美少女に乗っかられるおっさん。
それを他人から見られれば人生の終わりを感じるがしかし、結論だけで言えば助かった。
何故かと言えば……
「ヨーシヨシヨシー!」
「ヲー!ヲッヲッ! ヲーヲー!」
彼女、空母ヲ級がレ級を超える程の超ド天然っ子だったからだ。
レ級にわしゃわしゃと頭を撫でられながら(頭に付いていた禍々しい物体は着脱可能だった)嬉しそうに鳴き声を上げるヲ級。
「可愛イデショ! マサカ生キテタナンテ!」
「ヲ!」
その小動物的可愛らしさについほっこりしてしまったが、何とか本題に持っていく。
「えっと、それで? 結局ここは何処なんだ?」
「ココハ、ルソン島トカイウ島ラシイヨ」
「ルソン島の何処だよ……」
取り敢えず、フィリピンにまで連れてこられた事は分かった。
実際、フィリピン及び東南アジア諸国の殆どは深海棲艦の侵攻で陥落しているので一番近い拠点として選ばれたのだろう。
そのお陰で中国やインドなどの西アジア諸国はおぞましい数の難民で苦労しているそうだ。
「せめて地図でもありゃあな」
「分カッタ! 多分アノ同志ナラ持ッテルト思ウカラ貰ッテクル!」
「ヲッヲッ!」
意気込む彼女らを手で制する。
「待て、俺も行く。 周りがどうなってるかも知りたいしな」
「ジャア早ク行コウ! 」
「ちょちょっ!!」
レ級に引っ張られたまま俺はコンテナハウスの外へと連れ出された。
日差しが痛い程に眩しい。
ここはどうやら港町のようだ。
それもかなり大きい。
港を見渡していると、視界に写ったその物体に俺は驚愕する。
「ありゃあ、コンテナ船じゃねえか! あっちにはタンカーかよ!」
港だった所には、複数の大型船舶が停泊していた。
深海棲艦が物資確保の為に船ごと奪ったのだろう。
圧巻の光景に呆然としていると、レ級が1隻のコンテナ船を指さす。
「アソコニイル。
聞き慣れない名前だが、棲姫という単語に強く反応する。
深海棲艦についての事はだいたいレ級から聞いていた。
「待てよ、棲姫って事は姫級か! 深海棲艦でもトップクラスの連中かよ!」
レ級はその言葉に肯定する。
ヲ級は「ヲッ」としか喋らないが肯定してはいるのだろう。
姫級……深海棲艦の中でも鬼級を超える最上級の戦闘能力と指揮権を持つと言われている。
その姫級にも様々な種類がいるそうだが、レ級からの話しだけでは正確な情報は掴めなかった。
俺は姫級に会うことに対して不安を覚えていたが、寧ろこれは新しい事を知る機会なのではないかと考えることにした。
深海棲艦と行動を共にする以上、せめて名前ぐらいは覚えておいた方が損はしないだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「デート、キョウトノデートー!」
繋いだ手をブンブン振り回しながら上機嫌に歩くレ級と共に向かったのは港に雑に停められたコンテナ船。
どうやらここに集積地棲姫とやらがいるらしい。
話によればこの拠点の全ての物資を統括しているそうだ。
軍隊で言う主計科のようなものだろうか。
港にたどり着いて、実際に接近してみるとやはりコンテナ船という物はかなり大きい。
見上げるほどのサイズに圧倒されながら、入口を探すと甲板から垂れ下がった縄ばしごを見つけた。
「面倒臭いが、これで行くか」
「私ニ任セテ!」
「は? ちょっ───」
そう言ってレ級は俺をいきなり抱き抱えたかと思うと、跳躍した。
縄ばしごを数十段飛ばしした俺達は、あっという間に甲板に辿り着いてしまった。
「スゴイデショ! 困ッタライツデモ私ヲ頼ッテネ!」
「ヲー……」
因みに身体能力がそこまで高くないヲ級は置いてけぼりである。
甲板に辿り着いた俺達は集積地棲姫がいると言う船橋を目指して歩く。
このコンテナ船はかなりの年季が入っているのか、全体的に錆びている。
錆だらけの梯子を登っていると、表面がめくれ上がった所に指が触れてしまい切ってしまった。
「あだっ!」
「ドウシタノ!? キョウ!!」
「ヲッ!?」
痛みに思わず呻くと、いきなりレ級が物凄い形相で近付いてきた。
怪我を心配しての事だろうが、その時俺は一瞬捕食されるのではと思ってしまった。
「指切っただけだ、気にすんな……っておい!何すんだ」
レ級が腕を掴み、血が滴り落ちる人差し指を数秒見つめるとそれを咥え出したのだ。
まるで吸血鬼のように傷口にしゃぶり付き、血を啜っている。
「チゥ……レロォ……ハァ…チュゥゥ……チュパッ」
傷口に長い舌を這わせながら、時折指を丸ごと咥えて指全体を舐め回す。
一度口を離した時に聞こえて来る吐息がこれまた艶かしい。
何より中学生かそこらの体格の美少女がそんな事をやっているという光景自体が色々とヤバいのだ。
劣情を煽るような吸い方に少し股間が反応仕掛けたが、なんとか根性で萎えさせた。
「マジかよ……飲んでやがる」
「ヲー」
相変わらずヲ級は何が起きているのかよく分かってないようだ。
一頻り血を啜り続けた後、血が止まるとレ級はようやく口を離した。
「フゥ……コレカラモ怪我シタ時ハ言ッテネ」
「俺その内干からびるんじゃないの」
そんなやり取りをしながら上へ登ること数分。
遂に船橋へ辿り着いた。
取り敢えず中へと続く扉をノックしてみる。
しかし反応は無い。
もう少し強めに叩いても反応は帰って来ない。
「いないのか?」
反応がいつまで経っても返ってこないので、恐る恐る扉を開けてみた。
鍵は開いていたのですんなり中に入る事が出来たが扉を開けて真っ先に視界に入って来たのは大量のガラクタの山だった。
「なんだこりゃあ」
「集積地棲姫ッテガラクタ集メルノガ趣味ナンダヨ」
様々なガラクタが所狭しと置かれている。
洗濯機、電子レンジ、パソコン、エアコン、テレビ等、それに大量のスマートフォンも山積みにされていた。
どんな物が置かれているのか、漁ってみようと手を伸ばした時だった。
「私ノコレクションニ触ルナ!!」
その怒鳴り声のする方に振り向くと、そこには眼鏡を掛けヘッドホンを付けた白髪の少女が立っていた。
何故か両手には何かの電子基板とはんだごてを持っていた。
わいの好きな深海棲艦ランキングTOP3
1位:戦艦レ級(かわいい、つよい、えろい)
2位:空母ヲ級(かわいい、なでなでしたい)
3位:港湾棲姫(MAMAAAAAAAAAAAA!!!!)
感想と評価オナシャス。