落ちこぼれ魔術師が呪術高専に   作:はいから

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日本の観光名所といったら墓地

「ん〜...。腰いった」

 

「お疲れ〜。日本は日が暮れ始めるとこだね」

 

初めての海外。初めての日本。空港を出ると見慣れない店がたくさん並んでいる。

 

「改めまして。ようこそ日本へ」

 

「...ども」

 

「まだ夜まで時間あるし。行きたいでしょ、東京観光」

 

「え、いや...」

 

確かに。行きたくないと言ったら嘘になる。

 

別に特別日本文化に興味あるわけではないけど、初めての海外だ。今でさえ見たこともない店だらけで若干興奮気味なのに。

 

「どこいきたい?どこいきたい?」

 

「せっかくなら...神社とか、寺とか?」

 

「いいね!さっそくレッツゴー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

「....墓地じゃないっすか」

 

「寺だよ」

 

「寺の裏の墓地ですよここ」

 

「日本の墓はどうだい?」

 

「墓観光したいわけじゃねぇよ」

 

確かにうちの国とは作り全く違くて興味はあるけども。

 

「チキチキ!いきなり呪術テストー!」

 

「墓地で大声出さんでください...」

 

「ハンスもわかるだろ?墓地の奥の林から呪力を感じる。君の国でいう魔力だ」

 

「ええまあ、感じますね」

 

少し俺の国の魔力の感じと違うが、国が違うんだ。当然負の感情も異なる。故に魔力の感覚も違うのだろう。

 

「そいつを倒してきてくれ」

 

「...え?いやいや。あの、俺四級任務すら毎回ギリギリなんですよ?」

 

この気配、3級は絶対にある。

 

「ハンスはさ、今まで三級以上の呪霊と出会ったらどうしてたの?」

 

「....それは」

 

毎回毎回、戦っては、負けていた。

 

そのたびに魔術師をやめたいという思いが重なったが、それでも強くなりたくて、逃げずに無理して戦って、負けて、殺されかけて、他の魔術師に守られてた。

 

「ハンスには術式はない。魔具も使えない。じゃあハンスの武器はなんだ?」

 

「この...魔導書です」

 

「そう。術式を組み込まれた書物。魔導書だ」

 

この魔導書に魔力を流し込むと、本に組み込まれた術式が発動する。簡易的な即席術式。故にそこまで力の強い術式ではない。

 

「しかしハンスは、自分で自分の実力を落としている」

 

「自分で...?」

 

「確かに魔導書は簡単な作りだよ。でも、ハンスは魔導書が、魔導書に込められた術式が弱いから、自分が弱いって思い込んでない?」

 

「....!」

 

「自分に術式がないから弱いのか、魔導書の術式が弱いから弱いのか。どっち?」

 

「……俺は。俺は、術式もなくて、魔具も使えなくて、身体能力も低い。だから、弱いんです」

 

「うん...

 

 

 

 

 

 

 

 

不正解☆」

 

「....は?」

 

「君には他の誰にも負けない武器がある」

 

「...ありません」

 

「あるの」

 

「この本のことですか?」

 

魔導書のほとんどは、複製可能な代物だ。

魔導書は大きく分けて上級下級とあるが、下級の魔導書はすべて複製可能。今でも量産されていて、魔力があれば誰でも使える。

 

「そ。その本のこと」

 

「これなら誰にでも使えますよ。魔術師でなくても、魔力があれば使える」

 

「ぶっぶー。また不正解」

 

「はぁ?」

 

「魔力があれば使える?本当に?」

 

「ええ。そりゃあそうですよ。魔力を流し込めば術式が発動する本が魔導書ですから」

 

「じゃあそこの林の呪霊と戦ってきて」

 

「え...」

 

「倒せなくてもいいよ。ハンスが危険になったら僕が間に入る」

 

「……はい」

 

なにがしたいんだこの人...。

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

「さあさあ!おもいっきしやっちゃって!」

 

「できるもんならやってますよ...」

 

『ア...アイ...』

 

林の中の魔物は三級だった。

それ故に逃げる隙はいくらでもあるものの、俺の魔導書の中でこいつをやり切れるだけの火力のある魔導書がない。

 

『ウゥ...』

 

「(日本の魔物、俺の国とはぜんぜん違うな)」

 

姿形もだが、雰囲気もぜんぜん異なる。

しかし強さは同じく三級。攻撃を躱すのは容易い、

 

 

「グリモワール術式...!」

 

 

魔導書を開き前に掲げると、赤い魔法陣が展開する。

 

 

『ファイアー』

 

 

 

──ゴウッッ!

 

 

その魔法陣から、大きな炎を放つ。

魔導書の中で最もポピュラーな術式。

 

『グゲェ!?...ウゥ』

 

くそ、やっぱやりきれないか...。

 

「(次は...)」

 

 

 

──ばしゅっ

 

 

 

「...え?」

 

魔物が...消えた?

