偉大なる蛇をその身に宿して   作:ぬべし@助動詞

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第六話 USJ襲撃事件─弐─

 

 

 

 ヴィランによる奇襲。先生の指示により上鳴と13号先生が連絡を試みたが、繋がらない。つまり、俺達は教師2人と共にこの事態を乗り越えなければならない。最悪の場合、全滅のバッドエンド。これを回避しなければならないのである。

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。…任せた、13号」

 

 その言葉と共に下の広場へと駆け抜けて行く相澤先生。先生がヴィランを削る間に、俺達は出口へと急ぐ。

 

 

 

 出口まではあと半分。と言ったところで目の前に黒い霧が現れ、道を塞がれる。

 

「初めまして、我々はヴィラン連合。……僭越ながらこの度、ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは──」

 

「──平和の象徴、オールマイトに息絶えていただきたいと、思っての事でして」

 

 その言葉に驚愕する。今の時代、オールマイトを本気で殺そうとするヴィランなんて、滅多に存在しない。それは単にオールマイトの力が強大過ぎるが故にだ。オールマイトに勝てる奴も、勝とうと本気で思ってるヴィランも殆どが絶滅危惧種のごく僅かだけである。

 

 そして、コイツらはある種の確信を持ってこの場に現れている。それはつまり、オールマイトに勝てるだけの強力な駒が存在するという事。そして、俺の感じた気配から察するに、その駒こそがあの脳味噌丸出し野郎なのだろう。

 

 そう考えると、即座に呪力を全身に流し戦闘に備える。油断は禁物だ。戦場では集中力と危機感を無くした者達から脱落していくものだ。

 

 13号先生が霧男を倒すために、個性を使い吸い込もうとした所で不測の事態が起こる。13号先生の射線上に、爆豪と切島が出てしまったのである。それにより、攻撃が行えなくなってしまう。

 

 そして、その隙に黒い霧の嵐が俺達の周りを囲う様にして広がって行く。そして──

 

 ──次の瞬間。俺達は知らない場所へと飛ばされていた。

 

 

────────────────────

 

 

 霧が晴れると、(わたくし)、耳郎さん、上鳴さんの3人はおそらく山岳ゾーンと思しき場所へと飛ばされていた。

 

 そして現在、周りを囲むように陣形を組んでいたヴィラン達と私達3人は戦っていた。

 

 数は私達のおよそ6倍程。各個撃破を狙おうにも上手く距離を保ち、私達一人一人にそれぞれ数名のヴィランが相手をする様に動かれてしまい、膠着状態が続いていた。

 

「な、なぁ!?俺にもその武器くんねぇかなぁ!?」

 

「アンタ、電気男じゃん。バリバリとやっちゃってよ!」

 

「あのなぁ!戦闘訓練の時に見たろ!?俺の個性は電気を纏うだけなの!放電出来るけど、操れねぇ。2人まで巻き込んじまうの!」

 

 なるほど。だから先程から個性の使用を躊躇していたのであろう。私達は大きな岩を背にして一塊になって、敵の処理にあたっている。もし、上鳴さんが判断を誤って放電していれば全滅していただろう。

 

「助けを呼ぼうにも通信機はジャミングでヤベェしさ!…良いか2人とも、俺は今頼りにならねぇ。頼りにしてるぜ!」

 

 その言葉を聞いた途端、耳郎さんが上鳴さんをヴィランに向けて蹴りとばす。すると、ヴィランにぶつかった上鳴さんが放電し、あっさりと敵1人を気絶させる。

 

「…ヤベェ、俺強えぇ…。2人とも、俺を頼れ!!」

 

「最初からこうすれば良かったんだ…」

 

「2人とも、真剣に!」

 

 2人にそう言いながら、この場を切り抜ける最善の策を模索する。敵は大勢。この数を一気に片付けるために必要な上鳴さんの個性は、私達2人を巻き込んでしまうので、使えない。ならば──

 

「──アレを創りましょう」

 

 そう言うと同時に、個性を発動する。今回創り出すのは、厚さ100ミリの絶縁体シートである。しかし、大きな物なので、かなり時間がかかってしまう。

 

 10数秒程、ヴィランと戦いながら、シートが出来るまでの時間を凌ぐ。後ろの岩の上から現れたヴィランを鉄パイプで突いて倒しつつ、耳郎さんを此方へと呼び出す。

 

「耳郎さん、私の方へ寄ってきて下さいませ!」

 

 背中からコスチュームを突き破って絶縁体シートが飛び出す。それを2人で被って上鳴さんに個性発動の許可を知らせる。

 

