弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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お待たせしました。

本編をどうぞ。



第70話

 

 

優心が沙綾から相談を受けた日から、数日後のある日。

 

 

~放課後~

 

 

~会長視点~

 

 

会長「明日は、交流会だな」

 

かぐや「えぇ、そうですね」

 

会長「今回の交流会は俺達が準備をしなくても大丈夫だし、気が楽だな」

 

かぐや「前回は校長が伝達をギリギリに伝えてきたので大変でしたからね」

 

会長「今回はどっしりと構えられるな」

と、余裕を持ちながらかぐやに言って、生徒会室へと向かった。

 

 

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~生徒会室~

 

 

会長(そう思っていたのに、なぜフランス校の人がいるんだ……)

 

かぐやと分かれて生徒会室に一人で向かうと、フランス校の生徒一人がソファーに座っていた。

 

会長「……確か、ベツィーだよな?フランス校の」

 

ベツィー「はい。今、だいひょう。あなたと同じ」

 

会長「て事は、こっちで言う所の生徒会長ってことか……」

 

ベツィー「そうです。せいとかいちょうです」

 

会長「日本語、喋れる様になったんだな」

 

ベツィー「べんきょうしたから」

 

俺の言葉に答えたベツィーが、いきなりキョロキョロとし始めた。

 

その様子に不思議に思っていると、恐る恐るといった感じで、声をかけてきた。

 

ベツィー「きょう、つるまきいない?」

 

会長「え?あぁ……今は居ないが、しばらくしたら来るんじゃないか」

 

ベツィー「……え?」

 

俺の答えた言葉に、震え始めた。

 

会長(そういえば、弦巻ってベツィーと話した時に、ベツィーが異常な程に怖がってたな。弦巻は日本の怖い話をしたとか言っていたが、この感じはそうじゃないな……)

 

そう思った俺は、質問する事にした。

 

会長「……なんで弦巻を怖がっているんだ?」

 

ベツィー「怖いことを言われた。私も他の家族全員もフランスに住めないようにされる所だった。生きて帰れないと思った」

 

会長「……弦巻、そんな感じの事を言ってたのか……。でもすぐに謝ってただろ。俺はフランス語は殆ど喋れないから内容は分かんなかったが……」

 

ベツィー「許してる。でも怖い。頭は分かってる」

 

会長「恐怖が凄くて、頭では許してたりもう解決してると分かってるけど、意図なく反射的に怖がってしまうってやつか」

 

ベツィー「でも、しのみやファミリーとは違って、つるまきファミリーの人達は、いい人。ただ、怒ると怖い」

 

会長「優しい人程、怒るとヤバイって聞くけど、そういうタイプか。……でも確かに、弦巻自身や両親を見ると完全にそんな感じなのは分かるな。(こころはそんな感じではないな……)」

 

俺の言った言葉に、ベツィーは頷いていた。

 

会話「……ただ、四宮ファミリーと違うって、かぐやの家ってどう伝わってるんだ?」

 

ベツィー「しのみやファミリーは、マフィア。簡単に人を殺す」

 

会長「そんな風に伝わってるんだな」

 

ベツィーと話をしていると、生徒会室のドアが開く音がした。ドアの方に顔を向けると弦巻が来た所だった。

 

ベツィー「ヒィ!」

 

優心「もう怖がんないでよ。……って言っても、自業自得だから仕方ないか……」

 

弦巻を見た瞬間にベツィーは怖がり、弦巻は"自業自得か"と言っていた。

 

ベツィー「スミマセン。大丈夫デス」

 

優心「……そう」

 

しかも、弦巻は少し落ち込んでいる感じだった。

 

会長「それより、ベツィー。交流会の準備は上手くいってるのか?」

 

ベツィー「全部最悪」

 

優心「わー」

 

会長「全部、最悪かよ!」

と俺が叫んだ後に、ベツィーが色々と言ってきたからそれを聞くと、要するに日本の言葉が難しすぎるだそうだ。

 

ベツィー「だから、手伝って欲しい。あなたに」

と、俺の顔を見ながら言ってきた。

 

会長「手伝いなら、弦巻の方が良いと思うが……」

 

ベツィー「そ、それは……」

 

また怖がった。そして俺の隣にいる弦巻はベツィーの反応を見て"あー"という声を出していた。

 

会長「……弦巻、今日は帰ってた方が良いと思うぞ。話すたびに、傷つくと思う」

 

優心「……そうする」

 

俺の言葉を聞いた弦巻は小さく呟くように返事をして生徒会室を出ていった。

 

ベツィー「悪いことした」

 

