「玉座」に挑戦となりました。
今回は番勝負主体に書こうと思っているので、
あまり見栄えしないかと思いますが、
兎に角書き進めようと思っています。
では本編スタート!
玉座戦…
現在の七大タイトル戦でも最新のタイトル戦だ
それでも昭和後期に始まり、早や四半世紀に
到達した歴史を誇るタイトルだ
この棋戦の特徴としては、B級在籍棋士は、
1次予選パスで2次予選スタートな事と、
タイトルホルダーは無条件に本戦シードという
特典がある事だ。
よって、新人棋士の僕が挑んだのは、1次予選
からで。勝って勝って勝ち抜いて、1次通過し、
2次も勝ち上がって本戦に進み、幾多の強者を
打ち破り、実質1年目で早くもタイトル挑戦権を
掴み取る事となった。
相手は現在、将棋界に君臨する「名人」
彼にも本名が存在するのだが、彼だけは、
皆、口々に「名人」の尊称で統一されている。
それだけ空前絶後な実績を積み上げたのだが、
やはり、どこか違和感があるよな…
僕の前回での将棋界でも絶対的王者として、
宗谷さんが君臨してたけど、本人の姿勢は
兎も角、彼の周囲には神宮寺会長から、
土橋さん、隈倉さん、島田さん…と言った
ともあれ近しい先輩方が何かとフォロー
していたし、少なくとも、「名人」みたいに
誰も近付けないとまでは隔絶してなかった
気もするんだが…
あ、「名人」にも例外があった…。
山刀伐さんだ。 彼は、プロ入り間もない頃から
どんな経緯かは不明だが、「名人」から
気に入られ、研究会に招かれて兎に角研究を
極め続ける事で、「振り飛車党総帥」生石さん
からは、「同期で1番才能なし」と評価され
ながら、逸材豊富な「生石世代」に於いて、
今や生石さんに次ぐ次世代のトップ候補に
名乗りを上げる程に急上昇している。
勿論、難病と日々格闘しながら、それでも
頂点を目指し続ける二海堂からの影響もまた
無視出来ないだろうけど。
そして、その山刀伐さんを破って手にした
玉座戦五番勝負。
第1局は、神奈川県鶴巻温泉の名門旅館で開催
される。
この旅館は、過去に時の名人との駒落ち対局を
時の玉将が拒んだっていう曰く付きの場所で、
現在に至るまで、将棋界・将棋ファンに馴染みの
場所でもある。
第1局前日、検分と前夜祭の為に新大阪から
小田原を経て、鶴巻の旅館へ到着。
早速自室に荷物を入れて、直ぐに対局の間に
移動。
そこには既に「名人」と、立会人の
刈田「実力制四代名人」が待ちわびていて、
僕は「遅れて申し訳ありません。」
とまずは詫びた。
けど、刈田先生は、事も無げに
「問題ない。場所を把握しない氷室よりは余程
しっかりしてるからな。」
と、何故か氷室十六世名人を槍玉に上げ、
「名人」も同意し、僕の遅刻は不問となった。
(実際は遅刻ではないのだが)
検分作業は、それほど問題にもならず、
滞りなく済んだ。
そして前夜祭の時刻となった。
対局者挨拶として、まず僕が挨拶をした。
「新参者ですが、この度玉座戦に挑みます
桐山零と申します。今回は将棋界をリードする
「名人」に挑ませて頂くチャンスを存分に
活かし、僕の全身全霊を尽くし、恥ずかしくない
対局にしたいと思います。若輩者ですが、宜しく
お願い致します。」
と挨拶すると、会場全体から割れんばかりの
拍手が響いた。
続く「名人」の挨拶が始まった。
「この度は、20連覇のかかった戦いですが、
盤前に座るのが、僕の娘とさほど変わらない
年若い少年である事を不思議に思いつつも、
新たな時代の息吹も確実に感じられ、挑戦者
決定時から非常に楽しみでなりません。
ですが、僕も負ける訳にはいかない。明日
からの戦い、お互い最高の棋譜を築き上げ
