弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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前回の21話の続きで、愛がこころに泊まりの誘いを受けた後の話です。



第22話

 

こころが、いきなり家に泊まればいいと言ったので、俺と愛は驚いてしまった。

 

愛「それは、確かにそうだけど、いきなり泊まると家の人達が困ったりしない?」

と、愛はこころにそう言った。

 

こころ「それは大丈夫よ!だって執事もメイドさんも黒服の人も、皆優しいから!……愛は、泊まるのは嫌なのかしら?私は愛とお泊まりしてみたいの!今まで家に友達が泊まりに来たこと無いから憧れてたの!」

 

愛「……」

 

こころからそう言われた愛は、考え込み始めた。暫く待ってると、俺に声をかけてきた。

 

愛「優心くん、かぐや様に泊まってもいいか、確認の連絡していい?」

 

優心「うん。連絡していいよ」

 

愛「それと、使用人の事はいつ話すことにする?」

 

優心「話すんだったら早い方がいいと思う。遅くなればなるほど話しづらくなるから」

 

愛「じゃあ……明日の放課後……に、話すでもいいかな……?優心くんは明日大丈夫?」

 

優心「うん、大丈夫だよ。話す場所は……、いつも愛と話すのに使ってた空き教室でするでいい?」

 

愛「……あそこで?……まぁあそこは人が基本は来ないけど、そこで話すなら、警戒しといた方がいいよね」

 

優心「だね。あとで華さんと話しとくね」

 

愛「分かった。電話してくる。その後に、空き教室を提案したか理由を教えてね」

 

愛が、そう言ってきたので頷いた。頷いたのを見た愛は、部屋から廊下に出ていった。

 

愛が戻ってくるまで、俺はしばらく待った。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

こころ「だったら家に泊まればいいのよ。そうすれば、ご飯食べてる時も話したり出来るでしょ!」

 

笑顔のこころに、そう言われた私は驚きを隠せなかった。確かに私が"もう少し話したい"と言ったから、こころがそう言ってくるのは分かるし、その提案には納得は出来た。…が、私はこころに質問した。

 

愛「それは、確かにそうだけど、いきなり泊まると家の人達が困ったりしない?」

 

私は、こころに弦巻家の人の事を聞いた。私がいきなり泊まると、弦巻家の使用人達に迷惑にならないかと心配した。

別邸でも、予定に無い急な来客があると、私や他の使用人達は困る。だからこころに質問をした。

 

こころ「それは大丈夫よ!だって執事もメイドさんも黒服の人も、皆優しいから!……愛は、泊まるのは嫌なのかしら?私は愛とお泊まりしてみたいの!今まで家に友達が泊まりに来たこと無いから憧れてたの!」

 

私の言葉に、こころは目を輝かせてそう言ってきた。その上でこころは、私と"お泊まりしたい"と"憧れてた"とキラキラな笑顔でそう言ってきた。

 

愛(こころのお願いって断りづらい……。憧れてたとかを笑顔で言われたら断るの無理な感じがする。……それに、今はかぐや様に顔を会わせづらいし、色々と優心くんに聞きたい事もある。……かぐや様に電話して、泊まってもいいか聞いてみよう)

 

私はそう思ってかぐや様に"泊まってもいいか"確認する為、電話をする事にした。優心くんに電話をする事を伝え、部屋から出て、廊下で電話をした。

 

愛「かぐや様、少し聞きたいことがあるのですが…」

 

かぐや『もしかして、弦巻くんの家に泊まる…、泊まりたいってお願いかしら?』

 

私が聞こうとした事を、かぐや様にいきなり言われた。その事に"え?"と返してしまった。

 

かぐや『何を驚いているのよ。だって、早坂は弦巻くんのお見舞いに行ってる上に、この時間に早坂は帰って来ていない。そして電話をしてきた。帰ってる事を伝えるなら、メールだけでも済むはずよ。だから早坂が言う事は、予想できるわ』

 

愛「かぐや様の言う通りですけど、弦巻くんの家に泊まってもいいですか?」

 

かぐや『この時間から帰ってきても、中途半端になってしまうと思うから、泊まっていいわよ。ただし、明日からしっかり仕事をしてもらうから』

 

愛「あ、はい。……ただ、明日の放課後に大事な話があります。なので放課後に、時間を作ってもらってもよろしいですか?」

 

