新約 仮面ライダーGHOST   作:放仮ごdz

2 / 8
どうも、放仮ごです。前回投稿した時点で途中まで続きが出来てたんで投稿します。


第一話:開眼、俺がゴースト

 俺の人生は、何も無かった。普通に進学して、でも些細な事から休学して。そのままなし崩し的に中学を卒業。高校も一度は第三希望でギリギリ受かった農業高校にしぶしぶ通ってみたものの、喧嘩沙汰になり停学して一年を無駄に過ごしたのちに転向して通信科に通い、それでもろくに授業を受けなかったため単位が足りずに一年も留年して二十歳になって・・・俺の青春は、始まらずに終わった。友人?もちろんいない。最初の高校で1人だけできたが、突然俺が停学したため音信不通だ。

 

 やっと卒業した時それに気付いて、泣いた。糞みたいな人生だ。ここまで育ててくれた両親や、できのいい四つ下の妹に顔向けできない。

 

 思えば小学生低学年の時には親戚の葬式に遠出した際に高速道路で家族ともども事故に巻き込まれたし、小学高学年では調子に乗って自転車で坂道を駆け下りてブレーキが効かずに電柱に激突して宙を舞って全身血塗れと言う大怪我を負った。車の事故は真ん中に居て大した怪我はしなかったし、電柱はむしろ激突してなかったらそのまま十字路の道路に飛び出していたのだから幸運だった。

 それでも死ななかった自分を、俺は「漫画やアニメの主人公みたいだ」と過信していたのだろう。その結果がこれだ。人間不信に陥った、最底辺のクズだ。

 

 そうだ、俺は主人公に憧れた。あんな青春を送ってみたかったし、友人をいっぱい作りたかった。そんな事を思いつつ、驕った結果がこれだ。もう高校生も終わったんだから素直に平凡な日常を送り、今すぐにでもニートを脱却するしかない。

 

 そんな俺が、バイトを見付けるために外に出た結果。死んだ。何か爆発に巻き込まれて、よく分からずに死んだ。20歳になり一週間後。高校を卒業した翌日であった。機械音痴がアイス工場で働こうとか思ったのが駄目だったのか。

 

 

 

 

 さて、前置きが長くて悪いが、そうだ。俺は死んだはずだ。なのに何故か、俺はこうして己の人生を振り返り、歴史全振りだった頭で今の状況について考えている。そして、都会のど真ん中の歩道で熟考中だと言うのに、他の人間は俺の体をすり抜いて行くのに気付いた様子は一切ない。あと、何か変なのが視界をよぎって行く。ふむ。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・どうやら俺は、幽霊になったらしい。

 

 

 

 

 心残りと言えば俺が死んだ後に家族がどうしてるかぐらいだが、できれば知りたくないのが本音だ。あとここはどこだ。看板を見るに東京だが俺はバリバリの九州生まれだ。九州から外に出た事なんて某テーマパークに行った幼少時ぐらいのド田舎もんだ。

 

 意識を取り戻したらここだったからどうしようもないが、何で俺はここにいるのだろうか。ところで目の前をふよふよ飛んで行くのはお化けか何かか。

 気になって近くまで行ってみたら、間近でそれを見たら凄く怖かったのと、あと普通に飛べることに気付いた。便利だな。物に触れないからもう物食いできないのだろうが元々無気力に過ごしていたから問題ないな。だが、それだけに何をすればいいか分からない。とりあえず九州に戻って家族の安否を確かめるか・・・・・・・・・いや、このまま飛んで行かないとかもだから却下だな。面倒なのはごめん被る。

 

 

 

 

 

【次のニュースです。昨日の13時、九州の●●県●●市で起きた大規模火災について・・・】

 

 

 

 

 ふと街頭のでっかいモニターを見上げると、俺が死んだ翌日だと分かった。聞き覚えがある地名に、俺が死んだ出来事についてだと思い至り、意識を寄せる。火災?爆発事故じゃないのか?

