棺の織手と不死者の王   作:ペペック

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今回、若干のグロ表現があるかもですのでご注意ください


死の支配者の憂鬱

冒険者組合のとある一角のテーブルに座り、冒険者モモンは頬杖をつき静かにため息をついていた。

 

(………金がない)

 

彼の目の前に広がるのは銀級冒険者以下が受けれる依頼書が数枚。内容自体は極めて簡単なものではあったが、そのぶん報酬の合計金額はあまり高額ではない。

現在、冒険者モモンは地道な依頼をこなしていきどうにか銀級にまで昇格はできたものの、それでもナザリックの軍資金確保としては全然足りない。組合にある全ての依頼を短期間でこなすなどの偉業を成せば、あるいはもっと早く昇格できるかもしれないが、全ての依頼を独占するのはルール違反だ。今目の前にある依頼も、組合に注意されないギリギリの量である。

 

(やっぱり、先日の騒動に参加しなかったのが手痛かったか………)

 

はあと再びため息をつくも、後悔先に立たずだ。ひとまず資金調達を優先するしか道はないとやや肩を落とす。

そんなモモンに、黒髪の魔法詠唱者………ではなく赤毛で褐色肌の、露出度の高い衣服のクレリックが明るく声をかけてきた。

 

「元気出すっすよモモンさん! モモンさんの実力なら、頑張ってお仕事さえこなせばアダマンタイトも夢じゃないっす!」

 

「ああ、ありがとうレギィ」

 

 

新たなる冒険者モモンのお供、レギィことルプスレギナに頷く。

なぜこの場にナーベがいないのかというと、端的な話『いろいろと面倒だから』である。ただでさえ墓地の件で白い目を向けられる可能性が高いというのに、口を開けば人間を見下し罵倒するナーベがいてはほかの冒険者との軋轢が悪化しかねない。そうなれば間違いなく冒険者モモンの株がさらに下がってしまうだろう。

だからモモンは、人間に対して比較的友好なルプスレギナを急遽相方にし直したのだ。彼女の職業は信仰系魔法詠唱者だが、炎の魔法も使えるのでナーベの代役としては実力的にも問題はないはず。

ちなみに冒険者ナーベは、『知人の死に塞ぎ込んでしまい、故郷に帰った』ということにしておいた。

 

 

そんな困窮する彼らとは裏腹に、

 

「今戻ったぞおおお」

 

現役のアダマンタイト級冒険者二人が、威風堂々と組合に現れた。

彼らは今回、ギガントバジリスク討伐の依頼を受けたとのことだが、戻ってきたということは無事に依頼を完遂させたようだ。その姿を見てその場にいた若い冒険者達が、我先にと二人に群がる。

 

「ウルリクムミさん、アルラウネさん、おはようございます!」

 

「はじめまして! おとといから冒険者になった新人冒険者です」

 

「ぼ、僕達………先日の墓地の戦いでウルリクムミさんのタレントを見て、冒険者になる決心がついたんです!」

 

「あの! もしこのあとお暇でしたら、訓練の指導をしてくださいませんか!?」

 

「握手してくださ~い!」

 

黄色い歓声を上げて騒ぐ冒険者達を、ウルリクムミは片手を上げる動作のみで制する。

 

「すまなんだあああ、まずは受付にいいい、依頼達成の報告をせねばならぬううう

 

「話はそのあとでもよろしいでしょうか?」

 

「あ、すみません!」

 

慌てて冒険者達が二人の目の前を避けて道を作るが、その光景はさながらモーゼのようだった。

 

先のズーラーノーン一派討伐という偉業をなし、白金からアダマンタイトへと一気に昇格した二人は、『漆黒の剣』から独立して『とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)』というチームを新たに結成した。難易度の高い依頼を次々とこなし、その名声を高めている二人のことを知らぬ者は、もはやこのエ・ランテルには一人もいない。

 

 

 

「よう、おかえりウルリクムミ」

 

「聞きましたよ~、このあいだは依頼でギガントバジリスクを倒したらしいじゃないですか!」

 

「もはや『とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)』の英雄譚は、とどまるところを知らないな」

