弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

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前回の続きです。

今回で、かぐやさん救出の話が終わりです。

では、本編をどうぞ。



第77話

 

 

~かぐや視点~

 

 

密会が行われていた建物に入り、金庫の目の前に着いた。

 

あらかじめ聞いていた解除番号を入力し金庫を開けて、中にポツンと置かれている遺言書を取り出した。

 

かぐや(あとは、お兄様にこの遺言書は無効で全く価値がない物だと説明して、皆で帰れれば終わりですね)

と考えながら、遺言書を持ち建物の外へ出ると、ちょうどお兄様がやってきた。

 

黄光「やっぱりな。お前を追いかければ何かあると思ったんだ。さんざんコケにしてくれて……俺を誰だと思ってる!この四宮家の家長だぞ!」

 

かぐや「(はぁ……)まだ、家長ではないですよね。それに家長にはなれないですよ」

 

黄光「子供は大人の言う事を黙って聞け!いちいち口答えをせずにもっと女らしくせんか!」

 

かぐや「男性中心主義の家長制……、まさかお兄様は家督を継げると思っているんですか?」

 

黄光「何を言っているんだ、お前は。……全く話が通じん」

 

かぐや「話が通じないのはどっちですか。……そんな事だからいつまでも弦巻家に負けてるんですよ」

 

黄光「てめぇ……。もういい!とっととそれを渡せ!」

 

お兄様は怒鳴りながら私に手を伸ばしてきたが、私に届かなかった。

 

弦巻くんが私の前に出て、お兄様の手を掴んで止めていた。そして石上くんと……何より会長が隣に来てくれた。

 

かぐや「弦巻くんと石上くん。それに会長。……遅いですよ」

 

優心「ちょっと渋滞にハマっちゃって、遅くなった。千花と愛達より少しだけあとに出ただけで違うとは思わなかった」

 

黄光「……お前らは……」

 

弦巻くん達三人の姿を見たお兄様はそう呟いていた。

 

ーーーーーーーーー

 

~優心視点~

 

 

会長と石上の二人と京都の四宮本邸近くに着き、そこから、山に入り密会部屋へと急ぎ足で向かった。

 

遺言書が隠されている建物へ近づいた時に、手に遺言書を持ったかぐやさんと、黄光が話をしているのが目に入った。

 

すると、かぐやさんに手を伸ばしたから、俺は黄光の手を掴み、下に移動させた。

 

かぐや「弦巻くんと石上くん。それに会長。……遅いですよ」

 

優心「ちょっと渋滞にハマっちゃって、遅くなった。千花と愛達より少しだけあとに出ただけで違うとは思わなかった」

 

かぐやさんの言葉にそう答えると、愛と千花もやってきた。二人の後方に手錠をかけられた青龍もいた。

 

黄光「ガキが何人か増えた所で変わりはねぇよ。こっちには……「ホントか?」……雲鷹」

 

雲鷹が、黄光の後ろからやってきて、黄光と話を始めた。

 

雲鷹「道路は弦巻家の黒服と白銀が雇った人間が封してるから、応援は来ない。それに青龍の兄貴は逮捕されたから、もう終わり。そして、早坂家は牙を剥いてきた」

 

黄光は雲鷹に睨み付けていた。

 

黄光「雲鷹……お前はそっちに付いてたのか」

 

雲鷹「あぁ、こいつら側には付いてる。けどな、そもそも最初からアニキ側に付いてねぇんだよ。……アニキがこの家の帝王になるなんて、まっぴら御免だしな」

 

"なによりな……"と小さく呟いてから、黄光に続けていった。

 

雲鷹「親父の後を継ぐって言っても、その屋台骨は親父のカリスマで成り立ってた。けど、あんたにはそれがない。つまりな器じゃないんだ。もう終わりなんだよ、古い時代の四宮はな」

 

雲鷹の言葉を聞いた黄光はその場に座り込んだ。

 

黄光「お前らは何が目的なんだ。この状況を虎視眈々と狙ってたわけか?」

 

雲鷹「俺らは何もしてねーよ。今回の騒動になるように仕向けたのは、親父とコイツの家である弦巻家だ」

と雲鷹は言いながら、俺に指を指してきた。黄光は目を見開いて俺を見てきた。

 

黄光「……お前、弦巻家の人間なのか」

 

優心「弦巻家、長男の弦巻優心です」

 

黄光「弦巻家の跡取りか……。それよりも、この雲鷹が言った事を説明してもらおうか。親父と弦巻家が仕向けたって事はどういう事だ」

 

優心(お父様の言う通り、俺を次期当主だと勘違いしてるけど、その事はあとで否定すればいいか。今は説明するのが先だ)

という事を考えてから"説明しますね"と言って、四宮かぐやをトップにさせる計画についてを黄光に始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

黄光「ふざけんじゃねぇよ……」

 

説明を聞いた黄光は、全部諦めた様な感じに呟いていた。

 

黄光「おい、弦巻。親父が書いていた遺言書の中身はどんな内容だ?」

 

優心「一応、その遺言書のコピーを持ってますので、見せましょうか?」

 

