弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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遅くなりました。第19話です。



第19話

 

愛とロゼリアの練習を見に行った土曜日から、二日経った月曜日の放課後。

 

今日は外は豪雨で雷までなるほど酷い状態だった。

 

ピシャァァ‼️

 

千花「キャ⁉️か、雷が落ちましたよ‼️」

 

生徒会室には優以外のメンバー、俺と会長とかぐやさんと千花の四人でいたが雷が落ちたので、雷が無理な千花が悲鳴をあげた。

 

優心「近くに落ちたね、さっきの雷」

 

かぐや「確かに大きかったですね」

 

雷が大きかった事を話してると、また雷が鳴ったので千花が悲鳴をあげた。

 

千花「優心くん!耳を押さえてください。聞きたくないので…!」

 

優心「はぁ…分かったよ」

 

雷の音を聞きたくない千花は、俺に"耳を押さえてほしい"と頼んできたので、呆れながら押さえてあげた。

 

そのままの状態でいると、華さんが声をかけてきた。

 

黒服(華)「優心様、お車の準備出来てます」

 

優心「あ、うん」

 

千花「あ、迎えのタクシーが来たみたいです」

と、同じタイミングで千花が言ってきたので、帰りの車の準備が出来てる俺も帰ろうと思い会長達に声をかけた。

 

優心「会長、俺も千花をタクシーの所まで送ったら車で帰るからね」

 

会長「あぁ、分かった。気を付けろよ」

 

優心「分かってるよ」

 

 

そう返事をして千花の耳を押さえながら、一階の下駄箱がある玄関口まで向かった。近くになると千花が声をあげた。

 

千花「優心くん、ここまででいいです。また明日!」

 

優心「え……う、うん」

 

千花がそう言ってタクシーの所まで行ってしまったので、"うん"としか返事が出来なかった。

 

優心(とにかく、俺も帰ろう)

と、自分の靴を取るために置いてる下駄箱に向かったら、後ろから声をかけられたので、後ろを見るとカッパを着た愛だった。

 

優心「愛…どうしたの?」

 

愛「優心くんにお願いがあるんだけど」

 

優心「お願い?どんなの?」

 

お願いがあると言われたので聞いてみると、"今日は車で帰るの?"と聞かれた。今日は外が豪雨なので車で帰るので、"車で帰るよ"と返事をしながら頷いた。

 

愛「だったら、校門近くで車を停めといて欲しいんだけどいい?」

 

優心「それは構わないけど、もしかしてかぐやさん関係の事?」

 

俺がそう聞くと、愛は頷いて説明をしてくれた。

 

愛「うん。今日、雨すごいでしょ?だからかぐや様が会長の事で何か言うかもしれないんだ。この雨だから車に乗せて家まで送るだとか言ってきそうで……」

 

優心「そうなると愛が乗れないかもしれないから、車で送って貰うかもしれないって訳か」

 

愛「うん。ごめんね」

 

かぐやさんの行動で、愛が四宮の車で帰れない可能性があるからということで、車を校門前で待機して欲しいお願いだった。

 

優心「別に大丈夫だよ。かぐやさんだったらあり得る話だし、何より彼女のお願いだし」

 

愛「ありがと……。あ、優心くんは車で乗って待ってていいよ。こっちがお願いしてるし、私はカッパ着てるからいいけど、優心くんは傘だから風が吹くと濡れちゃうと思うから」

 

俺が"分かった"と返事をすると、愛が"あ、もう一つ"と言ってきた。

 

愛「かぐや様の事だから、確実に失敗するかもしれないから、お願いしたの無駄になるかもしれない。もしそうなったらその時はごめんね」

 

優心「……俺もかぐやさんの手伝いしてるでしょ。だからかぐやさんの行動の結果とかは大体予想できてるから、愛が謝る必要はないよ」

 

愛「ん……」

 

そう言っていた愛に謝る必要ないと頭を撫でながら俺はそう言った。

 

優心「取り敢えず車で待ってるから、無しになったら連絡して」

 

そう言って車の方に向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

~弦巻家・車内~

 

俺はしばらく校門前に止まってる車の中にいた。

 

今日の車は、洗面台やテレビが付いてる車やリムジンではなく、四宮家などの他の金持ちとかが使ってる車だ。

 

車の中で運転席にいる華さんと話してると、愛からメッセージがきた。

見てみると、俺と愛が話してた通り会長を車に乗せて一緒に帰る作戦を企ててたらしいが、それが無駄になったので四宮の車で帰ることになったとのメッセージだった。その事に返事をしてから、華さんに家まで運転をお願いした。

 

車が動き出してからしばらくして、運転している華さんから声がかかった。

 

黒服(華)「優心様、愛様と帰れなくて寂しいんですか?」

 

優心「まぁ…うん…」

 

黒服(華)「……本当に、優心様は小さい頃から変わらないですね」

 

優心「?……変わらない?」

 

黒服(華)「えぇ、今回は愛様が相手ですが……、優心様が誰かと帰れなくて寂しがる所が変わってないな……と、思いましたので。今は無いですけど、優心様は寂しかったり甘えたくなると、昔から奥様や私にベッタリでしたよね」