 

 

【町の中心から離れた廃工場で発生し周囲の家屋に延焼した大規模火災における犠牲者は二十名にも及び、現場からは黒焦げとなった焼死体が発見されました。火元は分かっておらず、遺体のいくつかが先月発生した行方不明者と一致したことから警察は関係性を疑っているとのことです・・・】

 

 

 廃工場。確か、俺が死ぬ直前で見たのがそこだった。通りかかったと言うのが正しいか。だがその爆発が火元となるとおかしい。火元が不明?じゃあ俺が巻き込まれた爆発は何なんだって事になる。そう、街の上空でふよふよと浮遊しつつ腕を組んで考え込んでいた時だった。

 

 

 

 

「・・・ん?」

 

 

 

 ちらり、と。人ごみの中に不自然な物が見えた。さっきのなんか怖いおばけもどきじゃない。人ごみをかき分けている事から俺みたいな幽霊じゃない事は明らかなのに、誰も気にしていない。違和感を抱いたのは、その格好。

 

 黒づくめのマント姿で、フードの下に群青色の鎖が交差した様な変な文様の丸い仮面を被っている。コスプレイヤーかと思ったがここはアキバではない。都心のど真ん中で違和感しかない姿なのに、俺もジッと観察するまでその事に気付かなかった。何故気付いたかと言われたら、変な既視感を感じたのだ。

 

 

 気になったのでその黒づくめを上空からふよふよと追いかけてみる。黒づくめは何の変哲もないビルに入って行き、外からは見えないので俺もそれに続く。男は空き部屋の三階フロアまで来ると誰も居ないのか確かめたのか辺りを見渡してから鍵を閉めた。一瞬目があった気がしてひやりとしたけどやっぱり見えない様だ。

 

 

「・・・さて、と。ここならばれないだろう」

 

 

 そう言った男が、ばさりとマントを翻すとどういう訳かその下から鎖で縛られた人間が複数現れ、乱雑に床に並べられる。雁字搦めで口元まで縛られているが、どんな手品を使ったのか明らかにマントの面積以上の数、五人もいた。そして驚くべきことに・・・縛られている人達の顔は、先程マントの男がぶつかった人間達だ。あの一瞬で捕えたと言う事なのだろう。どういう手品だ。

 

 

「さてさて皆様、稀代の魔術師であるわたくしめの脱出ショーは如何だったかな?お楽しみいただけたなら結構、ではお代として君達の魂をいただこう」

 

「んん~っ!」

 

「そうかそうか、嬉しいか。そうだろうそうだろう、この稀代の魔術師フーディーニに魂を献上するのだからね。光栄だろう?」

 

「んんん~っ!!」

 

 

 フーディーニだと?ハリー・フーディーニ、かつてアメリカ合衆国で名を馳せた天才マジシャンの名だ。間違ってもこんな変なマントの上からパーカーを被ってるような仮面野郎では断じてない。フーディーニと名乗った謎の男がまるで骸骨の様な右手を伸ばして目の前の女子高生の頭に触れると、何か青く光るものが吸い込まれて行き、少女は白目をむいて倒れる。息をしてない、既にこと切れていた。

 

 

「ごちそうさま。んん、お代としては質の悪い魂だな。口直しといこうか」

 

「んんん~っ!?」

 

 

 そう言って次のサラリーマンに手を伸ばす怪人。見ればマントの下はまるで骸骨の様な姿だった。人間じゃ、ないのか?どちらかというと俺みたいな幽霊の様な……これでも特撮ヒーローに憧れた身だ。見て見ぬふりなどできない、例え無駄だろうと、呪うことぐらいは…!

