弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結) 作:春はる
夏休み最終日です。
今回はかぐや様側のキャラ達は登場しません。
では、本編をどうぞ。
~優心視点~
生徒会メンバー、こころと愛達と、夏祭りに行った日から少し経ち、もう夏休み最終日になった。
その日の午前中、つぐみちゃんのお店である羽沢珈琲店に向かっていた。今日は予定がないのでお店でのんびりしようと思ったからだ。
しばらくして羽沢珈琲店に着いた。店内に入るとイヴちゃんが対応してくれた。
イヴ「ラッシャイ!ユウシンさん、何にしましょー!」
優心「じゃあ……、サーモン一つ」
イヴ「はい。サーモン、イッチョー!」
優心「という事で、イヴちゃん。いつものセットを一つね」
イヴちゃんが、たまにやる注文の聞き方をしてきたので、それに乗ってあげてからいつも頼んでいる商品をお願いした。
イヴ「はい、分かりました!いつもの席にも案内しますね」
いつも座ってる席に案内してもらって、注文したセットが来るまでのんびりと待った。
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しばらく待っていると、つぐみちゃんが運んできてくれた。
つぐみ「お待たせしました」
優心「ありがとう」
つぐみ「優心さん、イヴちゃんの挨拶にいつも付き合ってくれて、ありがとうございます」
と、つぐみちゃんにお礼を言うと、逆にこっちがイヴちゃんの挨拶の事でお礼を言われた。
優心「お礼なんていいよ。俺もいつ言ってくるのか、楽しみになってるからさ」
つぐみ「でも、優心さんが相手にしてくれてるお陰で、他のお客さんにはしなくなったんです。だからお礼言わないと気が済まなかったんですよ」
優心「感謝の気持ちは受け取っておくね」
つぐみ「はい!じゃあ、ごゆっくり過ごしてくださいね」
優心「うん」
つぐみちゃんと少し話した後に、コーヒーを一口飲んだ。
それで、ケーキを食べようとした時に、テーブルに置いてたスマホがなった。画面を見るとお父様からの電話だったので出た。
優心「お父様、どうしたの?」
誠心『優心に、一つ伝えといた方がいい事があって連絡したんだ』
優心「伝えたいこと?」
誠心『あぁ。優心の友達にパスパレの子達がいるだろう』
お父様にいきなりパスパレの事を聞かれたので、少し戸惑いながら"うん"と返事をした。
誠心『それで、パスパレが所属している芸能事務所を買収した』
優心「(ますきが言ってた事、本当だったんだ)……それって弦巻グループの子会社になった、って事だよね?何でまた?」
誠心『あぁ。元々、その事務所は四宮グループの子会社だったんだが、前から事務所の一部の社員とスタッフから、色々な内部告発的な内容が送られてきてたんだ』
優心「どんな内容?」
誠心『一番多かったのは、一部のスタッフが無能で所属してる歌手などの評判を落とす事しかしない』
優心「そうなの?」
誠心『あぁ。他にもあるんだが、例えばバンドだと弟・妹分のバンドが結成してそのデビュー曲を先輩の持ち歌を歌わせて新曲を作らないといったことをやる。その結果弟・妹分のバンドが売れて、先輩バンドが解散に追い込ませたりする事があったらしい』
優心「それって……!パスパレも……そうなるかもってことだよね!?」
と、お父様の話を聞いて、俺は反射的にそう聞いていた。
そのあと、慌てて口を押さえてお店の中を見渡した。すると、顔馴染みで仲が良い常連客の数人が大声を出した俺を不思議そうに見てたので、問題ない事をジェスチャーで伝えて、お父様の話に集中した。
誠心『そうだ。いつか、パスパレも同じようになる可能性があったんだ。社長が四宮の関係者だから、一般社員やスタッフ達は意見も中々言えなかったらしいだ。それで、愛の使用人の話をした際に、事務所の話をして買収をしたという事だ』
優心「そう、良かった……。じゃあ、当然人事も変えるって事だよね」
誠心『そうだ。まず、関わっていた事務所の社長と役員は辞めさせる。各役職の後任を決めた後に、事務所の経営方針や社員達の待遇なども含めて話をする予定だ』
優心「でも何で社員の人は、うちに内部告発をしたの?」
