「⋯⋯厄介だな。 お前の魔法」
サーチェは鋭い剣撃を繰り出しながら、苛立たしげに呟いた。
双眸にサヤを捉えながら、何度もサヤへと切りつけるがサヤはそれをそよ風のようなステップで華麗に躱し続けていた。
「いやいや。 こっちだって困ってるんだよ? 私がどれだけ魔法撃っても全部捌いてくるんだから!」
「⋯⋯っと! そう言いながら攻撃してくるとは、なかなかに強かじゃねえか」
「ふふっ! 隙は狙わないとね〜。 でも、しっかり躱してるじゃん!」
「遅せぇんだよ。 杖向けて撃つ攻撃なんざどれだけ早くても来る場所が分かってるんだから」
サーチェはその言葉通り、先程から一度の掠りすらもなかった。
サーチェの体力は底なし沼と言えるほどに強大だ。
それに比べてサヤは回避や攻撃のために多くの聖法気を使用しているから⋯⋯この勝負長引けばサーチェの勝ちが確実となることだろう。
「え〜。 しょうがないなぁ」
しかし、状況が理解出来ていないのか唇を尖らせたサヤの顔に浮かぶのは満面の笑みであった。
次の瞬間、彼女は杖を突き出す。
『聖なる光よ。 槍となりて我が敵を貫け!』
サヤが完成させた詠唱は、先程から彼女が多く使用する攻撃魔法と全く同じものであった。
光速にも迫る速度で光の槍がサーチェへと放たれる。
しかし⋯⋯
「俺の話を聞いてなかったのか? 同じことばっかしても意味がな⋯⋯っ!」
その攻撃を、跳躍で易々と回避したサーチェの顔に苦悶の色が浮かぶ。
次の瞬間、地面に崩れ落ちるように着地した。
何があったのかとサーチェを観察すると、脇腹の辺りに焼け焦げたかのような跡があった。
まるで激しい雷光に刺し貫かれたかのように。
「何をしたんだ? 今のは明らかに詠唱した魔法とは別のものだったはず⋯⋯」
「ん〜? どうしょっかな〜。 まぁいいや! 特別に見せてあげるよ!」
子どものような悪戯な笑みを浮かべたサヤは黙って指先をサーチェへと向けた。
そして⋯⋯その指先から雷光が放たれ⋯⋯サーチェ近くの地面へと着弾した。
その部分に生えていた雑草は黒く焼け焦げ、その魔法の威力を物語っていた。
「「無詠唱⋯⋯魔法」」
「そっ! せ〜かい!」
僕とサーチェが導き出した同じ答えに、サヤは嬉しそうに肯定の意を示した。
『無詠唱魔法』それは『解呪』と同じように、魔法の論理を完全に理解した者のみが使用できると噂されている技のことだ。
しかし、その難易度は『解呪』の比ではなく、あくまで存在が確認されているのみの正しく絶技であった。
僕たちが魔法障壁のことを
「⋯⋯まっ私が使えるのは本当に初級の雷魔法だけだけどね〜」
何事もないかのように呟くサヤであったが、先程の魔法の威力は初級魔法だとしても絶大なものであった。
ましてやそれを無詠唱で撃てるなど⋯⋯背筋が凍る思いである。
「⋯⋯いーや。 凄いな」
サーチェも同じことを感じたのか、素直な賛辞を述べる。
パチパチと手を叩いてサヤを賞賛していた。
「あれ? もうお終いかな?」
それを敗北宣言だと受け取ったサヤは気がついていない。
「終いだ」
「⋯⋯あら」
奇妙な声を上げながら背後から近づくもう一人のサーチェに拘束されるサヤ。
首元に短刀を突きつけられて完全に身動きを封じられていた。
「え〜! ねぇちょっとズルくない?」
「うるせぇよ。 油断する方が悪いだろ」
サヤは身体を揺らして脱出を試みるが、豊満なそれが揺れるだけで拘束を解くことは出来なかった。
⋯⋯別に悔しくなんかはない
「もしかして⋯⋯ワザと私の無詠唱魔法喰らったの?」
サヤが恐る恐るといった様子でサーチェに聞く。
いやいやまさか。
いくらサーチェといえどあんな初見殺しの技に反応できるわけが⋯⋯
「あ? 当たり前だろ。 なんか狙ってるのは分かってたからずっとお前の視線を追ってたし」
「「うそ⋯⋯」」
当たり前のように答えるサーチェに僕たちは唖然とする。
つくづくサーチェの凄まじさに驚かされてばかりだな。
そんな僕の気持ちを他所にサーチェは大きく笑う。
そして⋯⋯サヤの手を取った。
「⋯⋯へ? いきなり何?」
「でも、試験は合格だ。お前の全力を持って俺に教えてみせろ」
戸惑うサヤにそう傲慢に言い放つのであった。
現在の推しキャラ(番外編の主人公に起用)
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セリカ
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サヤ
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サーチェ
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エイリ
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カムラ