パリピなウマ娘とパリピ(偽)トレーナー   作:勢い任せ

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気づいた方もいるかも知れませんが、前、中、後で書こうとしたんですが収まりがつかずサブタイトルを変更しました。
出会うだけで何話書くねんと自分でも思ってますが、書きたいもの書いてたら収まりがつきませんでした、申し訳ない。
あと、長さ的に短編と言い張るのに無理が出てきたので連載に変更しました。


パーマーとの出会い3

トレーナーからのスカウトがあってからのパーマーの生活は特に変化はなかった。

学園で授業を受けてから1人で練習をする。そんな変わらぬルーティンを繰り返していた。

 

先日のスカウトを無かったことのようにしてそんな日々を繰り返しているのは、これ以上自分の気持ちが揺れ動くことを防ぐためだった。

勝手に期待して、裏切られて、そんなことを繰り返しているとだんだんと心が疲れてきてしまう。

何も考えずに過ごす日々こそが、今の彼女には何よりあっていた。

 

そんな思いでいつものように授業終わりに練習をしようと下駄箱へと近づくと、ある男が見えた。

 

「げっ」

 

思わずそんなことを言ってしまったのはパーマーのせいではないだろう。

下駄箱の前のベンチに座り、パソコンで何やら打ち込んでいる金髪の男、それは先日パーマーをスカウトしようと近づいてきた男であり、ここ最近パーマーの心を揺さぶる筆頭である人物だ。

 

スカウトを断った日以降、件の男は行く先の至る所に現れ、話をしようとしてくる。

 

授業の間の休み時間、昼休み、そして登下校。

ありとあらゆる隙間時間に現れては、笑顔で呼び止めてくる。

規則があるのでクラスの中までは入ってこないが、それでも少しでも油断して外に出ようものなら問答無用で現れる。

 

「おっ、今日も爆速だね。これから練習?それなら良い練習場見つけたんだけど一緒にど?」

 

今日も今日とていつものようにそんなフランクな挨拶をして、トレーナーは手を振る。

そんなトレーナーへの対応は、いつも決まっている。

 

「私は1人で充分だから」

 

それだけを言って横を走り抜けていく。

そうしてしまえばただの人間であるトレーナーは追いつくことが出来ない。

後ろから呼びかける声に聞こえないふりをして、パーマーはグラウンドまで一気に走り抜けた。

 

「はぁ…これでもう一週間。すぐに諦めてくれると思ったのにな…」

 

グラウンドにつき、蹄鉄の確認をしながらそう呟いた。

 

一週間。それが長いか短いかは人によるだろうが、ひとりのウマ娘をスカウトし続ける期間としては長いだろうとパーマーは思った。

 

皇帝や帝王ならいざ知らず、デビューして未だ無名と言っていい彼女に付き纏うにしては果てしない時間だ。

 

そんなにも自分に価値があるのだろうか。そう自問自答する。

 

「私にそんな価値は、ない…よね。何で分かってくれないんだろう」

 

分からない、とにかくパーマーには分からないのだ。

 

自分の価値も自分の気持ちも。

 

「もう話しかけないでって言えば諦めてくれるかな」

 

きっともう話しかけるなと真正面から言えば流石にトレーナーも諦めるだろう。

直接言わなくても、たづなさん辺りに言えば強制的に止めてくれる筈だ。

 

そんな簡単な方法は既に思いついていて、しかし実行できないでいた。

 

正直言ってしまえば、パーマーは嬉しいのだ。

 

自分に話しかけてくれることも、期待してくれることも、その一つ一つが嬉しくてたまらない。

 

これが入学直後だったなら喜んでその手を取っていた。

トレーナーに言われるがままに夢を見て、そして現実を知って打ちのめされただろう。

 

今その手を取れないのは、既に現実を理解しているからだ。

夢を見た後の答えを、パーマーはもう知っている。

 

学園に入学して数年、そのたかが数年は、1人の少女を大人にするには十分な時間だった。

 

「よし、走るか」

 

一通りの準備を終えて、走り出す。

ゆっくりと歩くような速度から、段々と人間基準では考えられない速度にまで上げていく。

 

現実を知って尚止まらない両足は、何のために回るのか。

それは、彼女自身にすら分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の授業が終わると、トレセン学園は騒がしくなる。

