弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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今回は、かぐや様の原作タイトル『子安つばめは塗り替えたい』の内容を題材してます。

では、本編をどうぞ。



第61話

 

 

~弦巻家・優心の部屋~

 

 

~優心視点~

 

 

三学期の試験が終わった。

 

試験の後に石上と千花の誕生日があって、千花と石上にちゃんとプレゼントを渡したりして、しばらく日が過ぎた。

 

そんなある日の今日。

 

俺は自室でパソコンを開いて、オンラインでの通話の準備をしていた。

 

そのオンラインの相手というのは、秀知院VIP枠の面々とそれに準ずる生徒や、つばめ先輩に呼ばれた生徒達だ。

 

石上と千花の誕生日があった日の翌日に、つばめ先輩から今回のオンラインで話をする事を教えてもらったんだ。

 

詳しい内容を聞くと、石上関係の事を話すという事だそうだ。

 

そうこうしていると、準備が出来たので繋げて待機をしといた。

 

画面上には、つばめ先輩以外の何人かがチラホラいて、準備が出来たのか少しずつ映像が増えていった。

 

そして最終的につばめ先輩が入ってきて、かぐやさんと少し話をしていた。

 

かぐやさんとの会話が一区切りついた辺りで、つばめ先輩が静かになった。

 

つばめ「じゃあ、卒業前に一発やらかしましょう」

と、静かになっていたつばめ先輩が、一言目でそう話を切り出した。

 

まず、つばめ先輩は自分の気持ちやこれからやろうとしている事を伝えていた。

 

つばめ先輩が、積極的に孤立した者と関係を築こうとする人間。

 

ひとりぼっちをなくそうとする人間だと、つばめ先輩が言った歯の浮くような理想論を本気で言っている事は皆は知っている。

 

俺も知っているし、なんなら俺はつばめ先輩の理想論に協力をしている。

 

そう思いながらも、つばめ先輩が話していた事を聞いて、つばめ先輩が一区切り付いた時に、龍珠が"一番難しい"と呟いた。

 

そこから龍珠が話を始めて、少ししてかぐやさんが話に割って入った。

 

かぐや「真実なんて、必要ありません。……話を本筋に戻していただきます」

と、かぐやさんが言って、話を整理する形で学園内で流れている噂を皆に伝えていた。

 

かぐや「しかし実際は、荻野が自分の非行を秘匿する為に流布した嘘。その荻野は、怪しげな斡旋業に手を染めていました」

 

優心「……それが広まれば大友にも風評被害が出てしまうわけ?」

 

かぐや「そうです。荻野自身や荻野の家族はアメリカにいますから、彼からの報復の心配はないです」

 

龍珠「ただ、誤解を解くと大友に、噂を残せば石上に被害が出る。デッドロック状態だな」

 

かぐやさんからの説明を聞いた龍珠が、そう言うとかぐやさんがつばめ先輩に話を振った。

 

つばめ先輩には、デッドロック状態を打破する術があるそうだ。

 

かぐやさんに話を振られたつばめ先輩から出てきた言葉は、"嘘で嘘を上書きする"という事だった。

 

その嘘を上書きするという内容は、"荻野がした事は浮気程度"で、"石上がそれを咎めた所に悪い噂を流されて大友の為に泥を被った"という、こっちに都合のいい嘘を流す事だった。

 

 

つばめ先輩の案を聞いた皆は各々考えを話したり、つばめ先輩と話をしたりしていた。その途中で龍珠が泣いたのを見て珍しいなと思った。

 

小島「まぁ、ごねそうな龍珠が賛同なら概ね反対する奴もいないだろう」

と、小島が話を切り出して、各々協力したい人が協力するという話に纏まった。

 

かぐや「一応、チャット欄にプロパガンダの内容と萩野の浮気証拠画像をリンクを貼っておきますので好きにご活用ください」

 

「どうやってそんなん入手した……」

 

かぐや「弦巻くんからですよ。……正確には弦巻くんの黒服からですけど」

 

龍珠「弦巻の黒服、やベーだろ……。そんな情報を持ってるのが」

 

優心「弦巻家(うち)の人間を舐めちゃ困るよ……龍珠」

 

龍珠「別に舐めてはねーよ。……それよりこの中に、あいつを転校に追いやったやつがいるだろう。誰だ?」

 

