桐山君は清滝家の長男坊?【本編完結済】   作:紫電海勝巳

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さて……、本編はなんか半ば無理矢理強引気味に完結に持って行きましたが、今後は思い付いた毎に短編形式で書こうと思っています。


そんな訳で番外篇スタート!!


番外篇・IFも有り?
番外篇①『名人』vs清滝師匠


 

 

2009年……、この年は僕ら清滝一門に取ってありとあらゆる意味でターニングポイントとなった年度になった……。

 

 

 

 

 

 

 

先ず僕からだが、前年度に玉座と盤王の二冠を小学6年の身で獲得し、更に梅雨時から初夏にかけての棋帝戦を制して史上初の中学生三冠となり(vs月光聖市●○○●○)、順位戦もC級1組で全勝し、順位戦無敗で早くもB級2組に上がっていた。

一般棋戦も賞金王シリーズ・大河戦・毎朝杯・公共放送杯の上位選抜棋戦(賞金王シリーズ)、全棋士参加棋戦(他3棋戦)の参加可能な棋戦全てを制する等(史上初の主要一般棋戦完全制覇)、年間(年度ではない)賞金ランキング2位となり、危うい筋からの危険な誘いなんかも危ぶまれたが、そこは師匠・月光会長・前年の盤王戦で戦い、知己となって以後、友人扱いとして貰った夜叉神天祐さん(天衣の父親)が全面的に守ってくれたお蔭でなんとか回避出来、学校は中学生になっても変わらず出席日数とのにらめっこ状態が続いたが、テストは何とか上位10位内をキープし、レポートやテキスト提出で出席不足をカバー出来るシステムを採用していた私立の中高一貫校だったから紆余曲折ありながらもどうにか学業もやり遂げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

次に八一君だがこの年、一門としては僕以来3年振りに小学生名人戦に登場、大阪・西日本予選を無敗で勝ち上がり、東京での決勝大会での準決勝、お互い生涯のライバルとなる神鍋歩夢君と邂逅し、悪戦苦闘の果てにギリギリの薄氷状態から勝ち切り、決勝では万智を難解な局面から降した燎さんを相手に準決勝での死闘が何だったのかと思う程に自在の棋風を存分に発揮し、圧勝で僕の最年少記録を更新する小学3年での小学生名人に輝いた。

 

但し、表彰式に於いてあまりの完敗に負の感情が爆発した燎さんが優勝した八一君に殴り掛かる暴挙に及び、この年のゲスト解説だった僕も止めに入ったが僕も一発殴られ、結局歩夢君と万智との3人掛かりでどうにか押さえ付ける始末になってしまった。

 

 

で、余談だが燎さんが僕と八一君に顔を見せるなり悪態をついてからかうのが一種の照れ隠しであると教えてくれたのは万智である。

まぁ、僕が知ったのは最初に名人になった頃なのだが……

因みに八一君は未だに知らないらしい……

 

 

 

 

 

 

 

 

銀子ちゃんはと言えば……、

 

この年、生まれながらの持病に苦しみながらもどうにか小康状態の中、無事に小学校に入学した。

 

で、本来なら空の御両親が父兄席なんだけど、その御両親の頼みで何故か僕が親代わりで出席する手筈になってしまった。

 

御両親曰く、

 

「私はリ●マンショ●クの対応で当分帰国不可能であり、妻も病院の看護師不足の煽りで当直勤務連発だからどうしても銀子の晴れ舞台に参加出来ないから、清滝先生と身内の方で何とか替わって貰えれば」

 

って事でまぁあまりに抜き差しならぬ事情故に結局僕と桂香さんが親代わりで父兄席に陣取る事になってしまった。

 

因みに師匠は別に絶対抜けられない大仕事が待っていたのでこの日は土台ムリだった。

 

 

当然高校3年の桂香さんと卒業したての僕が父兄席にいる時点で、

 

「親無しで父兄が姉兄ってどんなガキだ?」

 

って一部からは見られていたのは承知していたが、僕の卒業時の担任教師が銀子ちゃんのクラス担任になっていた事から、先生方からは特には問題視はされなかったのは有難かった。

実際、僕の父兄参観とか進路相談に関しても桂香さんが師匠に代わって参加していた事もあったから、先生方も僕らの事情を汲み取ってくれていたのは本当に感謝しかない。

 

 

 

只、入学早々に銀子ちゃん、早速八一君に群がる女の子達を『掃除』と云う名の所謂『駆除』を実行したのには僕も聞いた瞬間、唖然としてなかなか次の言葉が口から出なかったのはここだけの話と言う事で……

 

 

 

 

 

 

 

 

桂香さんは……、

 

 

 

 

 

これ迄意識して将棋から自らを遠ざけて来たのだが、僕の躍進と銀子ちゃん、八一君の姿勢を見続けるようになると、ずっと避けて来た将棋への思いが再燃したようで、丁度この年から女流育成会が廃止され、研修会に統合されたのも心境的に後押ししたらしく、改めて師匠に弟子入りし、研修会から女流棋士を目指す事となった。

 

とは云え、17歳での再挑戦は難儀も難儀な訳で、もし師匠がどうしても承知しなければ、年齢無視で僕が師匠となって桂香さんを鍛える選択肢も考慮はしていた。

 

尤も師匠曰く、

 

「お前が桂香を娶るなら別やが、そうやなければ桂香の責任は親たる儂が負うのが筋やがな。とは云え、桂香の女流入りにはお前の協力も不可欠やから時間が許す時でええ、桂香を見てやってくれ」

