弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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前回の続きです。 

前回同様、体育祭要素は少なめ・ほぼ無いです。というよりは確実に無いと思うかもしれません。

それに加え、所々雑になっている部分がありますが、それでも読んでくださればありがたいです。

では、本編をどうぞ。



第46話

 

 

~愛視点~

 

 

お昼になり、心美さんが言った通りにママがやってきた。

 

ママは少し私と話した後に、優心くんと話を始めた。その様子を見た私は、その事に"む~"となってしまった。

 

愛(優心くん、ずるい……。ママとしゃべるなんて……)

 

私はそう思いながら、二人が話し終わるのを待っていた。

 

しばらく待ってると、優心くんがママの質問にタジタジになりはじめた。

 

愛(優心くんがタジタジになってるの新鮮だ……)

と見たことがない優心くんの状態を、一人満足していると心美さんが会話に入っていった。

 

心美「……奈央」

 

奈央「……ごめんなさい」

 

会話を見ていると、ママが素直に謝った。そんな光景も見たことがなかったが、ママが私のところへ来たから話したいことを話した。

 

 

ママと夢中になって話をしていると、お昼が終わる時間になった。

 

 

ママの別れ際に、午後の競技も頑張る事を伝えてから、自分達のところへ戻った。

 

その時に、すばる達にママ呼びの事を言われたりする事がありつつも、午後の競技も始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~優心視点~

 

 

お昼になった時に、愛のお母様がやってきた。俺は会ったことがなかったから、最初は分からなかった。

 

けど、見た目というか雰囲気とかが愛に似てたから、愛の母親と聞いた時に、"あ、そうなんだ"とすぐに納得した。

 

奈央「君が愛の彼氏ね。私は愛の母、早坂奈央よ。心美の息子の弦巻優心くんよね?」

 

優心「あ、はい。弦巻優心です。えっと奈央さんは、お母様と知り合いなんですか?」

 

奈央「そうよ。愛と君が生まれる前ぐらいに、仕事関係で知り合ったんだよね」

 

優心「そうなんですね」

 

奈央「……それで、愛のどこを好きになったのかしら?」

 

いきなり奈央さんにそう聞かれた。

 

奈央「もしかして、そういうのない感じかしらー?」

 

優心「いや、ありますよ」

 

奈央「そう?じゃあ教えてくれない?……あ、可愛いは駄目よ。可愛いは当たり前なんだからそれ以外の理由でね」

 

優心(えぇ……。可愛い以外に理由はあるけど、それを言うの無しって……)

と、奈央さんの言葉にそう思ってしまったが、ひとまず聞かれた事に返すと、今度は別の事を聞かれていった。

 

その繰り返しのやり取りに"どうしよう"となってると、お母様が会話に入ってきた。

 

心美「奈央、あまり優心をからかうような質問はしないで」

 

奈央「別いいじゃない。からかって減るもんじゃないでしょ」

 

心美「……奈央」

 

奈央「……ごめんなさい」

 

お母様の圧に奈央さんは素直に謝っていた。

 

心美「優心、あまり奈央の質問には真面目に答えなくていいわよ」

 

優心「何で?」

 

心美「さっきみたいに、からかい目的で話するのが多いからよ。……とりあえず分かった?」

 

優心「うん」

 

お母様の言葉に、俺に頷いといた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして時間が過ぎていって、午後の競技の時間になった。

 

皆はそれぞれ競技に参加していって、そういう俺も200m走も出たりした。そして順調に進んでいって、対抗リレーの時間になった。

 

対抗リレーに出る生徒たちがグランドに出て、次の競技に出る人達の待機場所に選抜リレーに出る生徒達(俺もだが)にいた時だった。

 

「石上がアンカー?」

 

「マジ最悪なんだけど」

 

観覧席や保護者席などがすぐ隣にある待機場所で、選抜リレーに出る人達が待っている間に、聞こえてきた言葉だった。

 

そんな言葉が聞こえて、石上がいる方へと見てみた。その見た時の一瞬だけだったが、石上のすぐ近くに大友が居るのと、石上の曇った顔が見えた。

 

 

なぜ、石上が悪く言われているのか、石上の顔が曇ったのかというと、石上が中学三年の時に起こした事件が原因だ。

 

