棺の織手と不死者の王   作:ペペック

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ようやく三人を再会させられました~


深い森の再会

カルネ村に入った瞬間から、ウルリクムミ達はトブの森から僅かに感じていた力に既視感を抱いていた。かなり微弱ではあったが、それは間違いなく紅世の徒の放つ存在の力だ。しかもこの気配の質はよく知っている人物のものに酷似しており、二人は確認のためにペテル達から離れて森の奥にやってきたのだ。

案の定、誘い込むためにかけた隠蔽の自在式に現れたのは、懐かしき石の大木の戦友だった。

 

「貴殿らがこちらにおられるということは……珍しく不覚をとったようですな」

 

「貴様もなあああ。『極光の射手』にまんまとしてやられたようだなあああ?」

 

開口一番の嫌味に返されるのも同じく嫌味。だがこのやりとりは彼らにとっては挨拶のようなものである。

 

「ぐっ………油断していたのは否定できませぬが、私とてただ討ち死にしたわけではありませんとも!」

 

「わかっているううう。最後まで戦い彼奴らを撤退させた手腕は大義であったあああ」

 

てっきり弄られるとばかり思っていたソカルだが、ウルリクムミが素直に彼の責務を称賛したため、思わず目を丸くする。

 

「………拾い食いでもなされましたか? なにやら気味が悪いのですが」

 

ガササとわずかに身を遠ざけるソカルに、ウルリクムミは軽く……だが常人ならふっ飛び兼ねない威力でゴンと幹に浮かぶ顔面を殴る。ふぐう! と小さく呻き声が漏れるも、木は微かに揺れるだけでへし折れることはなかった。

 

「いつからこちらに?」

 

「かれこれ一年と半分でしょうか。ご覧の通り動くこともままならぬ身ゆえ、この森の外のことは人伝にしかわかりませぬなあ」

 

殴られた顔を擦りながら、忌々しそうにソカルはため息をつく。

 

「その身なりいいい、トーチに寄生しているのかあああ?」

 

改めて二人はジロジロとソカルの姿を凝視する。ソカル自身がもともと木の異形であるため見た目だけならば大して変わらないが、存在の力の質はトーチのものに近くなっているのがわかった。

 

「好きでこのような姿になどなっておりませんよ……!」

 

強大なる紅世の王であるソカルにとって、矮小なトーチに封じられるなど屈辱以外の何者でもないだろう。移動もできないのであれば、早々に出させてやったほうがいいかもしれない。

 

「アルラウネえええ、封を破れそうかあああ?」

 

ここは自在師としての技量が高いアルラウネに試して貰おう。そう判断したウルリクムミに、彼女は小さく頷く。

 

「しばしお待ちを?」

 

右手でソカルの胴体に触れ、薄桃色の小さな自在式を起動させる。分解、解除、覚醒、その他彼女が使える自在法をいくつか試してみるが、ソカルを封じるトーチが破壊される兆候は見られない。

 

「………私では力不足かと?」

 

申し訳なさそうに俯く彼女曰く、寄生したトーチの性質が絡まった糸のようにぐちゃぐちゃに変質してしまい、下手に破壊すると封じられているソカルも死んでしまう危険性があるとのことらしい。

 

「そうですか………」

 

「ふむううう」

 

リスクが高いのであれば致し方ないと、ソカルは見るからに残念そうに肩を落とす。

 

「まあよいいいい。お前がここにいるとわかっただけでもおおお、いい収穫にはなったあああ」

 

薬草探しの手伝いで来たつもりが、死別した戦友と偶然再会を果たせた。それだけでも十分すぎる成果になったとウルリクムミは前向きに考える。ソカルをトーチから開放する術は難しいだろうが、いくつか実験を重ねていけば将来的には可能性だろう。

 

 

 

「そういえばあああ」

 

ここでふと、ウルリクムミがもう一つ気になっていたことをソカルに聞く。

 

 

「先日ううう、この近辺で帝国の兵士があああ、魔獣と思しきものに殺害されたそうだあああ」

 

王国の兵士達のあいだでは、その魔獣はこの森で噂されているという『森の賢王』ではないかという話で表面上は落ち着いているらしいと、先ほどのエンリから聞いた話を述べる。

