弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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前回の続きです。

では、本編をどうぞ。



第39話

 

~優心視点~ 

 

かぐやさんが会長の誕生日に、会長の為に作ったケーキをなんとかした日から、しばらく日が経った。

 

残ったケーキを香澄達に食べてもらった日から今日まで色々とあった。

 

例えば、かぐやさんが何回か赤点を取り危ない状態の石上に、勉強を教え何とか赤点回避したり、学校の屋上で月見をして会長とかぐやさんの二人に一悶着が起きた出来事などがあった。

 

愛の方も、弦巻家での生活に慣れてきたみたいで、こないだの休みに使用人の仕事をしていた。別邸より快適と言っていた。

 

 

そんな日々が過ぎた今日。

 

今は、授業とホームルームが終わった所だ。そして今日は生徒会も無いので、俺は家に帰ろうと荷物をまとめていた。その時に、かぐやさんと一緒にいる愛に話しかけられた。

 

愛「優心くん」

 

優心「?どうしたの?」

 

愛「今日は別邸に行くから、一緒には帰れないんだ。だから先に帰ってていいよ」

 

優心「分かった。帰ってくるの遅くなるなら、連絡ちょうだい。黒服さんに伝えるだけでもいいから。そうしたら車で家まで送ってくれると思うから」

 

愛「うん、分かった。……かぐや、別邸行くよ」

と言いながら、かぐやさんの所に向かっていった。

 

俺は愛とかぐやさんと別れて、家に帰った。

 

 

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家に帰って、一足先にご飯を食べてお風呂に入った。その後は、部屋でベッドに腰掛けて漫画を読みながらのんびりしてた。

 

しばらくしていると、いきなり"ドンッ"という部屋のドアが思いっきり開いた音がした。

 

ドアの方をみると愛が立っていた。

 

優心「愛、おかえり。……?」

 

俺が"おかえり"と伝えると、無言のまま隣に座ってきた。

 

優心「どうしたの?」

 

愛「……今日、別邸でかぐやと話をしてたんだけどね……」

 

俺が"どうしたの?"と聞くと、愛は話を切り出して別邸でかぐやさんと話をした内容を教えてくれた。

 

なんでも、愛がかぐやさんに会長との間で進展の事を聞いたらしい。いろんなイベントがあったのに何も進展ないが無いことを言うと、かぐやさんに"愛なら会長を落とせるの?"と言われたとの事。

 

話をした時に最初はやらないと言ったけど、最終的にやることになってしまったと教えてくれた。

 

優心「でも、やるつもりは無かったんだよね?」

 

愛「うん。優心くんがいるし、会長の事も恋愛感情は無いから私がやるメリット無いから断ったんだ……。けど、かぐやが優心くんの事をバカにしたから……」

 

優心「俺の事を?」

 

愛「……うん。だって、かぐやが優心くんの事を、女子に弱いダメダメな男子とか、いろいろ言ってきたんだよ!そんな事無いのに!」

 

愛の言葉を聞いた俺は、"売り言葉に買い言葉だな……"と思ってしまった。

 

優心「そっか……。俺のために怒ってくれてありがとう。愛」

と、俺は愛の頭を撫でながら伝えた。

 

俺に撫でられてる愛は、目を細目ながら嬉しそうな顔になっていた。その様子の愛を少し見ながら、俺は口を開いた。

 

優心「けど、相手が会長だけど俺的にはやってほしくないな……。と言っても、かぐやさんに言った手前、愛は退けないんだよね?」

 

愛「あ、うん……。ハッキリと"やる"って言っちゃったから……退くに退けなくなっちゃったんだ……。ごめんね、優心くん……」

 

優心「謝らなくても大丈夫だよ。……会長の事だから、一日では落ちないって言えるけど、どこか不安はあるし俺も近くで見るだけ見てていい?」

 

愛「うん、いいよ。まぁ一応、ハーサカに変装してやるつもりだよ」

 

