弦巻こころの兄が秀知院学園に通って過ごす話(完結)   作:春はる

9 / 91

展開的に急な感じがしますが、その辺は暖かい目で見てください。楽しんでくれたら幸いです。



第6話

 

 

~優心視点~

 

 

かぐやさんのラブレターの件の翌日。

 

俺は、昼休みに教室でクラスメートの男友達二人とお昼を食べてた。

 

鋼「弦巻と一緒に教室で食べるの久しぶりだよな」

 

樹「確かに、優心が生徒会に所属してから全く昼は一緒に食べなかったし」

 

優心「そうだよね。ほとんど生徒会室に行って過ごしてる事が多いから」

 

この二人と昼休みに教室で過ごすのは久しぶりだった。

 

この二人は、男子校の中学からの友達だ。

 

最初、秀知院の高等部に編入学したのは俺だけだと思っていたから、この二人も編入学してたのを知った時は、驚いた。

 

知ったのは入学時のクラス分けの時だ。

 

それで俺が生徒会庶務になるまでは昼は一緒に過ごす事が多かった。(たまに会長になる前の、白銀と過ごす事もあったけど)

 

樹「そういやさ、最近気になってたんだけど優心と早坂が一緒にいるのよく見かけるけど、二人ってあんなに仲良かったっけ?」

 

鋼「あ~、俺も気になってた。二人が話してるのは去年から見たりしてたけど、最近は特に距離が近いような気がする」

 

ふと二人が、俺と早坂が話してる事に対して、質問してきた。何でも俺と早坂の二人の距離感が近いと言ってきたので、少しこっちも質問した。

 

優心「俺は、そこまで気にした事はないけど、そんなに距離が近く感じる?」

 

鋼「うん。去年や最近までは、少し話をする程度のクラスメート同士的な感じがしてた。でも少し前から話してる所を見る事が多くなったし、話してる二人が凄く楽しそうな顔をしてるから、俺からしてみれば付き合ってるの?と思うぐらいだぞ」

 

樹「それ言えてるわ。A組内では二人は付き合ってるって噂になってる。…それぐらい二人が一緒にいるが多いって訳だ」

 

距離が近く見えてる理由を聞くと、クラスの中では俺と早坂が付き合ってるという噂になっているみたいで驚いた。

 

優心「…へ?…何で、そんな風になってるの⁉」

 

鋼「落ち着けって。とりあえずクラス内だけの話題だよ。早坂にも学校全体にも広まってないし皆は広めるつもりもない。広まってない理由として弦巻には黒服の人がいるからだと思うけどね」

 

優心「…まぁ、早坂にも迷惑なるから広まってないのは助かるけどさ、何でA組の中でそんな話題になってるの?」

 

樹「単純だよ。誰とでも比較的仲良くしてる優心が、誰がどう見ても早坂と凄く仲がいいときたら話題になるよ。しかも優心には浮いた話がないから余計に噂になってるんだよ」

 

話を聞いていると、何か凄いことになっていていたので開いた口が塞がらなかった。

 

鋼「で、さっきの話はあくまで噂だけど、それで実際問題付き合ってるのか?」

 

それで実際に付き合ってるのか聞かれた。まぁ付き合ってないのでその事を伝えた。

 

優心「いや付き合ってないよ」

 

鋼「ケッ❗何だ、付き合ってないのかよ。期待して損した。応援しようと思ってたのによ」

 

優心「毎度態度変わりすぎだよ。この態度急変男」

 

樹「じゃあ、好きなのか?」

 

早坂の事を好きなのかと聞かれた。

 

早坂とは、去年俺の調査をしてたから知り合った。

 

そこから話をするようになって、途中からかぐやさん達の事で協力するから一緒にいる事が多いけど、よく分からないんだよな。

 

優心「うーん…よく分からない。……でも早坂と一緒にいて楽しいよ。他の友達とも楽しいけど、早坂と話してる時が自然体に入れる感じがする。自分の事や妹の事とかも話してるし、気が付くと早坂の顔が頭に出てくる時があるんだよね」

 

鋼「…そうなのか?」

と、俺が言った事にそう聞いてきたから、"うん"と答えた。

 

すると二人で小声で話始めた。結構小さい声で話してるから、全然聞こえない……。

 

鋼「これって、早坂の事を異性として好きって事、気づいてない感じだよな

 