授業が終わったことによる開放感は、いかに中央の格式ある学園とて変わらずあるもので、授業中は凛々しくノートを取っていたウマ娘達も、昼休みにはただの少女に戻る。

 

「パーマー、ご飯食べよ〜」

 

「うん、オッケー。ちょっと待ってね」

 

パーマーは同級生であるウマ娘にそう声をかけられて、明るい声で返した。

机に広がった教科書を片付けて、準備を整える。

 

「よし、準備完了。食堂行こっか」

 

そう言い立ち上がると早足で教室の扉の前まで移動して、顔だけを出して周囲を確認する。

 

「今日はいない…」

 

「またトレーナーさんいないか確認してるのー?いい加減スカウト受けちゃえばいいのに」

 

何度も廊下前で声をかけられた所を見られたせいで、クラスではパーマーがスカウトにあっていることは周知の事実となっている。

だからこそ、こんな風に言われることも何度かあった。

 

「あははー。まぁこっちにも色々事情があってさ」

 

笑いながらパーマーが濁すと、それ以上の追求はされなかった。

 

ここのクラスの者たちは既にトレセン学園に身を置いて長い。

だからこそ、それぞれが悩みを持って日々過ごしていることを知っている。

才能の差だったり、怪我の有無、そういった所で悩みは尽きず、だからこそお互いが踏み越えてはいけないラインというものを自覚している。

 

そんな距離感を弁えた友人にありがたさを感じながら、トレーナーがいないことを確認したパーマーはホッと胸を下ろしながら食堂へと足を運ぼうとする。

 

「パーマー、少しお時間よろしいですか?」

 

「ひっ!」

 

油断した所でのその呼び声に、思わず悲鳴を漏らした。

その後、声をかけられた方へと視線を向ける。

 

「なんだ、マックイーンか。驚かせないでよー」

 

そこにいたのはメジロマックイーン。

腕を組みながらも凛々しい佇まいを崩さず、パーマーをじっと見つめていた。

 

「驚かせたつもりはありませんが…パーマーは気が抜けすぎですわ」

 

「そうかなー、ごめんごめん。それで何か用?」

 

「……用がなければ話かけてはいけませんか?」

 

「え、いや、そうじゃないけど…」

 

急に悲しげな表情でそう言うマックイーンに、パーマーはどう対応するべきか困った。

トレセン学園に入って以降避け気味になってしまっている負い目もあって、彼女をどうすれば悲しませずにすむか色々と考え、右往左往する。

 

そんなパーマーの様子を数秒見つめていたマックイーンは堪えきれなくなったようで、吹き出して笑う。

 

「ぷっ、冗談ですわよ。少しだけパーマーを困らせてみたかっただけです」

 

「…!もう意地悪しないでよ〜。本気で焦ったじゃん!」

 

「ふふ、この間私が誘ったお茶会を断った腹いせですわ。折角ドーベルとライアンも来てくれましたのに」

 

「…それは申し訳なかったけどさ〜」

 

マックイーンは、悪巧みが成功していつもは中々見せない上機嫌な笑顔を浮かべる。

そんな様子を見ていると、パーマーは少しだけ胸が痛くなった。

 

マックイーンはいつだってパーマーに優しくて、怪我をした時も本気で心配してくれた。

そんな彼女の誘いを断ってしまうのは、紛れもなく自分の心の弱さだった。

 

「…それでパーマー。これから私とお茶をしませんか?」

 

そんな唐突な誘い。

何事だろうか、そうパーマーは思う。

マックイーンは急な誘いを中々してこない。

相手の予定を確認し、段取りを組んで、そして入念に準備を行う。特にメジロ家同士で集まる時などはそれが顕著で、当日の誘いはかなり珍しい。

 

だからこそ、この誘いの裏を読んでしまう。

もしかしてメジロ家から何か言われたのだろうか…そんなことを考えてしまって、気付けば口が動いてしまう。

 

「いや〜、私今から友達と食堂行くからさ。また今度でいい?」

 

少し早口になりながらも断りを入れ、足早に立ち去ろうと試みる。

踵を返し食堂の方へと体を向けたパーマー。

しかし、それは後ろから急に手を掴まれたことで止まる。

 

「パーマー、お願いです」

 

ただ一点を鋭く見つめる二つの目に、思わず気をされた。

穏やかな声色とは正反対の力強さで、握る手にも力が篭っていた。

 