……いや、荻野というクズに石上が悪者扱いにされた事件……と、言った方が正しいか。

 

その事件は、石上の近くにいる大友という女子を巡って起きたんだ。

 

大友という女子は、中学時代に少し浮いていた石上にも、気さくに話しかけていた。そしてその大友には、荻野という彼氏がいた。

 

ある日、その荻野が大友に対し如何わしい事(他の女子にもしていたらしいけど)、そういった事をしようと動いているのに、石上が気がついた。そして石上は荻野に確認する為に接触をした。

 

接触をして話をした時に、荻野自身からやっている事を勧められて、しかも大友の事を物扱いの様に言ってたそうだ。

 

その荻野に石上がキレて、気が付いたら荻野を殴っていた。石上自身は、大友を助けようと動いただけだったが、殴ったのが悪かった。

 

石上が殴った結果、石上は大友のストーカーで、荻野と大友を別れさせようと荻野を殴った……といった内容を荻野に広められてしまい、大友だけではなく学校の皆からも悪者扱いされた。

 

この時に石上は反論したが、荻野を殴ったという事実はあったから誰も聞く耳を持つことなかったらしいが、これは仕方ないと言えば仕方ない部分がある。

 

現実問題、どんな事があろうと暴力沙汰を起こした人の方が悪い……などと、色々と言われるのが当たり前の事だ。

 

その結果、その後の石上は暴力沙汰を起こしたから、停学処分になってしまったんだ。

 

高等部に進級は無理みたいな話が出てたみたいだが、校長が何かしら関わったことで進級は出来たとのこと。

 

ひとまずこれが、石上達の中学在籍に起きた出来事だ。

 

そしてなぜ、俺や会長達がその事を知っているのかというと、石上が高一で、俺と会長、かぐやさんと千花が高二に進級した時にした話だったからだ。

 

生徒会室で、かぐやさんが石上の話をしてきたのがきっかけだ。

 

そこから、石上の為に調査を開始した。

 

その時に俺がしたのは、千花と同じように情報集めをした。千花は石上の件で詳しそうな後輩からの情報集めをして、俺は荻野や大友に近い人間の方から情報を集めた。

 

情報を集め終わったあとは、会長が石上に直接会いに行って話をして、最終的に石上は登校してくるようになった訳だ。

 

まぁ、その調査をしている時に俺の方でも少し問題が起きたが、それは別の話だ。

 

とにかく現在、石上が曇ったような顔をした理由や周りから色々と言われているのは、それが原因だ。

 

心美「あの言葉……」

 

石上の事で考えてると、いきなり俺の隣から声がした。隣を見てみるとお母様だった。

 

心美「あの言葉は、石上くんが悪者にされた件で、周りが言ってる感じかしら?」

と、待機場所の隣にある観覧席に、いつの間にか来ていたお母様が話しかけてきた。

 

俺はチラッとお母様の顔を見てから、お母様が言ってきた事に答えた。

 

優心「その噂で石上の事をよく知らない・知ろうとしない人達とかが、好きかって言ってる感じだと思うよ。……けど、会長が行ったから動かなくて問題ないと思うよ」

 

心美「優心がそう言うなら動かなくてもいいわね」

 

優心「まぁ、動きたくても石上が真実を周りに明かさなくてもいいって言ってきたし、それが本人の希望だから動けないっちゃ動けない感じだけど」

 

お母様と話をしてると、アンカーの石上の所まで第三走者がやってきた時だった。

 

"うるせぇーバーカ"という声が耳に聞こえてきて、その直後石上がバトンを受け取り走り出した。

 

 

石上が頑張って走っていったが、二位になってしまい白組に負けてしまった。

 

けど、石上の周りに赤組のメンバーが集まって何か話をしていて、石上の顔がいい表情になってた。

 

優心(石上の中で、何か吹っ切れたというか変わった感じなのかな?……もしそうなら良かった)

と思っていると、委員会の人達にグランドに入るようにと言われた。

 

俺を含めた選抜リレーのメンバー皆がグランドに入った。

 

しばらくしてリレーがスタートした。俺はアンカーなので少し待ってると第三走者が走り始めた。

 

そして、第三走者が一位のままで近づいてきたので、バトンを受けとり準備を始めた。それでうまくバトンを受け取って、走り始めた。

 

