それにしても、あの魔王がスイープで挑戦失敗=藤井棋聖の圧巻初防衛って何なのこの子…みたいな(今更ですが)感想しか出来ないのが何とも…
しかし一方で豊島竜王には終始主導権を握られての敗戦と、王位戦は難関真っ只中の様子で…
竜王戦も本戦間近で熱く多忙な夏ですが、藤井二冠には何とか頑張ってほしいと思ってます。
って事で本編スタート!!
今、僕は名人戦番勝負の最中で2局を終え、1勝1敗のイーブンだ。
そんな中、月光会長から緊急の話があると関西将棋会館に呼び出された。
用件は、小学生名人戦決勝大会(準決勝・決勝)でのゲスト解説の依頼だった。
いやいや、僕は名人戦真っ只中でゲスト解説なら他にも相応しい先輩とか八一君とか注目株なら結構いるとは思うのですが、何故僕に?
この疑問に会長は、「今回の4人の内の1人が、どことなく桐山二冠に通ずる所が感じられましてね。それと、元々担当する予定だった篠窪棋帝がどうしても都合が付かなく彼に匹敵する解説が二冠しか思い浮かばなかったもので。因みに九頭竜竜王は時期尚早と思いましたので今回は見送らせて戴きました。」
まぁ第3局の後だし、第4局までは少し間があるから必ずしも出来なくはないけど、本当に急だな。ってか、会長、こっちが断り難いタイミングちゃっかり狙ってたとしか…
まぁ引き受けたからには行くしかないな。
5月某日、僕は東京・国営公共放送特設スタジオに到着していた。
前日に東京入りして、vsを条件に二海堂の屋敷に泊まらせて貰い、そこから現地入りした。因みに二海堂は、僕のプロ入りから1年半後にプロ入りし、体調に気を使いながらもA級に2期在籍し、今期はB級1組で出直しとなっている。タイトル戦は去年の玉座戦で僕に挑戦し、フルセットで辛うじて僕の防衛となった。名人たちとの戦いとはまた異なり、心身ともハイテンションで臨んだ事で関西の面々からは「桐山がここまで感情剥き出しとは…」って驚愕されたけど。
そしてスタジオでの準決勝、関東A代表の子と関西B代表の子の対局となったが、関西の子を見て僕は内心驚愕した。何故ならその子は銀子ちゃんに近い白髪or銀髪で、表情はなんとなく乏しい感じで、イメージとしては大きな白い鳥…あの人だよ。で、プロフィールを確認すると、やはり彼は「宗谷冬司」だった。前回同様、今回も京都在住らしい。
そして4人の今大会での棋譜を確認すると宗谷さん、いかにも物足りなさそうな圧勝を繰り返しており、宗谷さんも転生してきたってのが確信出来た。
準決勝は勿論宗谷さんが不機嫌全開で通過、そしてもう1つの準決勝は関西Aの子と関東Bの子がぶつかり、関東Bの子が勝ち上がった。
決勝戦、関西Bの宗谷さんと関東Bの小池岬さんという女子がぶつかった。なるほど、小池さんもこのクラスでは十分な実力者で、奨励会でもある程度は通用するとは見込めるけど、今回は流石に相手が悪すぎた。宗谷さんもそこそこ楽しめた様子だったが、全般的には宗谷さん優勢は動かず、きっちり詰め切った。
そして表彰式とゲストとしての僕の論評が行われたが、やはり宗谷さんが圧倒的なのは触れない訳にはいかず、一方で小池さんにも、課題をしらみ潰しに潰して行けば将来的にはプロも視野に入る可能性はあるとコメントしておいた。
そして大会を終え、新幹線を待っていたら宗谷さんも同じ便に乗るようで僕の知り合いでもある女性と一緒に僕に近付いてきた。
その女性は「供御飯万智」さんで、彼女は僕より2歳下だが、小学生名人戦では八一君たちと戦い、その後は研修会を経て女流棋士となり、現在は女流タイトルの1つである「山城桜花」を4連覇し、クイーン資格獲得まであと1期と迫る女流の実力者である。そんな供御飯さんが僕に
「桐山先生、お久しぶりどすなぁ。」
と挨拶してきたので僕も
「供御飯さん、こちらこそお久しぶりです。ところで彼、宗谷君とはどのような繋がりなんですか?」
と問うと、供御飯さんは
「この子、こなたの弟なんどす。お父はんが世話しとった女子はんに産ませた子ぉで、その女子はんが亡くならはったから5年程前に引き取ったんどす。」
と事も無げに答えてくれた。
そして新幹線に乗り込むと、席が隣合っていたのでまた供御飯さんと少し話していた。
ここまで一切無言だった宗谷さんだったが、突然
「今日はつまらなかった。万智ちゃんより弱すぎだし。桐山さん、1局頼めますか?」
と言ってきたので、僕も彼の現在の力を試して見たく
「先に言われたか、僕の方から頼もうと思ってたんだけど。」
と答え、車内で指し始めた。
実際に指してみると以前の感覚が甦るようで兎に角楽しい。宗谷さんも楽しそうでどんどん手が進んだが、いよいよ終盤という所で供御飯さんが
「もうお仕舞いどす、そろそろ京都や。」と声をかけ、強制終了となった。
久しぶりにとことん指したかったのだが、仕方なかった。因みに年齢を聞くと宗谷さん、ついこの間小学校に入学したばかりの新1年だそうだ。って事は僕の14歳下って事か…こりゃ暫くは指し続けはムリそうだな…。また供御飯さん同様、加悦奥先生の門下という事だが、あの先生ならスタイルを弄るタイプではないから宗谷さんにとってもやり易い人とは思う。
さて、名人戦もここからが正念場だし、棋帝戦も名人との挑決が待っている。帝位戦も挑決進出が決まり、竜王戦でも1組3位で本戦に駒を進めた。多忙極まりないが、充実した夏になりそうだ。
宗谷さん登場。ライオン原作とは年齢差逆転させ、しかも供御飯さんの弟設定はやり過ぎかとも思いましたが、京都在住設定を変える気が無かった以上、思い切ってぶっ込んだ次第です。
ま、こーなると宗谷さんと天衣ちゃんの関係や暗闘なんかも徐々に触れなきゃなと考える次第です…
って訳でまた次回!!