これはダメだ。

 

そんなことを直感的に思った。

逃げ出そうとも天まで追いかけてきそうなほどの迫力で、逃げられないと本能的に感じた。

 

「分かったよ。話そうマックイーン」

 

真っ直ぐにマックイーンの目を見返しながらそう言ったのは、せめてもの抵抗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒に食堂に行くはずだった友人に断りを入れ、2人はカフェにやってきた。

それは奇しくもトレーナーに誘われて行った場所と同じで、妙な既視感をパーマーは感じた。

 

閑散としたカフェで優雅に紅茶を飲むマックイーンはとても絵になっていて、こういった所に自分との違いをパーマーは感じてしまう。

レースに出て結果を出すことを前提とした、メジロ家のものとして相応しい佇まい。

それは注目される機会すらないだろうと思われているパーマーには無いもので、羨ましいと素直に思う。

 

もっとも自分に優雅な佇まいが似合うかと言われたら違うのだろうが。

 

そんなことを思いながら、まずは何気ない会話が繰り返された。

今日の天気から始まって、体調について、そして怪我の後遺症が出ていないかの確認。

そんな明日には忘れてしまうであろう何でもない会話が数ターン。

 

「…スカウトを受けているらしいですね」

 

マックイーンもいつ本題を切り出すか考えていたのだろう、話の間に僅かに生まれた間に投げ込まれたのは、そんな直球の豪速球だった。

 

「…うん」

 

心の準備もできておらず、思わず肯定の言葉だけを返した。

 

「何でもここ一週間ずっとその人から逃げているらしいとか。私の耳にも入ってきましたわ」

 

「う…そんなに噂広がってるんだ…」

 

「ええ、ゴールドシップが大笑いしながら話してましたから。どこまで広がっているかは私には想像できませんわ」

 

「あちゃー。1番伝わっちゃいけない子に伝わっちゃったかー」

 

自分の思わない所で広がり続けている噂に苦笑いをしながら、パーマーは首に手を当ててさすった。

 

「それで、貴方の気持ちはどうなんですか?嫌だから逃げているならはっきりとそう言わないと伝わりませんわよ」

 

そこを聞かれると痛い。

 

嫌だから逃げているのならば、確かにマックイーンの言うようにそれを直接伝えなければいけない。

それをしないのはパーマーの中で嬉しいという感情があるからで、でも手を取ることもできなくて。

そんな中途半端な気持ちの結果が、今の逃げ続けるだけの無駄な時間だ。

 

そんな時間がお互いにとって良くないというのは、勿論分かっている。

自分が抱え込んでいたそんな気持ちを、マックイーンに正直に吐露した。

 

「…もういい加減はっきりさせるべきだよね」

 

自分の気持ちを全てマックイーンに吐き出して、最後にそう結論づけた。

決意を持って宣言した言葉は、彼女にはどう映るのか。

呆れているだろうか、それとも決意したことを褒めてくれるだろうか、そんなことが気になって、パーマーは恐る恐る顔色を窺った。

 

そんな気持ちで見たマックイーンの顔は予想になかったポカンとした顔だった。

 

「何故もう決めてしまう必要があるんですか?」

 

予想外の返答に頭が掻き乱された。

悩みすぎだと言われることも想像していた中で、それとは正反対の言葉に脳の処理が追いつかなかった。

 

「え!?だってこんな状況になってるのは私のわがままのせいだし。トレーナーにも迷惑かけちゃってるし!」

 

焦って捲し立てた言葉に、マックイーンは笑った。

 

「ふふっ、わがまま…ですか。良いではありませんかわがまま。貴方はずっと我慢してきたのですから、1ヶ月、いや半年くらいのそれは許容するのがトレーナー、いや、男性の漢気というものでしょう?」

 

「でも、そんなに時間かけちゃったらもうトレーナーは待ってくれないよ。現に今日は一度も会ってないし…もう私のことは諦めちゃったのかも…」

 

「彼もそんな浅い覚悟で貴方をスカウトなんてしてませんわ。現にほら、今日突然押しかけられて貴方に渡すように頼まれましたの。自分じゃ受け取って貰えないからと」

 

そう言いマックイーンが取り出したのは何の変哲もないノートだった。

 