 

「その『森の賢王』というのはあああ、お前のことかあああ?」

 

彼の自在法『碑堅陣』であれば、そのように人間を殺すことも不可能ではないはず。だがソカルはミシミシと枝を振り乱すように首を横に振り、それを否定する。

 

「いや違いますな、『森の賢王』とやらは別にいます。ただ、あの兵士どもを殺したのは間違いなくこの私です」

 

「なぜ?」

 

「話せば少々長くなるのですが……」

 

そしてソカルは語りはじめる。

村を襲撃しようとしたのは帝国の兵士ではなくスレイン法国の工作員であること、自身の縄張りを荒らされそうになり彼らを殺害したこと。

そしてその最中に現れた、紅世の王に匹敵する力を持った二人の強者と戦ったことも。

 

「なるほどおおお、この世界でも人間の国同士の諍いは変わらぬかあああ」

 

転移前の世界でも体感した人間の国同士の飽かず続いた泥沼闘争、かつての戦友達がうんざりしていた厄難の巷となんら変わらない現実に、ウルリクムミは呆れはてる。

特に、身に覚えのない自国の兵士の襲撃の報告を受けた帝国のお偉方は、今頃頭を抱えていることだろう。

 

だが、今問題にすべきはそこではない。

 

「モモンガとアルベドかあああ……話で聞くだけでもおおお、少々厄介な相手のようだあああ」

 

弱体化しているとはいえ、ソカルの『碑堅陣』でも傷一つ与えられないほどの固さの女戦士と、下手をしたらアルラウネに勝るかもしれない強力な魔法詠唱者。

法国の尖兵か、はたまた通りすがりの旅人か。正体を考察する二人に対し、

 

「…………アルベド?」

 

ふと、アルラウネが何かを思い出したように呟く。

 

「どうしたのだ?」

 

気づいた二人の視線がアルラウネに集中し、彼女は戸惑いながらもウルリクムミを見る。

 

 

「………御大将?」

 

「なんだあああ?」

 

「確かナーベ様が、そのような名を口にしていませんでしたか?」

 

「? …………おおおおおお!?」

 

思い返し、ウルリクムミの脳裏を電気が走る。そうだ、確か彼女がモモンの恋人と思しき女性に「アルベド」という人物がいることを示唆していた。つまりモモンが彼らの仲間である可能性が高い。

 

「いやあああ、ちょっと待てよおおお?」

 

次いでウルリクムミの頭がさらに回転しだし、今までの情報を整理する。

件の魔法詠唱者の名前は「モモンガ」。

そして例の冒険者の名前は「モモン」。

偶然にしても、出来すぎている。

 

さらにウルリクムミはモモンガとモモンの挙動を思い返す。

モモンは夕べの食事では宗教の問題といって一人だけ食べていなかった。対してモモンガは骨の異形、この世界ではアンデッドと呼ばれる種族は飲食は必要としないとのこと。

モモンは怪力に反して戦士としての技量が全くなかった。そしてモモンガは生粋の魔法詠唱者。

ここから導きだされる可能性は、もはや一つしか考えられない。

 

「モモン様は………アンデッドの魔法詠唱者モモンガ?」

 

「それしかありえぬだろうううう」

 

点と点が繋がった、間違いない。新参の冒険者モモン、彼こそがアンデッドの魔法詠唱者モモンガ本人だ。

 

「だがなんのためにいいい?」

 

ソカルの話を聞くだけでも、彼は魔法詠唱者としても十分冒険者として活躍できるはず。なぜわざわざ慣れない戦士職になったのだろうか? それにもう一人の仲間である『アルベド』は一体どこに?

