弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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第9話

 

愛と付き合う事になったライブの日(土曜日)から一日跨いだ月曜日。

 

愛「庶務くん」

 

朝、校門を通ると後ろから名前を呼ばれたので振り向くと、愛だった。

 

優心「おはよう、あ…早坂。かぐやさんは?」

 

愛「おはよう。……私は校門から少し離れた場所で降りて、校門前で四宮さんが降りるから、一緒には行かないよ。先に教室に着いてると思うよ」

 

優心「なるほど」

 

愛「うん。あ、昨日の夜に電話で話した通り、今みたいにお互いに庶務くん、早坂って呼ぶってことでいこうね。空き教室とか周りに人がいない時に下の名前で呼ぶって事で。会長と四宮さん以外は知られたら色々大変だと思うから」

 

ライブの日に彼女になった早坂愛に"おはよう"と声をかけた。

 

ライブの帰りに、学校では恋人になった事を皆に言わない事になった。

 

その日の夜に愛から電話がかかってきて、下の名前で呼んでるとバレるかも知れないため、お互いの呼び方も付き合う前みたいに、いつも通りという事にもなった。

 

優心「分かった。でも千花はやっぱダメな感じ?」

 

愛「あまり言いたくないかな。だって書記ちゃん、行動読めないから、言いふらしそうで怖いんだよね。庶務くんは言いたいの?」

 

優心「うーん。言いたいというより言っといた方がいい感じがする。早坂の言う通り千花って行動読めない所があるけど、会長達に言って千花に言ってないって事になると、それこそ色々言って周りに伝わっちゃうかも知れないから。昼休みにでも俺から千花に言っとくよ」

 

愛「庶務くんがそう言うならそれでいいよ」

 

優心「そうだ。早坂は、こころと仲良くなれそう?」

 

俺は、ふと愛に妹と仲良く出来るか聞いてみた。

 

こころは、バンドを始めてからハロハピや他バンドのメンバー達と友達になった。

 

でも高校入学までは色々振り回されたり、やることがおかしいとかで友達っていうのがいなかったんだよね。だから愛は仲良くというかこころに付き合ってくれるのか気になったんだ。

 

愛「(こころちゃん……あ、呼び捨てでいいって言ってたっけ)えっとこころとは、仲良く出来ると思うよ」

 

優心「ほんと?」

 

愛「ほんとだよ。好奇心旺盛で振り回されたりしたりと大変そうなのは、あの時のメンバーを見て分かったけど、一緒にいて楽しそうだった。それに話してみて仲良くしてみたいって思ったよ。でも振り回されると大変だと思うけど」

 

優心「そっか、そう言ってくれると嬉しいよ」

 

話してると、教室に着いたので中に入った。いつも通りに自分の机に行き、荷物を置いて授業の準備を始めた。

 

 

 

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昼休みになり、生徒会室にいた。

 

千花「会長、この本は何ですか?」

 

会長「教育上よろしくない本だから処分しとけと頼まれた」

 

千花「この本がよろしくない本ですか?……乱れっ!この本は駄目です!!」

 

会長が校長に渡された処分する本を、千花が見始めるといきなり大きな声を出した。それで落とした本をかぐやさんが取り、本の中身を見て声に出して言ってくれた。

 

かぐや「どれどれ……高校生までに初体験を経験したのは34%ですか」

 

千花「そんな訳ないです!!嘘です!そんなにしてるハズありません!!」

 

優心「こういうアンケートって多分読んでる人だけが答えてるからその答えだと思うし、それに読んでも答えない人もいると思うよ」

 

千花「優心くんもそう思いますよね!」

 

会長「俺も多くないと思うぞ」

 

優心・千花「「ですよね~」」

 

俺がそう多くないと言うと、会長と千花も読んでる人が答えてるだけと思ったみたいで三人で共感していた。

 

かぐや「そうですか?これぐらいは適切な割合だと思いますよ。むしろ少ないと思っていますけど」

 

三人「「「!?」」」

 

三人で共感していたが、かぐやさんが言った一言に言葉を失った。千花が"経験したことがあるのか"?と、かぐやさんに聞くと即答で"だいぶ前に"と答えた。

 

かぐやさんが経験したことがあると聞いた瞬間、俺と千花は"えぇぇ"と叫び、会長は電話帳を見て現実逃避的になっていた。

 

かぐや「高校生になれば普通は経験済みでは。……案外皆さんは愛を受けずに育ったんですね」

 

千花「私も早く彼氏とか作った方がいいのかな。でも絶対お父様が許してくれないと思いますし」

 

会長「馬鹿馬鹿しい」

 

優心(あ、かぐやさん、ニヤリと笑った。なんか企んでるかな……)

 

かぐや「あら会長は彼女はいないんですか?」

 

会長「……そうだな、"今は"居ないな。……そういう弦巻はどうだ?」

 

かぐや「そういえば、弦巻くんは彼女が出来たと聞きましたけど」

 

かぐやさんがニヤリと笑って会長と話をしたから、そのまま話が進むと思ったけど、会長が俺に振ってきた。

 

それを聞いたかぐやさんが彼女が出来たことを聞いたと言ってきた。……土曜に愛から直接聞いてるはずなのに、あたかも今日、噂みたいのを聞きました感で言ってきたな。

 

千花「…え、えぇぇぇ!優心くんに、か、彼女が!!いつ出来たんですか!?教えてくださいよ!何で教えてくれないんですか!?」

 