黄光「……あぁ」

 

俺は黄光にコピーの遺言書を手渡して見せた。その遺言書を黄光とかぐやさんと手錠をさせられてる青龍が見始めた。

 

 

まず四宮雁庵が遺言書を書いたのは、去年の七月一日に書かれていた。

 

つまり、俺が夏休みに四宮本邸へ行く前に書かれた物だったんだ。

 

そして、肝心の遺言書の内容だが、まず遺産は四宮青龍以外の三人で話し合いで決める。

 

青龍については絶縁。

 

そしてすべての家督は四宮かぐやへ譲るが、四宮かぐやが大学卒業後に、かぐや自身のタイミングで家督に継ぐ。

 

それまでの間は、四宮雲鷹が代理として継ぎ四宮黄光がその補佐をするという内容。

 

黄光「かぐやが家督を継げるまでの間、雲鷹が繋ぎとして継ぎ、俺が補佐させる……」

 

優心「そうですね」

 

夏休みに俺に遺言書を渡してきた時に、雁庵さんは雲鷹は黄光がトップになるのを納得しない事も反対しているのも知っていた。

 

ならば、雲鷹を短い期間になるが、繋ぎとして一時的にトップにさせると決めた。そして基本的な経営ノウハウを叩き込んだが、それでも心配があったので黄光を補佐をしてもらう事も決めた。

 

黄光はやり方は自分と一緒で汚いやり口などがあるが、どうであれ経営については熟知している。

 

だから、四宮家とグループの企業が傾く事も少なくなるだろうと考えた為に、その事を遺言書に書いたと、夏休みに教えてくれた。

 

それと青龍に関して、今後女癖の悪さや金の浪費などを無視してたら、それこそこの先の四宮の評判が悪くなる。

 

その上で、四宮家の人間にしたままで、注意やら何かしらの事をしても、結局は意味がない。だったら四宮の人間じゃないことにすればいいと結論を出した事も教えた。

 

その内容を伝えると、青龍がキレていたが、黄光が黙らせていた。

 

黄光「……四宮グループは、企業数4000で社員数は90万が軽くいるんだよ。今回の騒動のせいで必ず傾く部分が出てくる。そうなると、数えきれない程の従業員が職を失い首を吊る事になるぞ」

 

優心「それもお父様と雁庵様は見越して行動をしてましたよ。今回の騒動で失業者が出るのは明らか出したので、弦巻グループ各社と子会社が失業者の受け入れ準備をしていた」

 

黄光「……それは四条グループの一般社員も同様に、受け入れていたのか?」

 

優心「はい。……しかし、四宮・四条の息のかかった人以外で、当然受け入れられない人達も多数出ています。その方々には再就職するまでの間は、弦巻家が補償なりのサポートをしています」

 

黄光「雲鷹と俺、そしてかぐやが立て直したら、そいつらを再就職させて働いてもらうって事か……」

 

優心「そうです。それに加えて、それまでに弦巻家が行った補償なりのサポートで発生した金銭等は四宮家に補償してもらう事になってます」

 

黄光「四条家には……」

 

優心「勿論、四条家にもそれ相応な請求する為にお父様が四条家と話をしに行きます。当然の事ですよ。片方ばかりに負担を強いるなんてバカな真似しないですよ」

 

俺がそう言うと、黄光が黙ったままになった。

 

かぐや(弦巻くん……また口調が怖い状態になってます。……黄光、雲鷹の二人お兄様が圧倒されている)

 

優心「ただ、お父様が話をするのはあくまでも社員達の動向などの件のみです。"元々の四宮・四条両家の問題については両家で折り合いをつけろ"、だそうです。これは私のお父様からの伝言です」

 

すると、かぐやさんが黄光の目の前に出て声をかけた。

 

かぐや「お兄様。……お兄様は私が女だからと理由と、お兄様自身が人を信用できないのは知ってますが、今回の四条家との騒動終息を私に任せてくれませんか?」

 

黄光「……どうにか出来るのか?」

 

かぐや「……私の事を信用できないと思うので、信用させる為に行動をするんです。それに四条家に関してはどうにかして見せます」

 

黄光「……分かった。やってみろよ」

 

かぐやさんとの話も一区切りついた後に、黄光と雲鷹にむけて口を開いた。

 

優心「失業者のサポートのより詳しい事は、後日お父様が話をする為に四宮家と四条家に足を運ぶそうなので、その際に聞いて話をまとめてください」

 

俺がそう言うと、黄光と雲鷹は頷いた。

 

俺が話した事は全部、京都に着くまで乗っていタクシーでお父様から送られてきたメッセージに書かれていた内容だ。

 

それを俺がお父様の代わりに伝えて、そして話もまとまったという事で解散となった。

 

まず、会長とかぐやさんは二人で話を始めたので、それぞれ家へ帰る事になった。

 

黒服(華)「優心様、お車の準備が出来てます」

 

優心「ありがとう」

 

華さんにお礼を言うと、青龍が華さんの方に顔を向けた。

 

優心(さっきの一言で気づいたのか?)