「上鳴さん!厚さ100ミリの絶縁体シートですわ。これで巻き込む恐れはありません!」

 

「OK!八百万。これなら俺はクソ強えぇ!!」

 

 上鳴さんの放電により何とか全ての敵を倒す事に成功する。

 

「ヤオモモのコスチュームが超パンクに……」

 

 耳郎さんのその声で自身の身体を見下ろす。すると、肩から下のコスチュームが破れボロボロになっていた。しかし、それは大した問題では無い。何故ならば私の個性でいつでも創り直せるからである。

 

「個性で創り直すので問題ありませんわ」

 

「…発育の暴力……」

 

 私の返答に何かを呟く耳郎さんに首を傾げてしまう。

 

(…何かあったのでしょうか?私の胸に何かついているのでしょうか?)

 

「…まあ取り敢えず、こっからどうする?」

 

「耳郎さん、念の為に索敵をお願いしますわ」

 

 周囲にいたヴィランを上鳴さんの電気で一気に倒すと、隠れているヴィランが居ないか、確認のため耳郎さんに索敵をお願いする。

 

 個性の使い過ぎによる弊害か、変になってしまった上鳴さんを呼び戻しつつ、お互い周囲の警戒を行いながら、耳郎さんの索敵が終わるのを待つ。

 

 そうしてしばらくすると、耳郎さんから報告が上がる。

 

「ヤオモモ!ここから少し右側に移動した所で、人の話し声が聞こえる。………この声は多分、伏黒の声だと思うけど、…どうする?行ってみる?」

 

(ここで恵さんと合流出来れば、一先ずの安全が確保出来るかもしれませんわね……。恵さんの強さは、私が1番近くで見て来て分かっている。やはり、ここは合流を優先しましょう!)

 

 そう判断すると、口を開く。

 

「ここは合流を優先しましょう!一応、警戒は続けておいて下さいませ!」

 

2人に声を掛けて、恵さんの所へと向かう。何個かの大きな岩を越えると幼馴染みの姿が目に入る。そうして見えた、恵さんは──

 

 

────────────────────

 

 

 霧によってこの場所に飛ばされてからおよそ1分と経たずに周囲のヴィランを一掃した俺は、ソイツらの上に座っていた。

 

「他人と関わる上での、最低限のルール。何か分かるか?」

 

──足が折れて動けない者、気絶している者、ボコボコにされ戦意を失った者。数にしておよそ、20人程の大人達が山の様に積まれて行動不能にされていた。そして、その上に座るのは無造作に跳ねた黒い髪に、端正な顔立ちをした少年。この山は全て、この少年に挑み敗れた者達なのであった。

 

「……分かりません」

 

「『私は貴方を殺しません。だから、貴方も私を殺さないで下さい』だ。…殺しを何に置き換えてもいい。要は相手の尊厳を脅かさない線引き。互いの実在を成す過程、それが〝ルール〟だ」

 

 人は誰かに、自身が脅かされるのを恐れる生き物だ。だからこそ、自身の知り得ない事や物を、排除する。人間はいつだって自分本位な生き物だ。それでも、稀にそれとは真逆な者達も存在する。

 

 姉貴もそんな人間の1人だった。疑う余地のない善人だった。幸せに生きる権利があった筈なんだ。それを──

 

「──破って、威張って。周りから腫れ物みたいに扱われて。…さぞかし心地よかったろうな?……俺はお前らみたいな人間が死ぬ程嫌いだよ。ヒーローなんか目指してなかったら、殺してたくらいにはな……」

 

 そうやって喋りながら先程から聞こえてくる足音の主を待っていると、百、上鳴、耳郎の3人が岩陰から現れた。

 

「……恵さん?今の発言は…?」

 

(最悪な奴に聞かれた。コイツにだけは今の発言は聞かれたく無かった……。……久々に気持ちが荒れて、調子に乗りすぎてしまったようだ。反省だな…)

 

「…脅しみたいな物だ。気にすんな」

 

 そう言いながら立ち上がると、全身に呪力を込めながら身体を少し解す。

 

「悪いな、相澤先生が心配だ。俺は1人で先に行く。…お前らはどうする?」

 

 先程から不安そうな表情で此方を見つめてくる幼馴染みに顔を向けながら、質問する。それに百は、ついて行くと言った。

 

 その言葉を受けるとさっさと移動を開始する。そうしたのはきっと、先程の発言を聞かれてしまい気不味いというのもあるが、それ以上に一緒にいられると〝もしも〟の時の決断が鈍ってしまう様な気がしたからなのだろう。

 

「…俺は先行するから、怪我とヴィランに気をつけろよ」

 