そう聞かれた皆の中で何人かが笑っていた。

 

龍珠「オーバーキルじゃねえだろうな」

 

かぐや「そうでしょうね」

と、龍珠の言葉にかぐやさんは、少し微笑みながらそう答えていた。……が、微笑んでた途端に、かぐやさんの顔が真面目になった。

 

かぐや「……その荻野の転校関連で一つ質問というか聞きたい事があります」

 

「聞きたいこと?それってどんな内容ですか?」

と、かぐやさんの言葉に今回の件に参加していた一人がそう聞き返した。

 

その事にかぐやさんが口を開こうとした時に、俺の部屋のドアが開いた。

 

そのドアが開く音に皆が静かになり、その代わりに入ってきた人の声が響いた。

 

こころ「お兄様ー!黒服の人が晩御飯の準備が出来たって言ってたから一緒に部屋に行きましょう」

 

入ってきたのは、こころだった。そして、俺に晩御飯を出来たことを伝えてきてくれた。

 

こころ「あ、もしかして入らない方がよかったかしら?」

 

俺がまだパソコンを使っているのを見たこころが、そう質問してきたから"大丈夫だよ"と伝えた。

 

俺の言葉を聞いたこころは笑顔で"なら良かったわ"と言って、パソコンを覗いてきた。

 

こころ「あ、つばめにかぐやじゃない!久しぶりね♪」

 

つばめ「こころちゃん、久しぶり!今日もいい笑顔ね」

 

こころ「あら、ありがとう。つばめもいい笑顔よ」

 

つばめ「ふふ、ありがと」

 

かぐや「こころさん、久しぶりですね。今日も元気ですね」

 

こころ「えぇ、あたしはいつも元気よ!」

 

かぐや「ふふ……」

 

つばめ先輩とかぐやさんの二人と、少し話をしたこころが俺を見てきた。

 

こころ「お兄様、この他の人達も知り合いなの?」

 

優心「うん、そうだよ。今日は学校の事で皆と話をしてたんだよ」

 

こころ「そうなのね!……ねぇ、あたしお腹ペコペコなの。だから早く晩御飯食べましょう!」

 

優心「そうだね。でも、あと一つだけ話したい事があるんだ。だから先に部屋へ行っててくれる?」

 

こころ「……む」

 

俺がそう言うとこころはほっぺを膨らましてしまった。それを見て少し拗ねたこころを見て可愛いと思いながら、一つ質問した。

 

優心「……こころって、春休みは予定は空いてる?」

 

こころ「春休み?……ん~、空いてる日はあるわよ。皆、友達だったり家族とお出掛けしたりする日もあるみたいだったから」

 

優心「じゃあ、ハロハピの皆と遊んだりする予定が無い時に、二人で一緒に出掛けよう。こころの行きたい場所にね」

 

こころ「ほんと!?」

 

俺が"うん"と頷くと、こころはすぐに行きたい場所を言ってきた。

 

こころ「じゃあ、スマイル遊園地に行きたいわ!お兄様と二人では行ってないし、ジェットコースターとか色々と乗りたいわ!それに、遊園地の社長さんもお兄様に会いたがってから、行きましょ!」

 

優心「うん。約束」

 

そう言って俺は小指を出して、こころと指切りをした。

 

優心「もう少しだけ我慢しててね」

 

こころ「分かったわ。でも早くしてね」

 

上目遣いで言ってきたこころの頭を撫でてながら頷くと、笑顔でこころは部屋を出ていった。

 

小島「先輩は、妹と仲がいいんですね」

 

朝日「やっぱりこころちゃんを見ると、自然と笑顔になってしまうわね」

 

つばめ「うんうん」

 

かぐや「確かにそうですね。裏表がないですからね。全て本心で接してきますし」

 

龍珠「私にも臆せず接してくるしな」

 

優心「それが、こころだからね」

 

つばめ「そうだよね」

 

優心「こころの話はこれぐらいにして、話を戻すけど……かぐやさん。聞きたい事があるって言ってたけど、どんな内容?それと誰に対して?」

 

俺はこころの話を切り上げてから、かぐやさんが言った聞きたい事をかぐやさんに質問した。

 

かぐや「……弦巻くんに、聞きたいことがあります」

 

