弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結) 作:春はる
前回の続きです。
では、本編をどうぞ。
~優心視点~
石上から呼ばれ生徒会室に入ると、いつものメンバーの白銀、かぐやさんと千花がいた。
優心「皆も石上に呼ばれたの?」
白銀「あぁ、俺も四宮も藤原も石上に呼ばれてな」
優心「そうなんだ。……それで話って何?石上」
白銀の言葉に答えて石上に、"話は何?"と質問しながら生徒会室のソファーに座り、少し待ってると石上が口を開いた。
石上「今回の生徒会選挙は、圧倒的な差で勝ってほしいんです」
かぐや「それは私達が負けるかもしれないと言ってるんですか?」
石上「いえ、そう意味じゃないです。もっと圧倒的に勝ってほしいんです」
優心「どういう事?」
石上「……まず、伊井野は初等部の時から生徒会関係に立候補していたんです。けど、あいつはあがり症なので必ず大勢の人の前に立つと、何も話せなくなるんです。まぁ、別にその事はどうこう言うつもりはないですけど、でも一生懸命なやつが笑われるのは嫌なんですよ」
そんな事を言ってきた。
白銀「つまり、あいつが笑われないで俺たちが勝つっていう事をしてくれ……ということか?」
石上「そういうことです」
白銀「なるほど。だとすると、そのあがり症をなんとかしない限りは難しいぞ」
かぐや「確かに、そこが悩みどころですね」
千花「ですね。そう簡単には直せないですし、人目を気にせずに発表をする……みたいな事が、出来れば良いんですけど」
優心(人目を気にせずにか。だとすると……)
話を聞いた俺と白銀達は悩んだ。が、一つの案を思いついた俺は提案をした。
優心「俺から一つ提案していい?」
石上「なんですか?」
優心「立候補者演説を、アメリカ大統領の候補者達がやってる討論会みたいなのをやればいいと思う。応援演説はそのまま交互のままにしてさ。うまくいけばミコは白銀の顔しか見れないから」
白銀「討論会みたいにか」
優心「うん。交互だと、その人たちに面と向かって話す状態だからあがり症の人からすれば、緊張するのは当然だと思う」
白銀「だから討論会って訳か……。お互いに顔を見合わせる事が多くなるから、自然と周りの目を気にしなくなるって事か……」
優心「そういう事だよ」
千花「優心くん、それいい案ですよ!それだったら解決します」
かぐや「確かにそうですが、色々と問題が出てきますよ。その辺りはどうするんですか?」
と、俺の言った事に千花が"いい案"と言ってきたが、かぐやさんがそう質問してきた。
優心「かぐやさんの言う通りで、色々と問題は出るけど俺的に気にしてる問題が二つある」
石上「二つですか?」
優心「うん。まず、先生達と選挙管理委員会に提案にして、それを通すこと。いくら生徒会選挙で生徒達メインで動くとしても先生の確認無しに変更するのは駄目だ。それとミコにも話をしないといけないしね」
俺の言葉に、皆は"確かに"といった感じの表情だった。
優心「……まぁ、関係者への話は俺がなんとかするけど、一番問題なのは白銀が負ける可能性が高い」
白銀「それはどういう……?」
あまり理解してない感じの白銀に、俺は説明をした。
優心「あがり症のミコでも周りの目を気にしない状態……、白銀にしか目が行かなくなったりしたら、公約とかの事を自信満々に話すからだよ」
かぐや「つまり、公約の内容に対しての理由などの説明を言えるようになる。そうすれば聞いている人達からしてみれば、内容が受け入れられないものでも、説得されてしまうと言うことですか?」
かぐやさんが言ってきた事に頷きながら、話を続けた。
優心「そういうこと。……内容は通りづらいけど、それが白銀みたいに堂々と言っていれば、人の心が動くもんだよ」
白銀「でも、そう簡単には動かないだろ」
俺が言った事に白銀がそう言ってきた。白銀のその言葉に俺は"本当にそう思う?"と聞いた。
その言葉に白銀は"え?"となっていたが、俺は続けて伝えた。
優心「誕生日パーティーの時に、こころと会って色々と理解したでしょ。"世界を笑顔に"、これは一般的に考えれば出来る筈がないと思われてるし、そう思う人が多いのが当たり前。だけど、こころと会って話をした時に出来ると思ったでしょ?」