 

 

「ウオォオオオオッ!」

 

「ふむ。うるさいね、キミ。観客じゃないものは黙って出て行ってくれたまえ」

 

 

 背後から拳を振るおうと突撃、するもフーディーニは突如首をグルンと180度回してこちらに視線を向けてきて、明らかに俺の存在を視認していることに気付いた時には、マントの下から伸びた鎖が凄い勢いで炸裂し、俺は吹き飛ばされてしまう。ク、ソ……意識が遠のく…幽霊でも、気絶するんだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、起きたかい?」

 

「!?」

 

 

 目を覚ますと、謎の男の整った顔がドアップで目の前にあって。咄嗟に突き飛ばそうとするもひらりと避けられる。黒いローブに眼球を模った杖、フードを被った胡散臭いイケメンがそこにいた。

 

 

「お前…誰だ?ここは…」

 

「ここは…うーん、名前はないんだが不便だからね。辺獄(リンボ)とでも呼ぼうか。そして私はエクストリーマー。君の()き先案内人だ」

 

「案内人…つまり、ここは死後の世界ってことか?」

 

「そうなるね。君の魂は寿命を迎えるより早く、不慮の事故に遭ってここに至らず彷徨っていた。それを私が回収したわけだ」

 

「それは…ありがとうございます?」

 

「礼を言えるのは大事だね」

 

 

 そうケラケラと笑っていたエクストリーマーが、真面目な顔となる。なんだろうか、転生でもさせてくれるのだろうか。

 

 

「さて本題に入ろう。君が遭遇した怪人の名はカルマ。奴等は魂を薪に自らの業を燃やす生霊だ」

 

「カルマ…?生霊、だから幽霊の俺を知覚できたのか…」

 

「本来ここに導かれるべき魂を喰らってしまうカルマとそれを牛耳るネクロという男には我々も手を焼いていてね。何せ英雄・偉人の業を身に纏い生まれる性質上、本体さえ残っていれば何度でも再誕してしまう厄介さを兼ね備えている」

 

「はあ……なら本体を殺せばいいのでは?」

 

「そうもいかないんだ。なにせ我々は魂の管理者、勝手に殺してしまうことはご法度だ。そこで白羽の矢が立ったのが君なんだ」

 

「俺?」

 

 

 ただの特撮オタクなだけの人間のクズなんだが?

 

 

「君は特殊な魂だ。本来なら死んですぐここで守られるはずのか弱い魂が、数日とはいえ現世を彷徨ったことでその魂は強靭となった。その魂なら、英雄たちの業を眼魂(アイコン)として回収することが可能なんだ」

 

「眼魂?」

 

「これさ」

 

 

 そう言ってエクストリーマーが取り出したのは目玉の様な球状の物体。真っ白で、澄んだ瞳をしていた。

 

 

「これはゴースト眼魂。その、ブランク体だ。中身がない。我々はカルマから英雄たちの業を回収して倒すことができる装置、ゴーストドライバーを作り出したのだが生憎とその性質上、人間の魂しか使用できなくてね。だが他の魂だと英雄たちの業を受け止めきれなくて破裂してしまう。だが君なら使いこなせるはずなんだ」

 

「……眼魂にゴーストドライバーね」

 

「君の魂をこのゴースト眼魂に封入しゴーストドライバーで「変身」することで君は現実に干渉できるようになる。その力で、全てのカルマを倒して108つある眼魂を全て回収してほしい。…四十九日で」

 

「なんて?」

 

「四十九日で」

 

 

 108体を四十九日で?無茶を言うなこの野郎。

 

 

「君の魂を維持できるのは眼魂に入れてから四十九日が限界なんだ。それ以上を越えると成仏してしまう」

 

「俺の死後四十九日を、カルマを殲滅するためだけに使えと?」

 

「そうなるね。君がこの眼魂のスイッチを押せば契約はなされる。死後の世界は幸福な生活を送れると保障…」

 

「本当か?」

 

「…なんでだい?」

 

「リンボってのは辺獄。つまり洗礼を受けていない者が堕ちる地獄のような場所だ。天国でもなんでもない。そう表現したってことは…四十九日後俺に待ち受けるのはさしずめ「無」だ。そうだろう?」

 

「…博識だね、君は」

 

 

 これでも某英霊を呼び出すスマホゲームとかやってるんだ。そういう言葉も知っていた。だが、それでも。何者にもなれなかった、クズの俺に死後与えられた役割としては上等だ。

 

 