誠心『社員に話を聞いてみるとな、"自分達じゃ救えないなら、四宮グループ規模の会社に助けて貰おう"という話になったそうだ。そこで名前が挙がったのが弦巻グループだったと、教えてくれたよ』
優心「そうなんだ…『それに』……?」
誠心『優心の友達だから……っていう理由もあるんだ。仲良くしてくれているから、何とかしてあげたいと思ったんだ。優心にとっても大事な友人だろう?』
優心「……うん」
誠心『じゃあ、話は終わりだから切るぞ』
優心「あ、分かった」
と言って電話を切った。電話を切った後は、ケーキを食べ始めた。
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ケーキを堪能してコーヒーを飲んで一息ついてると、お店の扉から俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
晴海「あ、やはりここにいましたか。優心くん」
声をした方を見ると、音楽事務所のスタッフの晴海さんだった。
優心「晴海さん?」
晴海「コーヒーを、一つくださーい」
つぐみ「はーい」
晴海さんはつぐみちゃんに注文してながら、俺が座ってた席に座ってきたので、質問をした。
優心「俺になんか用なんですか?」
晴海「そうなんです。優心くんに、聞きたい事があって来たんです」
優心「聞きたいこと……ですか?」
晴海「はい。いきなりなんですけど、優心くんはロゼリアがスカウトされてデビューするとしたら、いつデビューするのがいいと思いますか?」
晴海さんがいきなりロゼリアの事を聞いてきたが、俺は質問に答える為に、しばらく考えてから自分の考えを言った。
優心「……来年かな。ロゼリアって実力を持ってる人達が集まってるから、演奏の完成度とか実力はあるけど、まだどこか何か足りない感じがするんです。だから、今はスカウトとか、デビューとかはしない方がいいと思いますけど……」
晴海「やっぱり、優心くんもそう思うって事は、その通りってことですね」
と、晴海さんは俺の答えにそう言ってきた。俺は晴海さんの言葉に、"え?"となった。
晴海「事務所の社長や、他スタッフも言ってたんです。今は学生らしい事を経験させた方が、将来…今よりも化けると言ってたんです。それで、ロゼリアの事を知っていてメンバーと友人である優心くんからも、意見を聞いてみようていう事になったんです」
優心「それで聞いてきたんだ……」
晴海「はい、そうなんです。とりあえず、答えてくれてありがとうございます」
優心「どういたしまして」
つぐみ「お待たせしました」
タイミングよくロゼリアの話が終わった時に、つぐみちゃんが晴海さんが注文をしたコーヒーを持ってきた。
晴海「あ、ありがとうございます」
つぐみ「優心さん。このお客さんと親しく話をしてたみたいですけど、どういった方なんですか?」
と、コーヒーを持ってきたつぐみちゃんが、晴海さんの事で質問をしてきた。
優心「晴海さんは、音楽事務所のスタッフさんなんだ」
つぐみ「……音楽事務所!?そ、それってどこの事務所ですか!?」
優心「お、落ち着いてよ、つぐみちゃん……」
俺が音楽事務所と言うと興奮した感じで、晴海さんに聞いていたので落ち着かせようとした。
晴海「私がいる事務所は……」
と、俺がつぐみちゃんを落ち着かせようとしてる時に、晴海さんは名刺を出して事務所の名前を教えていた。
つぐみ「その事務所って、凄く大きい事務所ですよね!しかも私の好きな歌手が所属してる事務所ですし‼️」
晴海「あ、ちなみにその好きな歌手は誰ですか?」
つぐみ「え、えっとですね!」
事務所の話から、つぐみちゃんの好きな歌手の話で二人だけで盛り上がっていた。つぐみちゃんは歌手が歌ってる曲や、ファンになったきっかけなどを話していた。晴海さんの方は、相打ちをしながら聞き役に徹していた。
しばらくして、つぐみちゃんは話し尽くして満足した顔になっていた。
つぐみ「あ、私ばかり話しちゃってすみません。好きな歌手で話が盛り上がったの久しぶりだったので……」
晴海「いえいえ、こちらこそつぐみさんみたいな方がファンにいて、ありがたいです」