樹「だね。優心って恋愛相談とか受けたりしてるけど、自分の恋だけは疎い所がある。自分の事より相手の事を優先してるから自分の事は気にしてないから、自覚はしてないよ。無意識に好きになってる感じだと思う。自覚した後は大丈夫だと思うよ。恥ずかしさで顔真っ赤にすると思うけど

 

鋼「って事は、質問して自覚させてやればいいって事か

 

樹「そういうこと

 

鋼「オッケー。……よし弦巻、ちょっと質問するけどいいか?」

 

やっと小声で話すのをやめたと思ったら、質問すると言ってきた。でも断る理由がないから"いいよ"と答えた。

 

鋼「弦巻って、早坂と一緒にいる時に楽しいって言ったけど、早坂が他の男子生徒とずっと話してて、自分以上に仲がいい所を想像してみて」

 

そう言われて想像してみた。………何かやだ。

 

優心「何かやだ。俺も話したい」

 

鋼「(…即答)じゃあ、もう一つ。早坂が付き合いました。弦巻は素直におめでとうと言えるか?」

 

優心「(…誰かと付き合った。…素直に言えないしすごくモヤモヤするし)いや言えない。それに凄くモヤモヤするよ」

 

樹「って事は、優心は早坂の事を好きって事だよ。モヤモヤも嫌な気持ちも嫉妬だから、優心は早坂と付き合いたいと思ってるんじゃないかな」

 

優心「(俺が早坂の事が好き……!?……で、でも確かに言われてみればそうかも。恋愛の相談を聞いたりした時によく聞いた。って事は自覚なしに皆や、特に会長とかぐやさんに色々言ってたの、俺って!?ラブレターの時の会長の嫉妬は気付いてたのに俺は自覚してない。めっちゃ恥ずかしいじゃん!)……恥ずかしいよー。帰りたい…見ないで」

 

早坂の事が好きだと自覚してから凄く恥ずかしくなり、机に突っ伏した。

 

鋼「出た。恥ずかしくなったら同じ言葉しか出てこない状態」

 

樹「あはは……。僕達は見慣れてるけど、クラスの皆は初めて見るから驚いてるけどね」

 

クラスメートA「なー弦巻ってどうしたんだ?」

 

クラスメートB「弦巻くん、どうしたの?調子悪いの?」

 

優心「見ないで…、恥ずかしいからー」

 

鋼「あー、たまにこうなるんだよ。でもしばらくしたら元に戻るから、普通に接してあげてやってくれ」

 

クラスメートA・B「「分かった」」

 

優心「……んー、はぁー、まだ恥ずかしいけど、落ち着いた」

 

鋼「あと少しで授業が始まるから準備始めろよ」

 

それを言われ時間を見るとその通りだったので"了解"と答え準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

放課後になり、生徒会室に向かおうとした時にズボンのポケットに入ってるスマホが震えた。

 

画面を見るとこころからメッセージで、内容を読んでみると、今週の休みにサークルでライブをする事になったから家に帰ったらチケットを渡すという内容だった。

 

俺はそれに"分かった"と返事を返した。

 

ポケットにスマホを入れようとしたら、またスマホが震えた。

 

今度は美咲からのメッセージだった。

 

その内容を見るとこころと同じライブの事だったが、ただ違うのはライブをする経緯も書かれていた事だった。

 

何でも"クラスの子がライブとかを見ないで、こころやバンドの事を色々言っていたから"ライブをするから見に来て"と言って、やる事になったとの事。

 

それでこころの事や許可取りなど手伝って貰ってる事からという事で一枚取り置きしとくと連絡がきた。

 

美咲は、色々文句とか言ったりしてるけどこころの事を思ってくれてる。それに他のハロハピメンバーも、こころと仲良くしてくれるから兄として嬉しいな。

 

優心「取り敢えず、チケットが合計二枚になるから、誰か一人を誘って行こう。(誰と行きたいかと考えると…早坂と行きたいかな…)」

 

チケットが二枚なので誰か一人を誘おうと、少し考えるとすぐに早坂と行きたいと思った。

 

昼に好きって自覚してから、早坂と遊びに行きたいとか話したいとか凄く考えるようになっちゃったな。

 

何より付き合いたいなっていうのも考えるようになったし。いつの間にか好きになってたって感じだろうけど。

 

