メイドは主人を殺したい   作:朱花

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悪魔討伐

「⋯⋯ふぅ」

 僕は騎士たちが倒れ伏す場所にて小さく息を吐く。

 何とか全員を倒すことができたが⋯⋯やはり殺さないで無力化したため時間がかかってしまったな。

 それ以上に⋯⋯一度に何十人もの相手をして疲れたな⋯⋯

 

「そろそろ行かないと⋯⋯」

 僕は、身体を起こして歩き出した、王城へ向けて。

 まぁもしかしたら既にサーチェが倒してくれているかもしれないが⋯⋯

 

「⋯⋯ん?」

 何かが崩壊するような音が聞こえる。

 続いて聞こえるは何かが地面に落ちる大きな音。

 

 ―――何か良くない予感がする。

 僕は迷わず、影移動で最短距離を進みながら音の発生源へと走り出すのであった。

 

―――

 

「後は、僕に任せて大人しく死ね」

 辿り着いた僕の目に飛び込んできたのは、金髪の男が地に伏したサーチェにトドメを刺さんとするその瞬間だった。

 男がサーチェに眩しい光を放つ剣を振り下ろす。

 見間違えるはずがない。

 ―――あれは勇者の剣!

 間違いない。 あの男が勇者の末裔だ。

 

(間に合え!)

 僕は、サーチェに向けて走り出す。

 そして⋯⋯

 

障壁(バリア)!」

 

 ―――ガキン!

 魔力の障壁が展開され剣の動きが一瞬止まる。

 

 しかし、すぐにその障壁にヒビが入る。

 ―――その一瞬で十分だった。

 障壁を破り、阻むものが無くなった剣がその動きを再開する。

 

 ―――ガキン!

 金属と金属が噛み合う鋭い音がする。

 勇者の剣と僕の災厄(ディザスター)が噛み合う音だ。 サーチェに攻撃が当たるすんでのところで防ぐことが出来た。

 

「セ⋯⋯リカ?」

 地に伏したサーチェが虚ろな目で僕を見つめる。 かなりの重症だ⋯⋯一体何があったのだろうか。

「大丈夫⋯⋯この人は私が倒します」

 そう言って恐らく国王で、勇者の末裔である男に向き直った。

 サーチェを倒すほどの相手に勝てるかどうか⋯⋯そんなことは関係ない。 僕は全力を果たすのみだ。

 

 僕を見た男は、少し驚いた顔をして問うた。

「見ない顔だね⋯⋯誰だい?」

 男の冷たい瞳が僕を睨みつける。その瞳に光はなく、どこか悲しいものを感じさせた。

「その人の協力者⋯⋯です!」

 話しながら勇者の剣を押し返した。

「邪魔者かい? 今なら許してあげるから早く退くんだ。 君の魔力量では僕に勝てないよ?」

 男が僕に警告するが、それを無視して僕は、斬り付ける。

 

「セイッ! テリャァ!」

 右、左と放った二連撃を放つ。

 

 ―――僕は、地面を蹴って一旦後ろに下がり⋯⋯

「はァァァ!」

 

 全身のバネを使って前に斬りつけた。

 が⋯⋯

 

「甘い! 甘いよ!魔力の防御を崩せていない!」

 その全てが魔力防壁で防がれる。

(⋯⋯くそっ。)

 内心で悪態をつく。

 魔力防壁。

 僕が使う「魔法障壁(バリア)」とは似て非なるものである。

 魔力障壁は凝縮した魔力を展開する技で、タイミングさえ掴めば少ない魔力しかない者でも使える技だ。

 

 それに対して魔法防壁は自分の魔力を周囲に展開し、自分を守らせる技だ。 こちらを使用するには、強大な魔力が必要なのである。

 ちなみに⋯⋯現在の僕では魔力防壁を使うことができない。

 ここから導き出される結論それは―――『絶対服従』が通用しない、ということである。

 

(どうするか⋯⋯)

 突破口を見つけるべく、僕は防御に徹することを決定した。

「喰らえ!」

 魔力を纏った剣が突き出される。

 ―――速い!

 

 僕は、紙一重でそれを回避する。

「ぐっ⋯⋯ァァ!」

 

 かすり傷だった。 しかし⋯⋯剣に纏われた魔力が避けきれずに大きく広げたのだ。 開かれた傷口から血が滝のように溢れ出す。

「これが⋯⋯これこそが力だ! 僕の力だ! ハハHAHAハハhahahahahahaha!」

 

 ―――何やら彼の様子がおかしい。

 頭を掻きむしりながら、狂ったように笑い続けているのだ。

 途端に彼の魔力の質が変化する。

 そして⋯⋯いつぞやの歴史書に書いてあった内容を思い出した。

 『魔力の質は人によって違う』という新たに判明されたこの世の絶対条件を。

 

「―――ッ!」

 少し離れたここからでも感じる、圧倒的で押しつぶすようなその魔力(オーラ)

 それは、先程までの彼のものとは大きく違い禍々しいものだった。

 

「カイ⋯⋯ナ⋯⋯もう、や⋯⋯めろ! これ以上やる⋯⋯と、悪魔に⋯⋯意、志を乗っ取ら⋯⋯れるぞ!」

 サーチェが口から血を吐き出しながら叫ぶ。

 しかし、カイナと呼ばれた男は意に返した様子もなく狂ったように笑い続けている。

 

 ―――悪魔に意志を乗っ取られる?

(現在の悪魔は勇者も支配できる程に強いのか?)

 

「どういうことです?」

 僕は、この隙にサーチェと自分にエイリさんが用意してくれた回復薬を使いながら問う。

 かなり高価な回復薬だったようで、一瞬で傷がいえる。

 もうしばらくすれば再び戦えるようになるだろう。

 

「カイナは⋯⋯勇者の剣を使う力を得るために悪魔と契約している。 悪魔契約とは悪魔に魔力を借りるために自分の魂を捧げる禁断の契約だ。 おそらく、カイナはもう⋯⋯カイナじゃねえ。 悪魔だ」

 

 ―――やるぞ。

 おもむろにサーチェがふらふらと立ち上がった。

 

「ちょっと待ってください。 まだ完全に動ける状況ではないでしょう? ここは私に任せ―――むぎゅ」

 話している途中で口を塞がれた。

「バーカ。 さっきも聞いただろ? そう何度もお前のわがままを聞くかっての。 次は俺の番だ。 というか⋯⋯一緒にあいつを倒そうぜ?」

 少し気恥しそうに頭を搔いたサーチェは構える。

 

 ―――悪魔討伐 開始だ。




とても暖かい感想を頂いてものすごく嬉しかったです!
皆様も、気が向いたら感想してやってください!

現在の推しキャラ(番外編の主人公に起用)

  • セリカ
  • サヤ
  • サーチェ
  • エイリ
  • カムラ
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