優心「分かった」

と、愛の言葉に返事をした。

 

この後は、愛は部屋から出ていったのを見た俺は、部屋の電気を消してベッドにもぐったのだった。

 

 

 

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~愛視点~

 

 

学校で優心くんと一緒に帰らず、私は四宮別邸にいた。そしてかぐやと話をしていた。

 

かぐや「弦巻家での生活はどう?」

 

愛「問題は全くないよ。むしろ居心地が良すぎるぐらいだね」

 

かぐや「……そんなに居心地がいいの?」

 

愛「うん、そうだよ。使用人の仕事は、休日のみで清掃をメインにしてるしね」

 

かぐや「え?平日とかはやらないの?」

 

かぐやにそう聞かれた私は、弦巻家のメイド長から説明された事……、私は学生生活メインで過ごしていい事や、弦巻家の使用人の仕事の役割とかを色々と伝えた。

 

かぐや「それは……確かに過ごしやすそうね……」

 

愛「そうだよ。仕事のやり方とかは当然違うけど、ちゃんと他の方々が教えてくれるし、皆も仲良くしてくれるしね」

と、私の弦巻家での過ごし方とかを話した。その後に、かぐやに私が抜けた後の別邸の事を聞いてみた。

 

愛「私が抜けた後の別邸はどんな感じ?」

 

かぐや「もう、バタバタよ。中心人物の愛さんが抜けたから、他の使用人は大慌てよ。……弦巻家(そっち)のメイド長が見たら、文句を言うのでしょうね……。まとめる人が居なくなるだけで、こんな風になってしまってるから」

 

愛「多分ね。メイド長……あと執事長もだけど、トップが居なくて慌てるのは使用人としての自覚はない……使用人として向いていないとか、そんな感じの事を言うと思うよ」

 

かぐや「そんなことを言うぐらいなのね……。けど、少し前に、新しい使用人が来たのよ。お父様がここに送らせたみたいで、その人は愛さんみたいに凄く優秀な使用人だったわ。今その人がまとめ役よ」

 

愛「そうなんだ……。でも、雁庵様がわざわざ使用人を?」

 

かぐや「えぇ。その人と話した感じだと、兄様達の息が掛かった人じゃない。お父様の元で働く人で監視とかで送り込まれた人ではなかったわ。……私でも信用できる人でいつも通り過ごしやすいわ」

 

愛「そっか……。それを聞いて安心したよ」

 

使用人の事を聞いて安心した私は、もう一つ聞きたいことをかぐやに聞いた。

 

愛「それで、かぐやは会長との関係は進展あった?」

 

かぐや「!」

 

私が会長の事を聞くと、体をビクッ!と震わせて顔を逸らした。

 

愛「夏休みには夏祭りに行ったり、休み明けには会長の誕生日とか月見とかあったのに、なんで行動してないの?もうすぐ生徒会が解散するのに?」

 

かぐや「じゃあ、何?愛さんだったら会長を落とせるの!?」

 

かぐやからそう言われた私は、少し考えてから答えた。

 

愛「時間を掛ければ、落とせると思うよ」

 

私の言葉にかぐやは食い気味に反応してきた。

 

かぐや「言ったわね!だったらやってみなさいよ!私に掛かればイチコロと言うなら!」

 

愛「イチコロと言ってないし……。それに彼氏の優心くんがいるからやるつもりもないけど」

 

かぐや「一日で落とせるなら、落としてみなさいよ!」

 

愛「いや、一日で落とせるとも言ってないし。それとやるつもり無いって言ってるけど。優心くんの事が好きだから、やりたくないし」

 

かぐや「……弦巻くんは落とせて、会長は落とせないってことなのかしら?」

 

愛「……は?」

と、私はかぐやの言葉を聞いて、そんな言葉が出てしまった。

 