 

優心「ちょ……は、華さん!いきなりそんなこと言わないでよ!恥ずかしいから」

 

いきなり華さんが、俺がお母様とかに甘えていたと言ってきたので、恥ずかしくなり反論してしまった。

 

優心「それに何でいきなりその事を言ってきたの!」

 

黒服(華)「最近は甘えてきたり寂しがってる所を、見る事が無くなってたので……。しかし、今日は目に見えて寂しがっている所を久しぶりに見たものですから、昔を思い出して懐かしくなったんです」

 

優心「懐かしくなったって…華さん、お母様みたいなことを言ってるけど…」

 

黒服(華)「ふふ……私は優心様の事を弟みたいだと思ってますよ。小さい頃はお姉様と呼んでくれてたのが懐かしいです。優心様も姉みたいに思ってたから呼んでいたんですよね」

 

優心「……まぁそれはそうだけど……」

と、俺は恥ずかしいと思いながら華さんと、俺が小さい頃の話をしていた。しばらくその話をしていると家に着いたので、その話はお開きになった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~翌日・火曜日の朝~

 

朝に学校に向かってる間に愛からメッセージがきた。

内容は、かぐやさんが熱を出し休むことになり、愛も看病をしなくちゃいけないので休むということだった。

 

"放課後お見舞い行こうか"と連絡すると"うん"と返事が来たので、"分かった、放課後行くね"と送っといた。

 

 

 

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~放課後~

 

 

 

放課後になり俺は生徒会室に向かった。中に入ると会長と千花と優の三人が、トランプで神経衰弱をやっていた。

 

優心「何で神経衰弱してるの?」

 

千花「これでかぐやさんのお見舞いに行く人を決めているんですよ」

 

何でもかぐやさんのお見舞いに行く人を決めるためにしているらしい。

 

俺は愛との約束で行くことになってるので、三人の様子を眺めていた。

 

結果は会長の勝ちだった。千花はイカサマをして負けて一人で早々と帰っていった。

 

帰っていた千花を眺めてると、会長から話し掛けられた。

 

会長「なぁ弦巻。四宮の家まで一緒に付いてきてくれないか?」

 

優心「あ、いいよ。俺もお見舞い行くつもりだったし一緒に行こう。(愛から来てくれって頼まれてるし)」

 

会長「本当か!」

 

"うん"と返事をして、お見舞いに行くために帰る支度をした。

 

 

 

 

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~四宮別邸~

 

生徒会室の出来事が終わってから、すぐに別邸に向かった俺と会長。向かう途中でゼリーなどお見舞い品を買って、今は別邸の門の前まできた。

 

会長「ここが四宮別邸か…。ニュースで知ってたけど実際に見てみると凄いな」

 

会長は別邸の大きさに驚いていた。

 

優心「驚くのはいいけど、取り敢えずインターホンを押そうよ」

 

会長「そ、そうだな」

 

会長がインターホンを押すと、入るように言われた。愛の声だったから、お客様の相手も愛がしてるってことなのかな。と思ってると会長が話しかけてきた。

 

会長「弦巻はここの建物の大きさに驚かないのか?」

 

優心「驚かないよ。うちの家だって大きいから」

 

会長「……なんか、弦巻に共感を求めるのがおかしい気がしてきたな」

 

優心「気づくの遅くない?」

 

会長「いやいやお前って金持ちだけど、趣味がライブ見に行くとか公園で子供と遊ぶとかだし、他だと漫画やゲームにも詳しいし、どっちかと言うと金持ちより庶民的じゃん。だから金持ちだって忘れて聞いちゃうんだって」

 

優心「そんなもんかな?」

と話してると玄関近くになり、愛がハーサカというメイドに変装した状態で出迎えて自己紹介をしてきた。

俺は、前に愛から場所や相手によって色々と変装をしている事、変装している種類(メイドなど)を教えてもらっていたので、見た瞬間に分かった。

見ていると、会長が大きな声で俺に声を掛けてきた。

 

会長「弦巻、メイドがいるんだけど!」

 

優心「そりゃいるでしょ。俺の家にもいるんだから、こういった場所にいるのは当然だと思うけど」

 

会長「…それもそうか」

 

優心「取り敢えず、かぐやさんの部屋に案内してもらおうよ。ハーサカさんお願いしてもいい?」

 

愛(ハーサカ)「かしこまりました。こちらです」

 

かぐやさんの部屋に案内してもらおうとすると、会長がいきなり"代わりにお見舞いの品を渡したいといてくれ"と言ってきた。

 

愛「いきなりへたるなよ

 

優心「何でここまで来てやめるとか言えるのかな。お見舞いしないのは駄目だと思うよ。行くって言ったの会長だよ」

 

取り敢えず会長に一言を言って、かぐやさんの部屋に案内してもらい部屋の中に入った。

 

部屋に入ると、見事なまでに散らかっていた。愛が声をかけると、かぐやさんは"花火を探してる"と言っていたが、愛は素早くベットにかぐやさんを向かわせた。

 

