メイドは主人を殺したい   作:朱花

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戦いを終えて

「カイナ⋯⋯後は俺に任せろ」

 サーチェは遠くを見つめ⋯⋯悲しそうな顔をしていた。

「⋯⋯よし! そろそろ行くか 」

 しばらくして、彼は僕の方を見てそう言った。

「どちらへ?」

「この国を、取り戻すんだ。 まぁ元々俺の国な訳だが⋯⋯」

 

 サーチェは頭を掻きながら言いづらそうに言った。

(やはりな)

 僕は先程まで抱いていた懸念に確信を持った。

 

 ―――彼が、彼こそが勇者の末裔なのだ。

「サーチェさんの国⋯⋯とは?」

 僕は、意味が理解できない風を装ってサーチェに問うた。

「実のことを言うと⋯⋯俺はこの国の本当の王。 勇者のまつえ⋯⋯っと。 なんの真似だセリカ?」

 言葉を聞き終わる前に僕は、サーチェに剣を突き立てる。

「⋯⋯殺す」

 

 僕は、サーチェを睨みつけて吐き捨てた。

 しかし、サーチェは気にした様子もなく飄々とした態度で⋯⋯

「おいおいやめとけよ。 お前の魔力量、限界だろ?」

 そう言った。

「これでも同じことが?」

 

 僕が取り出したのは一つの瓶。

 ―――それを飲み干す。

 

 飲み干した途端に魔力が完全復活した。

 

「魔力回復薬⋯⋯エイリから貰ったのか⋯⋯めんどくせぇな。 でも⋯⋯」

 ―――お前がそうするって事は何かお前なりの考えがあるんだろうな。

 そう言ってサーチェは勇者の剣を構えた。

 

「いくぜ? 希望(ラジエルダ)!」

 サーチェは圧倒的な魔力を放ち、僕を威圧する。

 それと同時に勇者の剣―――希望(ラジエルダ)が眩い光を放つ。 それこそが、彼が勇者の末裔である何よりの証拠であった。

 

「⋯⋯はァァァ!」

 まずは前に、体重を乗せた全力の斬り込み―――

「軽いな」

 それを無情にも楽々と弾かれる。

 

 ―――力で勝つことは不可能だ。

 

「ならば⋯⋯!」

 僕は、右に左にと剣を切り降ろし、速さでサーチェを撹乱する。

「遅せぇよ」

 それすらも、サーチェは軽いステップで躱していった。

「ここらで手打ちにしねーか? 」

 サーチェがそう提案してくるが、聞く耳を持たない。

 

 ―――僕は身体中に魔力を溜める。

 

 ここで放つは、サーチェを二度も苦しめたあの技だ。

 

 そして⋯⋯身体中に魔力が巡ったその瞬間⋯⋯唱える。

「滅びろ! 黒破⋯⋯ッ!」

 

 しかし、その魔法が放たれることはなかった。

 

 魔法を放つ前に目の前に現れたサーチェによって口を塞がれたのだった。

 

「終わったな。 俺の勝ちだ」

 

 そのまま地面に叩きつけられた。

 十分に距離をとっていたはずなのに⋯⋯気がついたらサーチェが立っていたのだ。

 あまりにも速すぎるその動きに、僕は内心で驚愕した。

 

「まだやるか?」

 そうサーチェが聞いてくる。

 頭では分かっている⋯⋯勝てないことぐらい。

 でも、退く訳にはいかないのだ。

 

 ―――僕は立ち上がり、再び彼に向かって走り出した。

 

―――

 

「ハァハァ⋯⋯」

 呼吸が整わない。

「バカが。 限界超えすぎなんだよ」

 隣でサーチェが吐き捨てた。

 

 ―――返す言葉もない。

 

 僕がサーチェに走り出した後、勝負は一瞬でついた。

 

 ―――僕の敗北という結果で。

 

「これから私をどうするんです?」

 やっと呼吸を整えてサーチェに問うた。

「そうだな⋯⋯お前は俺を殺したい。 俺は国を興したい⋯⋯ふむ 」

 

 サーチェが考えるように口元に手を当てた。

 そして⋯⋯

 

「よし! お前、俺の護衛になれ!」

 何を血迷ったのか、そう言い放ったのだった。

現在の推しキャラ(番外編の主人公に起用)

  • セリカ
  • サヤ
  • サーチェ
  • エイリ
  • カムラ
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