弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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前回の20話の早坂視点です。

今回は、長くなっています(9400文字ちょっとです)。

では本編をどうぞ



第21話

 

~早坂視点~

 

 

今日の朝。いつも通りら別邸で朝にする必要がある使用人の仕事をしていた。

 

愛(今日の放課後に優心くんに相談しないと……)

と、考えながら使用人の仕事をしているとスマホが震えた。即座に確認すると、優心くんからのメッセージだったので、内容を見た。

 

愛「え?」

 

内容を見てみると、"熱が出たため学校を休む"という内容だった。

 

愛「優心くんが熱出すなんて……。…昨日のかぐや様の熱が移ったのかな……」

 

心配していると、制服に着替えを済ませたかぐや様に、声をかけられた。

 

かぐや「今日は弦巻くん休みみたいね。…早坂、もしお見舞いに行きたいのあれば、今日は学校も仕事も、休んでも良いわよ」

 

愛「い、良いんですか?……いやでも……」

 

かぐや様にそう言われ行きたいと思ったが、朝の使用人の仕事が残ってる為、断ろうとした。

 

かぐや「別に問題ないわよ。弦巻くんと付き合ってるのだから。なにより早坂、凄く心配してる顔をしているわよ。多分使用人の仕事や学校の方も、集中出来そうに無さそうよ」

 

愛(確かに凄く心配はしてる。…けど)

 

かぐや「で、早坂はお見舞いに行きたいの?行きたくないの?」

 

愛「(そう言う聞き方はずるいですよ……)……行きたいです。……なので今日は休ませてもらいます」

 

二択の状態で質問された私は"行きたいと"答え、休むことにした。学校には熱が出て(仮病だが)休む事を伝えた。

 

その後、弦巻家に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

流石に家の場所は分からないので、優心くんに家の場所を聞くためにメッセージを送ったが、返信は来なかった。

 

愛(返事が来ないってことは寝てることかな?まぁ、当たり前だよね。流石に熱が出てる状態だし、かぐや様みたいにならなくても、体がだるくなって寝てしまうから)

と、考えながら、まず商店街の所まで来た。

 

歩いてると、ハロハピのはぐみとポピパの沙綾の二人と会った。

 

沙綾「あれ、愛先輩?」

 

はぐみ「あ、本当だ。愛ちゃん先輩だ。おはよー」

 

愛「沙綾、はぐみ、おはよう」

 

沙綾「おはようございます。…あの愛先輩、今日は平日ですよね?秀知院は休み…とかじゃないと思うんですけど、何でここに……?」

 

愛「朝、優心くんから今日熱が出たから休むって連絡がきて心配したから、お見舞いに行きたくてここまで来たんだ」

 

はぐみ「え、ゆーくん熱出たの!?それって大丈夫なの!?」

 

愛「それは、メッセージの返事が来てないから分からないんだ」

 

沙綾「それは心配ですね。………でもそれ愛先輩、サボりになりません?」

 

愛「…うん、サボりになるね。でもどうしても心配なんだ。優心くんの家には黒服の人がいるから、看病をしてくれるのは分かるんだけど、どうしても心配になったから仮病を使っちゃった…」

 

はぐみ「でも、ちゃんと学校に行かなくちゃダメだよ」

 

愛「それは…そうなんだけど…」

 

沙綾「確かに、彼氏の優心先輩か熱が出たというのは、心配するのは分かりますよ。私も家族や香澄達が、熱を出したりしたら心配しますから。まぁ優心先輩に、心配してたって伝えてください」

 

はぐみ「はぐみも心配してたって、ゆーくんに伝えてね!愛ちゃん先輩」

 

愛「あ、うん。伝えとくね」

 

沙綾「じゃあ、そろそろ学校に向かいますね」

 

はぐみ「愛ちゃん先輩、バイバイー」

と、少し話をして二人は学校に向かった。

 

愛(あ、優心くんの家の場所を聞くの忘れてた。取り敢えず、八百屋や青果店とかで果物とか買った時に、場所を教えてもらえばいいか。……商店街だったらあるはずだよね?)