会長「いや、まぁ今回のは仕方ないだろうから、気にしなくていいと思う」

 

ベツィーの言葉にそう伝えてから、交流会準備の話に戻した。

 

会長「それで、準備は全然終わってないんだっけ?」

 

ベツィー「さっき言った日本の言葉が難しい!話が通じない、伝わらない」

 

会長「仮に伝わっても、上手く進まない状態でもあるな」

 

頷くベツィーを見て、俺は"はぁ~"と自然と長いため息を出てしまった。

 

会長「たく。校長、手伝ってやれよ」

 

ベツィー「校長、いい人!生徒、子供みたい!」

 

校長の事を言うと、ベツィーは叫んできた。

 

会長「子供みたい?あぁ……子供みたいに思ってるって事か……。だったら、なおさら俺達が準備した時だって早く伝えくれても良かったのに」

 

ベツィー「あなた、試されてた。試練?というやつ」

 

そのベツィーの言葉を聞いた俺は"ん?"となった。

 

会長「なんで?」

 

ベツィー「知らない」

 

"知らない"と言ったトーンは純粋に知らないという感じだった。そのトーンでの返事を聞いた俺は深く聞こうとするのをやめた。 

 

会長「……とりあえず交流会の件だが、当日手伝う」

 

ベツィー「いいの!?」

 

会長「手伝わないと、交流会が上手くいかなくて、弦巻は苦手であまり手伝ってほしくないんだろう?」

 

俺がそう聞くと、ベツィーは頷いた。

 

会長「だから、手伝う」

と伝えると、ベツィーはお礼を言ってそのまま生徒会室を出ていった。

 

生徒会室に残った俺は、校長に聞きたいことを聞くために探すことにした。

 

 

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生徒会室を出て、しばらく校内や敷地内を歩いて探し回っていると、やっと見つけた。

 

会長「校長」

 

校長「白銀くんじゃないデスカ」

 

会長「聞きたい事があるんですけど……」

と切り出してから、俺を試した理由を聞いた。

 

しらばっかれたから、もう一回問いただすと、校長は一瞬静かになってから、俺が"学校を背負う会長として相応しいのか"という事を試したと教えてくれた。

 

会長「学校を背負うと言っても、たかが生徒会長でしょう?」

 

俺がそう言うと校長は、"そんなんじゃありません"と言ってきた。

 

それに加え、"この学園には特殊な環境に居る子が多い"事や"大人は権力に弱い"などと言ってきた。

 

会長「……大人は信用するなと言いたいんですか?」

 

校長「いざという時に内側から問題を解決できる人間が必要なんです」

 

会長「それなら、俺じゃなくても弦巻や他の生徒会メンバーでも良いと思うが……」

 

俺が言った言葉に校長が静かになり、少ししてから口を開いた。

 

校長「学校の理事長は四宮黄光。……かくやさんのお兄さんデス」

 

会長「かぐやの兄……」

 

校長「えぇ。この学園は四宮家の掌の上なんです。他にも警察や裁判所なども四宮の権力は存在しますが、学校ほどではありません」

 

校長の言葉に俺は"ん?"となったが、校長はすぐに説明をしてきた。

 

校長「弦巻家の権力も警察などがあります。つまり弦巻家が存在してるだけで、四宮家は手を出しにくいんです」

 

会長「それは、抑止力になってるということか?」

 

校長「そうです。ただ、この学校にはそういった抑止力はありません。せいぜい弦巻くんの親しい友人関係には手を出しづらい程度でしょう」

 

会長「それは、生徒会メンバーとA組の皆ぐらいって事ですか?」

 

校長「えぇ。……ただ、世の中は貴方が思っているよりも不条理です。弦巻くんが居たとしても、関係ないと問答無用で権力などを振りかざします」

 

校長の言葉にその通りだと思った。……事実の通り、企業関係のニュースを見ていると分かるが、権力を振りかざして証拠隠滅などをしているのをよく聞く。

 

校長「そんな時、四宮かぐやを守れるのは誰でしょう?……それは会長としてこの学校を背負ってきた貴方です」

 

会長「……弦巻でもいいと思うが?」

 

校長「まぁ、確かに彼でもいいでしょう。しかし今の彼には頼めないのですよ。やる事があるらしく手が回らないと言われてしまいました。(彼の父親からですが……)」

 

校長の発言が気になったが、ここで切り込むと話が逸れそうだと思った俺は、聞かないで話を進めることにした。

 

会長「……だから俺を試した……って事でいいか?」

 

