「……なんぞ、これ?」
そんな言葉が思わず溢れる。
今、俺の目の前で行われているのはドッヂボール。……ドッヂボール、のはずだ。
「くらえっ!烈火球!」
「きゃあああ!」
「白井選手、アウト!」
相手の選手(美少女)が結構恥ずかしい必殺技名を叫びながらボールを投げる。しかしこれが実際男も真っ青な豪速球で、しかも言葉通り炎を纏いながら僕の近くにいた美少女を吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされた少女は、最近の大人の男性向けのゲームのサービスシーンの如く、服をボロボロにしながら吹っ飛んでいった。
「……なんぞ、これ?」
僕は再び同じことを呟く。
コロコロ……
目の前にこぼれ球が転がってきたので、それを拾いあげる。
「みんな気をつけろ!決勝で出てくるってことは相手の秘密兵器の可能性が高い!」
えぁ!?僕!?僕そんな大そうなもんじゃないんだけど!?
「すまん
「後は頼む!」
「やっちゃえ
え?僕が投げるの?マジで?素人の僕が?無理無理(諦めモード)。よし、外野にパスしよっと。
……あの、そのめっちゃ期待した視線やめてもらえます?すごくパスしにくいです。ええい、観客も煽るんじゃない!ますますパスしにくくなるだろうが!ってそうですよね。そんな雰囲気でもパス警戒しますよねぇ?ライン側に一人配置しますよねぇ。
クソが!パスって選択肢完全に潰されてるじゃねーか!
「もぅ、どうなっても責任持ちませんからね?」
僕は半ばヤケクソになって助走を始める。
「ふっ!!」
そしてありったけの力とストレス(笑)を込めて全力投球。するとボールがまるで僕の思いを投影したかのように真っ黒になってバチバチっと不穏な音を立て始め、相手選手へと飛んでいく。
「きゃあああああ!」
「真田選手、アウト!」
そして狙ったさっき必殺技を叫んでた美少女を、服をビリビリに破きながら吹っ飛ばした。
「なっ!?」
「必殺技!?」
相手チームから驚きの声が上がる。
「ふぁっ!?」
投げた僕も驚く。なんだ今の?
「友親かっこいー!」
「あの子、まだあんな技隠してたのか」
「漆黒の暴君と名付けよう!相手は死ぬ!」
「死んでないから!死んでないからね!?」
いや隠してないから!偶然だから今の!
あとなんだその俺の考えた最強の必殺技みたいなの!やめてめっちゃ恥ずかしいから!それと死んでないから!色々見えそうで見えない格好だけど死んでないからねあの子!
ってか復活早いな!もう立ってピンピンしてるよ。ただね、こっちを見ながら外野に行くのやめてくれません?視線がめっちゃ痛いです。
「もっちー!」
そんな追いつかないツッコミと絶賛錯乱中の僕に時間は非情で、試合は待ってくれない。外野の仲間から容赦なくパスが飛んできた。まだこっちの攻撃ターンは続いているらしい。
いやこっちにはパスしてくるんかーい!誰か倒して戻って来てくれないんかーい!内野に残ってんの今の僕だけなんですけど!?いやまあ相手も最後の一人なんだけどさ。
ってかパスも高い高い!なんつーパス送ってくるんだよ。
「パスミスだ」
相手の外野選手からそんな声が聞こえてきた。
「あーもう!」
ちょっと今この状況を整理させてくださいやがれこのヤロー!
僕は自分を超えて相手の外野まで飛んでいってしまいそうなパスをバックしながらジャンプして空中でキャッチ。
「うそっ!?」
「あれに届くのか!?」
相手の外野の驚く声に思わずニヤリとしてしまいながら、僕はそのまま相手コートに残る最後の一人に向けてボールを投げつけた。今度はちゃんと
僕の投げた球は青白いスパークをしながら雷のように直角した軌道を取りつつ、高速で相手へと肉迫し、
「きゃあ!」
「武田選手、アウト!」
やはり吹っ飛ばした。衣装をビリビリと破きながら。
この衣装しょっちゅう破れるっていうか破れ過ぎじゃないかな!?しかもなんで毎度毎度、あんな都合のいい破れ方するかな!?いつも肝心な所は絶対見えないように破けるっておかしくない?
