どうあってもポニーちゃんを出したい私
プロローグ
──────俺は、死ぬのか?
薄れ行く意識のなかで、俺は声にもならない小さな音で呟いた。
今日は刀の特集が組まれた雑誌の発売日でテンション爆上がり、ようは浮かれていたのだ。
信号が赤になっていることすら気づかず、勢いよく横断歩道に飛び出した結果としてトラックに轢かれた。
頭部から血が流れていく度に俺の身体はどんどん冷たくなっていって、もう指先すら動かすことは叶わない。
「────っ!」
誰かに名を呼ばれた気がしてなんとか目線だけ動かすと、愛しの彼女が大泣きしながら駆け寄ってきた。
彼女は日系のアメリカ人であり、ブロンドのロングヘアーが特徴的で、カタコトな日本語がとても可愛らしい。
刀ぐらいにしか興味を持てなかった俺が初めて恋した女の子、そんな彼女を置いて逝くことだけが唯一の心残りだ。
もしも来世というものがあるのなら、またこの子と出会い添い遂げたいと思う。
神でも仏でも悪魔でもいい、どうかこの願いを叶えてください。
届くかどうかすら疑わしい願いを最後に、俺の16年という短い人生は幕を閉じた。
◆◆◆◆
「
「…………物間か。誰から聞いたかはこの際聞かねぇが、まあその通りだ。
儂は千子村正。
トラックに轢かれておっ死んじまって、気づいた時には転生していたわけだ。
そして、今儂に声をかけてきたのが物間寧人。
普段はやる気を見せねぇクセに、実際は神経質でバカみてぇにプライドが高い腹黒なヤツ。
だが、人をまとめる力があるのは事実で身内には優しく接するという意外な面も持っている。
そんな物間とはそこそこ長い付き合いで、こうして普段から話す程度には仲は良い。
「あれだけ誘っても首を縦に振らなかったのに、どういう心境の変化だい? 休日の間にヒーローに助けられて憧れでも持っちゃったのかな?」
「そういうわけじゃねぇよ。ただ…………」
「ただ?」
儂は息を呑んだ。
これから言うことは、おそらくほとんどの者が腹を抱えて笑いかねないもんだ。
儂がなかなかきりだせすにいると、物間は真剣味を帯びた表情で迫ってくる。
「村正君、僕は小学生の頃から君の誇れる友人だと自負している。そんな僕にも話せないことかい?」
どこかムッとしているように見えるその顔から、本気で儂を思ってくれていることがはっきりと伝わってくる。
そんな物間に隠し事をするのは、とても不誠実な気がした。
「笑わねぇか?」
「話の内容によるね」
「オイ、そこは笑わないって断言するとこだろうが」
「おやおやぁ!? 僕の性格をよく知っている君がそれを言うのかい?」
「…………違えねぇ」
数瞬間を置いたあと、儂は溜め息をつき雄英のヒーロー科を受験する気になったのかを話し始めた。
「儂には会いたいヤツがいてな。刀にしか関心が持てなかった儂を振り向かせるほど魅力的で、はっきり言ってアイツ以上の女を儂は知らねぇ。再会するのは難しい…………いや、正直不可能に近い。だが、儂がヒーローになって目立つことができりゃアイツが見つけてくれるかもしれねぇ。そう思ったからだ」
物間は儂の話を聞き終えると、優しげな笑みを浮かべて言った。
「なるほど、どんな大層な理由があるのかと思えば全然普通じゃないか。でも、悪くはない。ただ一つだけ指摘をさせてもらうと、君が
物間の差し出す手を取り、儂たちは握手を交わす。
普段から回りの連中にもそんな風に接してやればいいのに、そう思いながらも物間の気遣いがありがたいと思う。
「でも意外だなぁ!! 告白してきた幾多もの女子をフッてきた君が、まさか意中の女性のためにヒーローになりたいだなんて!! 村正君も男だったんだねぇ!!」
優しげな表情など鳴りを潜め、他人を煽るときのヒステリックな笑いをあげながら煽ってくる。
「テメェ…………儂の感心を返しやがれ!!」
儂は『個性』を発動させ、愛用の鎚を出すと物間は顔を青ざめさせ後退し始める。
「待つんだ村正君! 君が世捨て人みたいに異性の話をしないから、嬉しかっただけさ! 悪意はない!」
「テメェがそういう笑いかたしてる時はなぁ、悪意以外感じたことはねぇよ!!」
「ぎゃぁああああああああああああ!!」
この後、教室を吹き飛ばしたことで教師たちに絞られたのは言うまでもない。
物間君も悪いやつでは…………ないよ?
結構好きなキャラの一人だったり