どうやら、かぐやさんは俺に聞きたい事があるそうだ。

 

優心「俺に?どんなこと?」

 

俺は不思議に思いながら、聞きたい事の内容を質問をした。

 

かぐや「……荻野をアメリカへと飛ばした理由とキレた理由です」

 

VIP達「……!」

 

かぐやさんがしてきた質問に、VIP枠の生徒達が息を飲んだのを感じた。……感じたが、俺は気にせずにかぐやさんの質問に答えることにした。

 

優心「飛ばした事と怒った理由ね。……ここで聞いてくるって事は、かぐやさんは"これが関与してる"っていうものがあると確信しているんでしょ?」

 

俺がそう聞くと、かぐやさんは頷いた。

 

かぐや「えぇ。というのも、VIP内である噂があるんです」

 

優心「噂?」

 

かぐや「荻野に、こころさんの事を言われたからという噂です。……つまり、荻野の斡旋業にこころさんが巻き込まれそうになったからではないか……と、私は思ってます」

 

かぐやさんが言った言葉を聞いた俺は、"この噂は間違ってないな"と思いながら、口を開いた。

 

優心「……大体、その通りだね」

 

かぐや「大体と言うと?」

 

優心「あいつが言ったのは、こころだけじゃない。……かぐやさん。つぐみちゃんは覚えてるでしょう?羽沢珈琲店の子」

 

かぐや「えぇ、覚えてますが……」

 

優心「その子と……その子が所属してるバンドメンバーもあいつは狙ってたんだよ」

 

俺が言った事に、かぐやは目を見開いた。

 

小島「弦巻先輩。俺達にも分かるようにお願いします」

 

かぐやさんが驚いていると、小島がそう言ってきたので今回の話に参加している皆に説明を始めた。

 

優心「去年の進級した頃のこと。つまり、去年の4月で俺やかぐやさんなどが高二になった時に、石上の事を前生徒会で調査した。これは皆は知ってるよね?」

 

俺がそう聞くと、皆は頷いたのを見てから話の続きをした。

 

前生徒会でも書記だった千花が、後輩にそれとなく聞く形の情報集めをした。そして俺も情報収集をしたが、その相手というのが、荻野と大友などの中心人物達の近い人間に情報収集した事を、皆に伝えた。

 

優心「……で、集めた情報は会長達に伝えたんだ。その時は特に問題はなかった」

 

つばめ「"その時は"って事は、かぐやちゃん達に集めた情報を伝えた後に問題が起きたってこと?」

と、つばめ先輩が聞いてきたので俺は頷いてから、口を開いた。

 

優心「かぐやさんがVIPの皆に伝えてから、荻野が転校するまでの間に、問題が起きたんだよ」

 

かぐや「……それが、こころさんやつぐみさん達の話という訳ですか」

 

優心「そういう事だよ」

 

小島「先輩。そのつぐみという子とは、どういった関係ですか?」

 

かぐやと話していると、小島がそう聞いてきたので教えてあげた。

 

家の近くに商店街がある事と、つぐみちゃんはその商店街で経営している珈琲店の一人娘であること。その子はバンドを組んでいる事や、その子達とは友達だという事などを教えてあげた。

 

小島「なるほど。……しかしそれだと何故、先輩の妹やその人達の事を荻野は知っていたのか?という話になりますね。その人達と荻野とは接点がない筈ですよね?」

 

優心「小島の言う通り、荻野本人はこころ達とは接点はないよ。それと俺とこころ達の関係も知らなかったよ、でもあいつがこころ達を知った方法は、斡旋業だ」

 

小島の言葉に俺はそう伝えた。俺の言葉に小島は"斡旋業が?"と呟いていた。

 

優心「うん。昔なら話は別だろうけど、今はインターネットが普及している。つまり、斡旋業でも何をするにしてもネットやSNSでやるのが主流だ」

 

かぐや「という事は、荻野はネットで他に斡旋業をやっていた人達から、こころさん達を知ったという訳ですね」

 

優心「そういうこと。俺が住んでる辺りに荻野と繋がってた奴がいた訳で、そいつが可愛い子を見つけたとかで情報を流してたって事だね」

 

小島やかぐやさんとの会話に、皆は一様に"なるほど"とか"そういう理由か"と呟いていた。

 