先手大将としての頭脳を捻り出すウルリクムミだったが、どうにもそれ以上答えが浮かんでこない。

 

「となると、このままでは私が生存していることもバレるかもしれませんな」

 

トーチに寄生して存在の力を抑えているとはいえ、モモンが森の奥まで入り込んでくれば鉢合わせてしまいかねない。そうなれば彼は今度こそソカルを討滅してしまうだろう。

 

「ふむううう」

 

どうすべきか考えるウルリクムミに、アルラウネが小さく挙手する。

 

「私がソカル様に、隠蔽の自在式を持たせておきましょうか?」

 

「おおおおお、それならば大丈夫だろうううう」

 

確かにそのほうが安全そうだ。アルラウネが眼前に両手の平を差し出すと、手中に薄桃色の小さな炎が灯る。炎は小さく渦を巻くと蕾の形に固まり、薄桃色の大輪の花となって咲いた。花はアルラウネの手から離れるとふわりと浮かび上がってソカルの枝にくっつき、さながら枯れ木に一輪だけ咲いた花のようになった。

 

「こちらには、隠蔽のほかには遠話……一度きりしか使えませぬが転移も刻まれておりますゆえ?」

 

「うむ、感謝する」

 

ソカルは確認するように枝の指先で花に触れる。

 

これで一応の解決。話が纏まったかに思われたのだが……

 

「しかしソカルううう」

 

「なんですかな?」

 

まだ何か聞きたいのかと、黄土色の眼差しを向ける彼にウルリクムミは僅かに首を傾げる。

 

「本当にいいい、縄張りを犯されたというだけで彼らを殺したのかあああ?」

 

確かにソカルは自信家な生来であるため、自身のテリトリーを犯す輩には過激な報復をすることは多々ある。しかし今回壊滅させた偽装兵士達の目的は、あくまで戦士長ガゼフを殺害することだ。意図的にソカルに危害を加えようとしたわけでもない相手にそこまでする必要があるだろうかと、ウルリクムミはずっと不思議に思っていたのだ。

その質問にギクリと、ほんの少しだけソカルの身体が強ばったように見えたのを、長い付き合いのウルリクムミは見逃さなかった。

 

「なんだあああ? 何か拠ん所ない事情でもあったのかあああ?」

 

「い、いえその………」

 

ずずいと身を乗り出して接近するウルリクムミから、胴体をねじ曲げるように目線を反らすソカル。心なしか枝から舞い散る黄土色の火の粉が冷や汗を流しているようにアルラウネには見えた。

 

 

 

 

「ソカルー! ソカルどこー?」

 

「!!!?」

 

「「?」」

 

とそこへ、少女の声が響いてきた。ビクンと弾かれたように驚くソカルに対し、二人は声のしたほうに視線を向ける。

 

「おやつ持ってきたよー! 一緒に食べよー!」

 

見ればバスケットを抱えたネムが、ソカルの名を呼びながら辺りを探しまわっている。とはいえアルラウネの隠蔽の自在式のせいで、こちらの存在には気づいていないようだ。

慌てたのはソカルのほうだ。よりにもよって古い付き合いの仲間といる場で来られるのは気まずいなんてものじゃない。バッと振り向けば二人はソカルとネムを何回か見比べ、そしてニヤリと笑った。ウルリクムミはヘルムを被っているので表情は伺いしれないが、長い付き合いからくる勘で笑っているのを瞬時に理解した。

 

意味深に笑うアルラウネが自在式から出ると、ソカルがその場から出られないようにわざわざ式を弄っておく。

 

「あ、アルラウネ!?」

 

慌てるソカルが枝を伸ばすも、ウルリクムミが両腕で枝と胴体を押さえつけて拘束した。

 

 

 

「もし?」

 

キョロキョロするネムに声をかけると、彼女は顔を上げてアルラウネの存在に気づいた。

 

「わ~! 綺麗なお姉さんだ」

 

「ソカルとは、どなたでしょうか?」

 

込み上げる笑みを抑えるように頬をひきつらせるアルラウネが問いかければ、自在式の中のソカルが身をよじってウルリクムミを振り払おうとする。

 

「私のお友達だよ!」

 

満面の笑顔で答えるネムに、アルラウネの肩が小さく震える。尚も暴れるソカルだが、ウルリクムミの豪腕はその身を決して離さない。

 

「……っ………どのような方ですか?」

 

「面白いお話をいっぱいしてくれて、いつも遊んでくれるんだよ!」

 

ウガアアアアア!!と、ソカルが怒りと羞恥がない交ぜになった絶叫を放つも、その声は外には漏れない。羽交い締めするウルリクムミが肩を震わせて笑いを堪えている姿を横目に見ながら、アルラウネは口元を抑えて爆笑に耐える。