ましょう。」
「名人」にも多大な拍手が会場中に響いた。
その後は、関係者へ挨拶回りを一通り済ませ、
間もなく会場を引き取って旅館内の自室に
戻った。
明日は朝9時対局開始なので、あまり遅くまでは
起きられない。
そんな訳で、ルームサービスで軽く夕食を摂ると
直ぐに布団を敷いて貰い、床に就いた。
翌朝5時30分位に目覚め、顔を洗い、シャッキリ
すると、6時30分頃にルームサービスでの軽い
朝食が運ばれ、一通り頂いた。
朝食が済むと、今度は和服に着替える為、
着付けに取り掛かった。
前回でも何度となく着こなしていたので
本質的には苦にはならないのだが、流石に
小学生の身体では厳しいところもあり、
部屋を訪れた担当の仲居さんに手伝って貰い、
何とか完了した。
午前8時40分、幾分早目に対局場に到着。
下座に座り、「名人」を待ち、瞑目に入った。
午前8時55分、「名人」が満を持して入場。
上座に座り、「待たせたようだね、悪かった。」
と一言。
そして記録係の坂梨澄人三段が歩を5枚持ち、
振り駒を行った。結果、先手は僕だった。
よって、奇数局(1・3局)は僕が先手、
偶数局(2・4局)は「名人」が先手と決まった。
尚、最終第5局に突入すると、改めて振り駒
を行い、先手を決める事となっている。
そしてこの玉座戦、持ち時間は各5時間で、
1日制タイトル戦としては唯一、夕食休憩が
入る戦いで、時間配分始め、戦略性が試される
事にもなる。
先手なので、僕からオーソドックスに角交換を
仕掛け、「名人」もそれに応じ、そこから
暫くは守りの陣を築きにかかった。
午前中は守備固めに終始し、12時30分になり、
昼食休憩(1時間)に入った。
昼食メニューは、
僕は旅館名物の「特製カレー」(ご飯少なめ)
「名人」は「旅館特製御膳」を注文。
因みにタイトル戦番勝負では、食事代は
主催者(玉座戦だと主催新聞社)の負担となり、
頼む気になれば、お高い豪勢料理でも頼める
ので、過去の番勝負挑戦者の中には、朝から
「てっちり」を頼む強者もいたとか何とか…
流石に僕は少食気味なので、あまり多くは
頼めないが。
午後、対局再開。
「名人」の手番だが、ここから3時のおやつ
の時間まで一切駒に触れず、長考に沈み、
その間、僕もありとあらゆる戦いを想定し、
沈黙の戦いに突入していた。
3時のおやつメニューは、
僕は地元の「温泉饅頭」と、アイスティー。
「名人」は、旅館特製ロールケーキと、
アイスコーヒー・シロップ3個付き。
そして、おやつの後、2時間近くの沈黙から
「名人」が動き出した。
攻勢に入り、暫くは僕が受けに回り、
猛烈な攻撃を耐えに耐え、少しずつ相手駒を
奪い、漸く攻めが切れたので、今度は僕が
反撃に取り掛かった。
「名人」もさるもの、攻勢に晒されながらも
最後の一線突破は許さず、お互い攻防膠着
状態のまま、夕食休憩に入った。
メニューは、
僕は「特製サンドイッチ」にホットコーヒー。
「名人」は、「特製カレー」(ご飯少なめ)を
注文。
暫しの休息から、戦闘再開。
お互い攻めも守りも決め手を欠いたまま、
膠着状態か続いてたが、ここで故意に隙を
作り、相手に攻めさせる賭けを敢行した。
勿論見破られたら、たちまち僕の陣が崩壊し、
あっという間に惨敗となるが、狙いを
見抜けなければ、逆に僕には千載一遇・
乾坤一擲・唯一無二のビッグチャンスとなり、
一気に決着に持ち込める、まさに「賭け」だ。
「名人」も、膠着状態打開を目指し、兎も角
誘いに乗って攻勢に出て来た。
一進一退、攻めを防いでも更に攻めを継続、
「名人」も、この攻めが結実しなければ「負け」