 

と、基本的には全責任を負う事となったので、僕は時折個人的にvsや指導するに留まったのだが、もう少し深入り(恋愛以外)しとけば女流入りも2〜3年早かったかなと軽く後悔はしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして師匠は………、

 

 

 

プロ実質1年目で二冠を手にした僕に触発されたのか、A級にて初戦で兄弟子の月光先生に負けただけで後は白星を重ね、最終戦を待たずに7勝1敗(2番手は5勝3敗が2人)で初の名人挑戦を決め、最終戦も苦手の生石さんに圧勝し、『名人』への挑戦に勢い付く勝利を挙げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして始まった名人戦……、

 

 

 

 

第1局、東京・一山庵

 

 

 

 

 

立会人→柳原朔太郎九段

 

副立会人→於鬼頭曜八段

 

記録係→菅田健太郎三段

 

 

 

 

大盤解説→後藤正宗九段

 

ゲスト解説→桐山零二冠

 

聞き手→小石久美女流二段

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初日前日、恒例の対局場の検分が行われ、両者共、細部の注文だけで大きな変更点は無かった。

 

 

 

そして前夜祭……、

 

 

挑戦者たる師匠から先に挨拶を行い、

 

「この度、伝統の名人戦に臨む事となりました清滝鋼介で御座います。四段としてデビュー以来、四半世紀に至り、漸くこれ程の大舞台に立つ事、改めて身の引き締まる思いで一杯です。相手の『名人』は将棋界史上群を抜く強者である事は百も千も承知致しておりますが、私の将棋人生全てをぶつけ、最上の将棋を披露致したく思います。明日からの対局、是非に御覧下さい。」

 

と気合十分が見て取れたが、一方の『名人』は…、

 

「先期、月光前名人から名人を奪還し、今期、清滝八段の挑戦を受けるに当たり、先ずは番勝負で鋼鉄流の手堅い棋風と全力でぶつかる事、光栄に思います。これ迄清滝八段とは形上勝ち越してはいますが、毎回対局毎に厳しい局面に持ち込まれ、矢鱈と苦戦に追われる印象が強い為、今回もまた厳しい戦いを強いられると覚悟致しております。ですが私も精一杯戦い、最高の将棋を御覧に入れたいと思っております。明日からの名人戦、全力を尽くし戦う所存であります。」

 

と、こちらも早速戦闘モードに突入しており、いよいよ本番待ったなしを実感せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  〜第1局・初日〜

 

 

 

 

さて、午前8時30分……、

 

 

 

先ずは師匠が早目に対局室に入り、瞑想を始めた。

 

 

 

 

 

15分程経つと今度は『名人』が登場、上座に座り、立会人の入場を待った。

 

 

 

そして開始5分前に立会人の柳原先生が副立会人の於鬼頭さんを伴い、入場。

 

 

 

役者が揃うや、記録係の菅田さんが振り駒を行い、先手は……、

 

 

師匠だった。

 

 

 

 

 

先ずはオーソドックスに角交換から始まり、其処からはお互い矢倉を組む相矢倉戦となり、守備の構築に傾注して大きな動きが見られない中、『名人』の封じ手(54手目)を以って初日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜第1局・2日目〜

 

 

 

 

前日の封じ手の後、夕食を挟んで後藤さんと展望と検討を遅くまで行ったが、然し23時になるや桂香さんに止められ、部屋に引き摺られて強制就寝させられた。

 

今回は銀子ちゃんも八一君も検討会に参加していたのだが、まだ小学生の2人では長く持つ訳も無く、21時には就寝していたのだが、僕はタイトルホルダーだからもう少し検討に参加出来るとタカをくくっていたが、やはり桂香さんは甘くは無かった……

 

……ですけど、なんでまた僕の布団に入ろうとするんですかね?

 

そう言えば銀子ちゃんも偶に気付かぬ間に僕の布団に潜り込んでおり、朝起きてみたらガッチリ僕に抱き付いていたってのが何度かあったな……

 

 

一体2人して僕を抱き枕とでも思っているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳で『名人』の封じ手開封から始まった2日目……、

 

 

 

 

 

 

早速開戦となり、『名人』の激しい攻めが炸裂、師匠は耐えて耐えて『鋼鉄流の守り』を遺憾なく見せ付け、15時過ぎまで守り切ると、攻めの切れた『名人』に対し、一気呵成の逆襲に転じた。

 

 

 

その後は一進一退、夕食休憩を経てもまだ決着には至らず、それでも徐々に師匠が『名人』の陣を侵食し、最後は23手詰めを以って『名人』が投了、師匠が幸先良く先勝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、2〜4局目迄『名人』が3連勝、5局目に師匠が1つ返すも結局6局目を落とし、2勝4敗で悲願の名人獲得は成らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終局後、大阪に戻るや悔しさ毎酒を流し込む師匠の姿が妙に新鮮に思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜は師匠以外の未成年4人一緒に風呂に入り、枕を並べて就寝したのだが、翌朝、なんか重い感触すると思ったら、桂香さんと銀子ちゃんが僕にガッチリ抱き着いていた………

 

 

こんな調子で僕の身体は無事平穏に済むのだろうか?

 

 

 




そんな訳で師匠vs『名人』の番勝負を書いて見ました。

けど桐山君、供御飯さん以前に女難の相が出てるとは……


そんな訳で今回は此処まで!!
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