 

「ではっ………その方のもとに案内しましょうか?」

 

「いいの!? ありがとうー!」

 

差し出された手を何の疑いもなく繋いだネムは、アルラウネに導かれるように自在式の中に入った。

 

「あ、ソカル! こんなところにいたんだね」

 

「貴様あああああああああ!!」

 

やっとウルリクムミから解放されるも時すでに遅し。顔を反らして肩を震わせる二人を横目にソカルは当たり散らすようにネムに怒鳴る。

 

「来る時は合図しろと言っただろうが!! なぜよりにもよってこのタイミングで入ってきた!?」

 

「なんどもノックしたよ? でもソカル、全然トンネル作ってくれないから、入ってきちゃった」

 

ブフッと、とうとうアルラウネが耐えきれずに吹き出した。合図が通じなかったのは、おそらくアルラウネの自在式の中にいたせいで『碑堅陣』の感覚が鈍くなってしまったからだろう。

 

「だからと言って!! そんな丸腰でこんなところまで来るやつがあr」

 

「えい!」

 

「もご!?」

 

なおもぎゃあぎゃあ喚くソカルの口に、ネムが玉入れの要領でクッキーを放り込む。反射的に咀嚼してしまい、ソカルはクッキーを飲み込んでしまった。

 

「き、貴様! 急に食べ物を投げ込むなと言っているだろうが!」

 

「美味しいでしょ? 今日のは私もお手伝いして作ったんだよ~!」

 

「だからなんだというんだ!?」

 

明らかにネムのペースに呑まれているソカルの姿に、もはや耐えられないといったように二人は笑いだした。

 

「っ………っ……!」

 

「わはははははあああ!! 戦上手の先手大将も、幼子には敵わぬかあああ!」

 

「ええい笑うなあああああああ!!」

 

「ソカルー。クッキーならいっぱいあるからみんなで食べようよ」

 

「いっそ殺せえええええええええ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうやって二人がネムを使ってひとしきりソカルを弄り倒したあと、彼女はようやく遊ぶのに満足したのか村へ帰ることにした。二度と来るな! と怒鳴りつつ、無事に帰るためのトンネルを忘れず作るソカルに、ネムは振り返りながら笑顔で手を振った。そしてトンネルに入っていき走っていく。

 

 

 

「………」

 

「………お前もおおお、丸くなったものだなあああ」

 

「ええい黙れ!!」

 

ウルリクムミはようやく合点がいった。どうやらソカルが偽造兵士を討ったのはあの少女が住む村を守るためだったらしい。人間など麦の穂程度、というのが共通認識の九劾天秤の中でも人間蔑視の強いソカルだが、あの少女に対する態度は明らかに寛容的だ。ほんの少しの時間で人がここまで変わるものかと、正直驚きを隠せない。まあそういう自分も似たようなものかもしれないが。

 

「そういう貴殿こそ、随分人間と仲よくしていましたな!?」

 

「まあなあああ、彼ら四人は気を許せる戦友だあああ」

 

負け惜しみとばかりに先ほどウルリクムミが一緒にいた漆黒の剣達のことを指摘するも、ウルリクムミは全くいに返さず堂々とする。彼にとってペテル達は冒険者新参時代からの付き合いで、何かと世話になった身だ。その繋がりを誇りこそすれ、恥じる要素など欠片もない。

ぐぬぬ……と歯軋りするソカルはそれ以上言い返せないのか押し黙った。

 

「御大将、そろそろ薬草を?」

 

「おおおお、そうだったあああ。つい楽しく話し込んでしまったあああ」

 

ソカルと接触するためとはいえ、自分達は薬草探しという建前でこの森に来たのだ。このまま何の収穫もなく帰っては仲間達に示しがつかない。

 

「薬草………ですと?」

 

「うむううう。こういった奥地のほうがあああ、珍しい効能の薬草が生えているそうだがあああ」

 

一年半ほどここで過ごしていたソカルならば、何か知らないだろうかとウルリクムミは訪ねる。ソカルは指先で頭を掻く動作をして少し考えこんだ。

 