となるのは認識してたようで、凄まじい。
だが、やがて「名人」も、攻め駒ばかりか、
補充駒も使い果たし、やっと攻めが切れた。
後はこっちが詰むか詰まざるかの勝負となった。
そして、攻め駒・持ち駒総動員で最後の攻撃を
敢行。
兎に角も相手陣から金銀の守り駒を剥がしに
剥がし、必至に至ったところで、「名人」が
静かにお茶を一口啜り、やがて、
「負けました」
と、一言。
これで、僕は幸先よく1勝目を飾った。
感想戦に入ると、お互い、「名人」の
長考後から検証し直したり、そこからの
展開の違いを楽しんだり、なんか、
宗谷さんと際限なく指してる感覚に再び
捉らわれたような気がした。
これで、この人も
「将棋以外生きる術のない人なんだな。」
と改めて認識した。
けど、立会人の刈田先生が唐突に突入し、
「お前ら、そこまでだ。いい加減戻って休め。」
との一言で、強制終了となったのは
残念の一言に尽きる…
そして、以降の対局は、
第2局は京都のホテルで惜敗
第3局は神戸のホテルで辛勝
第4局は白浜温泉で敗北
最終第5局は甲府の旅館で開催
先手は振り駒で僕が握った。
一進一退の攻防が続く中、こっちから
攻勢に出て、一気に決着を着け、
夕食休憩前の午後6時頃、「名人」が、
「負けました」
と告げ、番勝負に決着。
僕が「玉座」を獲得し、
史上初の小学生タイトルホルダー、
史上最年少・12歳6ヶ月での獲得記録を
構築した。
そして打ち上げ会場に移動。
早速、新玉座としての挨拶に立たされた。
「この度は、五番勝負を戦い切り、幸いにも
玉座のビッグタイトルを獲得する事が
出来ました。ですが、見ての通り、僕はまだ
小学生の若輩者です。タイトルは獲得出来ました
が、タイトルホルダーとしての立ち居振舞いは
まだまだ未熟ですので、今後とも皆様からの
御指導御鞭撻をお願い致したい次第です。
月並みな挨拶となってしまいましたが、
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。」
なんか、凄い割れんばかりの拍手が鳴り響いた
んだけど、僕としては普通のつもりなんだがな
…
で、検討に顔を見せてた師匠や、休日だったので
一緒に来ていた桂香さんに銀子ちゃん、八一君も
一様に祝ってくれて、これで再びタイトルを
手にしたって実感がひしひしと湧いてきた。
で、済めば良かったのだが、ここから「祝杯や!
」ってガバガバ呑み始めた師匠、呑むわ呑むわ
って盃を重ねてるうちに、またも、
「祝杯じゃあ~!皆も呑まんか~い!!」
って会場から飛び出し、
他の宴会場に乱入しては酒を勧める恥態を晒す
有り様となっていた。
まぁ、会館での破廉恥未遂を考えたら、まだ
マシな部類なのかも知れないが、それでも
こっちは超恥ずかしいんだが…
実際桂香さんや職員の方々は必死に止めに
入るし、銀子ちゃんは「アレが師匠って…」
と呆れと不機嫌ゴッチャ混ぜ状態だし、
八一君も「あんな大人にだけは御免だな。」
と呆れと嘆息してた…
でも、戦いはまだこれからだ。
今度は「竜王戦」七番勝負に挑む。
相手は「首藤崇竜王」である。
どういう展開にするか、色々悩みましたが、
現実のあの鬼●眼鏡先生も20連覇逃してた
ので、20連覇阻止の流れにしちゃいました。
でも、更に竜王挑戦って、規格外も大概だと
しか言えない超絶最強って、作者の私が
言うのも何ですが、チート過ぎるわ…
あ、本編でまだ書かれてない段位昇段ですが、
五段昇段→タイトル挑戦
六段昇段→なし
七段昇段→竜王挑戦
って訳で、近年の現実の棋士ではまず
有り得ない飛び級昇段(五段→七段)
って流れになってます。悪しからず。