かぐや『明日の放課後に大事な話?今、話せない事なの?』

 

愛「はい。直接言わないといけないことなので。それと優心くんと一緒に、かぐや様に話をしますので」

 

かぐや『弦巻くんと……?……分かったわ。放課後ね』

 

愛「はい」

と、返事をしてから優心くんの部屋に戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~優心視点~

 

 

 

しばらく経つと、愛が電話を終えた。

 

愛「かぐや様から、許可をもらったから今日は泊まるね」

 

優心「分かった。服とか必要な物があると思うから、その辺は華さんや皐に頼んだ方がいいかな」

 

そう言った俺は、ベットから降り、部屋から顔を出して近くにいたメイドさんに声をかけた。

 

優心「ねぇ、メイドさん」

 

メイド「優心様、どうかされました?」

 

優心「華さんと皐の二人が何処にいるか分かる?」

 

メイド「この時間帯のお二人でしたら……。自室にいらっしゃると思いますが、私がお呼びしますので少々お待ちください。」

 

優心「いや、いいよ。自分で呼びに行くよ」

 

メイド「優心様は、先ほどまで大切なお話をされてたと聞いております。特に優心様は体調を崩されてましたし、今は病み上がりなのですから少しのんびりと過ごしておいてください」

 

優心「…うん…分かった。お願い」

 

メイド「はい♪では呼んできますので少々お待ちください」

 

愛「(メイドさん、頼られて嬉しそうだったな……)……そうだ、優心くん。聞きたい事があるんだけど、今聞いてもいい?」

 

優心「あ、うん。何?」

 

メイドさんに華さんと皐の事をお願いすると、"愛に聞きたい事がある"と言われた。俺は内容を聞こうとしたが、"コンコン"とノックをされた。

 

優心「あ、愛ごめん。入っていいよー」

 

黒服(華)「失礼します。優心様、用事があると聞きましたが」

 

ノックをしたのは華さんだったので、愛の服についてお願いした。

 

 

 

服をお願いしたあと、晩御飯を三人でご飯を食べた。

 

さっきまでのこころや愛とのやり取りの間に、ご飯の準備が出来ていたみたいだった。

 

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

 

ご飯を食べ終わったあと、こころの部屋で三人で話をした。

 

こころ「それでね、学校の帰り道に音が聞こえたから、音がする方に向かったら、巴が太鼓を叩いてたの!」

 

優心「あ、あったな。お祭り当日にこころと香澄と美咲が、和太鼓叩いたやつだ。それに凄く雨が降ってた時のお祭り」

 

こころ「そうなの!」

 

愛「雨だったのにやったの?」

 

優心「うん、やってたよ。まぁお祭り自体が、昔に晴天祈願が目的でやってたお祭りだったらしいけど」

 

愛「へ~」

 

こころ「だから、あたしたちが晴れるようにするって言って和太鼓を叩いたの!そうしたら少しずつ晴れていったの!」

 

こころがそう言うと、愛は驚いた顔をしながら俺の方を向いてきた。それで"本当…?"と聞いてきたので、俺は頷いた。

 

優心「実際に晴れたから、皆でお祭りを屋台を見て回ったらしいよ。楽しかったんだよね、こころ」

 

こころ「ええ!楽しかったわ❗金魚すくいも射的も、綿菓子も初めて食べたけど美味しかったわ」

 

愛は、こころの感想を微笑みながら聞いていた。しばらくするとこころが眠そうにしていたので、寝るように言って寝てもらった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

こころが寝たのを確認してから部屋を出て、愛と一緒に愛が寝るお客様用の部屋に向かい、そこで愛が聞きたい事を質問した。

 

優心「愛、聞きたい事って?」

 

愛「誠心さんが言ってた事なんだけど、私が弦巻家の使用人に正式に決まるまで、四宮のままになったでしょ。それで黄光様達…兄弟達に狙われにくくするのが理由じゃないかって優心くん言ったでしょ」

 

優心「うん、言ったね」

 

愛「それだったら、わざわざ"弦巻家の使用人になる必要は無いんじゃないか"…と、私は思ったんだ。確かに弦巻家の使用人になれば狙われる事は少なくなるのは当然だと思うよ。でも何でなのか気になって」

 

優心「それだと、各派閥の息の掛かった人を別邸に向かわせて、監視させると思うんだ。それで愛の行動を監視して狙いやすい所を割り出す事をするはずなんだ」

 