 

受付に報告するウルリクムミの横から、彼らと同期・先輩のベテラン冒険者達が歩み寄り、称えるように鎧の背中を叩く。しかし彼らのその言葉にウルリクムミは首を振る。

 

「否あああ、これしきのことで舞い上がっていてはあああ、『とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)』の名を背負うに値いしないいいい。世にこの名を轟かせるにはあああ、まだまだ精進が足りぬというものだあああ」

 

冒険者の最高位に至ってなお、二人は極めて謙虚に精進を絶やさない。それだけ彼らにとって『とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)』という名は尊いものなのだろう。

強いうえにストイック、その姿に新参冒険者が憧れないわけがない。

 

 

「かっけえ……」

 

「あれこそ、本物の『英雄』ってやつなんだな……」

 

「俺らも負けてられねえな!」

 

 

冒険者の誰もが二人の英雄の姿に、眩しいほどの羨望の眼差しを向けている。

 

 

だがそんな一同とは裏腹に、二人に不愉快そうな目線を向ける者がいた。拳を握るレギィに気づいたモモンは、彼女に立つよう促して冒険者組合をあとにする。冒険者達は英雄の後ろ姿にみいるだけで、モモンとレギィの姿など視界にも入れない。

 

「………」

 

だがウルリクムミとアルラウネだけは、組合を離れる二人の姿をしかと見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支度をするために宿に戻ってきた二人は、銀級に昇格したおかげか最初の頃よりはいい部屋に泊まれるようになっていた。

 

「………やっぱり納得がいきません。どう考えてもああやって称えられるべきは、アインズ様をおいてほかにいないはずです」

 

周囲に盗聴されていないのを確認してから、ルプスレギナは冒険者の仮面を脱いでメイドとしての態度でアインズと会話する。彼女としては最強の魔法詠唱者であるアインズではなく下等生物である人間の冒険者が称えられるという状況が納得できないのだろう。アインズも彼女からその言葉が告げられるのは予想できていたため、首を振って否定する。

 

「致し方ないさ。彼らは三年の月日を経たうえで、街の人々を救い己の力を見せつけたのだ。英雄と称されるのも当然の結果だ」

 

彼らの冒険者歴は三年、対するこちらはまだ一ヶ月ほど。同じ強者ならばいまだ得体の知れない新参者よりも、確かな実績を持ち顔の広いベテランのほうが、人々からの信頼が厚くなるのは当然のことだ。

 

「しかしアインズ様、聞けば彼らが倒したのはスケリトル・ドラゴンだそうです。あんなもの、第七位階魔法を使えば一撃で倒せる雑魚です」

 

ルプスレギナが言う通り、スケリトル・ドラゴンは第六位階以下の魔法に耐性を持つアンデッドだが、第七位階以上の魔法であれば一撃で倒せる。プレアデスの基準では確かに雑魚といえるだろう。

 

「ユグドラシルではな。だがこの世界の人間の最高位魔法は第六位階までが限界だ。それを倒せるならば、この世界の基準では間違いなく彼らは強者だ」

 

「ですが………!」

 

いまだ納得できないという様子のルプスレギナを、アインズはやんわりと制する。

 

「ルプスレギナよ、私を思ってくれるその気持ちは嬉しく思う。だがそういった発言は決して人前では言うな」

 

ルプスレギナは悔しそうにグッと押し黙りつつも、目を伏せて頭を垂れる。

 

「御方のご命令であれば………」

 

これがナーベラルであればムシケラ発言を絶やさなかっただろうが、ルプスレギナはTPOを弁えていると言うだけあってそういった態度は絶対にしない。こんなことならば最初から彼女を相方にするべきだったかと内心で思うアインズは、完全戦士化を解いて転移門を作る。

 

 

「………ひとまず、これらの依頼を全て達成しなければならないが、私は一度ナザリックに戻らねばならない。何か変化があれば必ず連絡せよ」

 

「は!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、ナザリック地下大墳墓の問題は山積みだ。

 

 