いや、違う。これは五条さんの魔力だ。一瞬すぎてわからなかった。それもただ魔力、いや呪力を固めて飛ばしただけ。

 

「テストは終了だよ。よくわかった」

 

「...いまのでなんかわかりました?」

 

俺が弱いってことぐらいしかわからないだろ。

 

「確かに弱いのはわかった」

 

「...心読みました?」

 

「僕、最強だから」

 

「会話してください」

 

人の話何割ぐらい聞いてるんだろこの人。

 

「確かに、さっきのはお世辞には強いとはいえない」

 

「でしょうね...」

 

「それは魔導書が弱かったのか。ハンスが弱かったのか」

 

「......」

 

確かに。俺は弱い。

でも魔導書は誰が使っても強いものではない。魔導書によって個体差はあるものの、ほとんどの魔導書は弱い。

 

「ハンスの考えてることはよくわかるよ。術式の強さも重要だ。じゃあこうしよう」

 

「....?」

 

「もし、僕の無下限呪術をハンスが使えたとする。そしたらハンスは最強になれてたと思う?」

 

もし、俺が無下限呪術を使えたら...。

 

無限を発生させる術式。それが無下限呪術。そんな術式、俺に使いこなせるか?発動できたとして、どれほど魔力を消費するのか、想像もつかない。

 

「無理...な気がします」

 

「なんで?」

 

「五条さんほど大量の魔力を持ってないので」

 

「うん。大っ正解」

 

「え?」

 

「考えてみれば簡単な話だよ。強い術式弱い術式。それも大事だ。でも術式を操るのはあくまで魔力」

 

でも、いくら膨大な魔力があったところで、魔導書の術式は変わらない。

 

多分五条さんが言いたいのは、魔力量が多ければ魔導書の術式もより強力になるってことなんだろうが...。

 

「無理ですよ。どんなに魔力量が多くても魔導書のキャパがある」

 

魔導書に魔力を詰めれるだけ詰めても、やがて限界値が来る。そしてそれ以上威力は変わらない。

 

「わかってるよ。ここで問題。術式を操るのはズバリ魔力ともう一つ。それはなーんだ」

 

「術者...?」

 

「ぴんぽんぴんぽーん!ハンスが言うように魔導書は魔力があれば誰でも使える。でも、そこには魔力を流す工程がいる。手とペンがあれば絵かきにはなれるけど、技術がないとなれないだろ?」

 

「そんなこと...」

 

そんなこと、わかっている。

術式を活かすのは魔力であり、その魔力を流すのは術者である俺だ。

 

「魔力も呪力もおんなじだ。一番最初に習うだろ?魔力を無駄遣いしないように、より少ない魔力でより強力な術式を発動する」

 

魔力操作。基礎中の基礎だ。感情の振れ幅によって出力する魔力は大きく変わる。それをコントロールできるようにする。魔法学校で一番最初に習ったこと。

 

この魔導書に、より少ない魔力で、より大きな術式を発動させろってことか?

 

そんなこと、できるならみんなやってるだろ。できないから下級の魔導書はせいぜい牽制程度にしか使われない。

 

「どんなものも使い方さ」

 

「....そこまで言うなら。五条さんが使って見せてくださいよ、お手本」

 

「う〜ん...」

 

「......」

 

 

 

 

「無理☆」

 

「.....」

 

「ものに呪力込めるならいくらでもできるけど、魔導書はちょっと特殊だからね。それに...」

 

「……?」

 

「魔導書の扱い方なら、ハンスが一番知ってるだろ?」

 

「そりゃそうですけど...」

 

「ほら、やったやった」

 

って言われましても...。

 

「魔力操作意識ね」

 

「...うす」

 

より少ない感情で、より少ない魔力で、より大きな術式を発動させる。

 

魔導書を開き、前に掲げる。

 

指先に全意識を集中させろ。魔力を込めることにこだわるな。重要なのは、込めることよりも、込め方の方。

 

「グリモワール術式」

 

掲げた本の前に、赤い魔法陣が展開する。

 

 

『ファイアー』

 

 

──ゴウゥンッッ!!!

 

 

「はっ....え?」

 

「うん、ばっちりだ」

 

今の...ほんとに俺の魔術か?

今までとは桁違いの大きな炎が上がった。

 

「まだちょっと荒削りだけど、一朝一夕じゃいかない。気長に行こう」

 

俺の国じゃ、下級の魔導書はほとんどが使用されない。俺のように術式が使えない人間が護身用で持つ程度。牽制に使えてもらったら御の字だ。

 

でもそんな魔導書の可能性を、数百年引き出されなかった可能性を、この人は一瞬で見抜いたのか?

 

「そのための呪術高専だ」

 

五条悟。

やっぱり只者じゃない。でも...

 

 

魔導書の可能性を見いだせたのに、なんで俺の国に伝えないんだ?

 




設定

『主人公』
名前:ヨハネス・カンパネルラ
年齢:16歳
誕生日:2月2日
出身地:北欧のどこか
高専入学方法:スカウト
術式:なし
技:グリモワール術式「ファイアー」etc...
趣味:読書
特技:指がめっちゃ反る
好きな食べ物:ベルリーナ
苦手な食べ物:野菜
ストレス:弱い自分
好みのタイプ:歳上っぽい人
 
主人公の名前は銀河鉄道の夜から参照。
 
『グリモワール術式』
魔導書を使った術式のことを総じてそう呼ぶ。
 
『魔法陣』
作者がかっこいいからつけた感は否めない。
一応理由としては、魔法陣は魔導書に組み込まれてる術式を発動するときの演算(?)的なことをやってくれてる...はず。例えると...

術者は解き手
魔導書は問題
魔法陣は式
発動した術式は答え

って感じ。よーわからん。ただの中二病。
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