ぶっつけ本番状態なので、色んな乱れとかも出てくるかも知れませんが、そこはご容赦を。
って訳で本編スタート!!
棋帝戦…
50年以上の歴史を誇る将棋史上初の1日制タイトル戦である。
スタートから30年余りの間は年2回開催の戦いであり、「名人」が七冠独占する直前から年1回開催に変更された経緯がある。
そんな歴史からか、初タイトルが「棋帝」の棋士が10人に及ぶ程、棋帝位はタイトル常連への登竜門というイメージが付くようになった。
そして今期の棋帝戦は、去年タイトル初獲得を果たした篠窪棋帝に、去年このタイトルを奪われた僕がリベンジに挑む戦いとなった。
その前に行われていた名人戦で、「名人」からフルセットで名人を奪還し、勢いを加速させたい僕を何とか止めたい篠窪棋帝だったが、開幕から僕の2連勝となり、次は淡路島の名門ホテルの「ホテルアワジ新館」で第3局が行われる事となった。
そんな中、マイナビ女子オープンに出場する事となった天衣ちゃんだが、その予備予選的位置付けのチャレンジマッチの日程が僕の淡路島での第3局にぶつかったので、天衣ちゃんの付き人の長身美女の池田晶さんに保護者役を頼み、桂香さんにあいちゃんたちと同行して貰う事にした。
天衣ちゃんは「馴れ合いする気はない」と渋ったが、僕は「利用出来る所は利用し、価値がないと思えば放置する位な考えで動けばいいと思う。」と諭し、何とか承知して貰った。
そして「ホテルアワジ新館」での棋帝戦第3局、天衣ちゃんのチャレンジマッチの結果はまだ聞いてはいなかったが、特には心配してなかった。
そして、勝負どころの第3局が始まった。
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~side天衣~
私は桐山師匠の弟子になって以来、師匠の方針で新世界の古びた将棋センターで所謂「真剣」将棋を戦い、最初はその異質な棋風に面食らって連敗したけど、直ぐに吸収すると後は連勝して10日でクリアした。その後は研修会試験を受け、最後の相手となったのはクズ竜王こと、九頭竜竜王の内弟子で将棋歴4ヶ月に過ぎない雛鶴あいという私と同い年の少女だった。序盤中盤は完全に私が一方的にリードしていたが、終盤に差し掛かると彼女の読みにリードが削られ、呑まれてはならないと思いながらも呑まれかけ、それでも何とか詰め切って勝った。
しかし感想戦の中で、幹事の久留野先生からあいに詰み筋があったと聞かされ、私は冷や汗をかいた。一方あいは、半ば呆然としながら悔し涙に暮れ、「勝てたのに勝てなかった…」とポツリと一言。
そんなあいに私は「負けた人間は認めない。」と言い放ちはしたが、一方で「敵としてなら認めてあげる」とも言ってしまった事で彼女やその仲間たちとは奇妙な縁が出来上がってしまった。因みに師匠は「天衣ちゃんにはそういうライバルが不可欠だからね。」と、あいとの関係を肯定されてしまった。
そして迎えたマイナビ女子オープンチャレンジマッチ。これは4連勝か、敗者復活戦を勝ち上がるかで次のステージとなる一斉予選への進出となる。
ここはアマチュアか底辺レベルの女流しかいないので、全勝が最低限の義務となる。まずは無難に一斉予選へ駒を進めた。
一緒に上京したメンバーでは、クズ竜王の内弟子な雛鶴あいも全勝で通過し、年齢制限スレスレの年増な清滝桂香は敗者復活戦で辛くも通過となっていた。
翌日、師匠が王手をかけた棋帝戦第3局が行われていた。
団体行動が基本的に苦手な私も、師匠の言い付けには背けず、仕方なしに年増やあいと一緒に行動していた。その日のニコ生中継は解説がクズ竜王で、聞き手は実力の割に人気だけは異常に高い鹿路庭珠代女流二段だった。それにしてもあのムダなまでの胸の突出ってなんかアピール方法勘違いしてない?