 

そう思い、周りを見渡してみると銀河青果店を見つけた。なので私はそこに向かい、リンゴなどお見舞いに持っていく果物を選んで買った。

 

商品を買った後に、店主に優心くんの家の場所を聞いた。

 

愛「あの、すみません。優心……弦巻家って何処にあるか分かりますか?」

 

店主「ん、優心…弦巻?…優心がどうかしたのか?」

 

愛「ん?優心くんとお知り合いですか?」

 

店主「まぁな。この青果店の地下に、俺がオーナーやってるギャラクシーって名前のライブハウスがあるんだ。それでライブを見にきてくれたり、うちの娘のますきと仲良くしてもらってる」

 

愛「だから知り合いなんですね。…それで優心くんが熱を出してしまって、今日休むって連絡が来たんです。それで心配で、お見舞いに行こうと思ったんです」

 

店主「あいつが熱を出すなんて珍しいな。……弦巻家はここら一帯で一番大きいと有名な豪邸だから、あっちに向かえばすぐ分かる。同じ塀が長く続くようになったらそれが優心の家の敷地だ」

 

愛「分かりました、ありがとうございます」

 

お礼を言って、家に向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

商店街からしばらく歩いていると、長く続く塀が見えてきた。その横の歩道をそのまま歩いていた。

 

愛(長い…。確かにあの店主の言う通りだ)

と、思いながらしばらく歩いていると、やっと弦巻家に着いた。…ただ…着いたのだが……。

 

愛(ここ一帯で大きい豪邸って店主は言っていたけど……、どう見ても宮殿並みに大きさだ……。車も凄かったけど、家は家で規模が違う。四宮本邸や別邸も大きいのに……)

と、家の大きさに驚いてしまった。

 

愛(あ、まずインターホン押さないと)

 

驚いてしまったが、すぐに冷静になってインターホンを押した。

 

執事〖はい〗

と、男性の声が聞こえた。

 

愛「(男性の声だから執事かな?)…あの、弦巻優心くんのお見舞いに来た、早坂愛です」

 

執事〖早坂愛様ですね。どうぞお入りください〗

 

優心くんのお見舞いに来た事と自分の名前を言うと、そう返答があり門が開いた。中に入り玄関先に向かって歩いてると、前から黒服の人が来た。

 

黒服(華)「愛様、お荷物お持ちします」

 

愛「え、あ、ありがとうございます。……声的に…優心くんの護衛をしている黒服の女性ですか?」

 

荷物を持ってくれた黒服の人にお礼を言いつつ、"優心くんの護衛をしてる女性の人か"と聞いてみた。

 

黒服(華)「はい、そうです。…まだ名前を名乗ってなかったですね。…私は華と申します」

 

愛「華さんですか。よろしくお願いします」

 

家の中に入り優心くんの部屋まで案内してもらった。部屋に入ると、優心くんはベットで熟睡していた。

 

優心くんの部屋は色々置いてあった。ゲーム機や漫画などがあり、アクションなど色んなジャンルが置いてあったが、特に驚いたのは少女漫画の一作品があったことだ。

 

愛(タイトルは…今日はあまくちで?……変な名前。……他には何かあるのかな?……ミッシェルのぬいぐるみもあるし公園で遊んでる子供との写真や、バンドメンバーとの写真もある)

 

他にも見ていると、気になった写真を見つけた。

 

愛(これは…ポピパの皆と一人の女性と一緒に写ってる写真。ライブハウス…スペース…)

 

写真を見ていると部屋に華さんが入ってきた。私が持ってた写真を見た華さんが教えてくれた。

 

黒服(華)「これは、ライブハウスのスペースが閉店するということでしたので、優心様の希望で撮った写真ですよ」

 

愛「…この写ってる女性は誰です?」

 

黒服(華)「スペースのオーナーの都築詩船(つづきしふね)様です。優心様と詩船様はよくお話ししてましたし、今でもお会いになってます」

と、聞いた私は優心くんの人脈というか知り合いの多さに驚いた。

 

 

私はしばらく華さんと話をしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

話をしていた華さんは、仕事に戻っていったので、私一人で部屋で過ごしていた。ふと優心くんの顔を見ると少し苦しそうだった。それを見た私は、無意識に頭を撫でていた。

 

優心「ん…、お母様……こころ……」

 

少し撫でてると、穏やかな顔になって小さく寝言を言っていた。

 

愛(なんか優心くんの頭を撫でるのもいいかも。……落ち着いたから撫でるのやめてもいいけど、まだ撫でたいからこのままでいよう)

と、思ったので、しばらく頭を撫でていた。そのままでいると、優心くんが目を覚ました、

 