愛「…それで、一瞬の隙をついて私を拉致してから、脅して聞き出すって訳ね」

 

優心「そう。それでかぐやさんとの関係も壊すつもりだと思うよ。そうなればかぐやさんと友人関係になる事は無理だと思う。狙いにくい弦巻家の使用人にさせる事にしたんだ」

 

愛「なるほど……。あ、そういえば、"弦巻家を敵に回す事は、世界を敵に回す"って言われてたよね」

 

優心「うん。だから手出ししにくいんだ。まぁそれでも、そんなの関係なく手を出してくるかもしれないけどね」

 

愛「なるほど。教えてくれてありがとう」

 

優心「どういたしまして。…他にも聞きたい事はある?」

 

愛「えっと、優心くんが電話してる時の事なんだけど、"次期はこころだよ"って言ってたけど当主とかの事だよね?」

 

使用人について愛に説明をしたあとに、他に聞きたいことがあるか聞いてみた。

すると、跡取りの事を聞いてきた。俺とお父様の電話の時に、俺が言った一言が気になったかららしい。

 

優心「そうだよ。こころが次期当主兼社長だよ」

 

愛「優心くんは継がないの?」

 

優心「俺は、代理になるつもり。次期当主兼社長"代理"だよ」

 

愛「でも何でこころが……?」

 

優心「こころだから…、だよ」

 

愛「こころだから……?」

 

優心「"世界を笑顔に"……。それを出来るのは、こころだけだから。こころは、何でも出来ると信じて疑わないんだ」

 

愛「あぁ、確かに、さっきのお祭りの話もそうだったね」

 

優心「うん。それに壁を作らず屈託のない笑顔で誰でも話すし、裏表が多い所で過ごす事がある世界の要人達もこころとは自然体で過ごせてるし仲が良いよ。だから、こころなら実現してくれると思わせてくれるんだ」

 

愛「凄いね……。でも確かにこころって、自由奔放で行動が読めない所があるけど、人を惹き付けて夢を見させてくれる感じだよね。自然と出来るんじゃないかって思えてくるしね」

 

優心「そういうこと。カリスマがあるから」

と、こころが次の跡取りの理由を話すと、愛は驚きながらも、こころが次期当主なのを納得をしてくれた。

 

愛「あ、最後に一つ。かぐや様に私の使用人の事を伝える時に、何で空き教室で話すことにしたの?」

 

跡取りの事を説明したあとに、愛の事を話す際に空き教室で話す理由を聞かれた。

 

優心「簡単だよ。放課後家で話す時、こころが家にいるかもしれないからだよ」

 

愛「……あぁ~。家に着いた頃に、かぐや様と初めて会うこころが家にいたら、かぐや様に色々質問するかもって事ね。それで使用人の事が話せなくなるから、空き教室にしたんだ」

 

俺がこころの名前を出すと、愛はすぐ答えを出して納得してくれた。愛が納得してくれた所で、俺は眠くなってきて、あくびが出た。

 

愛「優心くん、眠くなってきたの?」

 

優心「……うん。そろそろ寝る事にするから、部屋に戻るね」

 

愛「うん。……優心くん、おやすみ」

 

優心「おやすみ」

 

"おやすみ"と言ってから部屋に戻り、眠りに就いた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

~早坂視点~

 

 

こころが寝たあと私が泊まる部屋まで案内してくれた。案内された部屋に入ると、優心くんやこころの部屋と同じような部屋だったので驚いた。

 

優心「愛、聞きたい事って?」

 

驚いてると優心くんに話を促されたので、ベットに腰かけて話を始めた。

 

愛「(ベット、ふかふかなんだけど……。いやいや話さないと)……えっと誠心さんが言ってた事なんだけど、私が弦巻家の使用人に正式に決まるまで、四宮のままになったでしょ。それで黄光様達…兄弟達に狙われにくくするのが理由じゃないかって優心くん言ったでしょ」

 

優心「うん、言ったね」

 

そう返事が来たので、私は"四宮のままでもいいんじゃないか"と聞いた。

 

優心「それだと、各派閥の息の掛かった人を、別邸に向かわせて監視させると思うんだ。それで愛の行動を監視して狙いやすい所を割り出す事をすると思う」

 