走ってる最中、足が少しもつれそうになった。流石に走る競技ばかり出てたから疲れが出てきたみたいだった。

 

それでも、うしろから走った来る白組の二人に抜かれないように走り続けた。

 

頑張って走り続けて少しして、ゴールをした。

 

リレーの順位は俺は一位だった。

 

他の順位の二位と三位は赤組で、四位はもう一組の白だった。

 

 

 

選抜リレーでの結果を反映して、最終的の結果が出た。

 

 

今回の体育祭で優勝したのは赤組だった。選抜リレーでワンツーで白組がゴールしてたら白組が優勝してたみたいだった。でも、なんだかんだ体育祭は楽しかった。

 

そんなことを思ってると閉会式が始まると放送されたので、校庭に皆が集まり始めたのだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~帰り道・弦巻家の車の中~

 

体育祭が終わった。

 

帰る時に、樹と鋼の二人に楓の事を伝えた。

 

二学期に入ったこの時期に上京してきた事や、来週の休日に家に会いに来てくれる事を伝えた。

 

その事を聞いた二人は喜んでた。その後も少し話をして楓と会ったあとは、遊べる時に皆で遊ぼうという話になった。

 

二人に伝えた後は、生徒会メンバーに声をかけようと皆の所に向かった。

 

皆の所に着くと、雁庵さんが会長と石上と千花と話をしていた。

 

それを見た俺は気にせずに、会長たちに一声掛けてから、車に乗った。

 

 

そして、今はお母様とお父様とこころの三人と、俺と愛の五人で車に乗って帰っている。

 

車の中ではお父様とお母様は二人で話している。

 

俺とこころと愛は、こころを真ん中にしてその左右に俺と愛が座ってる感じだ。

 

そしてこころは、俺の肩に頭を乗せて寝ている。その状態で、俺は愛と話をしていた。

 

最初は、体育祭の競技の事を話していたけど、途中でこころの話になった。

 

愛「それにしても、こころはぐっすり寝てるね」

 

優心「こころ、はしゃいで楽しんでたからね」

 

愛「やっぱり、違う学校の体育祭だから新鮮だったからなのかな?」

 

優心「だと思うよ」

 

愛「そっか……」

と、愛は呟きながらこころの頭を撫でていた。その最中、愛がいきなり顔を赤くさせたりしたから、その事を聞いたら"秘密"と言われたりとした。

 

 

そんなこんなで、家に着いた。

 

 

家に着いた後は、愛を含めた状態だったけど久しぶりの家族で食べるご飯だった。

 

久しぶりだったから、こころも嬉しそうに食べていて、愛と話をしていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~夜9時頃~

 

 

ご飯を食べ終わってから少しして、夜9時ぐらいになった頃。

 

俺は体育祭で少しした楓の話の続きを聞こうと、お母様の部屋にいた。

 

他の皆……まずこころと愛はもう寝てる。こころは今日一日楽しい事や嬉しい事ばかりだったからだ。

 

他校の体育祭を見たり、晩ごはんの時に久しぶりにお父様とお母様と一緒の家族でのご飯だったりしたからだ。

 

愛の方も似たような感じみたいで、晩ごはんを食べ終わると眠気が襲ってきたらしく、"おやすみ"と言って部屋へと戻っていった。

 

お父様は仕事するために、自室に籠ってる。

 

他の皆はそんな感じだと思いながら、お母様に質問した。

 

優心「それでお母様は、あの後になんて言おうとしたの?」

 

心美「楓くんが上京して一人暮らしを始めたから、何かあったら助けてあげてって事を伝えようとしただけよ。これは、楓くん母からの伝言よ」

 

優心「……それだけなんだ。けど、この時期に上京してくるなんて中途半端な感じはする。二学期が始まってしばらく経つし、大体は夏休みに引っ越してくるとかなのに。それに楓って高校入学する時に、上京する宣言してくれてたけど……」

 

心美「なんでも、お母さんが上京して一人暮らしさせるのを、一年間ずっと反対してみたいよ。全然折れなかったのは、あの子の見た目が関係してるって言ってたわね。ほら、見た目が女の子でしょ?」

 

お母様の言葉に俺は納得した。

 

優心「確かに心配するのは分かるよ。楓は男子だけど、見た目は女子に見える。意外とそういったのが好きな人がいるし、現実にそんな人がいたら悪い人に狙われたら大変だもんね。なにより楓って、こころみたいに人懐っこいし性格も素直だから」