白銀「……確かに思った」
優心「こころは信じて疑わないから、皆にも出来ると夢を見させて思わせる。ミコが堂々と話せばこころと同じ感じになると思うはずだよ」
石上「それで負ける可能性が高くなると……」
優心「うん。それもある……けど、何より白銀ってあまり選挙の準備してないじゃん。今回の事をしなかったら、勝てると思うけど、俺が言ったことをすれば負ける方が高いよ」
俺がこころの話や白銀自身の事を言うと、白銀は慌てだしたしまった。
その様子に苦笑いしつつ、俺は先生達に話をするために立ち上がって白銀達に声をかけた。
優心「じゃあ、俺は先生達に話をしてくるよ」
千花「分かりました」
石上「すみません。わざわざ俺の話を聞いてしかも先生にまで話をしてくれるなんて……」
優心「気にしなくていいよ。大切な後輩の頼みなんだからさ」
と、石上の言葉にそう言って生徒会室を出た。
優心(俺が白銀が負けるかもって言った後から、かぐやさんが黙って考え込んでたな……。気になるけど、今は先生達に話を通すのを優先しないと)
生徒会室を出た後に、かぐやさんの様子を気にしたが、今やらなくちゃいけない事を頭の中を切り替えて職員室へと向かった。
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職員室に着いた俺は、生徒会選挙に関わってる先生に生徒会選挙での話……、生徒会で話した内容を伝えた。(白銀達との会話をした事は伝えずに、新しい試みといった感じで伝えた)
その時に、ミコ側にも確認を取れてるかと聞かれたので、"まだ取れてない"という事と"先生達の確認からした方がいいと思った"という事を伝えた。
すると"ミコに確認してみてくれ"と言われたので、職員室から出てミコのクラスへと向かった。
一年のクラスを覗いてみると、ちょうど大仏と一緒に帰り支度している最中だった。
その様子を確認した俺は、"ミコ"と名前を呼び選挙の話を伝えた。話を聞いたミコは少し考えてから、承諾してくれた。大仏の方も反対ではないみたいだった。
ミコと話を終えた俺は職員室に向かい、ミコの確認が取れた事を伝えた。
先生「立候補者の二人が納得してるのなら、別に問題ないな。……とりあえず選挙管理委員会には、明日の朝に私から話しておくから弦巻はもう帰っていいぞ」
先生もオッケーを出してくれたので、俺は一安心した。
委員会の人には先生が話してくれるみたいなので、お願いして職員室を出た。
優心(もう暗くなってる……。まぁ、最終下校時間になってたし、当たり前か……)
と、職員室から下駄箱に向かうまでの廊下を、窓を外を見ながら思った。
そして、いつも通り電車で帰った。
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~弦巻家~
家に着き中に入ると、先に家に帰ってた愛が玄関で待ってくれていた。
愛「優心くん、おかえり」
優心「うん、ただいま」
愛に"ただいま"と伝えて、まず自分の部屋に向かった。
愛「今日はいつもより遅かったけど、もしかして選挙の事をやってたの?」
優心「うん、先生とミコに話をしたりしてた。選挙のやり方を提案してた感じだよ」
愛「いつものやり方じゃないの?」
と、愛が聞いてきたから、生徒会室でした白銀達の話の内容を愛に教えた。
愛「なるほどね。でも白銀くんが負けない様に、かぐやが色々と裏で動きそう……。石上くんが圧倒的に勝ってほしいって言ってたんだよね?」
優心「そうだよね。それに、俺が負ける可能性あるって言ったし、その言葉に白銀が慌ててたからね。あと、俺が提案した時ぐらいから、かぐやさんがなんか考えてる感じだったから」
愛「……それだったら余計に動くね」
学校での話を話してると、部屋に着いたから荷物を置いて一緒に部屋に入った愛に一つ質問した。
優心「こころは?」
愛「こころは、部屋で皐と話してるよ。皐とも話したいって言ってたから。あ、それとご飯はまだ食べてないよ。こころが"お兄様と愛と二人と一緒に食べたいからお兄様が帰ってくるまで待ってる"って言ってたから」
