メイドは主人を殺したい   作:朱花

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目標再確認

 色々と疲れた昨日から一日が経過し、新たに出てきた問題に頭が痛い思いをしながらの昼下がり。

 僕は王城の中にある図書館へと赴いていた。

 

「ふむ⋯⋯ここにはない、か」

 

 重厚な本棚同士の間に出来たスペースを覗き込みながら呟く。

 ここにやって来たは『過去に戻る魔法』というのを探しに来たからだ。

 サヤは「前も言ったけど、王様じゃないとダメなんだって!」と言っていたが、然るべき時のために場所を把握しておくべきだし、もしかしたら⋯⋯なんてこともあるかもしれないしな。

 それに、色々と忙してくて来れていなかった図書館、とやらを見てみたかったから、というのも理由の一つだ。

 

「う〜ん? あ! あれじゃない!」

 

 とぼとぼと歩き出したその時、同じようにそれを探していた声色を明るくしてサヤが叫び一点を指さした。

 僕の背後にあるであろうサヤの指さすものを見るべく、振り返ってみるとそこには明らかに材質の違う豪華絢爛中に本があった。

 僕はそれに向けて手を伸ばす⋯⋯が。

 

「⋯⋯ふっ! はっ!」

 

 精一杯手を伸ばすのだが⋯⋯届かない。

 クソッ! こんなところで転生の弊害が⋯⋯

 サヤはそんな僕の姿を見てクスクスと笑い始める。

 一応護衛ということは機密事項でもあるから、ここで本気で跳ぶ訳にも行かないし⋯⋯

 

「あれ? 諦めちゃったのヴァイスくん?」

「⋯⋯れ」

「ん? 何て言ったの?」

「僕は届かないから⋯⋯取って⋯⋯くれ」

 

 悔しいが僕ではどうしても届かない⋯⋯だから遥かに高い身長を誇るサヤへと頭を下げた。

 サヤは「え? きゃあ! 可愛いよヴァイスくん!」と、上機嫌になって快く本を取ってくれた。

 その身長が羨ましい⋯⋯。

 

「ところで⋯⋯サヤは何か身長を伸ばすために訓練でもしているのか?」

「⋯⋯え? ないない! そんなこと全くしてないよ! というか身長なんてあっても邪魔なだけだから!」

「ぐっ⋯⋯」

 

 言われてみると、僕も昔は意識せずとも背が高かったな⋯⋯クソッ!

 そんな事を話しているうちに、サヤは本をとって僕へと渡してくれた。

 その本の題名は『時間転移魔術について』と明らかに当たりだと伺えるものであった。

 

「お! やっぱりこれっぽいね〜!」

「早速見てみ⋯⋯ッ!」

「え? ヴァイスくん大丈夫? ⋯⋯痛っ!」

 

 本を開こうとした瞬間、雷に打たれたかのような衝撃が身体中を駆け巡り、思わず本を落としてしまった。

 サヤが落とした本を拾い上げ、同じように開こうとしたのだが⋯⋯すぐさま地面に落としてしまった。

 

「あらら⋯⋯やっぱり王様じゃないとダメなんだねぇ〜残念」

「まぁ⋯⋯仕方ない。 とりあえずは一歩前進したんだ」

「お! 良いねぇ〜そのポジティブ思考」

 

 元からそこまで期待していない事だったから、精神的なダメージもさして大きくない。

 僕はサヤに本を手渡し、元に戻して置くよう頼んだ。

 しかしサヤは悪戯な笑みを浮かべ「ど〜せ誰も見ないんだから私たちが貰っちゃおう!」と言い出した。

 

「そこに持ち出し禁止と書かれているが⋯⋯」

「大丈夫大丈夫! まさか私たちが持ってるなんて思わないでしょ!」

「まぁ⋯⋯いいか」

 

 もしかしたら、何かしらの方法で解決法が見つかるかもしれないしな。

 サヤが収納魔法で本を虚空に入れた事を見届けて、僕は次の目標へと向かう。

 

「さて⋯⋯サヤ。 ここからが本番だぞ?」

「うん! ⋯⋯ってヴァイスくんも素直じゃないよね〜。 何だかんだ言ってサーチェくんの事大好き何だから!」

「うっ⋯⋯うるさい!」

 

 茶化すサヤを睨み付けつつ、僕たちは図書館の出口へと向かう。

 これからが本当の任務。

「マグノリアの同盟に関するいざこざ」をどうにかして解決するのだ。

現在の推しキャラ(番外編の主人公に起用)

  • セリカ
  • サヤ
  • サーチェ
  • エイリ
  • カムラ
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