「え、まさか直接話せないからノートでってこと!?え、どうしよう、見て良いのかなぁ…でも見ちゃったら決意が揺らいじゃう…」

 

「私にはその決意は既に大分揺らいでいるように見えますけどね。…まぁそれは置いておくとして、多分そういうものじゃありませんわ。彼、貴方と直接話すことに拘っているみたいですから。それにノートの表紙を見てください」

 

そう言いノートを見やすいように掲げるマックイーン。

そのノートのタイトルはあまりにも信じられないもので、思わず二度見をしてしまった。

 

「え、なにこれ。……パリピ語辞典?私にはこの意味が全く分からないんだけど…」

 

ちなみに、副題として下に小さくナウイトレーナーになるためにと書いてある。

 

そんなものを見せられてどう反応すればいいのか、パーマーには正解が分からなかった。

 

「私にもこのノートの意味は分かりかねますが、絶対に読んで欲しいと彼は言っていましたわ。……まぁ、とりあえず言えることは彼は長い時間をかけて貴方をスカウトする覚悟があるということではないですか?」

 

「うーん、これってそうなるのかなぁ…」

 

「さぁ?」

 

「さぁ…!?何で急に自信なくなっちゃうんだよマックイーン!」

 

「私、彼とは今日初めて会ったばかりですし何を考えているかなんて分かりませんわ。どうせ深く考えても分からないなら都合の良い方に捉えても良いではありませんか」

 

「…なんかそれっぽいこと言ってるけど要は考えるの面倒臭いだけじゃない!?」

 

「ふふ、冗談ですわ」

 

「分かりづらいし、キツい冗談だよそれ!」

 

会話でマックイーンに振り回されて、しかしパーマーは笑っていた。

あんなに気まずかったはずなのに、いざ話してみると会話は弾んで、昔のように冗談で笑顔が溢れる。

それがなんだか懐かしく感じた。

 

「今日の私は彼に色々と振り回されましたから、そのお返しですわ」

 

「えぇ…トレーナーなにしたの?初対面なのに振り回すってどういうこと…?」

 

「ノートの件に始まって、他にも色々とお願いをされました。初対面ですのに図々しいことこの上ないですわ」

 

「そうなんだ…なんかごめん…」

 

「その代わりとして駅前のスイーツバイキングの無料券を貰ったので、今回は多めに見ますわ。今は減量中なので行けませんが…」

 

「重ね重ね申し訳ない…」

 

バイキングの無料券は確かにマックイーンの嗜好にあったものだが、減量中にそれを渡すのは流石にタイミングが悪い。

引き攣った顔で無料券を受け取るマックイーンを想像しながら、深く頭を下げた。

 

冷静に考えれば何故パーマーが謝る必要があるのか分からないが、とりあえず細かいことを抜きにして頭を下げた方が良い時もある。

それが分かるくらいには、パーマーは大人だった。

 

パーマーの謝罪を受けて、マックイーンは笑みを深めた。

 

「そろそろ時間ですわね」

 

マックイーンは立ち上がりながらそう言う。

時計の針は大分回ってしまっていて、これから昼食を取ることを考えるとあまり時間があるとは言えなかった。

 

「もうそんな時間か、ノート届けてくれてありがとねマックイーン」

 

それを見てパーマーも慌てて立ち上がり、お礼を言う。

 

「お気になさらず。貴方にとって良い方向に向かってくれることを、私も願っていますから」

 

胸を張り堂々とした態度でそう言うマックイーンに、敵わないなと自然に思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むむぅー」

 

トレセン学園の中庭に何故か佇む小さいテント。

完全に外の光を遮断して蝋燭の光のみが灯る中で、水晶と睨めっこをしながら唸るのはマチカネフクキタル。

 

ウマ娘としての顔と占い師の顔を使い分ける彼女。今は完全に後者だった。

 

「それでずっと悩んでるんだけどさー。マックイーンは悩んで良いって言ったけどやっぱりそろそろ答えを出さなきゃいけないと思うんだよね…」

 

マックイーンとの会話から数日経ち、パリピ語辞典を粗方読み終えたパーマーは未だに迷っていた。

 

感情で言えば手を取りたい。しかし、理性ではそこに救いがないことを知っている。

理性と感情の全く5分な攻めぎあい。

それがどれだけ拮抗しているかは、占いに頼ってしまっている現実が顕著に表していた。

 