かぐや「それとも、あの弦巻くんを落とせたってことは、弦巻くんは女子に弱いダメダメな男子だったって事ね。本当は弦巻くんは愛さんの事好きじゃないけど、わざわざ付き合ってあげてるだけかもしれないし」

 

かぐやの言葉を聞いた私は、カチンと来た。

 

愛「かぐや、いい加減にして……!優心くんの事をバカにしないで!優心くんはそんな人じゃないし!」

 

かぐや「じゃあ会長のことも落とせるってことよね?」

 

愛「かぐやがそう言うならやるよ……!じゃあ、今日はもう帰る!」

 

私はそう言って、別邸から外に出て門の外まで出た。門の外に出た時に、私の護衛をしてくれてる皐が声をかけてきた。

 

黒服(皐)「愛さん、車か電車のどっちにします?」

 

愛「……車でお願い……」

 

黒服(皐)「分かった」

 

皐が電話をかけてその直後に車が来た。私は車に乗り込んで皐に隣に座って貰った。そして車が出発して少しした直後に、皐に泣きついた。

 

愛「皐、どうしよ……。かぐやに凄い事を啖呵切っちゃったし、優心くんにどう顔向けすればいいかな……」

 

黒服(皐)「ちゃんと説明をすれば、問題はないよ」

 

愛「そうかな……」

 

黒服(皐)「そうだよ。優心様と一番接してて分かってるよね?」

 

愛「うん」

 

黒服(皐)「もしかしたら、手伝ってくれると思うよ」

 

愛「……手伝って貰ったら、本当に会長が落ちそうで怖い。一日で落ちるはずがないと思うけど、手助けがあると分からないから手伝いはいらないかな……」

 

黒服(皐)「とりあえず、優心様にはちゃんと話はしましょう。愛さんから直接伝えてくださいね」

 

愛「……うん」

 

皐の言葉に私は頷いた。

 

しばらくして家に着いた後は、すぐさま優心くんの部屋に向かった。

 

部屋に入って別邸でのかぐやとの話を、優心くんに伝えた。

 

優心くんに伝えると、会長との件の事をオッケーしてくれた。その後も少し話をしてから、優心くんの部屋を出た。

 

出た後は、ご飯を食べてお風呂に入り、ベッドにもぐって寝たのだった。

 

 

 

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そして翌日の夕方に、カフェテリアが併設されてる本屋に私はいた。別邸でしていた変装の一つ……スミシー・A・ハーサカになった。

 

髪を短くしている私は、ウィッグをつけて前の髪の長さにした。そして、その本屋のレジ列に会長が並んでいるのを確認した私は、すぐに会長の後ろに向かい声をかけたのだった。

 

 

 

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~優心視点~

 

 

翌日の放課後になり、俺はかぐやさんと一緒に愛と会長がいる本屋にいた。

 

二人からは見えづらい場所から二人を見ていた。

 

 

愛はうまく表情や仕草を使って、会長を落とそうとしていた。かぐやさんはそれを見るたびに百面相みたいになっていて、それを横目で見て俺は苦笑いしていた。けど……。

 

優心(けど、一応承諾したけどやっぱり見てて気持ちは良くない……)

 

愛達を見ていた俺は、愛が演技の告白して会長が断って終わるまで、ずっと嫉妬しながら見ていた。

 

 

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そして夜になった。

 

 

かぐや「ほら、言った通りで会長は落ちなかったでしょ」

 

愛がウィッグを外している時に、かぐやさんがそう言っていた。

 

愛「別に……、一日で落とせるなんて言ってない

 

かぐや「え?」

 

愛「私、一日で落とせるとは言ってないし!時間をかけたら落とせるって言ったし!多分、1ヶ月あれば落とせたはずだし!」

 

かぐや「あ、愛さん……?」

 

愛「それに本当は、優心くんの事が大好きだからやりたくなかった!なのに、かぐやがやれって言ったのと、優心くんの事をバカにしたのが許せなかったから、仕方なくやっただけなの!」

 

かぐや「ご、ごめんなさい……」

 