と思うと、案の定そうだったみたいで華さんに確認する形で声をかけ始めた。

 

青龍「お前……その声、10年前ぐらい時の女か。確か、井島華だったよな」

 

黒服(華)「……あの時は命からがらなんとか逃げましたけど、私を襲おうとした。しかも私の実家の料理屋も潰し、大好きだった両親も弟も事故死に見えるように殺したクソ人間が、私に話しかけないでくれますか……!」

 

華さんは語尾を強めて言い返してた。

 

青龍「てめぇ……」

 

黒服(華)「優心様、さっさと帰りましょう。こんな人間とは話したくないので、他の生徒会の方々も早く乗ってください」

 

華さんは青龍に言い返した後に、ミコ以外のこの場にいる生徒会メンバーと愛に車に早く乗るように言いながら、押し込む形で形で車に乗せた。

 

華さんがその行動をしている間に、俺は私服警官の二人に目配りした。

 

俺の目配りを見た警官は青龍を今いる場所近くに止めていたパトカーに乗せて、警察署に連行していった。

 

その様子と、会長達が車に乗ったのを確認してから、雲鷹に声をかけた。

 

優心「雲鷹様、この後の事はよろしくお願いします」

 

雲鷹「……あぁ」

と、返事を聞いて黄光にも声をかけた。

 

優心「黄光様。教えときますが、俺は弦巻家の当主兼社長代理として就任します。次期当主兼社長は私の妹ですので、覚えといてください」

 

黄光「はぁ?……おい!」

 

俺は黄光の返事を無視して、車に乗り込んだ。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

車が発進してからしばらくした時に、愛が俺に声をかけてきた。

 

愛「……優心くん。華さんが言ってた事はどういうこと?」

 

石上「そうですね。黒服の人が感情剥き出しで言うなんて相当ですよ」

 

優心「今じゃなくて、別の日の放課後にでも話すよ。華さんは運転してここに居ない。だから、話すなら本人の補足も入れながらの説明した方がいいから……」

 

愛「……そうだね。じゃあまたあとで教えて」

 

優心「うん」

 

そこから各々の家へ着いて、別れの挨拶程度の会話をする以外は静かに車に乗っていた。

 

その中で俺のスマホに雲鷹からメッセージが届いた。内容は、車に乗る前に俺が黄光に伝えた弦巻家の跡取りの事についてだ。

 

"黄光かしつこく質問してくる"という内容だったが、雲鷹に"どうにかしといて"とだけ返事をしてポッケにスマホをしまって、家に着くまで車に揺られてながら外を眺めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~後日・学校~

 

 

~放課後・生徒会室~

 

 

放課後になり俺と愛が生徒会室に入った。

 

千花「やっと、日常が戻ってきましたね」

 

生徒会室にはかぐやさん以外の皆が揃っていて、俺と愛も含めて千花が皆に言う感じでそう言ってきた。

 

千花の言う通り、日常が戻ってきた感じだ。

 

そして問題の四宮家・四条家の家同士の騒動自体は、かぐやさんが実際に四条家に話をしに行き、なんとか出来たとのこと。

 

その際に、眞妃と帝がかぐやさんの手助けしたとお父様からの聞いた。

 

あともう一つの問題のお父様が進めていたサポートの件については、四条家の当主兼社長……つまりは眞妃と帝のお父様に話をした。

 

その際に、四条家は聞く耳を持とうとしなかった……いや、自分達は悪くない風に言ってたそうで、お父様がそれに対し静かにぶちギレた。

 

ぶちギレたお父様の行動により、結果的に四条家は弦巻家に従う事になった。

 

ただ、帝と眞妃のお父様と側近レベルの親族が悪くない風に言った結果、そうは思ってない幹部にいる四条家親族の人達から評判が悪くなり立場的に悪くなってると、帝と眞妃から聞いた。

 

それでも、跡継ぎ候補の帝と眞妃がまだ学生で、代理の社長を立てる余裕がない状態。

 

そんな中で二人の父親である当主兼社長が居なくなると、四条家が立ち行かなくなるので、立場とかはそのままで何も起きてないそうだ。

 

そんなこんなで、今回の騒動が解決してようやく日常が戻った。

 

そういう事を頭の中であの出来事を整理していると、生徒会室の扉が開いた。

 

入ってきたのは、かぐやさんだった。

 

千花「かぐやさーん。もう大丈夫なんですか?」

 

かぐや「えぇ、なんとかなりましたので、もう大丈夫です」

と、かぐやさんがそう言うと皆が話しかけていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

皆が、かぐやさんとの話が一区切りがついた時に、愛が俺に声をかけてきた。

 

愛「それで、優心くん。華さんの事を教えて」

 

愛が言った言葉に気になった皆が俺を見てきた。

 

優心「元々、別の日に話すって言ったし、説明するよ。華さん、いいよね?」

 

黒服(華)「はい、大丈夫です」

 

華さんに声をかけて、許可をもらってから皆に説明する感じで話を始めた。





次回は、優心の護衛を務めている黒服の華さんの話を書きますが、まだ執筆途中で話は出来上がってませんので、投稿が遅くなるかもしれません。

早めに出来れば早く投稿します。
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