「………少々お待ちを」

 

そう言うとズボッと木の身体が地中に潜って消え、しばらくするとまた生えてきた。

 

「こちらでどうでしょうか?」

 

両腕が抱えていたのは、淡く光る草の山だ。見ようによっては引っこ抜かれたただの雑草の山のようだが、僅かに感じる神秘的な力を感じる。

 

「これは?」

 

「どうやらこのトーチにもともと根を張っていた植物のようでしてな。ピニスン………この森で知り合った木精霊によると、万病にきく草だそうで」

 

無駄に繁殖力が高く、ソカルとしては身体が痒くてしょうがないので、生えてくる度に毟ってはいたが正直捨てる場に困っていたのだ。

 

「全て引き取ってくれるなら、先ほどの屈辱の数々は水に流してもよろしいですよ?」

 

「うむううう、ではありがたく頂戴しようううう」

 

持参した袋に薬草を全て詰め込み、ウルリクムミが肩に担いだ。これでンフィーレア達にいい手土産を渡せると安堵する二人だが、

 

「ああ、そうでした! 一番大事なことをまだ聞いておりませんぞ!」

 

「なんだあああ?」

 

いい加減ペテル達と合流しなければならないのに、今度は何を聞きたいのかとウルリクムミはいつでも歩きだせる態勢で振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルリクムミ、貴殿は『壮挙』の顛末をしかと見ましたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

その問に、ウルリクムミの身体が彫像のように動かなくなる。アルラウネに至ってはビクリと肩を震わせてヒュッと息がつまる。

 

「まあ私と貴殿が討滅されたとはいえ、両翼のお二人と宰相殿の『ラビリントス』、チェルノボーグとジャリも控えておりますからな。最悪の場合は主が小夜啼鳥(ナハティガル)を持って逃亡すれば『壮挙』の実現は難しくな……………ウルリクムミ?」

 

饒舌に喋るソカルは、ここでようやく一言も発しない戦友に気づいた。その場を包むのは重く不穏な静寂のみで、ソカルに戸惑いを抱かせる。

 

静寂を最初に破ったのは、ウルリクムミだった。

 

「…………すまなんだあああ。まだそれを言うことはできないいいい」

 

「………!?」

 

ウルリクムミの口から語られるのは、是でも否でもなかった。彼の性格を考えれば、良い知らせであるならば回りくどい言い方はせずにはっきりと答えるはず。なのになんだこの反応は? この曖昧で、バツの悪そうな返答はなんだ?

 

「ま、待て! なんだその答えは!? 主は、アシズ様は無事に『両界の嗣子』を産み出せたのか!?」

 

ソカルの背筋を薄ら寒い何かが這う。まさか、まさかそんなわけがあるかと、必死の形相でウルリクムミに答えを求める。

 

「…………」

 

薬草が入った袋を背負い直し、ウルリクムミはポツリと呟く。

 

「俺達があああ、こうして再びあいまみえたのならばあああ、ほかの戦友達もこの世界のどこかにいるだろうううう」

 

そしてソカルからのそれ以上の詮索を避けるように、彼に背を向けた。

 

「全てを話すのはあああ、みなが揃った時だあああ」

 

気がつけば、三人の周囲を薄桃色の花びらが吹き荒れる。アルラウネが撒き散らした花弁は、ソカルの身体に沢山付着すると彼の動きを再び封じる。

 

「おい………!?」

 

自在法の強度から見てそう長く続くものではなさそうだが、二人がこの場を去る為の足止めとしては十分だ。

 

「ではさらばだソカルううう。因果の交差路でまた会おうううう」

 

そして、その場から逃げるように二人は全力で走っていった。ソカルは碑堅陣の根を伸ばそうとするも、付着した花びらは鉄のように重くソカルをその場に押し付ける。

 

「待て! 待ってくれウルリクムミ!!」

 

 

縋るように伸ばさせたその手が、二人に届くことはなかった。




その頃のモモンさーん達

森の賢王「こ、降参でござるよ~!」(´;д;`)

モモン(なんかあのトレントのほうが『森の賢王』って肩書きが似合いそうなんだけど………)
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