 それだけ言い残すと地面を蹴って加速する。「待って下さい!」という百の声に振り返る事は無かった。

 

 相澤先生の強さなら、そこら辺の有象無象にやられるとは思えない。それでも、あの脳味噌野郎だけは不味い。相澤先生の個性は強力だ。それだけに、やられた時の損失が大き過ぎる。最悪の場合、今維持している前線が崩れる。その場合、他の生徒達にその矛先が向かってしまう。そうなると、まだまだ発展途上な俺達じゃどうしようもなくなる。

 

 そう思考しながら中心の噴水前の広場へと急いで向かう。胸の中には不安と焦りだけが延々と募っていく。

 

 

 

 全力で走る事、数十秒。遂に、噴水を視界に収める。地面を蹴って跳び、上から状況を把握する。そして、視界の先に捉えたのは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──脳味噌野郎に抑えつけられ、地面に血塗れで倒れ伏す相澤先生の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを見た瞬間、身体が自然と動き出す。地面に着地すると、普段の倍の呪力を全身に込めて、思い切り地面を蹴り飛ばす。その力に地面が抉れる。一瞬で脳味噌野郎に肉迫すると、影を使って体勢を崩し相澤先生を掴んで離れる。

 

「おいおいおい、いきなり誰だよ。先生取られちゃったじゃん…」

 

 そう言って騒ぎ始める、体中に手を付けた白髪の男。

 

 相手から目線を外す事なく、近くにいた緑谷達に相澤先生を預ける。幸いな事に相澤先生は腕こそ折られているものの、死ぬ程の負傷はしていなかった。

 

「伏黒くん!?どうして此処に……」

 

「相澤先生が心配だった。…それに、あの脳味噌野郎は、他の奴らと明らかに雰囲気が違った。だから、念のために急いでこっちに向かって来た」

 

「そうだったのか…。……あ!あの、白髪の男、あいつの手に捕まるとボロボロに崩れるんだ!!相澤先生の肘もあれで崩れた。…だから、気をつけて!」

 

「…分かった。ありがとな、助かる」

 

 白髪の男の情報を教えてくれた緑谷にお礼を言う。そのまま広場へと戻ろうとした所で後ろから声が掛かる。

 

「お、おい伏黒!お前1人で戦う気かよ!?」

 

「…まあな。お前ら立ってるのもやっとだろ?…自分の恐怖心には従っとけ。それが長生きする秘訣だ」

 

「でもよ!アイツ相澤先生を倒した化け物だぜ!?勝てる訳ねぇって!?」

 

 どうやら峰田は俺の事を心配してくれているらしい。それはとてもありがたい事だ。コイツは変態だが、それでも良い奴なのだろう。だからこそ、たとえ勝ち目がなくとも安心させるために、俺は嘘を吐く。

 

 思い浮かべるのは、2人の最強。

 

 1人は白髪の無限を操る現代最強。そして、もう1人は圧倒的なパワーを持つNo. 1ヒーロー。

 

 2人の様な笑顔を思い浮かべて、精一杯の虚勢を張って言葉(うそ)を吐く。

 

「──大丈夫。俺は負けねぇ…。死んでも勝つさ」

 

「死んだら意味ねぇんだよぉぉ!!」

 

 そんな峰田の心からの叫びにフッと微笑むと歩き始める。

 

 一度近づいて分かる、その異常さ。気配がチグハグで、まるで色んな人間を無理やり1つにした様な、そんな気色悪い気配を放つ脳味噌野郎。先程から嫌な汗が止まらない。

 

「やるしか、無いよな…」

 

 そう、自分に言い聞かせながら構える。恐らく、今の自分は大層不甲斐なく見えるだろう。

 

(…恐怖も、焦りも、不安も。全てを呪力に変えて、雑念を振り払え。せめて、増援が来るまでは持ち堪えろ。……先程から脳味噌野郎は動きを止めている。恐らく、あの白髪か、誰かの指示でしか動けないのだろう。だから、そこを突く。…先に、あの白髪を潰す!)