優心「ん…愛?何で、愛が家に?」

 

目を覚ました優心くんがそう聞いてきたのでお見舞いに来たことを伝えた。

 

愛「優心くんの事が心配だから来たんだよ。今日の朝に連絡来てびっくりしたんだから」

と、教えると優心くんは謝って撫でてる理由を聞いてきた。

 

愛(別に謝らせるつもりで、言った訳じゃないのに)

と思いながら、撫でてる理由を教えつつ"嫌なのか"と聞いてみた。

 

愛「優心くんの寝顔が、最初苦しそうだったから撫でてたんだ。そしたら穏やかな寝顔になったから撫でるのやめようと思ったけど、まだ撫でたかったから撫でてたの。…もしかして嫌だった?」

 

優心「ううん、嫌じゃないよ。撫でられてたから…凄い懐かしい夢見てたんだ…」

 

愛「夢?」

 

撫でられるのは、嫌じゃないと言ってくれたので安心したが、夢を見たと言ってきたので、夢の内容を聞いた。

 

愛「家族で出掛けててお母さんに頭撫でられる夢か……。何かそういうのいいね」

 

聞いてみると、優心くんとこころが、弦巻家の別荘があるの山の麓に家族と出掛けてた夢を見たらしい。

 

優心「うん。…まぁ今はお母様達は忙しいから、中々出掛けるの難しいけどね」

 

愛(そうなんだ。少し寂しそう……)

 

寂しそうな顔を気になったが、優心くんに熱を測ってもらった。測ると37.5℃で、"朝より下がった"と伝えてくれたと同時に、今の時間を聞かれたので教えてあげた。

 

愛「お昼の12時だよ」

 

優心「12時…学校はどうしたの?」

 

愛「学校は休んだよ。さっきも言ったけど心配だったんだ。かぐや様に許可もらって学校に連絡して休ませてもらったんだ」

 

時間を教えると学校の事を聞かれたので、休んでお見舞いに来たことを教えた。伝えるとお礼を言われたので、それに返事をしてからお昼の事を聞いた。

 

愛「うん、どういたしまして。……お昼はまだだよね。お粥作ろうと思ってるけど食べれる?」

 

優心「大丈夫だよ。熱も下がってたし、体の調子も朝よりはマシになったから食べれるよ。キッチンは…華さんに案内してもらった方がいいかな……」

と、優心くんがそう言っていると、"ガチャ"と部屋のドアが開いた音がした。

 

黒服(皐)「優心様、熱出たって聞いたけど大丈夫?」

 

ドアの方を見ると、そう言いながら華さんじゃない黒服さんが部屋に入ってきた。そのまま二人は話を始めた。

 

愛(話を聞いてると皐って名前だよね。皐って確か…前に教えてくれた同い年の黒服さんの事だったよね……)

と、思った私は確認の為に優心くんに質問した。

 

愛「あ、あの…優心くんこの人は誰?服装を見れば黒服の人と分かるけど」

 

優心「前に言った同い年の黒服の皐だよ」

 

聞いてみると、私が思ってた通りだった。

 

皐さんは優心くんに質問をして少し話をしてから私に声をかけてきた。

 

黒服(皐)「私は皐です。奥様から話は聞いています。優心様の彼女の早坂愛さんですね。よろしくです」

 

愛「あ、はい。よろしくお願いします」

 

皐さんに挨拶をされたので私も挨拶をした。その後、皐さんからキッチンまで案内してもらう事になった私は、隣を歩いてる皐さんに質問した。

 

愛「あの、優心くんから不良だったと、聞きましたけど……。どういう経緯で弦巻家の使用人になったんですか?」

 

黒服(皐)「簡単に言うと、こころ様に声を掛けてもらったんです。で、旦那様からの条件をクリアして、今に至る感じです」

 

愛「こころから……。その、条件というのは?」

 

黒服(皐)「……優心様の彼女さんですから、時間がある時にでも詳しく説明しますよ。……と、ここがキッチンになります」

 

愛「あ、ありがとうございます」

 

話してる途中でキッチンに着いた。皐さんの事はいつか話してくれるそうなので、今は優心くんにお粥を作ることを優先した。

 

 

 

お粥を作り終えて、部屋で優心くんに食べてもらうと、美味しいと言ってくれたのが嬉しかった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

優心「それで昨日言ってた相談は何?」

 