優心(そういえば、前に遊びに行った時にライブの話をしたし、早坂の予定を聞いて早坂が行けそうだったら行こう。ダメなら鋼か樹のどっちかを誘おう)

 

俺は早坂を誘って行く事にして、今何処に居るか連絡して返事の内容を見てから場所に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~早坂視点~

 

 

昼休み、A組でクラスメートと話していると、普段接してる二人が声をかけてきた。火ノ内三鈴と駿河すばるだ。

 

すばる「ねー、最近早坂って弦巻くんと一緒にいる事多いよね。弦巻くんの事好きなの?」

 

早坂「へ……⁉」

 

三鈴「あ、その反応だと図星だ。いつから好きなの?」

 

早坂「……やっぱりそういう感じなのかな~」

 

二人に庶務くんの事が好きなのか聞かれた。聞かれた時の反応で図星だと言われ、私は"やっぱりそうなのかな"と呟いた。

 

すばる「ということは、弦巻くん事が好きなんだ」

 

三鈴「それで、いつから好きだったの?いやこの場合は意識してたの方が正しいか…。で、いつから?」

 

早坂「え、えっと、庶務くんとは去年から話したりしてたけど、確か前に遊びに行った日から庶務くんと話していく内に、一緒にいて楽しいし何か安心するし、別の友達(かぐや様だけど)に好きな人を聞かれた時に庶務くんの顔が出てきたりしたかな」

 

三鈴「それだけ、色々あったのに言われるまで気付かないなんてさすがにないよ」

 

すばる「確かにね。でも自分で、弦巻くんの事が好きって気付いたのは良かったけど、でも弦巻くんと付き合いたいんだったら、早く告白した方がいいよ」

 

早坂「え?(一応、彼の事は前に調査した事があるしかぐや様とかで話したりしてるから、庶務くんの人気とか知ってるけどわざわざ言ってくるのはどういうことだろう…)」

 

すばる「弦巻くんって、今まで告白されてないのが不思議な位人気なんだよ。護衛の人がいるからってのがあると思うけど、いつ告白されるか分からないよ」

 

早坂「そ、そうなんだ…(告白はされたいって気持ちはあるけど、庶務くんが他の女子と付き合うと一緒にいる時間が少なくなったり話す機会が無くなるかも知れない。それは嫌だよ…)」

 

話を聞いた私は、庶務くんが誰かと付き合った所を想像して凄く嫉妬してしまった。

 

でも庶務くんと付き合いたいけど告白するにしても勇気がいるな……。と思ってると、ドン!と音が聞こえたので聞こえた方を見ると、庶務くんが机に突っ伏していた。

 

"え、どうしたんだろう?"と、思ってしまった。けど、庶務くんと仲がいい男子二人は、見慣れてるのかあまり気にしていなかった。

 

すばる「うわ、頭痛そう…」

 

三鈴「確かに」

 

痛そうだなと思ってると、予鈴がなったので次の準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

放課後になり、今日はかぐや様から会長のついての事は何も言われてないので、帰宅時間になるまで空き教室で時間を潰していた。

 

しばらく空き教室にいると、スマホにメッセージが来たので見てみると庶務くんだった。

 

内容は聞きたい事があるので今いる場所を教えてという事だった。私はいつもの空き教室にいると送った。

 

"聞きたい事は何だろう"と思いながらしばらく待ってると、庶務くんが入ってきた。

 

何の用なのか聞くと、今週の休日にライブに行かないかと聞かれた。

 

理由を聞くと、妹ちゃんとバンドメンバーの子の二人からライブを見に来てと言われ、チケットが二枚になったので真っ先に私を誘ったらしい。

 

誘おうと思った理由は、前に遊びに行った時にライブの話をしたからどうかなと思ったとの事。

 

それを聞いて、私は(昼に自覚したけど)好きな人に一番に誘われたのが嬉しかった。

 

優心「だからどうかな?」

 

早坂「私は行ってみたい。休みはかぐや様に聞いてみるけど多分オッケーを貰えると思うよ。前に黒服の人が休みの事を言ってくれたから、私がお願いすれば一日ぐらいはくれると思うから」

 

優心「じゃあ待ち合わせ場所とかは、早坂の休みが分かってから決めよう」

 

"分かった"と返事をした後、庶務くんはそのまま生徒会室に向かった。

 

後で休みの件を確認しないといけないが、今から楽しみで仕方ない気持ちでいっぱいだった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。