弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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第24話です。

今回は、前半は早坂がかぐやに黄光に情報を流していた事などを話します。

後半は、翌日朝の学校の様子を書いています。



第24話

 

~早坂視点~

 

空き教室に入り、かぐや様から"大事な話は何"と聞かれた私は、優心くんの方を見た。優心くんが頷いたのを見た私は深呼吸してから、専属の近衛と家の使用人の辞任、弦巻家の使用人の事、そして黄光様に情報を流していた事を、かぐや様に伝えた。

 

その二つを伝えると、かぐや様は目を見開いて立ち尽くしていた。しばらく待ってると、かぐや様が絞り出すように声を出した。

 

かぐや「……それは確かなの?早坂……!」

 

愛「……はい、事実です」

 

かぐや「……」

 

私が、"事実です"と言うと黙った状態になった。黙ったままになってたかぐや様は優心くんの方を向き口を開いた。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

 

かぐや「……。弦巻くんは、知っていたの……?早坂が四宮家から弦巻家の使用人になる事と、何よりお兄様に情報を流していた事は……!」

 

愛から説明を受け静かになってたかぐやさんが、俺に語尾を強めにしながら聞いてきた。

 

優心「情報を流してた事については、昨日愛から聞いて知ったよ。使用人の事は、知ってるも何も"俺"が愛に提案したんだよ」

 

かぐや「それは……どういう事……?」

 

優心「順を追って、説明をするよ」

 

俺はそう言ってから、順に説明を始めた。

 

元々、昨日の放課後に愛から相談をされる予定だったが、俺が学校を休んだ。

 

それで、愛がお見舞いに来た時に相談をされて、その相談内容が今回の話だった事と、情報を流していたのを聞いた。

 

それをきいた俺は、愛を守るために弦巻家の使用人の提案をした事など、昨日愛と話した事をかぐやさんに話した。

 

かぐや「使用人の事は、弦巻くんのお父様……弦巻家当主は知ってますよね……?」

 

優心「当然だよ。愛と話した後にお父様に電話で伝えたから。夏休み明けに正式にうちの使用人になる……と、言ってた。その事は愛も知ってるよ、お父様が俺の代わりに説明してくれたから」

 

かぐや「そう。話は分かったわ……」

と、呟いたかぐやさんはまた愛の方を向いた。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

優心くんと、少し話してたかぐや様は私の方を向いて、こう言ってきた。

 

かぐや「早坂。……あなたは私を裏切り続けてたって事よね。…私が、そういったのは許せないのは知ってる上で。お兄様に情報を流していた事に対して、何か言い訳はないの?」

 

愛「言い訳はないです。事実なので……。ただ……」

 

かぐや「ただ……、何?」

 

私はかぐや様に言い訳はないと伝えた。ただ、自分の気持ちは……本心は伝えたいと思い、口を開いた。

 

愛「ただ……、近づいた理由が、情報を流すためとはいえ、かぐや様と一緒に過ごしていた時は楽しかったです。楽しいと思う度に、私はかぐや様と主従関係じゃなくて友達になりたいと思った!友達として学校に一緒に登校したり、学校内で一目を気にせず話したりしたい!……そういうことをずっと思ってました」

 

私はかぐや様にそう伝え、"でも"と一言呟いてからかぐや様に言った。

 

愛「でも……、私はかぐや様を10年裏切り続けた。…私がしたことが許されることじゃないですし、それが叶わないと分かってても、どうしても自分の気持ちを伝えたかったから……」

 

かぐや「確かに、早坂がしたことを許せないわ……。でも、弦巻くんの話や、そして何より早坂の本当の気持ちを聞いて、"初めて人の事を許したい"と思った」

 

愛(……え?"許したいと思った"……?)

