーキック≫
ホッパーゼクターの足を戻し、キックホッパーのライダーがティーレックス・ドーパントに決まる。
「はぁああああああああ!!!」
それは一発では終わらず、キックはアンカージャッキが展開することで
連続でジャンプとキックを繰り返す。
「いやぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
連続するライダーキックの痛みに絶叫するティーレックス・ドーパント。
そんな悲痛な叫びとは関係なくキックホッパーのライダーキックは数を増していく。
「はぁあああああああああああ!!!」
「いぎゃああああああああああああ!!!!」
キックホッパーのライダーキックをくらい続け
ついに耐え切れなかったティーレックス・ドーパントは大爆発を起こす。
「…ふぅ。百発も蹴らずに倒せたな」
爆発の後には牧志真美子と壊れたティーレックスメモリが落ちていた。
●
「くっ! 向こうはドーパントを倒してくれたみたいなのによっ!」
「お前はさっさと死ねぇ!」
「死ねるかっ!」
ダブルはギリギリのところで攻撃を受け流す。
これは鈴矢の戦闘能力の高さが可能とするものだろう。
普通は何処から出てくるか分からない相手の攻撃を防ぎ続けることは難しい。
『分かった。この影をどうにかしよう』
「影を?ファントムの方じゃなくて影を消すってのか!」
『あぁ、その通り』
「だが、ヒートでもルナでも影を消すなんてのは無理だろ」
ダブルには雷や光のメモリは持っていない。
明るさではヒートとルナが存在するが その二つは能力的に影を消すなんて芸当は難しいと思われる。
『メモリは使いようだよ』
≪ルナ!≫
ダブルがルナメモリをバットショットに差し込む。
「なっ!?眩しっ!?…あっ!?」
バットショットの光によって影に居たヘルハウンドの姿があらわになる。
「なるほどな」
『別に僕たちが使わないといけないルールは無いしね』
「くっそ、影に入れなくたって俺は」
「いや、終わりだ イヌッコロ」
「誰がイヌッコロだ!」
≪メタル!≫
「これで決まりだ!」
「ふぁー!」
ヘルハウンドがダブルに火炎を放つがダブルはその炎すらもメタルシャフトで絡め取る。
「なんだと!?」
『「メタルブランディング!」』
燃え滾るメタルシャフトをヘルハウンドに叩きつけた。
「ぬぁああああああああああ!!」
ヒートメタルの必殺技、メタルブランディングでヘルハウンドは焼き尽くされる。
『終わったね、鈴矢』
「…あぁ。被害は少なくねえけどな」
ティーレックス・ドーパントに壊された街。
そして死んでしまった金島敦、大島美紀を思いながら鈴矢は静かに目を閉じる。
―― 依頼人を守れ ――
「俺一人じゃ実行できなかった」
『まず、ダブルは君一人じゃない』
「え?」
『ダブルは僕と君で二人だ。そして霧子だって刑事たちだって君の仲間であり協力者だろ?
何でも一人でしようとしない方がいい』
「…そうだな」
鈴矢は軽く笑った。
それは肩の荷を下したような微笑。
この街の被害は少なくない。
だが、この程度の被害で済んだのは彼等のような仮面ライダーのお蔭だろう。
●
後日談。
藤江麗奈は無事助かった。
彼女の友達は誰一人として彼女の下に戻らなかったが
これから彼女には新しい友達ができるだろう。
一誠の方も あの後、クロックアップで警察に事情聴取される前に優菜の所に帰った。
勿論、買い物袋も ちゃんと持ち帰っている。
警察は牧志真美子を逮捕。
あれ程の罪を犯した牧志真美子だ。
以前にも人を喰っていたのだろう。
牢獄に入る前にかなりの事情聴取が伺える。
そして東雲探偵事務所は
「今回はかなり手こずったようね 鈴矢くん」
「……」
「そんなんだから半端な探偵は困るんだよね~」
「うっせぇなノエル!」
「あははは、怒った怒った」
「…転ばないようにね」
ノエルを追いかける鈴矢と笑いながら逃げるノエル。
そしてその状況を見ながら珈琲を飲んでいる霧子。
いつもと変わらない三人。
だからこそ安心できるところもあると思う。
今日もこの三人は依頼を待つ。
どんな危険な依頼でも この三人ならば引き受けてくれるだろう
この街に住む人々の為に。
この街の平和の為に。
探偵として、仮面ライダーとして。
探偵として、仮面ライダーとして、鈴矢の失敗や反省を書いた話でした。
あとG3ーXやキックホッパーも出てましたね。
どんどん仮面ライダーたちが出てきますので、次は誰が出てくるか楽しみにしててください。