って訳で番外篇スタート!!
2020年2月……、
〜棋帝戦本戦トーナメント1回戦〜
東京・将棋会館
『名人』vs神宮寺崇徳六段
記録係→隈倉健吾四段
・専門チャンネル中継
解説→神鍋歩夢帝位
聞き手→雛鶴あい女流名跡
この日、帝位戦本戦リーグ戦白組1回戦を戦う為に東京入りした僕も祭神さん(祭神雷四段)と当たり、同じ対局室で対局する事となっていた。
記録係→峠なゆた四段
……さて、棋帝戦も帝位戦も本戦は持ち時間4時間の中時間対局で、大体夕方から19〜20時程度での決着となる事が多い。
で、10時に振り駒から先手を決め、対局が始まった。
(棋帝戦は神宮寺さん、帝位戦は祭神さんがそれぞれ先手)
……で、僕は祭神さんに30分残しで18時30分に86手で勝ち、幸先良く開幕勝利を挙げた。
一方、棋帝戦はと云えば………、
『名人』も神宮寺さんもお互い穴熊で守りを構築、相居飛穴からの持久戦模様と化していた……
昼食休憩
『名人』→宮殿ホテル特製デミグラスハンバーグ御膳
神宮寺さん→うな重(松)、肝吸い
をそれぞれ食し、午後に備えていた。
その後は、お互い牽制し合いながら隙を探る展開となり、徐々に時間消費しながら相手の仕掛を待ち、カウンター狙いの様相を見せていた。
そして……、隣の盤に居た僕らの決着が着いた18時30分過ぎ……、動いたのは後手の『名人』だった……
一方で決着した隣の僕らは30分程で感想戦を終え、後は隣の対局の行く末を観戦と洒落込んでいた。
本来なら終了即退場しなくてはならないのだが、こんな特等席用意されて引っ込める選択肢なんてある訳無いですよ。
まぁ理事からは後日説教貰うとして、今は祭神さん共々この対局を楽しみます(笑)
そして先に動いた『名人』の猛攻が始まったが、この時点で残されていた持ち時間はと言うと……、
『名人』→12分
神宮寺さん→13分
であり、後は1時間そこらでの短期決着模様となっていた……
然し、お互い決定打が出ず、結局166手で千日手指し直しに持ち込まれた……
其処で大きく一息つくと更に鼻で息をついた神宮寺さんが目一杯不満顔を『名人』に見せていた……
そんな神宮寺さんの顔を見た『名人』はと云うと……、一瞬不思議そうな顔で目を見開いていたけど直ぐに表情を戻し、早指しモードに意識を切り替えたようだ……
〜指し直し局〜
持ち時間
『名人』→1時間
神宮寺さん→1時間
20時20分、指し直し局開始……
先手は『名人』である。
お互い早指しモードに切り替えを済ませていたからか、序盤から中盤に於いてはサクサクと展開を進め、1時間で早くも71手に至っていた。
で、開戦は今回も『名人』からで、流暢にして激烈な猛攻を展開したのだが、一方でこれを受けながら反攻準備を整えつつあった神宮寺さんはと云えば……、
な〜んか軽い失望感を顔から覗かせていたんだが、まぁ心境的には解らなくも無いけどいいのか?
と思ったら祭神さんも、
「あ〜、獅子オヤジ〜、『名人』の事つまらなく思っているさぁ〜!」
と口にしたので僕も、
「あ〜、これはヤバいかもだな……」
と、思わず呟いていた……
そして『名人』の攻撃が途絶え、神宮寺さんの反攻となった訳だが……、
その反攻の1手目の着手に入る際に銀に触れる直前、まさかの行為が神宮寺さんの口から……
「チッ!!」
マジか………
これ迄『名人』が相手の失着だの頓死レベルの致命的ミスだのに舌打ちする場面があったのは周知の事実ではあったのだが、これは『名人』故に他から咎められる事はあまり無かった(これはこれで問題だと思うが)。
然し前世の棋歴は兎も角、今世では実質1年目の新人が事もあろうに『名人』相手に堂々と舌打ちするとか、冬司でもやらかしてない挙動を平然としてのけるとは、これは勝敗は別にしてとんでもない騒動に発展しかねないのは避けられそうもないな……
そして反攻自体は順調に進み、結局162手で『名人』が投了、神宮寺さんがベスト8に進む事となった。
その後の感想戦でも神宮寺さんの毒吐きは止まらず、
「なぁダンナ、その程度の棋力と存在感で今まで君臨出来たのかよ?抜いたのが桐山じゃなきゃ今頃ダンナなんてとっくの昔に海の藻屑だろうな……」
との猛毒に『名人』は……、
「……うん、君の見方は正鵠を得ている。実際、時代を転換したのが桐山君だからこそ、今の今まで僕も真理の奥の奥への追求に余念が無かった訳だが……、まぁこうなると、僕の方向性は少し軌道修正しなくてはならないのは確かだろうな……」
と答え、終局からの感想戦は結局3時間に及び、終わってみたら日が変わって午前2時30分となっていた………。
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翌日のネットニュースは………、
『将棋の神宮寺六段、『名人』に失望!!舌打ち披露する圧勝!!』
との煽り文句が躍るバズりニュースと化していた……
その後、『名人』がこの年度限りで引退を決めた理由の1つがこの1件なのは本人が語らずとも知る人ぞ知る伝説となったのは言うまでもない………
『名人』が舌打ちする場面があっても『名人』に舌打ちする棋士なんて原作は疎か、創作諸作品でも知る限り見受けられなかったから、敢えて創作した次第です。
実際、本作品でもやりそうなのは他には氷室さんか冬司君位しか居なさそうですし……
って訳で今回は此処まで!!