「救いはないのですか〜?」

 

パーマーの言葉を聞き終えたフクキタルがさらに水晶を睨む目を強める姿を、後ろに控えるメイショウドトウが心配そうに見ながらそう言った。

 

フクキタルのアシスタントである彼女には、水晶の中に何かが見えているのだろうか。そんな疑問をパーマーは持った。

 

「パートナー!パートナーの存在が…不可欠!」

 

全て見えた。

そんなことが窺える強い言葉は、パーマーを驚かせた。

 

「それってやっぱりスカウト受けた方が良いってこと!?」

 

「救いはあるんですか〜?」

 

「否!それは分かりませんっ!」

 

「えー!?」

 

パートナーと言えば今のパーマーにはトレーナーのことしか浮かばず、そう言ったパーマーにすかさず否定するフクキタル。

突然梯子を外されたパーマーは、思わず肩を落とした。

 

「出会いは今日です!今日の出会いを大切にしてくださいっ!」

 

それだけを断言し、もう全て話し終えたと言わんばかりのドヤ顔をするフクキタル。

 

「ちょっと〜、聞きたかったことと違うよー!」

 

そんなフクキタルに若干イラッとしながら、パーマーはごねる。

 

「見えたものは以上です!もうこれ以上は見えません!」

 

「救いはないんですか〜?」

 

もう見えないとはっきりと言われてしまってはどうしようもない。

元々占いで全てを決める訳でもないのでパーマーは渋々納得し、テントを出る。

 

外に出るとテントの中との光の差が激しく、自然と目を細めた。

 

少しでも参考になればと占いに手を出してみたが、結局は何も分からずじまいだった。

パーマーは懐からノートを取り出しペラペラとめくりながら、今後のことを考える。

 

「パートナー…トレーナー以外だと誰がいるのかな?もしかしてマックイーンとか…ってそんな訳ないか」

 

マックイーンと隣で競い合う姿を想像して、これはないなとすぐに思った。

パーマーの記憶にあるマックイーンはいつも遠くにいて、とても競いあえる仲間だとは思えなかった。

 

その後も色々と心当たりのある人物を探っていくがどれもピンとこず、結局は占いの結果を気にしすぎる方が馬鹿らしいかと結論づけた。

 

フクキタルの占いは1部では有名だが、当然100%当たるものという保証がある訳でもない。

 

「うわぁあああ、もう終わりだぁ…ウチの運命は終わったんだぁぁぁ、もう世界なんてどうにでもなってしまえばいいんだぁぁぁ!」

 

色々と考えを巡らせていたパーマーに聞こえたそんな声。

声の方を見ると、何か見覚えのあるウマ娘が中庭に植えられた大きな切株に想いをぶつけていた。

 

この切株にレースでの悔しさをぶつけるウマ娘は多くいるが、太陽もまだ高い時間からここまで怨念が篭った言葉を吐き出すウマ娘はパーマーは聞いたことがなかった。

 

一瞬頭の中でパートナー、出会い、と先程の占い結果が頭によぎるが、こんな出会いはあまりにもと思いすぐに頭を振って掻き消した。

 

どうするべきだろうか。

 

パーマー自身の問題すら解決できていないのに、今彼女に声をかけるのは正しい行動なのか、そんな風に思い悩む。

 

しかし、そんな風に悩んだのは一瞬だった。

 

思い出すのはこれまでのこと。

声をかけて欲しい時に声をかけて貰えない辛さを、もうパーマーは知っている。

 

そして何より、声をかけて貰えた時の嬉しさを知った。

 

それだけ分かっていれば、どうするべきかは自ずと出てくる。

 

無意識に手を差し出して、笑顔を作る。

 

 

「どしたん?悩みあるなら聞くよ?」

 




次はなんとか終われせますんで許してください。

余談ですが、先日は沢山の評価と感想をありがとうございました。おかげさまで日間ランキングで35位くらいまで行くことができました。
正直これは原作の力というものが大きいということは分かっていますので、メジロパーマー又はヘリオスがキャラで出た時は死ぬ気で課金して恩返しさせて頂きます。
感想は個人的な考えで返していませんが、何回も見返してニヤニヤするくらいには嬉しいです。送って頂いた方々には感謝しかありません。
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