 

私が自分の気持ちを伝えると、かぐや様が言った言葉に困惑してしまった。困惑しているとかぐや様が涙を流し始めた。

 

かぐや「……早坂、今まで気づいてあげられなくてごめんね。10年間辛かったわよね……」

 

かぐや様が泣きながらそう言ってきたのを見て、私も我慢していたものが我慢できずに泣いてしまった。

 

愛「……本当に辛かったですよ……。本当の事を…言えば、かぐや様に……嫌われると思って毎日辛くて、でもどうしても言えなかった……。今日だって、優心くんが隣に居てくれててもどうしても怖かった……!」

 

私はそう言いながら、かぐや様に本音を言い合った。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

二人が泣きながら、本音を伝えあってるのをずっと見守っていた。

 

二人が泣き止んだ後もしばらく話をしていた。そして二人は名前で呼び合うことになり、主従関係の間柄から正真正銘に友人同士になった。

 

優心「愛、良かったね」

 

愛「うん!かぐやと友達になって良かった!」

 

かぐや「私も、愛さんとは前から友人同士になりたいと思ってましたから、叶って良かったです」

 

二人が嬉しそうにしてると俺も嬉しかった。二人は俺がそう質問した後も、話足りないのかしばらく話をしていた。だけど時間が下校時間に近づいてきたので、二人に時間の事を伝えた。

 

優心「そろそろ下校時間だから帰ろうか」

と、俺はそう言って帰ることにした。三人で廊下を歩いてると、愛が質問してきた。

 

愛「少し思ったんだけど……、明日、いきなりかぐやと普通に話したりすると、皆驚くよね?」

 

優心「その辺は大丈夫でしょ。俺経由で仲良くなったとか言えば皆納得すると思うから」

 

俺がそう言うとかぐやさんと愛は納得した。

 

校門まで一緒に向かい、そこからかぐやさんと愛は四宮家の車で帰り、俺は電車で帰った。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

~翌日~

 

 

朝、学校に着き教室に向かっていた。自分のクラスに近づくと、教室の中が騒がしかった。

 

三鈴「ねぇ!早坂、どういう事!?教室から外を見た時に四宮さんと仲良く……というか、楽しそうに話しながら一緒に歩いてたけど何で!?」

 

すばる「本当だよ!四宮さんも教えてください!」

 

何で騒がしいか疑問に思いながら教室に入ると、かぐやさんと愛がすばるや三鈴や他のクラスメートから、お互いの仲の事を質問されていた。

 

愛「そ、それは庶務くん経由で…」

 

かぐや「み、皆さん、ちょっと落ち着いてください。愛さんの言う通りで……、昨日の放課後に弦巻くん経由で仲良くなったんですよ」

 

女子A「あぁ~、弦巻くん経由だったら、仲良くなったのは納得だね」

と、皆が納得していた。

 

その後も愛は皆と話をしていた。そして愛がすばると三鈴を下の名前で呼び合う事になったり、あまり話してなかった他の女子達とも色々と話をしていた。

 

教室に入った俺は、そんなクラスの様子を見ながら自分の席に向かった。すると、クラスの男子一人が俺を見てきて他の皆に言った。

 

男子A「早坂と四宮さんの関係は分かったから良いとして、次は早坂と弦巻が付き合った経緯を聞こうぜ。ちょうど早坂の彼氏が教室に来たし」

 

優心・愛「「……え?」」

 

男子一人が最後に言った一言に驚き、愛と"え?"という言葉が重なってしまった。

 

優心「え、知ってるの?」

と、俺が驚いてそう呟くと男友達が言ってきた。

 

鋼「逆に隠せてたと思ってたの?」

 

優心「いつから知ってたの!?」

 

鋼「いつからって……、フランス校との交流会の少し前の二人が逆さてるてる坊主を作ってた日ぐらいから。それを俺や他のA組の見てたやつもいるし」

 

樹「うん。それに別の日にクラスの人が、下の名前で呼びあってる所を聞いた人もいたよ。それでA組内で二人が確実に付き合ってるって認識になったよ」

 

鋼「まぁそれを知らないクラスの人も、交流会の前後の二人の雰囲気で確実に付き合ってるって思ってたらしいぞ」

 

話を聞くと結構前から知ってたことを教えてくれた。ただ、実は付き合ってる事を知られてたのを聞いた俺は恥ずかしくなった。

 

樹「じゃあ、"早坂のどこが好きになったか"……、"告白したのはどっちか"、聞かせて貰うよ」

 

恥ずかしくなってると、男友達がそう言ってきたので逃げようとしたが、クラスの男子達が出口を塞いでいたので逃げれなかった。

 