墳墓の維持費稼ぎ、アイテムの生産、NPCの報連相と臨機応変さの育成、強敵に対する戦力強化、現地の情報収集、さらにはナザリックのダミー建設。

特に階層守護者を倒したアシズの存在は脅威としかいいようがなく、ナザリックの強化計画が重要視されている。野盗の死体を使ったアンデッド作成実験、現地の材料のみでポーションやスクロールを安定供給する取り組みに、出し惜しみなどしていられない。

 

 

 

 

 

ここはナザリック第六階層に設けられた、とある天幕。現在デミウルゴスは険しい顔つきで羊皮紙を丁寧に鞣していた。

 

「あの………デミウルゴス様。さすがにそろそろ、お休みになられたほうがよろしいのでは?」

 

デミウルゴスの傍らから、彼が召喚した深淵の悪魔(アビス・デーモン)が心配そうに休憩を勧める。

 

「何を言っているのです。まだ今日の分のノルマが完遂していません」

 

対するデミウルゴスは彼に見向きもせず、作業の手を止めようとしない。

 

「しかし、デミウルゴス様はもう三日も睡眠すらとっておられません。さすがにこれ以上はお辛くなられるかと」

 

なおも止めようとする深淵の悪魔だが、デミウルゴスは彼の気遣いを煩わしいと言わんばかりに、眼鏡の奥から宝石の目でギロリと睨む。

 

「アインズ様から疲労無効と睡眠無効のアイテムを賜っておりますのでいらぬ心配です。私のことはいいので、貴方達だけで先に休憩しなさい」

 

突き放すように命じられ、深淵の悪魔を始めとする配下達は何も言い返せず黙り込んだ。彼らがデミウルゴスに強く言えないのは、単に恐ろしいからだけではない。彼がここまで自らに激務を強いるのが、先の牧場襲撃における自責の念からきているのだと、ほかの悪魔達も知っているからだ。

件のアシズなる天使に殺され、ナザリックの金貨を消費し、牧場の羊を全て奪われるという階層守護者にあるまじき大失態を犯してしまった罪の意識から、デミウルゴスは少しでも汚名を返上するべく職務にとりかかっている。悪魔達にはデミウルゴスの気持ちが痛いほどわかるし、自分達だって彼の立場ならば同じことをしていただろう。

 

 

とそこへ、作業部屋の扉が開かれる

 

 

「邪魔するぞ、デミウルゴス」

 

入ってきた人物の姿を見て一同は驚愕する。

 

「っ!? あ、アインズ様!? 失礼、今現在散らかっておりまして!」

 

突然の主君の来訪に、デミウルゴスを初めとする悪魔達は慌てふためきながらもその場に跪く。

 

「よい、気にしなくていい」

 

片手を上げて楽にするよう命じ、アインズは作業部屋をぐるりと見渡してからデミウルゴスと向き合う。

 

「さて………時にデミウルゴスよ」

 

「は!」

 

「お前が最後に休息したのはいつだ?」

 

「!?」

 

アインズからやや険しさの込められた声で問われ、ギクリとデミウルゴスの身体が硬直する。

 

「かれこれ三日は作業部屋にかじりついていると聞いたぞ?」

 

その言葉からデミウルゴスの頭脳は密告者が誰なのかを理解し、キッと後ろの悪魔達を睨む。睨まれた悪魔達は申し訳なさそうに俯くだけだ。

 

「彼らを責めないでやってくれ、私が無理に聞き出したのだ」

 

その言葉にデミウルゴスはなるほどとなってしまう。御方に命じられたのでは致し方なく、デミウルゴスは観念したように俯いた。

 

「デミウルゴスよ。確かに私は作業効率を上げるために睡眠・疲労無効のアイテムを持たせたが、無理に仕事を強制させるつもりはない」

 

「で、ですがアインズ様!」

 

デミウルゴスは過日の遅れを取り戻すべく必死だ。もしこれ以上の失態を演じれば、御方に見限られるのではないかという恐怖が彼に甘えや妥協を許さない。

だがアインズは穏やかな態度でデミウルゴスを諭す。

 

「よいかデミウルゴス、例え肉体の疲労がないとしても、精神的な疲労は必ず蓄積されるものだ。そして精神的な疲労は作業効率を下げてしまう」

 