「試合終了!愛和北中学の勝利です!」
そんな僕の疑問は、最後の一人を倒したことによって試合終了と、うちのチームの勝利が宣言されたことによって流される。そして。
「やったぁぁぁぁ!」
「勝った!勝ったよもっちー!」
「私達優勝だよ!信じられない!」
宣言と同時にチームメイトが次々に僕に向かって走ってきては抱きついてきた。
「ちょ待っ!?ぐぇぇ、苦しい!ギブ!ギブ!」
次々にくるチームメイトを支えきれずに押し倒されて潰される。
何この柔らかビッグウェーブ!?
むにゅむにゅムニムニが押し寄せてくる!気持ちいいけど苦しい!苦しいけど気持ちいい!てかあんたら服ボロボロで色々見えちゃいそうだけどいいの!?目のほよ……じゃない、目の毒なんだけど!
「あ、ごめん」
「ちょっとみんなどいて!このままじゃ友ちゃんが潰れちゃう!おせんべいみたいになっちゃうよ!」
「あはは、ちょっと興奮しすぎたね」
そう言って乗っかってた子達が次々にどいてくれる。かわいい女の子たちに押しつぶされるという天国とぢごくから開放され、安堵とちょっとの残念感に浸っていたタイミングで、僕はヒョイっと身体を持ち上げられた。
「大丈夫だったか?」
「な、なんとか……先輩?」
僕を抱き上げたのは、うちの学校のドッヂボール部の部長にしてチームのキャプテン、灰川先輩だった。
心配してくれたのかと思いきや、先輩の笑顔に何故か背中に冷たい汗が流れる。
あ、これなんかやべえヤツだ。
妙な直感が働いて慌ててもがくも、身長の低い僕が高身の灰川先輩に叶うはずもなくひたすら空中でジタバタするだけだった。
「かっ、かわいい!」
「もっちー可愛いすぎる!」
「おりゃー撫でさせろー!」
「何食ったらこんな成長するんだこの胸!ちょっと寄越せー!」
「やぁーめぇーろぉぉぉぉぉぉ!」
僕の悪あがきがチームメイトの何か琴線に触れたらしく、みんなに揉みくちゃにされる。ええい、揉むな撫でるな抱きつくなぁぁぁ!
「まあ落ち着けみんな」
ここでさっき妖しいほどのいい笑顔だったキャプテンが止めに入ってくれた。まあ事の初めは全部あなたのせいなんですけどね。だからジト目で無言の抗議をする。
「落ち着いたな。よし、じゃあみんなで私達を優勝に導いてくれた立役者を胴上げしようじゃないか」
「「「さんせーい」」」
はぁ!?ちょっと待て何言ってんだこの人!?こういうのは普通キャプテンの灰川先輩なんじゃないの!?さっきの嫌な予感の正体はこれかっ、冗談ではない!僕は決勝とはいえこれ一回しか出てないうえにただの助っ人なんですけど!?こんな場違い感半端ない胴上げなど御免被る!俺は抜けさせてもらうぜ!
指宿友親は逃げ出した!
じたばたじたばた
逃げられない!
僕は多勢に無勢、逃げることはかなわず、あっという間に持ち上げられると、空中へと放り上げられた。
「わーっしょい。わーっしょい」
「指宿、ありがとう!」
「ども゛ぢがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
「もっちー!もっちー!」
何度も何度も放り投げられながら、僕は無駄な抵抗だったと悟り全てを諦めて、なすがまま状態で身体を委ね再び考える。そして最初に思ったことが自然に口から溢れた。
「なんぞ、これ?」
連載止めてるのに新作ばっか書いてごめんなさい。
なんか今、片っ端から色々書きたい気分なんです(ダメだコイツ。早く何とかしないと)
いや決して最近また流行ってるTSモノの流行に乗っかろうとしてるわけでは……(逸らし目)
本当は作者、ファンタジーやバトル系の作品が多いから、スポーツモノと美少女モノを書いてみたくてやってしまいました(^^;
TSモノ?大好きですよ?(汚れなきナマコ)