戦いそのものはお互い様子を見ながら守りを固めつつ、虎視眈々と隙を狙う目の離せない熱戦模様となっていたが、おやつタイムでの動きが思わぬ事件の始まりとなってしまった。
そのおやつタイムで注文したのが、師匠はモンブランとアイスコーヒーシロップ3個付きだけど、篠窪棋帝の注文がプリンとアイスティーで、そのプリンが導火線となった。
解説席でもプリンが出されてクズ竜王に鹿路庭が「あ~ん」ってやってくれたのが決定打となり、あいがキレた。たちまち解説席に乗り込んで「竜王の内弟子です」って強引に割って入って、後を追ったあいの仲間のJS集団もスタジオ投入。そこで更に金髪幼女が「しゃう、ちちょのお嫁たんだよー。」って決定的な燃料投下に至り、完全に収拾不能と化した。
と思っていたら何故か私も強引にスタジオ投入されてしまい、鹿路庭に「貴女も竜王のお弟子さんですか?」とふざけた質問されたので、ついムカつき気味に「私の師匠はそこで対局してるわ」と答えたら、何を勘違いしたのか「篠窪棋帝ですか?」と再度聞かれたので「関西の人間がなんで関東のヤツの弟子にならなきゃならないの」と答えたところでやっと気付いたらしく、「え、まさか桐山名人がお師匠様なんですか?」となんとも間抜けな答えが返ってきた。
そんなスタジオの混乱をよそに熱戦は続き、最後は師匠が篠窪棋帝を王手ラッシュで詰め切って四冠に復帰した。
まだまだ道程は遥か長いけど、師匠を超える事が私の明確な目標であるのを実感した戦いであった。
但し、鹿路庭が読み切れて無かった詰み手順を私とあいがそれぞれ読み切った事に普通なら不快な雰囲気出すだろう筈があの女、逆に私達に関心を寄せ、放送終了後、色々質問攻めにした挙句に
「今度時間あれば大阪でも神戸でも顔出すから是非研究会しましょう。」
と言われ、ムダに胸がデカいだけじゃなく、向上心・探究心もそんな胸以上に旺盛な女流とは云え、本物の棋士だと彼女への認識を改めざるを得なかった……
一方のクズ竜王は……、そんな生放送の終盤、師匠の詰みが決まり、四冠復帰を飾ったのを見て、
「………、兄弟子、化物…?」
って一言呟いたきり、暗い沈黙に陥っていたから流石に我慢出来ず、一発蹴り飛ばそうと動こうとしたら、誰かが先んじて動いてた。
「あい?」と思ったら、あいも師匠の凄味を画面越しながら感じ取っていたらしく、身動き取れずにいたので、一体誰かとその動きの主を見ると、舌足らずな金髪ロリの……、確か、シャウだかシャルロットだかってフランス生まれの京都住まいの6才児だった……
で、そんな金髪ロリが無邪気にクズ竜王の隣に立ったと思ったら、
「ちちょ、どちたの?」
と聞いてきてクズ竜王が、
「兄弟子の凄味を感じて……」
と返したと思ったら、
「じゃ、しゃうがとくべつなおまじないしてあげる❤」
と言うや否や、クズ竜王の頬にキスするって爆弾級の暴挙してくれた……
当然その次の瞬間からのあいの暗い怨念オーラが現場の空気を覆い、ショートカットの澪もメガネの綾乃も固まってしまい、私もこんなのフォローの仕様も無く沈黙するしか無かった処、結局最後は鹿路庭が巧く纏めてどうにか放送終了に持って行けた。
その後…放送を見直すと、その悍しい瞬間から画面が字幕で埋まりまくる完全無欠の放送事故と化しており、後日、この放送事故を見直した師匠も、
「これじゃ主役は八一君とシャルロットちゃんだろ(苦笑)、僕も篠窪さんも影すら見当たらない……(再度苦笑)」
って苦笑以外どうにも表現しようの無い顔だった……
棋帝戦と言いつつ、実際は天衣ちゃんの独白中心になってしまいましたが、天衣ちゃんの今後に繋がればなぁと思い、書いてみました。
しかしクズ竜八一は相も変わらず女にはだらしないようで…www
って訳でまた次回!!