 

 

(俺だって疲労無効のパッシブスキルがあるとはいえ、精神的な疲労は尋常じゃないからなあ……)

 

常に支配者ロールをするのはかなり神経がすり減るもので、この時ばかりは睡眠無効を持つ我が身を呪ってしまう。

 

「それに、スクロールの材料はもう十分すぎるほど補充された」

 

チラリと見れば、机の上には山ほどつまれた羊皮紙がある。見ただけでも数十枚近くはあり、これだけあれば事欠かないだろう。

 

「ナザリックのためを思うならばこそ、適度な休息はせよ」

 

 

(このままだと、デミウルゴスがヘロヘロさんの二の舞になってしまう………それだけはなんとしても避けないと!!)

 

かつてブラック企業に勤め、ボロボロな身体で18連勤などという恐ろしい記録を叩き出した社畜系スライムのギルメンが、アインズの脳裏を過る。ホワイト企業ナザリックを掲げるアインズとしては、絶対に阻止せねばならない案件だ。

 

「御方のご命令、承知いたしました……」

 

デミウルゴスはアインズの慈悲に胸を締めつけられる気持ちながらも頷いた。

 

 

 

 

 

「それにしてもデミウルゴス。休憩を挟まなかったとはいえ、よく1日でこれだけの量の羊皮紙を作れたな」

 

アルベドから羊皮紙用の新しい羊を捕獲したという話は聞いていた。なんでもナザリックの近辺を歩いていたのを影の悪魔達が発見し、捕らえたとのことだ。しかしこれだけ生産できたということは、よほど大量の動物を捕獲したということになる。となると餌の量が尋常ではないと思うが大丈夫なのだろうか。

 

「はい。不幸中の幸いにも高品質な羊が一頭手に入りまして、かつての牧場以上に生産性が高くなりました」

 

「………一頭だと?」

 

たった一頭だけでここまでたくさん作れるなど、よほど巨大な羊なのだろうか。

もしかしたら物珍しいモンスターかもしれないと、アインズのコレクター魂に火がつく。

 

「興味があるな。是非一度見させて貰おう」

 

「は!」

 

とたんにデミウルゴスは笑顔になり、アインズを羊が飼育してあるという小屋に案内した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アインズ様、こちらが聖王国両脚羊に代わる新しい羊………その名も焔両脚羊(フレア・シープ)です」

 

デミウルゴスに誘われ、アインズが天幕の中に入って中にいたものを確認した瞬間、即座に沈静化が働いた。

 

 

「………え?」

 

 

扉を開けた先にいたのは、衣服すら着ていない丸裸の、銀の髪を持つ15才ほどの人間の少女だったのだ。少女は干し草が敷かれた家畜小屋で這いつくばっているだけで、彼女の周囲には羊はおろか動物らしきものは見当たらない。

つまり考えられるのは…

 

「…………デミウルゴス、お前はさっき『羊』って言っていたよな?」

 

「はい」

 

「………どう見ても、人間の娘にしか見えないのだが」

 

件の『羊』というのは、小屋の中央のこの少女しかいないというになる。

 

「家畜である以上は、立派な羊には違いありません」

 

胸を張るデミウルゴスにアインズの思考が真っ白になり、ギギギと首だけを少女に向ける。少女は身を震わせながら、銀髪の隙間から怯えた目でこちらを見ており、どんな扱いをされていたのか嫌でも理解せざるをえない。

 

「………デミウルゴスよ。なぜ人間なのだ?」

 

「はい、様々な動物の皮で実験を重ねたところ、人間のものを使用したものが極めて高品質であることがわかったのです。しかもこの羊、今まで飼育したものの中でも極めて『特殊』な個体でして……」

 

デミウルゴスは得意げな笑みで少女に歩み寄り、近くのテーブルに置いてあった皮剥ぎ用のナイフを手に取る。

 

「ご覧くださいませアインズ様。こちらの羊の能力を」

 

少女の腕を引いて無理矢理立たせ、ナイフで少女の背中の皮膚を鮮やかな手つきで剥がす。

 