優心「じゃあ、早くこころを呼びに行かないとね。こころ、"お兄様が遅いからお腹ペコペコだわ!"とか言ってくると思うから(笑)」
俺の言葉に愛も少し笑みを浮かべていた。
俺と愛は部屋を出てこころを呼びに向かった。
優心「こころ、ただいまー」
こころ「おかえりなさい!お兄様」
皐「優心様、お帰りなさい」
優心「うん。今日の仕事はもう終わり?」
皐「そうだよ。家に帰ってからの作業も全て終わったからね。それでこころ様と話をしてたんです」
俺が皐と話してると、こころが腕を引っ張って来た。
こころ「お兄様!あたし、もうお腹ペコペコなのよ!だから、早く晩ごはんを食べましょう!」
俺がした予想と同じような言葉を言ったこころに、俺と愛は苦笑いしながら"そうだね"と言って、ご飯を食べる部屋まで向かった。
因みに、皐は自室に向かっていった。
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そして、生徒会選挙当日。
応援演説と立候補者演説の前に、先生が立候補者のやり方が試験的に変えてると伝えていた。……が、皆は隣の生徒と会話をしててあまり話を聞いてなかった。
その状態が続いて、応援演説の際も同じだった。
大仏の応援演説でもそのままだったが、かぐやさんが出た時も同じだった。だけど、かぐやさんはハウリングをして、一瞬にして皆を黙らせ応援演説をした。
その後に、応援演説を終わって白銀とミコの二人がステージ上に上がった。
白銀が自分の名前など言って、次にミコが言おうとしたがここであがり症が出て話が進まなくなった。
しかし、白銀がマイクを使って公約に関しての事を伝えて、最後はマイクを使わずミコに対して何か呟いたのが見えた。
その途端に、ミコが"そんなことはありません!"と、大声を出した。
ミコ「各高校のブランドイメージのアンケートです。秀知院のブランド力は、年々下降の一途を辿ってます。その下降の原因はいくつかありますが、その中でもモラルの低下が強く印象付いているようです」
ミコ「その結果、年々の女子生徒の入学する人数が減っています。その上、共学と女子校との違いがありますが、秀知院のライバル関係にある月ノ森女子学園と白雪学園に、入学や編入、転校をする生徒が多くなっています」
白銀によって火を付けられたミコは立て続けに、説明をした。
白銀「その二校の評判はどうなんだ?」
ミコ「白雪学園と月ノ森女子学園のブランド力が下がったというデータはありません。むしろ、少しずつではありますが年々上がっていますし、生徒側のモラルに関するものも上昇傾向です」
ミコの主張がここで止まった。と思ったが、一呼吸を置いてから一言を大きく言い放った。
ミコ「こういった事から、私達は世間から"偏差値だけ良いボンボン共"と思われているのです!」
ミコが言ったその言葉で生徒達はざわついたが、ひとまずミコの学校関係の話から演説が始まった。
そこから、白銀がミコの説明に加わった事によりヒートアップして討論が進んでいった。
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ヒートアップしてきた二人は、演説の予定が大幅に過ぎても続いていた。その二人の様子は生徒は勿論、先生ですら止めれる雰囲気では無かった。その様子を見ていた先生が俺に声をかけてきた。
先生「弦巻。あの二人止めてくれないか?」
優心「……あれ、止めないとダメですか?」
先生「あぁ。……この後の予定があるから流石に止めないといけないんだが……、私達があの討論に入っていける勇気がなくてな……」
優心「……分かりました。(ちょうどミコの説明に一区切りつきそうだし、白銀が言う前に声をかければいいか)」
先生の言葉に承諾して、心の中で二人の様子の事を考えながらステージへと向かった。
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~ステージ上~
ミコ「……という事が、私が公約の意味なんです!」
白銀「しかし、それだ……「二人とも、そこまででストップだ」……つ、弦巻?」
ミコ「弦巻先輩?」
俺が声をかけると、二人は不思議そうに俺の方を見てきて、二人を見ていた生徒達も少しざわついていた。