 

 白髪の男へと一瞬で肉迫すると、空中で一回転しながら右脚の踵を空から落とす。

 

 が、当たる直前に脳味噌野郎に防がれる。どうやら、俺が近づくまでの間に指示を出していたらしい。思い切り蹴り込んだ筈なのだが、相手にダメージが入った感触はなく、寧ろ衝撃を全て吸われた様な気さえする。

 

 相手を蹴って距離を取り、一瞬で呼吸を整えるともう一度肉迫する。先程よりも強い力で地面を蹴り左のフックを顔面へと放つ。

 

 それを相手は、俺の懐へ入り込む事で躱す。しかし、それは既に想定済みである。自身の影に相手の足を沈める。それによりバランスを崩した相手の首を先程躱された左腕で抱える様にこちら側へと引き寄せながら、右の掌底を顎へと打ち込む。

 

 しかし、あまりダメージになっていないのか、バランスを崩しながらも俺の胴体へと脳味噌野郎の拳が突き刺さる。

 

「…ヴッ、なんであんましダメージが入ってねぇんだ?」

 

 一旦距離を取り思考する。

 

(腰が入っていなかったのか、パンチのダメージはそこまで大きくはない。問題はそこでは無く、さっきから自身の攻撃が全く効いている気がしない事である。そういう個性なのだろうか。ダメージ無効?それともダメージを吸収している?何が正解かは分からないが、試してみる必要がありそうだ)

 

 そう考えていると、今度は逆に相手が突貫してくる。大振りの右横拳を躱して懐へと潜り込み、その無防備な胴体へと右拳を一閃する。しかし、またもや、衝撃を吸われた感覚に陥る。そのまま地面を蹴り、空中で体を捻って遠心力を加えた回し蹴りを剥き出しのその頭へと放つ。しかし、その蹴りは躱されてしまう。

 

 このままインファイトでの肉弾戦を続けるのは埒があかないと考え、一度距離を取るために離れようとするが、此方を上回るスピードで追いかけて来る。仕方が無いので、急いで影から剣を取り出して、相手の右足を切り落とす。俺以上の速度ではあるが、適応してしまえば脅威と言うほどのものでも無いのが唯一の救いだろうか?

 

「さっきの俺の攻撃……、衝撃が吸収された様な気がした…。だから、武器による攻撃に変えた…。流石に斬撃までは防げないだろ?」

 

 そう呟きながら白髪野郎の方へと意識を向ければ、ソイツは笑っていた。

 

「…残念だけどさぁ、この脳無は対オールマイト様に連れて来たジョーカーさ!!足が落とされた程度で勝った気にならないでくれよ?それに、さっきまでは唯の様子見に過ぎないよ?」

 

 横から突っ込んで来る脳無と呼ばれた化け物。切り落とした筈の右腕、それがいつの間にか再生していた。ソイツの右縦拳をギリギリで躱しつつ、背後へと回って頭から切り裂こうと剣を振り下ろす。しかし、その直前で脳無の体が後ろへ振り向くのが分かった。それに驚愕を露わにしてしまう。何故ならばそのスピードが先程までと比べ物にならない速度であったからだ。

 

 そして、そのスピードに完全な不意を突かれる。

 

 …ッマズッ!?!?

 

 そう思った瞬間には脳無の拳が此方を捉えていた。

 

「「「…ッ、伏黒くん(ちゃん)ッ!?」」」

 

 緑谷、蛙吹、峰田の3人の悲鳴を聞きながら後ろへと吹き飛ばされる。それでも脳無の追撃は止まらない。いつの間にか俺の背後へと周っておりボールの様に蹴り飛ばされる。また吹き飛んでは追いつかれて殴られる。スーパーボールの様に自分の身体があっちこっちを勢い良く跳ねる。

 

 一際大きな衝撃に吹き飛ばされ、噴水へと激突する。なんとか全身を呪力で守った事と、個性により肉体が頑強であった事もあり、死ぬ程のダメージは避けた。だが、全身の骨がやられたのか、身体の至る所が痛む。頭から出血しているのか、視界が紅く滲む。

 

「……やべえなぁ。これでゲームオーバーってか?……ハハ。笑え、ねぇ…」

 

 その声を最後に意識がプツンと、テレビの電源を消すかの様に途切れる。

 

「…ねぇ、恵。お姉ちゃんね、ヒーローになりたいの」

 

 懐かしい声が聞こえた様な気がした。

 

 

────────────────────

 

 

 恵さんが居なくなってから数分。私は呆然としていた。

 

 最後に見せた、今にも居なくなってしまいそうな程に、儚い雰囲気を滲ませた背中。そんな姿に思わず、待ってと叫んでしまった。

 

(…先程の恵さんの発言は何だったのでしょうか。その裏に隠された、恵さんの本意は?……まさか今まで聞いた事の無い本音?…もしや私は恵さんの上部だけを見ていて、その裏を知ろうとしていなかったのではないか?)