 

心美「だから、ずっと反対してたみたいよ。それで親を説得してたら凄い時間が掛かったって事らしいわ。お父さんの方は心配はしてたみたいだけど、ほぼ即答で賛成はしてたそうよ」

 

優心「そうなんだ」

 

心美「説得した結果、些細な事でも優心や樹くん達に相談したり話をする事を条件で、一人暮らしと上京をOKをもらったそうよ」

 

優心「そんな事があったんだ……」

 

お母様の言葉に俺はそう言いながら、苦笑いした。

 

心美「……まぁ、話はこれぐらいよ。それと、今日の体育祭、格好良かったわよ。100m走から選抜リレーの頑張ってた姿」

と、話し終わったあとにそう言ってくれて、頭を撫でてくれた。

 

優心「……えへへ」

 

心美「ふふ……」

 

俺はしばらくの間、頭を撫でられたままでいた。

 

心美「じゃあ、もう遅いから優心もそろそろ寝なさい」

 

優心「うん。おやすみなさい、お母様」

 

心美「おやすみ」

 

お母様から"おやすみ"と言われた俺は自室に戻った。その途中、お父様の部屋に行ってお父様にも"おやすみなさい"と伝えてから、俺は自分の部屋に戻り、ベッドに入って寝た。

 

 

そうして、一日が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~愛視点~

 

 

すばる達から色々と言われたり話をしたりしつつ午後の競技に出たり、皆が出てる競技を見たりしていた。

 

優心くんは200m走に出た時は、100m走と同様一位を取っていた。

 

そして今は対抗リレーをしていた。そろそろアンカーが走り出した頃、かぐやに声をかけられ校庭から離れて校門の所へと向かった。

 

そして校門には、会計くんの噂に関わっている大友とその友人がいた。私はかぐやは、大友とその友人達に見つからず声が聞こえる位置にいた。

 

大友「運が良ければ荻野と復縁……と思ったけど、まさか転校してるとは思わなかったよ」

 

大友からそんな声が聞こえた。

 

愛「荻野って転校してたんだね。……もしかしてかぐやがやったの?」

 

かぐや「まさか。……私はそんなひどい事はしないわよ。私よりもずっとひどい事を、エグい事を平気でする人達がいます。私はありのまま事実を彼らに伝えただけです」

 

愛「うーわ……。……すっかり忘れてました。いや記憶から消してたよ。かぐや以外のVIP枠の人達がいたね」

 

私はかぐやの言葉で、秀知院のVIP枠の人達の事を思い出してしまった。

 

かぐや「まぁ、それ以上に弦巻くんの方が酷いですけどね」

 

私がVIP枠の人達の事を思い出してると、かぐやは優心くんの名前を出してきた。

 

愛「?……なんで優心くんが出てくるの?」

 

かぐや「……弦巻くんがVIP枠の皆さんから、何て言われてるか忘れました?」

 

愛「……弦巻優心を怒らせるな……だったっけ?」

 

かぐや「そうですよ。今回の石上くん関係の首謀者の男子生徒を学園から転校させたのは、紛れもなく私と弦巻くん以外のVIP枠の人達です。ただ、その後に弦巻くんが追い討ちでやっているので、そう言われています」

 

愛「優心くんが何したの?」

と、かぐやの言葉に私はそう聞いた。

 

かぐや「例の男子生徒が転校……学園から居なくなった後に、アメリカの日本人街に飛ばされてます。……家族もろともね」

 

愛「……え……それ本当?」

 

かぐや「事実ですよ。しかも、国籍も日本国籍を剥奪してアメリカ国籍に強制的に変更させた後に、日本には二度と来れないようにしたみたいですよ」

 

愛「……」

 

かぐやの言葉に、私は口が開いて塞がらなかった。今までも驚くことはあって慣れてたはずだった。けど、こっちはこっちで次元が違う驚きがあった。

 

かぐや「だから、VIP枠達の中では弦巻くんを怒らせるなという事になったいるんです。……本当に弦巻くんは恐ろしいですよ」

 

愛「……でも、VIP枠の人達もエグい事をしてるから、優心くんの行動を見ても"怒らせるな"とかは、ならないんじゃないの?怖がる理由とかも分からないし……」

 

