レレレノレ   作:COTOKITI JP

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今作は短編として書いたのであともう一話位は書きますが反応が良ければ続きを書いていこうと思います。


あの夏の思い出

俺が、あいつと出会ったのはもう20年も前のガキの頃の話だ。

 

その時の俺は例えその相手が人の言葉を話さなくとも、青い血(・・・)が流れていようともあくまで同年代の少女として接した。

 

今思えば、あの時の俺の行動は軽率過ぎたのかもしれない。

 

『お前、名前なんてーの?どっから来たの?外人?』

 

『キィ?』

 

『キーじゃわかんねーよ』

 

初めの出会いは小学校最後の夏休みがちょうど始まった頃だった。

 

真夏の日差しが照りつける中、真っ黒な服にフードを被った少女はこの田舎ではなかなかに目立っていた。

 

ここは千葉県の館山市、そこでも更に西の方にある小さな町(というか村)だ。

 

昔はもっと人がいたそうだが、少子高齢化やら若者の上京やらのお陰でここの人口もすっかり減ってしまい、今じゃここに住んでるのは僅かな子供とそれ以外は皆老人だった。

 

話を戻すが、その少女は車の通る事が殆ど無い車道のド真ん中を堂々と歩きながら周りの木やら草花やらを興味深そうに見ていた。

 

暑いので海で泳ごうと自転車で海岸まで向かっていた俺は一度自転車を止めると、こちらを興味深く見つめている少女に声を掛けた。

 

『おーい、んなとこいたら危ねーぞ!』

 

これが、彼女と俺の関係の始まりだった。

 

あの妙に青白い肌と髪は忘れられない。

 

同年代の友達もいなかった俺はあの時のほんの数十日の関係を楽しんでいた。

 

彼女も、最初は俺の言ってることややってることの意味が分からなかったのか妙な鳴き声を上げながら首を傾げるばかりだったが俺のただ熱心なだけの指導で言葉を覚え、人の生活についての知識を身に付けてからは笑顔になる事が多かった。

 

森の中に作った秘密基地に招き入れ、一緒にゲームをしたり。

海に連れて行って一緒に泳いだり。(彼女がやたら泳ぎが上手いのには驚かされた)

 

 

あの夏休みはきっと、人生で最も充実していた。(因みに異性との関わりがバレるのを少年なりに恥ずかしがっていた俺は両親やその他の知り合いには彼女を見つからないように隠していた)

 

 

 

結局彼女は、人間なのか宇宙人なのか。

 

それとも……深海棲艦と関係があるのだろうか。

 

この疑問が解決する事も無く、俺が小学校を卒業する頃には彼女はいなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして……深海棲艦による人類への一斉攻撃が始まったのも、その日から間も無くだった。

 

 

 

 

 

しかし深海棲艦の攻撃から数十年経った今、偶然か神のいたずらか俺は彼女と再び再開することとなった。

 

堤防に青い血液に塗れて倒れているその少女は、見間違う筈も無い。

 

間違い無く、20年前に会った少女だった。




レ級ちゃんとこんな生活、してみたい!!

駄文許し亭許して

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