お粥を食べてもらったあと、お皿を片付けてから優心くんに相談の事を聞かれたので、私は話し始めた。

 

愛「あ、うん。まず私は、四宮家長男の黄光様の指示で、かぐや様の行動とかを一挙一動報告するために、近衛としてかぐや様に送り込まれたんだ。スパイみたいな感じかな。でも……本当はやりたくなかった…!でも私と私の家が四宮家で生き残るには、黄光様に取り入る他なくて…言われた通りにするしかなかった……」

 

話していく内に、下を向いていった。優心くんは黙ったままだったので、一旦区切りを付けて優心くんの顔を"チラッ"て見ると、何か怒ってるような顔だった。…が、続きの話を進めた。

 

愛「…今までかぐや様に対する罪悪感で、心がつぶれそうだったんだけど我慢をしてた!けど優心くんの彼女になって、ハロハピとかのバンドの皆と仲良くなった。優心くんと、純粋に頑張るバンドの皆と仲良くなる度に……日を重ねる毎に…罪悪感が大きく…なっていった…!…もう……辛いよ……優心くん……助けて……!」

 

私は話していく内に、辛くなっていった。

 

そして話の最後には堪えきれずに、優心くんに抱きついて大声で泣いてしまった。でも優心くんは私の背中を擦りながら泣き止むまでしばらくそのままでいてくれた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

優心「愛、ごめん」

 

愛「え…?何で…優心くんが謝るの?」

 

しばらく泣いて、やっと落ち着いた私に優心くんが謝ってきた。何で謝ってきたのかが分からなかったので、何で謝ったかを聞いた。

 

優心「愛のその悩みに気付いてあげられなかったから。…いや、本当は何となく気付いてはいたんだけど」

 

愛「気付いてた?」

 

優心「愛と遊びに行った時や一緒に帰った時とかに、たまに曇った顔を一瞬見たことがあったんだ。"悩みがあるのかな…"とか思ってたんだけど、でも一瞬だったから本当かどうか分からなかったから聞けなかったんだ。だからごめん」

と、優心くんに言われた。

 

 

愛「……謝らなくてもいいよ……。私だって助けて欲しかったのに、今まで黙ってたんだから」

 

優心くんは、自分のせいだと言っていたが、私も黙ってたのが悪いってことを伝えた。でもその後もお互いに謝り続ける事になったが…。

 

優心「じゃあ、どっちも悪いって事で手を打つ?」

と、優心くんからそう言われたので私は"うん"と返事をした。

 

優心「聞きたいけど、四宮の使用人を辞めた後は、何かやりたいとか考えてるの?」

 

返事をした後に、優心くんから使用人をやめたあとの事……、今後の事を聞かれたので、自分の考えてる事と思ってる事を伝えた。

 

愛「…辞めたら、自由になれるから、折角だし世界を見て回りたいかなって思ってたけど、それは優心くんといれば叶えられそうだけどね。…まぁ、優心くんやバンドメンバーの皆、学校の皆とかとやりたい事をのんびり探そうかなって思ってるよ」

 

優心「そっか。それは追々、見つけていくって事でいくとして…、じゃあかぐやさんとの関係の事は?」

 

愛「……主従とか関係なく友達として仲良くしたい。一緒に学校に登校したり、人の目を気にしないで教室とかで話したりして過ごしたいと思ってるし、あと他のクラスの人達とも友達として仲良くなりたいと思ってるよ」

 

かぐや様との関係の事も聞かれたのでそれも答えると、優心くんはしばらく黙ってしまった。

 

愛(優心くん、いきなり黙ったままになったけどどうしたんだろ?)

 

いきなり静かになった事に疑問に思いながらもしばらく待ってると、優心くんが口を開いた。

 

優心「愛、弦巻家の使用人にならない?」

 

愛「……え?どういう意味……?」

 

優心くんが言ってきた意味が分からなかった。その為、返事が遅れてしまったが、"何で?"という質問をした。

 

優心「愛が四宮の使用人を辞めたら、多分四宮兄弟の各派閥から狙われる可能性が高い。理由はかぐやさんの情報を持ってるから、情報を引き出す為に拉致されるかもしれない」

 

優心くんが言ってきた事は、確かにあり得ることだった。それに"確かに"と返事をしつつ、だから"弦巻家の事を言ったのか"と質問した。

 