愛「それで隙をついて、私を拉致し脅して聞き出すって事になる訳ね」

 

優心くんの説明に私が答えると、優心くんは頷きながらまた説明してくれた。

 

優心「そう。それでかぐやさんとの関係も、壊すつもりだと思うよ。そうなればかぐやさんと友人関係になる事は、無理だと思う。だから弦巻家の使用人にさせる事にしたんだ」

 

話を聞いて"なるほど"と呟きながら、聞いた情報を頭の中で整理していると、思い出した事があった。

 

愛「あ、そういえば、"弦巻家を敵に回す事は、世界を敵に回す"って言われてたよね」

 

優心「うん。だから手出しがしにくいんだ。まぁそれでもそんなの関係なく手を出してくるかもしれないけどね」

 

愛「なるほど。教えてくれてありがとう」

 

弦巻家が周りから何て言われてるかを思い出してから、優心くんの説明に納得が出来た。なので優心くんにお礼を言った。

 

優心「どういたしまして。……他にも聞きたい事はある?」

 

愛「えっと、優心くんが電話してる時の事なんだけど、"次期はこころだよ"って言ってたけど当主とかの事だよね?」

 

納得した事を伝えると、他に聞きたいことがあるか聞かれたので、跡取りの事を聞いた。

 

優心「そうだよ。こころが次期当主兼社長だよ」

 

愛「優心くんは継がないの?」

 

優心「俺は、代理になるつもり。次期当主兼社長"代理"だよ」

 

愛「でも何でこころが……?」

 

優心「こころだから…、だよ」

 

愛「こころだから……?」

 

そう言われた私は優心くんの言った事を、オウム返しで聞き返した。

 

優心「"世界を笑顔に"……。それを出来るのは、こころだけだから。こころは、何でも出来ると信じて疑わないんだ」

 

こころの性格に、和太鼓の話を思い出しながら納得している事を伝えると、優心くんは頷きながら話を続けてくれた。

 

優心「うん。それに壁を作らず屈託のない笑顔で誰でも話すし、裏表が多い所で過ごす事がある世界の要人達もこころとは自然体で過ごせてるし仲が良いよ。だから、こころなら実現してくれると思わせてくれるんだ」

 

次に聞いた優心くんの説明に、私は驚いてしまった。世界の要人と仲良しって……凄すぎる。

 

愛「(それは)……凄いね……。でも確かに、こころって自由奔放で行動が読めない所があるけど、人を惹き付けて夢を見させてくれる感じだよね。出来ると思わせてくれるというか」

 

優心「そういうこと。カリスマがあるから」

 

私は、"カリスマという言葉だけで片付けていいのかな……"と、思いながら最後に一つ聞いた。

 

愛「あ、最後に一つ。かぐや様に私の使用人の事を伝える時に、何で空き教室で話すことにしたの?」

 

優心「簡単だよ。放課後に家で話す時、こころが家にいるかもしれないからだよ」

 

愛「……あぁ~。家に着いた頃に、かぐや様と初めて会うこころが家にいたら、かぐや様に色々質問するかもって事ね。それで使用人の事が話せなくなるから空き教室にしたんだ」

 

こころの名前を聞いて、私がそう答えると、優心くんは頷いてくれた。納得してると優心くんがあくびをしていた。

 

愛「優心くん、眠くなってきたの?」

 

優心「……うん。そろそろ寝る事にするから、部屋に戻るね」

 

"眠くなったの?"と聞くと、頷いて"寝る"と言ってきたので、"おやすみ"と伝えた。

 

愛「うん。……優心くん、おやすみ」

 

優心「おやすみ」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

優心くんが部屋から出ていってから、ベットに入った。

 

愛(でも本当に意外だったな。こころが次期当主で、優心くんは継がないのは。でもどっちがトップでも、"世界を笑顔に"する事は出来ると信じれるのが凄い所だけど…)

 

そう考えていると、眠気が襲ってきた。

 

愛(眠くなってきた。ベット気持ちよすぎる…)

 

寝そうになりながら、優心くんに案内された部屋のベットが、ふかふかしてて気持ちいいと思いながら、私はいつの間にか寝てしまっていた。

 





今回は、早坂が家に泊まることを決めて、優心と早坂が色々と話をした回でした。

次回は朝一緒に学校に登校する話を書こうかと思います。かぐやに話をするのは、その次になると思います。

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