かぐや「愛さんの言う通り、彼らなら基本的に怖がったり怒らせるな、なんて言いませんよ。……普通ならね」

 

私が疑問に思った事を聞くと、かぐやにそう言われたから"え?"と言ってしまった。

 

かぐや「弦巻くんは行動をしなくとも、声のトーンですら相手を怖がらせるんですよ」

 

愛「声のトーンで?」

 

かぐや「……愛さんは知らないんですか?前に愛さんが会長を落とすだとかの出来事の時に、私が弦巻くんの声のトーンで恐怖を感じたんですよ。しかもその時に、愛さんは隣にいたんですよ」

 

かぐやが言ってきたことに、私は知らない。

 

愛(確かに会長を落とせるかどうかの、出来事はあった。全て終わった後にかぐやに文句言って優心くんに頭を撫でられてた。その時に、優心くんとかぐやが話してたのは知ってるし会話は聞いてたけど、怖さは感じなかった)

 

私は、怖さを感じなかった事とかを教えた。するとかぐやも考え込んでしまった。

 

かぐや(……愛さんが、嘘を言ってるようには感じない。つまり弦巻くんの行動や言動は、弦巻くんがキレた相手のみに発揮するって事?……もしそうなら、愛さんが知らなくて当たり前ね)

 

愛「かぐや?」

 

かぐや「……ひとまず、VIP枠の彼らが怖がったり弦巻くんを怒らせないようにしたのは、荻野に対してやった事に行動の際に、その怒りの矛先が彼等に少し向いたんです」

 

愛「なんで?VIP枠達は関係ないでしょ?」

と、私は聞き返した。話を聞いているとVIP枠の人達は関係ないと思った。

 

かぐや「弦巻くんが荻野に行動した際、私以外のVIP達が居たんです。VIP枠の一人が、弦巻くんに声をかけた時に怒りを向けられてしまったんだそうです」

 

愛「じゃあ、優心くんが意図して怒りを向けた訳じゃないんだ……」

 

かぐや「えぇ、その通りです。その際、弦巻くんの声のトーンが、今までで感じた事がない恐怖を抱いたと仰ってました。"怒りが収まるまで、待てば良かった"と後悔してましたね」

 

愛「……もしかして、あの暴力団組長の娘の龍珠桃も?」

 

かぐや「えぇ。確か……、組内の幹部や構成員よりも怖く感じそうですよ」

 

私はそんな話を聞いて、本当に次元の違うと思ってしまった。けど……。

 

愛「けどなんで、優心くんはそんなに怒ってまで、荻野にそんな事をしたんだろう……?」

 

私が言うと、かぐやは教えてくれた。

 

かぐや「VIP内では、"こころさんの事を言われたから"と言われています。……しかし、これはただの噂として扱われているので、実際は分かりません。私も含めVIP内では、詳しい事を本人に聞いてはいけない事になってます……」

 

愛「……なんで?」

 

かぐや「……下手に聞いて、また怒りを向けられたくないという事で、VIP内では言わない・聞かないという暗黙の了解になってます。皆さんは二度も彼の怒りに触れたくないと仰ってました。……私も同感です」

 

愛「……話を聞いてると、そんな風に思っても仕方ない感じだね」

 

かぐや「えぇ。それに加え、荻野が居なくなり石上くんも救われたという事で、話が一区切りついた。それなのに、またその話をする必要もないですしね。愛さんも特に気にならなければ、聞く必要もないですよ」

 

愛「そうだね。私は詳しく知りたいとかは無いから別に聞こうと思わないな……」

 

かぐやの説明に私は、優心くんから詳しく聞こうとは思わなかった。

 

そうこうしていると、大友が笑顔で帰っていった。

 

かぐや「……真実を教えたらどんな風になるのかしらね?」

 

愛「でも、かぐや……」

 

かぐや「分かってるわよ。石上くんが守りたかったのは、先程の笑顔なのですから」

といった話をした後は、グランドの方へ戻ることにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

大友の様子をかぐやと一緒に話をしつつ戻った。

 

かぐや「先程の話で、弦巻くんの事を嫌いになりました?」

 

愛「……驚いたりしたけど、嫌いにならなかったよ。……前に弦巻家のメイドさん達が言ってた通りだったな~、って思ったよ」

 