「いやあああああああああ!!」

 

背中から鮮血が吹き出し、少女が苦痛の叫びをあげる。しかし次の瞬間、皮膚の下のむき出しになった肉が曙色の火で覆われ、彼女の背中の傷は跡形もなくなった。

 

「これは……」

 

アインズは驚く。見たところデミウルゴスが回復魔法を使った様子はなかったし、ユグドラシルの治癒魔法とは全く異なる回復の仕方だ。

 

「『支配の呪言』で吐かせたところ、どうやらこの羊は『自動的に傷を治す』タレントを持っているようなのです。これならば羊を大量に捕獲することなく、安定して羊皮紙を作れます」

 

自信満々にプレゼンするデミウルゴスだったが、今のアインズはそれ以上に気になることがある。

 

「………なあデミウルゴス」

 

「なんでしょうか?」

 

「以前の牧場で飼育していたのも、人間だったのか?」

 

どうか違ってほしいと心の中で念じるが、

 

「もちろんです」

 

ニッコリと頷くデミウルゴスによって、それはバッサリ切り捨てられた。

 

「………」

 

 

(羊って人間のことだったのかよおおおおおお!!)

 

 

心中で絶叫し、絶え間なく沈静化が働く。

 

人間なら人間って先に言えよ!

羊とかややこしいだろうが!

 

などと頭を抱えたい気持ちを必死に堪えるアインズだったが、ここではたとあることに気づく。

 

(まさか………アシズがデミウルゴスの牧場を襲撃したのって、人間が虐げられていると思ったからか………!?)

 

なるほど、そう考えれば合点がいく。そうであればその首魁であるデミウルゴスを惨殺したのも、致し方なかったかもしれない。

 

 

 

「あ~、デミウルゴス」

 

アンデッド化の影響で人間に対する情は実質なくなってしまったアインズではあるが、これはさすがに気分的に悪いと思い、人間の家畜化をやめさせようとするも

 

「はい」

 

ぶんぶんとしっぽを振っているデミウルゴスを見て、ウッと言葉が詰まってしまう。

 

………よくよく考えれば、治癒魔法を使わずに回復できるのならば、安定供給は容易い。せっかくコストパフォーマンスの良いスクロール作成の目処がたったのに却下するのは、なんだかもったいないように思える。何よりただでさえ汚名返上をするために頑張ってきたデミウルゴスに申し訳ない気がすると、いかにもアンデッドらしい思考で考えてしまう。

 

 

いろいろと考えに考えた結果、アインズは妥協案としてデミウルゴスにこう命じた。

 

 

「………今後はこの羊から皮を剥ぐ場合は、苦痛を与えないようにしてやれ」

 

「?」

 

「それと………なるべく衣食住を可能な限り良いものするのだ。あと服も着せてやれ」

 

この少女にはこれから、ナザリックのスクロール作成のために働いてもらうわけだ。ならばせめて苦痛を与えず手厚く扱ってあげるぐらいはするべきだろう。あと女子の裸はいろいろと眼の毒だ。そう判断したがゆえの命令だったのだが、

 

 

「っ! ………なるほど、そういうことですか」

 

(………え、何が?)

 

突然何かを勝手に理解しだした悪魔にアインズは困惑する。

 

「承知しました。ではこちらの家畜小屋の内装もすぐさま変えましょう」

 

「あ~、うん。任せた………ぞ?」

 

「は!」

 

 

 

 

 

 

 

そうして飼育小屋を後にしたアインズは、ため息をついて顔に手を当てる。

 

(………アシズ、なんかごめん)

 

事情を知らなかったとはいえ、あまりにも理不尽な逆恨みをしてしまったかの天使に対し、心の中で謝罪するアインズであった。

 




エ・ランテルに戻る前

アインズ「時にナーベラルよ。お前はあの新しくアダマンタイト級冒険者となった『とむらいの鐘』の二人をどう思っている?」

ナーベ「あのカブトムシと花カマキリのことですか?」

アインズ「………ナーベ、今日からお前はナザリックで待機だ」

ナーベ「!!!?」 Σ(゚д゚lll) ガーンッ
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