優心「そう。"弦巻家の人間"ということになれば、狙われる可能性は無くなるとは言えないけど、格段に低くなると思ったんだ。そうすればかぐやさんと友人関係に、学校の他の人と仲良くなれると思うんだ。愛はどうしたい?」

 

愛「……そうなったら安全になるし、私も狙われるのが少なくなれば安心するし、かぐや様とも友達になれると思う。でも優心くんのお父さんたちは許可してくれるの?」

 

話を聞いて、かぐや様と友達になれると思うことを伝えたが、優心くんの親が使用人の事を許可してくれるのかと思ったのでそれを聞いた。

 

優心「まぁ承諾してくれると思うけど、電話で聞いてみる」

と、電話をすると言って優心くんは電話を始めた。しばらく電話をしている優心くんの言葉を聞きながら待っていた。

 

優心「……次期は俺じゃなくて、こころだからね」

 

待ってる間、ふとその言葉が気になった。

 

愛(じき?…次期って事?漢字からして…次期当主か社長って想像できる…。てことは、こころが当主とかになって、優心くんはならないってことなのかな?)

と、次期という言葉から、考え込んでいると優心くんから声を掛けられた。

 

私は"どうしたの?"と優心くんに聞くと、弦巻家当主の弦巻誠心さんが、使用人について説明してくれると言われた。

 

私は驚きつつスマホを受け取った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

優心くんのお父様と話をすることになったので、優心くんから渡されたスマホに耳をあてて、自分の名前を言った。

 

愛「あ、あの早坂愛です」

 

誠心『優心の父の誠心だ。いつも優心が世話になってるね。迷惑はかけてないかい?』

 

愛「い、いえ、自分の方が迷惑をかけてしまってます……。でも一緒に居てくれますし、楽しいです……」

 

誠心『そうか、そう言ってくれると親としても助かるよ。……まぁ、息子の話はここまでにして、本題に入ろうか』

 

愛「は、はい」

 

誠心『さっきの優心からの電話で、話を聞いているよ。私と妻の心美は反対はしないから、優心が言っていた通り君を……下の名前で呼ばせてもらうが、愛を弦巻家の使用人にするのは賛成だ』

 

愛「本当ですか?……でも、元々四宮の人間なのにそう簡単に決めてもいいんですか?」

 

誠心『調査などで君は信用できる人と判断した。他にも色々あるが、今はそれが理由じゃ駄目か?』

と、言われた私は何も言えなかった。静かになっていると、誠心さんから声が掛かった。

 

誠心『……取り敢えず、弦巻家の使用人についてだが、雁庵と君の親と話をするのと、その他諸々の処理に時間が掛かってしまう。だから、正式に決まるのは夏休み明けになってしまうが、構わないか?』

 

愛「あ、はい。えっと決まるまでは構わないです。私の為に動いてくれるだけでもありがたいですから」

 

本題である使用人の話の説明を受けた。話を聞くと処理などで全て終わるのは夏休み明けと説明を受けた。その事を確認をされたが、私は動いてくれるのがありがたかったので、大丈夫な事を伝えた。

 

誠心『そうか。あと一つ言っとくことがあるが、君の両親には私からも話をするが、自分からも話しといた方がいいだろう』

 

愛「……確かにマ……母は雁庵様の付き人をしてますし、自分からも話を通してた方がいいですね」

 

誠心『まぁあとは、言いづらいと思うが……四宮の令嬢にも伝えといた方がいいぞ』

 

使用人の事について、ママには誠心さんからも伝えてくれるみたいだが、そしてかぐや様には自分から伝えとくようにと言われた。

 

愛「そ…そうですね……。でも、優心くんに隣に居てもらうようお願いして話します」

 

かぐや様に伝えづらいが、優心くんと一緒に伝える事を言うと、"そうか"と一言呟いていた。

 

そう呟いた誠心さんに、私からも一つ聞いておきたい事を聞いた。

 

愛「黄光様に情報流すのをやめても、手を出されないでしょうか?」

 

誠心『それはしなくても大丈夫と言える。……確かに流すのをやめた途端に狙われるかも…と、心配するのは当然だと思う。ただ、その辺りはこちらで手を打つから心配するな』

 

愛(雁庵様と違って、本当にどうにかしてくれると信じれる。声色からそうするっていうことが伝わるからかな…)

 

弦巻家当主からハッキリと、"心配するな"と言われると安心した事に不思議に思っていた。

 