かぐや「どういった事を、言っていたんですか?」

 

愛「優心くんは、家族の誠心さん達と、使用人のメイド・執事・黒服・料理人達、友人達に危害を加える人には容赦しないって言ってた」

 

かぐや「なるほどね。だから嫌いにならなかったって事ですか……」

 

愛「うん」

 

優心くんの話をしているとグランドに着いた。

 

だけど優心くんが出る選抜リレーが、ちょうど終わった所だった。

 

赤組と白組の結果を見てみると、赤組の勝利みたいだった。でも、リレーの結果を見てみると一位の所に優心くんが立っていた。二位と三位は赤組の人で四位は白だった。

 

頑張ってる所は見れなかったけど、優心くんが一位になってたのは嬉しかった。

 

優心くんにその事を伝えたかったけど、閉会式をするという放送がされたので、グランドに全生徒が集まった。

 

そして体育祭が終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~帰り道・弦巻家の車の中~

 

体育祭が終わり、帰り道。

 

今は弦巻家の車に乗って帰ってるところだ。テレビや洗面台とかがある車で帰っている。

 

雁庵様とかぐやは四宮家の車で別邸に帰って、ママは体育祭が終わったあとすぐに仕事に戻っていったから、一緒にはいない。

 

だから今、車に乗ってるのは、誠心さん・心美さんの二人とこころ・優心くんの弦巻家族。そして私が乗ってる。

 

優心「選抜リレーで一位だった」

 

車に乗ってからしばらくした時に、優心くんがそう言ってきた。

 

愛「うん。結果の方しか見れなかったけど、結果見た時は驚いたよ。でも凄いと思ったよ。前から思ってたけどやっぱり走るの早いよね」

 

優心「公園で子供たちと遊んだり、こころと遊んだりしてるかだと、俺は思うよ」

 

愛「やっぱり、それが関係してるんだね」

 

優心「多分ね。けど、流石に疲れたよ。午前中から走りの競技をメインに走ってたからさ」 

 

愛「……ふふ、お疲れ様」

 

優心くんの走りの早さの事を話した後に、私は寝てるこころを見た。

 

愛「それにしても、こころはぐっすり寝てるね」

 

優心「こころ、はしゃいで楽しんでたからね」

 

こころがぐっすり寝てることを言うと、優心くんが"楽しんでた""はしゃいでた"と言ってきた。

 

愛「違う学校の体育祭だから新鮮だったからなのかな?」

 

優心「だと思うよ」

 

優心くんの言葉に"そっか"と呟いた。そして自然とこころの頭を撫でてしまった。

 

愛(こころの髪、やっぱりさらさらしてるな~)

 

しばらく撫でていると、こころが笑顔になった気がした。

 

愛(こうしてると本当に自分の妹に感じちゃうな。……あ、でも優心くんと結婚すれば義理の妹になるんだよね……て、私なに考えてるの!?いきなり……!)

 

そんなことをいきなり考えてしまった私は、自分の頭の中で軽いパニック状態になった。

 

優心「愛、顔が赤いけど大丈夫?何かあった?」

 

愛「だ、大丈夫!何もない、秘密だよ……!」

 

優心くんにそう言って、考えてたことを知られないようにした。その後は、なんとか自分を落ち着かせて、普通に話をしていると、家に着いた。

 

 

家に着いた後は、ご飯を食べることになった。久しぶりの家族全員でご飯を食べてるからか、こころは嬉しそうだった。優心くんも嬉しそうにしていた。

 

私はこころと話をしながら、ご飯を食べていた。

 

 

ご飯を食べ終わると眠気が襲ってきて、あくびが出てしまった。

 

愛「優心くん、眠くなってきたからそろそろ寝るね」

 

優心「うん、おやすみ」

 

愛「おやすみ~」

 

優心くんに"おやすみ"と言って歯磨きとかしてから、部屋に向かった。

 

愛(……今日は疲れたからもあるかも知れないけど、ここ最近、寝る時間が早くなってきたな。四宮家の時は夜中近くまで起きてたけど、ここだと21時近くになると眠たくて仕方ない)

 

そう思いながらベッドに入って、目を閉じるとすぐに寝てしまった。

 





次回は、今回名前だけ出した「楓」というキャラを出します。
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