という晴海さんの言葉に、つぐみちゃんは嬉しそうに笑っていた。すると、つぐみちゃんが俺と晴海さんの事で質問してきた。
つぐみ「あ、そういえば、お二人はどこで知り合ったんですか?晴海さんは事務所のスタッフさんですし、知り合うなんて中々ないですよね?」
優心「晴海さんとは、ライブハウスで会ったんだ」
つぐみ「ライブハウスで?」
優心「うん。俺がライブハウスでポピパとかのライブを見に行ってて、ポピパやロゼリアの皆と話をしてた時に晴海さんが話しかけてきて知り合ったんだ」
つぐみ「へぇ~。……じゃあ、晴海さんは私の事とか知ってる感じですか?」
晴海「はい、勿論です。アフターグロウのキーボード、羽沢つぐみさんですよね。アフターグロウは、等身大の曲がメインですが、その中にロックな感じのかっこよさや盛り上がれる曲を歌う、良いバンドだと感じました」
つぐみ「あ、ありがとうございます……」
晴海「それに優心さんや他のバンドの方から、メンバーは昔からの幼馴染みと聞いて予想していたのですが、ライブのMCで皆さんの仲の良さなどが伝わりましたし、話も楽しかったですよ」
つぐみ「は、晴海さん…恥ずかしいので、もう十分ですよ……。……私、仕事に戻りますね……!」
と、晴海さんから褒められて照れていたつぐみは恥ずかしくなり、"仕事も戻る"と言って店の奥に戻ってしまった。
晴海「流石に言いすぎましたかね……?」
優心「凄く褒められるのが慣れてないだけだと思うので、しばらくしたら大丈夫だと思いますよ。……晴海さん、俺から聞きたい事があるんですけど、聞いてもいいですか?」
晴海「はい、なんですか?」
優心「ますきの事なんですけど、バンドの事とかはどうなってるんですか?」
つぐみちゃんの話をした後に、俺は晴海さんにますきの事を質問した。
晴海「ますきさんの事ですか?……やっぱり、"狂犬"という呼び名と音数をアドリブで多く入れるという事で、バンドメンバーへの勧誘という話は無いですね。サポートとして、ドラム演奏の仕事しか出来てない状況ですね」
優心「やっぱりそうなんだ……」
晴海「でも、あれがますきさんの持ち味なのは事実です。私も事務所もその事は知っているので、そのままでいいと本人に言っています。もし、他事務所や個人からスカウトをされた場合は送り出す予定で、それまではますきさんをサポートをする方針です」
優心「見捨てないんだね。他の事務所だったら切り捨てたり、他に取られないようにするのに」
晴海「勿論ですよ。いつも、社長が……"所属しているアーティストだけではなく、スタジオミュージシャンを含めたデビューを目指す人達は、デビューが出来るまでサポートするのも事務所の役目"と言ってますから」
ますきの事についての事を聞いて晴海さんの答えに安心した。パスパレの事務所みたいな感じじゃ無かったから……。
ホッとすると、一つだけ聞きたいことを思い出した。
優心「あ、そうだ。もう一つ聞いてもいいですか?」
晴海「はい、何でしょう?」
優心「パスパレが所属してる芸能事務所が、弦巻グループの子会社になったのは知ってます?」
晴海「はい、知ってます。昨日、事務所の朝礼で社長が言ってましたよ。何でも弦巻社長から、お互いに協力しつつ切磋琢磨してくれと連絡が来たみたいです」
優心「お父様、そんな事を言ってたんだ……」
晴海「はい、そうみたいですよ。それに弦巻社長は、私達の事務所だけじゃなく、他の弦巻グループの各芸能及び音楽事務所の社長達にも、同じ内容を連絡してたみたいですよ」
晴海さんの言葉に俺は"へぇ~"と思った。そんな話をした後、晴海さんは自分の分のコーヒー代の会計を済まして事務所に戻りに行った。
お店に残った俺は、コーヒーを飲んで会計を済ました。その後は公園に行って子供達と遊んだりしながら、一日を過ごした。
そして夏休み最終日が終わった。
次は出来てないので、投稿するのは先になるかもしれませんので、ご了承ください。
今回のパスパレが所属する芸能事務所の情報は「キャラ・世界観設定(ネタバレあり)その2」に、書いてあります。急ピッチで書いたので修正などするかもしれませんが、参考にしてもらえたら幸いです。
次回からは、二学期の話を書いていきます。