ただ、言わないように黙秘を続け、予鈴がなって先生が入ってきたので、話さずに済んだ。

 

 

だけど、午前の授業が全部終わりお昼になった時に、男子達に捕まり話すことになってしまったので、告白の事や付き合ってたのを隠してた理由などを全てを話した。

 

昼はそれで時間が過ぎていって、そして放課後になった。

 

 

 

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~早坂視点~

 

 

 

朝、私はかぐやと校門から一緒に登校していた。かぐやとは友達になったけど、使用人の事だけは知られないように、車を降りる時だけ別々に降りて校門から一緒に教室に向かっていた。

 

教室に着き中に入ると、いつも話をしていた二人……駿河すばると、火ノ口三鈴がかぐやとの関係を聞いてきた。

 

三鈴「ねぇ!早坂、どういう事!?教室から外を見た時に四宮さんと仲良く……というか、楽しそうに話しながら一緒に登校したけど何で!?」

 

すばる「本当だよ!四宮さんも教えてください!」

 

愛「そ、それは庶務くん経由で…」

 

かぐや「ちょっと落ち着いてください。愛さんの言う通りで……、昨日の放課後に弦巻くん経由で仲良くなったんですよ」

 

女子A「あぁ~、弦巻くん経由だったら、仲良くなったのは納得だね」

 

"優心くん経由で"と伝えると、他のクラスメートも含めて納得してくれた。その後にすばる達にクラスの皆ともっと仲良くなりたい事を伝えた。

 

それを伝えると、駿河と火ノ口の二人の事を下の名前で呼び合う事になった。あまり話してなかった他の女子達とは、趣味とか好きなものとかを話をした。

 

そう言うことなどを話してると、一人のクラスメートの男子が衝撃の事を言ってきた。

 

男子A「早坂と四宮さんの関係は分かったから良いとして、次は早坂と弦巻が付き合った経緯を聞こうぜ。ちょうど早坂の彼氏が教室に来たし」

 

優心・愛「「……え?」」

 

その男子は、ついさっき教室に入ってきた優心くんの事を私の彼氏と言ってきた。

 

付き合った事を知ってる口ぶりだったので、恋人同士なのを知ってる感じだった。

 

それに驚いた私は優心くんと口を揃えて驚いてしまった。

 

優心くんの方は、特に仲が良い男友達やクラスの男子に知ってる理由を聞き始めてた。

 

そういう私も、すばると三鈴を含むクラスの女子達に聞いた。

 

愛「えっと……何で知ってるの?」

 

すばる「まぁ、交流会の前後ぐらいからかな」

 

三鈴「うん、それぐらいだよ。確実に付き合ってるって皆が思ったのは」

 

愛「確実に……って、どういう事?」

 

女子B「前からね、A組内で二人が付き合ってるって噂になってたんだ。それですばるが言ってた時期に、皆が気づいた感じだよ」

 

それを聞いた私は恥ずかしかった。隠してたつもりだったのに……バレていたのが恥ずかしかった。

 

女子A「それで告白はどっちから?どこの場所で?」

 

告白の事を聞かれた私は言いたく無かったから、"やだ"と伝えた。

 

愛「やだ。恥ずかしいし、言いたくない」

と、伝えて逃げようして教室のドアの方を向くと、優心くんを男子達が通れないようにしていた。

 

それを見て一瞬動きを止めてしまい、その瞬間に腕を捕まれた。

 

すばる「駄目。愛、ちゃんと教えてもらうよ」

 

すばるのその一言を言って、クラスの女子達もその言葉に頷いていた。それを見た私は逃げれないと思い、洗いざらい話した。

 

告白したのは自分からで、優心くんとライブハウスに行った時に告白した事を話した。

 

話してる間の私は恥ずかしすぎて、自分でも分かるぐらい顔が真っ赤になってる事を自覚していた。

 

話し終わると同時に予鈴がなり、先生が入ってきた。先生に顔を真っ赤にしてる事を心配されたが、"大丈夫です"と伝えた。

 

 

朝に優心くんと付き合った事の説明で、昼はクラスの女子達と話をした。それだけで時間が過ぎていって、そして放課後になった。

 





次回は、この話の放課後の話を書いて投稿予定です。

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