誠心『正式に決まる夏休み明けまでは、四宮の使用人としていてもらう事になるが、構わないか?』

と、最後に誠心さんから確認された私は大丈夫なことを伝えた。

 

愛「はい。それで大丈夫です」

 

誠心『じゃあ話は終わりだ』

 

愛「ありがとうございます」

と、私はお礼を言って通話を切ってスマホを優心くんに返した。

 

愛「優心くん、スマホありがとう。…それでお願い…なんだけど、かぐや様に私がやっていた事を伝えたいんだけど……一緒に来てくれる?」

 

優心「勿論。俺も弦巻の使用人についても説明をしなくちゃいけないから、一緒にかぐやさんに説明しよう」

 

優心くんに、私がやってた事をかぐや様に伝える際にいてほしいとお願いすると、快く快諾してくれた。

 

その次に最後に言われた"決まるまで四宮の使用人のまま"という事と、"黄光様などが関係してるのかな"と、私が言うと優心くんが答えてくれた。

 

優心「そうだと思う。弦巻の使用人になる前に手荒な事をする可能性が高いから、多少少なくするのが目的だと思う。別邸に居ればかぐやさんと行動をすることが基本だし、学校にいると手を出すのが難しいからね」

 

愛「なるほど、確かに……。(……優心くんの言うことは理解は出来るが、でも…四宮のままでも大丈夫なら弦巻家の使用人になる必要は無いはず……)」

 

優心くんに答えてくれた四宮の使用人の事を考えていると、優心くんが"もう夕方"と呟いたので、私も外を見て見ると夕方だった。

 

愛「あ、本当だ」

と、思っているとドタドタと足音が聞こえてきた。近づいてくると、部屋の扉が"ドンッ!"と大きな音をたてて開いた。

 

愛「ッ!?」

 

優心「あ、やっぱり、こころだった。お帰りこころ」

 

扉を開けたのはこころだった。入ってきたこころは、私に気付かずに優心くんの隣まで近づき熱の事を聞いていた。

優心くんが大丈夫だと答えると、こころが私に気が付き質問してきた。

 

こころ「あら、愛がいるわね。何で家にいるのかしら?」

 

愛「優心くんのお見舞いに来たんだ。私も優心くんの事が心配だったから」

 

家にいる事を聞かれたのでお見舞いに来た事を伝えた。

 

こころ「そうなのね!お兄様、今日学校でね……」

と、笑顔で返事をしてから優心くんに学校であったことを話し始めた。

 

その話題に私も加わって三人でしばらく話をした。こころは、いつも笑顔で楽しそうに話すので聞いてるこっちも楽しくなる。

 

三人でしばらく話してると、優心くんが時間の事を言われたので、時間を見てみると19時近くだった。

 

愛「え、あ、ほんとだ。もうこんな時間。じゃあそろそろ帰るよ」

 

優心「じゃあ車で送ってもらうようにするよ」

 

そろそろ帰ることを優心くんに伝えると、車で送ってくれると言ってくれたので、帰る支度を始めた。

 

こころ「愛はもう帰るの?」

 

愛「あ、うん。まだ話したりしたいけど、流石に家に帰らないと……」

 

帰る支度をしていると、こころに"帰るの?"と聞かれたので、帰ることを伝えた。

 

するとこころは私がビックリすることを言ってきた。

 

こころ「だったら、うちに泊まったらいいわ。そうしたらご飯の時や寝るまでの間、話したり出来るでしょ」

 

愛・優心「「え?」」

 

泊まることを提案してきた事だった。優心くんを見てみると、驚いている感じだった。

 

私はどう返事をしようかと悩むのに、しばらく黙ってしまっていた。

 





今回、バンドリのバンドの一つである、ラスのメンバーのマスキング(佐藤ますき)のお父さん…銀河青果店の店主兼ライブハウスギャラクシーのオーナーを出しました。

アニメでは一言も喋ってないですし、ラスのコミックでは喋っているシーンがあるんですが、特徴を捉えてない喋り方かもしれません。この口調などは違うんじゃないかと思うかも知れないですが、そこはご了承ください。

あと、ライブハウス、スペースのオーナーの名前だけ登場させました。本人は自然に出せる様な話で出したいなと思ってるので、待っててもらえたらありがたいです

次回は、前回の後書きで書いた通り。こころの言った家にお泊まりに関する話を、書いて投稿予定です。

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