愛(ハーサカ)「ベットに戻ってください。…それよりもお客様がお見舞いに来てくれてまよ」

 

お見舞いの人が来てると聞いたかぐやさんは、会長と俺を見ると大きな声を出した。

 

かぐや「あ!かいちょうと、つるまきくんだ‼️何で家にいるの⁉️家に泊まるの⁉️」

 

会長「泊まんないよ‼️」

 

優心「(熱を出して幼児退行になってる感じなのかな…)俺と会長も泊まらないよ。今日はかぐやさんのお見舞いに来たんだよ」

 

かぐや「私のお見舞い?」

 

優心「うん。かぐやさんが学校休んだから心配で家まで来たんだ。一番心配してたのは会長だよ」

 

かぐや「ほんと?」

 

会長「ま…まぁ心配はしたな」

 

かぐや「つるまきくんも?」

 

優心「それは勿論だよ。だから家まで来たんだよ」

 

かぐや「そっか。ねぇ、つるまきくん。ほんをよんでほしいだけどいい?……はやさかが、よんでくれないの」

 

愛(ハーサカ)「⁉️」

 

かぐやさんと話してると、愛の名前がいきなり出てきた。それに愛が驚き、そういう俺も内心凄く驚いた。

 

会長「ん?早坂……?何で早坂の名前が出てくるんだ。弦巻何か知ってるのか?」

 

愛の名前を聞いた会長が俺に聞いてきたので、咄嗟に"愛が四宮の使用人でかぐやさんの近衛"だと、バレないように嘘を言った。

 

優心「…俺経由で、かぐやさんと愛が仲良くなったんだよ。まぁ、あまり学校で一緒にいる所は見ることは無いと思うけど」

 

会長「なるほど。早坂って、生徒会庶務の弦巻の彼女だし、四宮とも同じクラスだから弦巻経由で仲良くなっておかしくないな。けど何で、今…名前が出てきたんだ?」

 

優心「多分、俺と会長が来る前にお見舞いに来てたんだと思うよ。でも今のかぐやさんの状態だと、愛に本を呼んでもらった記憶は怪しい感じだけどね……」

 

会長「なるほどな」

と、会長に説明した後にかぐやさんに声をかけた。

 

優心「かぐやさん、今は本を読んであげれないから、ゆっくり寝た方がいいよ」

 

かぐや「ん~、…わかった…」

 

かぐやさんがそう返事をすると愛が声を掛けてきた。

 

愛「私はそろそろ仕事に戻ります。白銀様はかぐや様のお相手をお願いします。弦巻様は私と少し来てもらってもよろしいですか?」

 

優心「あ、はい。分かりました」

 

愛にそう言われたので、先に廊下を出た。愛は、廊下に出る前に会長に色々と言ってから廊下に出てきた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

廊下に出ると、愛が口を開いた。

 

愛「…優心くん、来てくれてありがとう。それとさっきのかぐや様が私の名前を言った時の、会長への対処をしてくれてありがとう」

 

優心「どういたしまして。咄嗟に嘘を言ったけどあれで大丈夫だったかな…」

 

愛「多分大丈夫だと思う。むしろ十分だと思うよ。私は優心くんの彼女だから、生徒会所属の彼氏経由で仲良くなるのはあり得る話だからバレないと思う」

 

優心「そっか。まぁ何とかやり過ごせたから良かったよ」

 

愛「ありがとう。…でも、あの状態のかぐや様と普通に話せるの凄いよね。やっぱり公園で子供達と遊んでるから慣れてるって事だよね」

 

優心「まぁ、それが経験になってる感じだね。愛もご苦労様」

と、廊下で愛としばらく話をしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

愛「あの……さ、優心くん」

 

しばらく話してると、愛が少し神妙な曇ったような顔になって声をかけてきた。

 

優心「ん?愛、どうしたの?」

 

愛「優心くんに相談したいことがあるんだけど」

 

優心「(相談……、もしかして悩み……)相談?何?」

 

愛「ここでは出来ないかな。あまり人に聞かれたくないから、人がいない所か聞かれても大丈夫な所」

 

優心「(ここで言えない事、人に聞かれたくないだと相当な悩みの可能性があるな……。)……じゃあ家にくる?うちだったら聞かれても他の家の人間に漏れないよ」

 

愛「うん。でも今日は、かぐや様があんな風になってるから、無理だから明日相談する……」

 

優心「分かった。その時にね」

 

愛「ん……」

 

そう言って俺は、不安そうな顔をしていた愛の頭を撫でてあげた。

 

しばらくそのままでいると、いきなりかぐやさんの部屋のドアが開き会長が走りながら飛び出して行った。

 

俺は"何だろう"と思ったが、時間が遅いので家に帰る事を伝えた。

 

優心「愛、そろそろ帰るね」

 

愛「あ、うん。明日、放課後に相談するから……

 

優心「うん。明日うちに一緒に行くって事で

 

愛とそう約束してから、四宮別邸を出て車で家に帰った。

 

 


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