愛の言葉に、タジタジになったかぐやさんは謝っていた。小さい子みたいに癇癪を起こしてる愛に近づいた。

 

優心「愛、落ち着いて」

と俺は言いながら、右手で頭を撫でてあげた。俺が撫でている間、愛は俺の空いてる左手を握っていた。

 

しばらくしていると、愛が口を開いた。

 

愛「……大丈夫……落ち着いた……」

と言ってきたので、俺は愛の頭から手を離してかぐやさんの方を向いた。

 

優心「かぐやさん」

 

かぐや「な、なんでしょう。弦巻くん……」

 

俺が声をかけると、何故か声を震わせながら返事をしていた。けど、俺は気にせずに続けた。

 

優心「こっちも、愛が売り言葉に買い言葉みたいになったり、俺もなんだかんだ承諾はしたから、とやかく言える立場じゃないと思うけど……」

 

かぐや「は、はい」

 

優心「いくら会長との件で言われた事に、カチンと頭に来ても愛に挑発しないでね。それに恋人がいる人に、今回の事をやらせるようなのも言わないでくれる?」

 

かぐや「わ、分かりました」

 

優心「じゃあ、帰ろっか」

 

かぐやの返事を聞いた俺はそう言った。俺の言葉に愛とかぐやさんは頷いた。

 

俺がかぐやさんと話をしてる間に、華さんが車の準備をしてくれてたので、俺は愛の手を引いてすぐに車に乗った。

 

かぐやさんを別邸まで送り、俺と愛は車の中でも手を繋いだまま、車が家に着くまで話をしながら帰るのだった。

 

 

 

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~かぐや視点~

 

 

 

かぐや「ご、ごめんなさい……」

 

愛さんと会長とのやり取りで、愛さんが小さい子の癇癪を始めた様に、愛さんが不満を言い始めてしまい、それを見た私は反射的に謝ってしまった。

 

すると、弦巻くんが愛さんの頭を撫でて落ち着かせて、愛さんはずっと弦巻くんの手を握っていた。その光景を見て少し羨ましいと思っていると、弦巻くんが声をかけてきた。

 

優心「かぐやさん」

 

弦巻くんが私の名前を呼んできた声のトーンは、凄く低かったので内心驚いていた。

 

かぐや「な、なんでしょう。弦巻くん……」

 

弦巻くんから低い声で呼んできたからなのか、返事をした際に声が震えていた。

 

かぐや(この私がまさか怖がってる……?兄様達じゃない他の人に……、けど怖いという感情を抱いてる……わね……)

と思いながら、しばらく弦巻くんから今回の件について色々と言っていることを聞いた。

 

弦巻くんが言っている事に、私は反論はしなかった。……いや、反論なんて出来るはずがなかった。

 

弦巻くんの今のトーンは、有無を言わせない声だ。兄様達の、何かを人質にしての脅迫や恐怖政治よりも、恐怖を感じた。弦巻くんのは少しタチが悪いかもしれない。

 

優心「……それに恋人がいる人に、今回の事をやらせるようなのも言わないでくれる?」

 

かぐや「わ、分かりました」

 

優心「じゃあ帰ろっか」

 

そうこうしていると、やっと帰る事になった。そして弦巻家の車に乗せてもらい、別邸まで送ってもらった。

 

かぐや(……VIP枠の皆さんが、前に弦巻くんを怒らせるなと言っていた際に、声の事を言っていた意味が分かりました。先程の声のトーンは聞いた全員が恐怖を感じる様なものだ。多分、天性だと思いますね……さっきの弦巻くんは気づいてはない感じでしたし……)

 

私は車に乗っている間、その様な事を考えた。すると別邸に着いたようなので、弦巻くんにお礼を言い車を降りて別邸内に向かうのだった。

 





次回は、現生徒会の一年間の全活動終了の話を書こうと思います。ただし、完成してませんので、時間はかかるかもしれません。
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