優心「今回の生徒会選挙の演説は終了だ。時間が大幅に過ぎてしまってるからね。先生からもその事は了承済だから、二人はもう下に戻っていいよ」
俺がそう言うと、二人は頷いてステージを降りていった。それを見た俺は大きめの声で先生に問いかけた。
優心「先生。これでいいですか?」
先生「あぁ、あとはこっちでするから、弦巻も降りてきてくれ」
と、俺に声をかけた先生がそう言ってきたから、"分かりました"と言ってステージを降りた。
そうして選挙演説は終わったのだった。
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そして選挙結果が出た。出たのはいいんだけど、かぐやさんが気絶した。その気絶した理由は白銀とミコの点差が原因が関わってる。
その点数が『白銀・305』『ミコ・295』で、僅差だった。
かぐやさんが結果を見た瞬間に、白銀が勝った事にホッとしたのと票の差が僅差だった事での驚きなどで、気絶した感じだと思う。
千花がかぐやさんを保健室まで運んでいって、白銀はすごい汗をかいていて、内心焦ってる感じと勝てた事にホッとしてる感じだった。
優心「白銀、お疲れ。良かったじゃん、ミコに勝ててさ」
白銀「あ、あぁ……。弦巻の言う通りだったな。まさかここまでの僅差になるとは思わなかったし、危なかった」
優心「ただ、石上が言った圧倒的に勝ってほしいって要望には程遠い結果だったけどね」
白銀「……まぁ、そうだな」
愛「優心くん」
白銀と話してると、愛が声をかけてきたから、"どうしたの?"と聞くと、"かぐやさんの事が心配だから様子を一緒に見に行きたい"と言ってきた。
俺は"分かった"と伝えて、白銀に一言断りいれて保健室に向かった。
そして保健室に着くと、かぐやさんが起きてた。愛がかぐやさんに声をかけて、そのまま話を始めた。
二人の会話の中で選挙管理委員会とかが、かぐやさんの傀儡だとかぐやさんの口から聞こえた時は驚いたりした。
そんな話をしていると、愛が話を終えて俺の腕を引っ張り保健室から外へと出た。その時に白銀とすれ違った。それを見て"なるほど"と思った。
優心「白銀が来たことに気づいたから出たんだね」
愛「そういうこと。……優心くんはこの後どうする?」
優心「白銀の任命とかあるだろうから、本人にその事を聞いてから帰るから先に帰ってていいよ」
愛「分かった、先に帰ってるね」
俺は、愛の言葉に頷いて白銀が保健室から出てくるのをしばらく待った。
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~保健室前・廊下~
しばらくして、白銀が出てきた。その時、俺の事を見た白銀が驚いた顔をした。
白銀「弦巻、ずっとそこにいたのか?」
優心「うん。白銀に生徒会の役職について聞いておきたくて。……それで、今回の生徒会は?」
白銀「前回同様、弦巻に庶務をお願いしたい。やってくれるか?」
優心「了解。引き受けるよ」
白銀「ありがとう。……今回のメンバーも前回と同じ役職で四宮達を任命した。それに加え伊井野を会計監査として生徒会に入ってもらった」
優心「そっか、分かった」
庶務を引き受けて、メンバーの事も聞いた俺は"分かった"と伝えて、帰ることにした。
優心(……よし!)
と、帰ってる間に内心ガッツポースしてしまうぐらい嬉しかった。
家に帰って愛に庶務の事を言ったら、"良かったね"と愛も喜んでくれて、お互いにハイタッチしたのだった。
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~翌日・放課後~
~生徒会室~
会長「さて、長かった選挙も無事終了!二学期は体育祭に文化祭、修学旅行と行事があって忙しい!気張って行くぞ、新生徒会!」
会長の言葉に俺は頷いた。
選挙も終わって、会計監査にミコが任命され新生徒会としてスタートしたのだった。
最後の方の、かぐやが保健室に行った件。
原作だと、早坂に押されて保健室に行ってましたが、本小説では原作以上に票が僅差だった事と、それでも白銀が勝った事でホッとしたなどの原因で、気絶して倒れたと言うことにしています。
次回の話はまだ完成してませんので、投稿は遅くなると思います。