「いいよ、やってやる。そのカルマって奴等はあのフーディーニみたいに罪もない人間を殺して回ってるんだろ?それを俺なんかの魂を使って止められるって言うなら」

 

「人知れず戦い、感謝もされないかもしれないよ?」

 

「俺にとって重要なのは、俺が誇れる俺になる事だ」

 

 

 そう言って、ゴーストドライバーを握るとその使い方が頭に流れてきて。大きなバックルの様なそれを腰に装着してベルトにして、ブランク体のゴースト眼魂を手に取りスイッチを入れると「G」の刻印が刻まれる。それは俺の魂が封入されたことを指していて、カバーを開いたバックルの中に装填してカバーを閉じると不思議な声が鳴り響き、ゴーストドライバーから何かが出てくる。

 

 

≪アーイ!≫≪バッチリミナー!バッチリミナー!バッチリミナー!≫

 

 

妙な待機音に合せて踊るそれは、フーディーニのパーカーによく似た、黒とオレンジで彩られ顔の部分に眼の様な光だけがパーカーの様なナニカだった。

 

 

「…なんだこれ?」

 

「作った者の趣味さ。ちなみにそれはパーカーゴーストだ」

 

「いい趣味してんな」

 

 

 妙な待機音と踊り狂うパーカーゴーストに首を傾げながら、ドライバーを押し込む。憧れたあのセリフを言うことも忘れずに。

 

 

「変身!」

 

≪カイガン!オレ!≫

 

 

 そして俺の身体は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

≪レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!≫

 

 

 そんな音声が鳴り響き、フーディーニカルマは何事かとゆっくりと振り返る。その暗がりにいたのはオレンジ色の髑髏を模った輝く顔。オレンジ色以外は黒ずくめでマッシブなボディで一本角が目立ち、自らとよく似たパーカーを羽織っている姿に別のカルマかと思ったフーディーニは笑いかける。

 

 

「ふむ、お仲間か。だがこれは私の戦利品だ。別の獲物を……!?」

 

 

 殴られた。ふわりと浮かび、直立姿勢のままスーッとスライドしてきたそれに顔面を殴り飛ばされたフーディーニは顔を押さえて悶え叫ぶ。

 

 

「いきなり何を…!?」

 

「俺はカルマじゃない。…ただのゴーストだ」

 

 

 そう言ってフードを下ろすとようやく人間たちが認識したのかくぐもった悲鳴が上がる。フーディーニカルマはゴーストと名乗ったそれを敵だと判断して両手に鎖を展開し、投擲するもフードを被ったゴーストの身体を擦り抜けてしまい、その青いフードの下の単眼をひん剥くことになった。

 

 

「覚悟しろ」

 

≪ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!≫

 

 

 再びフードを下ろしてバックルのレバーを一回押し込んで印を結ぶゴースト。背後に目玉の様な魔方陣を浮かばせて宙に浮かび、その右足にオレンジ色のエネルギーが集束されていくのを見て逃げようと試みるフーディーニカルマを追うように体勢を変えて飛び蹴りを放つゴースト。

 

 

「でりゃああああああ!」

 

「グアァアアアアア!?」

 

 

 背中から飛び蹴りが炸裂、身に纏っていたフーディーニパーカーゴーストが剥ぎ取られて単眼の骸骨の様なトランジェントと呼ばれる姿になったカルマは爆散。フーディーニパーカーゴーストはゴーストを見て頷くとそのベルト…ゴーストドライバーに煙の様になって吸い込まれて行き、ベルトの中心のモノアイから青く彩られた眼魂が排出され、ゴーストはそれを手に取る。

 

 

「あー、怖がらなくていいですよ?」

 

「あ、ありがとう!」

 

「助かった…!」

 

 

 拘束していた鎖が消滅して解放された人々はゴーストの存在に怯えていたが、口々とお礼を言って去って行く。こうして謎のヒーロー「ゴースト」は世間に少しずつ浸透されることとなるのだが…それは別のお話。




この作品のゴーストと怪人カルマについてよくわかったかなと。お気に召したなら感想などいただけると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。