校長「はい。そして、強い人間関係は、権力に対するカウンターにもなる。世の中は結局、情で回っているんです。これから四宮かぐやを巡って大きな騒動が起きます」

 

そして校長は、俺が会長として弦巻以上に持っている信頼・尊敬・人間関係の全てを使って四宮かぐやを守ってほしいと、頭を下げてきた。

 

会長「……どうしてそこまで四宮を?」

と言った俺の言葉に、校長はスヌーピーの"人生は配られたカードで勝負するしかない"という言葉を俺に言ってきた。

 

校長「ですが、君達はまだどんなカードが配られているかも分かってないない。自分を知っていっている状態です」

 

会長「……」

 

校長「大人の言いなりになるのは、カードを全てめくってからにするべきです。それまではどんな手を使ってでも子供達を守る。これが私の教育ですよ」

 

校長はそう言ってから、そのままポケ○ンGOをやりに別の場所へと行ってしまった。

 

会長(将来、ああいう人を恩人と呼ぶことになるんだろうな。……頼りになる弦巻も、カードを配られている最中なのか……?そんな風には思えないけどな……)

 

校長が見えなくなった後にそんなことを考えてから、俺は生徒会室へ戻り少しだけ事務作業をして、家へ帰った。

 

 

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優心が生徒会室を退出し、会長がベツィーと交流会での話と、校長に問いただしていた頃。

 

 

~校舎玄関~

 

 

~優心視点~

 

 

優心「はぁ……」

 

黒服(華)「……ため息ついても仕方ないですよ。自業自得なんですから」

 

生徒会室での出来事でため息をついたら、華さんにそう言われた。

 

優心「分かってるよー。……それより、車は?」

 

黒服(華)「用意してますよ」

 

今日は華さんに聞きたいことがあるから、電車ではなく車で帰ることにしている。

 

 

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~車内~

 

 

優心「それで、帝が秀知院に転校してきた理由は分かった?」

と、俺は帝が転校してきた理由を聞いた。

 

三年に進級して新年度が始まった初日、帝が学校に転校してきた。

 

その時に、愛が帝が転校してきたのには何かあると言ってきたが、俺自身は帝からは何も聞いていなかったから、何も分からなかった。

 

だから、初日の放課後に華さんに調査をお願いをしていたんだ。

 

黒服(華)「分かりましたよ。まず、優心様の予想通り、四宮・四条両家の争いからかぐや様を守る為でした。その方法が、帝様がかぐや様と結婚するという事でした」

 

華さんの言葉に"結婚ね……"と呟きながら、少し考えて口を開いた。

 

優心「……政略結婚的なやつだよね?騒動を落ち着かせるためにする感じの……旧時代の家同士の結婚ってやつ」

 

黒服(華)「はい、その認識で間違いはないかと……」

 

優心「……結婚をする事で争いを止めるという前提があるけど、帝からすれば状況を利用している部分があるね」

 

黒服(華)「と言いますと?」

 

優心「帝はかぐやさんの事が好きだから、あいつからすれば騒動も止められて、好きな人と結婚できるし、かぐやさんを守れる。一石二鳥……一石三鳥的な感じだと思うよ」

 

俺がそう言うと、華さんは"あ~"と納得しているような声を出していた。

 

優心「……でも、最終手段だと思うけどね」

 

黒服(華)「そうですね。帝様も"白銀様がかぐや様を助けられればそれでいい"といった事を仰ってたそうですよ」

 

優心「まぁ、帝が来た理由が分かったからいいか……」

 

黒服(華)「帝様の行動はそのままにしときますか?」

と、華さんが聞いてきたから俺は頷いた。

 

優心「そうだね。帝の行動については俺らは関与しないようにしとこう。万が一、変に関わって黄光達に伝わったら大変だからね」

 

黒服(華)「そうですね。事実、帝様は黄光と青龍と接触して話を進めようと動き始めてます」

 

優心「尚更、関与しないで、帝には帝のやり方で動いてもらっとこう。あと、こっちは帝の行動は知らないフリをしていよう」

 

黒服(華)「分かりました。それにあり得ないと思いますが、今回の作戦が失敗の可能性もありますから、保険という作戦にしときましょうね」

 

優心「ただ、お父様達には伝えた方がいい」

 

黒服(華)「では、私から旦那様に伝えておきますよ。雁庵様達には旦那様が伝えると思います」

 

華さんの言葉に俺は頷き、帝の話を終えた。

 

そのあとは、家に着くまで華さんと話をして車の中で過ごした。

 





次回は交流会当日の話を投稿します。

ただ、今回のように期間が空くと思いますが、待ってくれたら幸いです。
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