つばめ「それでこころちゃん達の事を言われたのが、転校する前ってこと?」

 

優心「そうです。……あいつ、どんな神経してるのか分からないですけど、あの時石上から情報が漏れないか怯えてたくせに、俺に接触して来たんですよね」

 

かぐや「そうなんですか?」

 

優心「ほら、俺が荻野と大友に近い人間から情報を集めてたでしょ?だから接触してきたと思うんだ。その時はうまく話を逸らしたから内容とかは話してはないけど……」

 

小島「弦巻先輩との会話で問題ないと安心した荻野が、石上に話をした時のように弦巻先輩に妹さん達の事を言ってきたという事ですね」

 

優心「それでキレたんだよね。俺の妹どころかつぐみちゃん達の事まで言ってきたから。……で、その時に小島達がやってきてたんだよね。あれは驚いたよ、皆が来たから」

 

俺がそう言うと、皆は苦笑いしていた。

 

朝日「そう呑気に言わないでくれるかな、弦巻くん。あの時、本当に怖かったのよ。それで私達の中で弦巻くんを怒らせるなって話になったわけだし」

 

優心「そんな風に言われてたんですか?初めて知った……」

 

朝日先輩の言葉に返した俺の言葉を聞いた皆は、なんとも言えない顔をしていた。

 

優心「……で、皆が荻野を転校させたって事なんだけど、転校した荻野を黒服さんにお願いして、しばらく監視させてたんだ」

 

つばめ「その時に、アメリカに飛ばす程の事をしてたの?」

 

優心「そう。あいつは、転校しても斡旋業を続けていたんだ。こころとつぐみちゃん達は、俺の知り合いだったから標的を変えてたけど……」

 

かぐや「もしかしなくても、その変わった標的も弦巻くんの知り合いや友達だった……という事ですか?」

 

優心「うん。荻野と、荻野の仲間が次に目を付けたのは、つぐみちゃん達以外の商店街の子だ。その子達は、俺と妹の友達だったり妹のバンドメンバーの子でもある」

 

俺がそう言うと、何人かは"マジか"と呟いていた。

 

朝日「それはもう自業自得とか運がないとかを、言うしかないわね」

 

優心「まぁあの辺りは、白雪や月ノ森の名門から花咲川と羽丘といった私立で中高一貫の女子校がある。その為、必然的に可愛い子が多く、男女比的に女子女性の割合が高いからね」

 

龍珠「それなら、あいつやその仲間からすれば格好の場所ってことか」

 

俺の説明に、龍珠がそう言ってきた。

 

優心「そうだよ。それでアメリカに荻野とその家族、荻野に関わった人も全員探しだして、飛ばしたんだ。あとは皆が認識している通りだよ」

 

俺がそう言うと、静かになってしまってしまい、龍珠が"やっぱ、弦巻はヤバイに尽きるな"と呟き皆が頷いていた。

 

優心「……まぁ、これが全てだよ」

 

かぐや「弦巻くん、ありがとうございます」

 

優心「聞かれたから教えただけだから」

と、かぐやさんのお礼にそう答えてから、"つばめ先輩"と声をかけた。

 

つばめ「ん、何?弦巻くん」

 

優心「ひとまず、石上の噂の件に話を戻しますけど、噂の上書きについては各々の判断でいいですね?」

 

俺がそう聞くと、つばめ先輩は頷いて"よろしく"と言ったのを最後に、今回のオンラインでの通話が終了した。

 

時間を見てみると、意外と時間が経ってしまっていたので、急ぎ足でご飯を食べる部屋に向かった。

 

部屋に入って、待ってくれていたこころと一緒にいる愛にちゃんと謝ってから晩御飯を食べて一日が終わった。

 

 

翌日の学校で俺はつばめ先輩達と話した内容を、俺と仲がいい後輩達にそれとなく伝えた。

 

そこから日が経つと、石上に対する雰囲気が変わったのを感じたので、うまく噂の上書きが出来た事に一安心した。

 

 

噂の上書きがうまく出来てから日が経って、3月10日。つまり、つばめ先輩達三年生の卒業式当日になった。

 





次回は、話が完成していないので遅くなります。

最近は、遅くなると書いてても一週間で投稿できてましたが、次回は無理かもしれませんので、気長に待ってくれたら幸いです。

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