 

 そんな不安が泥の様に絡みついて離さない。もしかしたら、このまま死んでしまうのではないか?そんな最悪が頭の中でイメージされる。

 

 そうやって呆然と思考の海に溺れていると、耳郎さんの声で意識が戻ってくる。

 

「ちょっと!?ヤオモモ大丈夫!?酷い汗だよ?」

 

「す、すみません。少し、考え過ぎてしまいましたわ…」

 

「そう?あんまり無理し過ぎないでよ?…こっからどうする?先生戦ってるんだよね?そこに向かうのは危険じゃない?」

 

(確かにそれは一理ある。私達が先生の所へ向かったとして、恵さんならいざ知らず、私達では足手纏いにしかならないであろう……)

 

──それでも、それでも彼の後を追わなかれば。

 

(そうですわ。あの時に誓ったではありませんか!)

 

『私、決めましたの!いつか、恵さんと並んで一緒に誰かを救える様な、そんなヒーローを目指しますわ!』

 

(恵さんにそう誓ったではありませんか!!恵さんを救うために、恵さんと並んで歩ける様に。私はヒーローを目指したのでしょう!)

 

 恵さんが救いを求めたならば、救えるのは私しか居ないのだ。家族を無くした彼には小さな頃からずっと一緒にいた私しか居ないのだ。だから、彼を救うためにヒーローを目指したのではないのか。彼と一緒に生きてきたのではないのか。

 

「しっかりしなさい!八百万百!」

 

 そう言って、自身に喝を入れる。もし、彼が過去に囚われているのなら、私が救い出す。それだけだ。

 

「ど、どうしたの!?ヤオモモ!?」

 

「ごめんなさい耳郎さん。…私達は恵さんを追いますわ!もし、怪我人がいたならば、その救助も行いましょう!」

 

 そう言って3人で動き出す。こんな事で落ち込んでいては、最高のヒーローになどなれない。いつどんな時だろうと、見通しを立てて行動する。深謀遠慮を忘れずに。

 

 

 

 3人での行動を始めて、数分。噴水近くの岩場にて、相手にバレないように様子を伺う。そこには既に恵さんがおり、化け物と1人戦っていた。

 

 圧倒的速さによるぶつかり合い。押されているのは化け物の方であった。恵さんが一度距離を取ろうとするが、相手に追いつかれてしまう。突然、影から剣を取り出すと、それで相手の片足を切り落として何とか離れる。

 

 それを見ていて、少しホッとする。しかし、それから数秒とせずに恵さんが吹き飛ばされる。そのまま、相手の攻撃が止まる事は無く。恵さんがどんどんとボロ雑巾の様に傷ついていく。

 

「あ、あれやばいよ!?流石に伏黒が死んじゃうよ!?」

 

「やべえよ、伏黒が死んじまう……」

 

 そのまま、恵さんは噴水へと吹き飛ばされて、動かなくなる。

 

「そんな……。恵さん…?嘘ですわよね!?」

 

 思わず、そう叫んでしまう。増援は今の所無し。相澤先生は既にボロボロで、恵さんもやられてしまった。このままでは全滅は必至だろう。

 

(どうすれば!?恵さんを、みなさんを助けてこの場を切り抜けるにはどうすれば……)

 

 絶望という闇が、3人の心を覆い始める。全員の頭の中に死という最悪のビジョンが思い浮かぶ。

 

「お、俺達ここで死んじまうんだ……」

 

「アンタね!弱音吐いてんじゃないよ!」

 

「恵さんが、死ぬ?そんな……。そんなの──」

 

「ちょ、ちょっとヤオモモ!?どこ行こうとしてんの!!」

 

 恵さんが倒れてから既に1分が経過した。目覚める気配は無い。このままいけば死ぬ。そんな最悪な考えに突き動かされる様に、駆け出そうとして──

 

 

 

──背筋が凍る程のプレッシャーに押し潰される様な錯覚を覚える。

 

 

 

 襲撃が開始されてから10分弱。ヒーローは未だ現れない。

 

 

 

 

 

 

 




いきなり非公開にしてすいませんでしたぁ!!!
事情をお話ししますと、オリ主の個性を十種影法術で書いてたら「変なオリジナル式神とか出すのはどうなんだ??」ってなりまして……。変更する事にしました。しかし、書いてる途中で色々と変えたりしてたら混乱しそうだなぁと思い、一旦非公開にしました。

本当に自分勝手で申し訳ない。私が無能な完璧主義なので、ちょっと満足いかなかったんです。本当にごめんなさい。

とりあえず最後は既に考えてあって、このまま個性を変更する事なく書けそうなので続くと思います。私の頑張り次第です……。

話は変わり、今回も読んでくださり誠に有難う御座います。今回の事は本当にごめんなさい。(豆腐メンタルなのがバレそうやな……)

以上、作者の後書きでした。本当に読んでくださりありがとうございます。
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