優心「ちょっ…。お……教えるから…ゆら…揺らさないで…」

 

彼女が出来たことに驚いた千花が、俺を前後に揺らしてきた。揺らされながら何とか"教える"と言うと、やっと千花が離してくれた。

 

会長を見ると口を開いて固まっていたがすぐに立ち直った。

 

優心「取り敢えず、会長と千花には昼休みに言うつもりだったんですよ。かぐやさんは何となく話は聞いてるみたいですけど、俺の彼女は早坂ですよ」

 

千花「早坂さんですか?何か意外…」

 

優心「意外って何だよ。意外って」

 

千花「だって!優心くんがギャルカースト上位で、格好いい感じの女子の早坂さんと付き合うなんて思ってなかったんです!」

 

優心「千花、落ち着いてよ。愛とは同じクラスだし、よく話してたんだよ。それに遊びに行ったりして一緒にいる内に好きになったって感じだよ。てか、誰と付き合うと思ってたの?」

 

千花「…それはえっと…イタッ‼そんな強く叩かないでください。何で叩くんですか⁉」

 

優心「考えてなかったら叩いた。それだけ」

 

愛と付き合ったと言うと、千花が意外と言ってきたので理由を聞くと、単に俺が付き合うとは思ってなかっただけらしい。

 

千花に誰と付き合うと思ってたかと聞くと、何も考えてなかったみたいだったから、頭を叩いといた。千花とこんなやり取りをしていると会長から声がかかった。

 

会長「それで弦巻はいつ付き合ったんだ?」

 

優心「一昨日の土曜ですよ。妹がリーダーやってるバンドのライブを見に行った日の帰りですね」

 

会長「じゃあ、どっちから告白したんだ。(俺が一番気になってる事だ。弦巻だと自分から告白しそうな感じがするが)」

 

優心「告白ですか?告白は、愛からされました。俺はその後に自分の気持ちを言いました。出掛けた日の前から、愛の事が好きになってたんですけど、告白されて両思いって気付いたんです。スッゴい嬉しいですね、好きな人と付き合えるって。昨日とか夜に電話で話をしたんですけどそれだけでも幸せですね」

 

会長「そ、そうか。付き合えて良かったな」

 

会長・かぐや((最後の方、惚気になってる……))

 

優心「あ、三人にお願いがあるんですけど、俺が付き合ったことは、会長とかぐやさん、千花の三人だけの秘密にしといてください。他のクラスの人や友達には言わないでください」

 

と言うと、当然だけど"何で?"と聞いてきたので、愛と話した内容を三人に伝えた。すると三人は納得した顔で二つ返事で承諾してくれた。

 

その後、かぐやさんがさっきの本の件で話始めた。

 

かぐや「取り敢えず、弦巻くんは付き合った時に経験したんですね」

 

千花「そ、そうなんですか!?優心くん!」

 

優心「はぁ!?いやいや、付き合ったけど経験してないよ!」

 

会長「そ、そうだよな。真面目な弦巻が付き合った日の内にやるわけ無いよな?」

 

優心「そうだよ!そこまで飢えてないよ!」

 

かぐやさんにいきなりそんなことを言われ、千花と会長達とその事を話してると、かぐやさんは会長にも言い始めた。

 

かぐや「それに、会長には妹がいるのでガンガンしてるのかと思いました。弦巻くんは彼女としてないとすると妹としてるから、彼女としてないんですか?」

 

かぐやさんが言った言葉を聞いて会長と俺は一瞬言葉を失った。

 

会長・優心「「そんな事あるわけないぞ(よ)!」」

 

優心「てか何で、愛としてないから妹としてるって、考え方になるの!?」

 

会長「弦巻の言う通りだ!妹とそんなことをするわけないぞ!!」

 

かぐや「はぁ、極度に人と付き合いを恐れる現代社会の闇ですね…。藤原さんもペスとしてるでしょう」

 

会長・優心「してるの!?」

 

千花「してるわけ無いじゃないですか!私を巻き込まないでください!!優心くんも何で信じてるんですか!?いくらなんでも、私がそんな事をするわけ無いって知ってますよね!?」

 

かぐやさんが言ったことで、カオスな状態になってると、いつの間にか冷静になってた会長が、かぐやさんに質問を投げかけた。

 

会長「……四宮、一応聞くが初体験って何の事が知ってるか?」

と質問をすると、"キスの事でしょう"と答えた。

 

それに対して会長が教えようとすると、代わりに千花が代わりに教えた。

 

かぐやさんは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。………そりゃ恥ずかしいよね、キスだと思って話してて実際は違うって分かると。

 

その後、教室に戻ることになり会長と二人で廊下を歩いてると、会長に質問をされた。

 

会長「弦巻は、早坂と付き合った時にキスはしたのか?」

 

優心「…うん。お互いに自分の気持ちを言った後にしたよ。ファーストキスだったしそれに外だったから恥ずかしかったけど」

 

会長「そうか」

 

優心「会長も、かぐやさんと付き合えるように頑張ってね。相手から告白させるにしても自分で告白するにしても、付き合えたらすごく嬉しい気持ちになるし、一緒にいたいとか守りたいとかそんな気持ちが出てくるから」

 

会長「…おう」

 

教室近くになった。会長とはクラスが違うため廊下で別れて、クラスに戻った。

 

 


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