桐山君は清滝家の長男坊?【本編完結済】   作:紫電海勝巳

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棋聖戦も終わり、ここからは王位戦と叡王戦が本格化する季節となりました。
一方の王座戦はまさかの会長の挑決進出とか3トップが早々に姿を消した結果、波瀾含みな展開になった模様で、もうこうなったら挑戦者会長で宜しいのではないかと軍曹(中尉)vs会長の王座戦番勝負の実現を心待ちにしてる次第で御座います。

竜王戦も、去年ドリーム突っ走りかけた梶浦七段がまたも本戦連勝で今年も前回止め男となったレジェンド羽生九段と激突と、なかなか面白い展開になってる模様で。

色々と目が離せない現実文庫ですが、こちらも負けじと突き進むつもりです。

って訳で本編スタート!!


奨励会入会試験

8月下旬、今年も恒例の奨励会入会試験が始まった。

 

今年も関西将棋会館には多くの未来の名人を夢見、目標としている小学生から高校生までの少年少女、若者たちがまだかまだかと腕を撫していた。

 

その中に僕の2人の弟子も入っており、腕が鳴るのを必死に耐えていた。

 

弟子の1人は勿論、現在小学4年・9歳(12月生まれ)の1番弟子である夜叉神天衣ちゃんである。彼女は1級受験を望んでいたが、才能実力は兎も角、体力面では中高生にはまだ及ばないので、ある意味では入会後最初の壁と云える3級受験を勧め、「案外意地悪なのね」と言われたけど、取り敢えずは受け入れてくれた。

 

さて今1人の2番弟子だが、その子は宗谷冬司君。現世では供御飯万智さんの異母弟となっている小学1年・7歳(4月生まれ)である。

 

彼とは小学生名人戦の後、京都の供御飯邸を訪ねた際、2人だけで語らう機会を作り、色々話したのだが、やはり前回の名人戦の後の僕の事故死を知っており、その後は暫くは淡々とタイトル戦をこなしてはいたのだけど、僕というどことなく波長の合う相手が消えた事で段々対局も無気力のまま、50歳までに全てのタイトルを失い、島田さんや隈倉さんには叱咤激励され、土橋さんからもvsで刺激を与えようと色々尽くしてくれたのだが、もう無理だったようで、結局無冠から1年後に現役引退し、間もなく京都の自宅で孤独死に至ったらしい。

 

 

そしてふと目を覚ませば、覚えのある宗谷邸と将棋盤が目の前にあったと言っていた。けど、前回は親が育児放棄の末、祖母に押し付けて決まってしまった自身の人生に対し、今回は母親が出産即死亡とか、これまた過酷なスタートだったのだが、幸か不幸か父親が責任感の強い人で、父親が家付き娘である奥様に頭を下げて(父親は入り婿である)、奥様も度量の広い方だったので何とか家を継がない事を条件に供御飯家での養育が認められた経緯があったそうだ。そして、そこで供御飯さんとも邂逅したそうだ。

 

そして今回の受験の前に加悦奥先生から態々道場に呼ばれ、宗谷君を破門にした上で僕に身柄を預けるって話になり、先生とは色々話し合った上で、宗谷君の希望を汲む形で正式に僕の弟子に直った。

 

只、申し込みギリギリだったので、受験当日まで天衣ちゃんには話せず仕舞いだったのは申し訳ないと思った。

 

 

そして奨励会試験開始。

 

まずは1次試験で、2日間行われ計6局を受験者同士で争い、4勝以上で2次試験に駒を進める事となる。

 

天衣ちゃんは3級受験なので、駒落ちのハンデなんかにも漏れ無く対応しなくちゃならず、幾分苦戦はしたが、それでも5勝1敗で難なくクリアした。1敗も相手が2~3級クラスの実力者が6級受験だった影響なので許容範囲ではあった。

 

そして試験3日目、2次試験が始まった。

 

2次試験は、1次試験通過者が現役の奨励会員と3局指し、2勝以上で合格、1勝でも内容を精査の上で大半は合格となる今後に直結する正念場である。

 

天衣ちゃんは1級から4級の会員と当たる見込みだが、一方の宗谷君は小学生名人戦優勝の特権で1次試験は免除となり、2次試験が最初で最後の試験となる。

 

そして宗谷君は1級受験を選択し、1~3級クラスの若手を激昂させていた。そりゃそうだろう、まだ年端もいかぬ小学1年が「お前らは敵の資格すらない」って言外に宣言したようなものだからな。

 

しかし、小学4年のお嬢様だの、小学1年の身の程知らずのチビだのと、激昂してかかった会員の方が逆にたちまち劣勢に陥り、あっという間に投了に追い込まれる有様は圧巻だった。

 

こうして、天衣ちゃんと宗谷君は奨励会同期となった。

 

 

因みにこの時期の僕の成績は、棋帝戦はタイトル獲得したが、帝位戦は挑決で佐伯九段に敗れタイトル戦進出ならず、竜王戦は本戦初戦で2組優勝の二海堂と当たり、千日手指し直しを経て辛うじて勝ったが、準決勝では「名人」(1組2位)に疑問手を咎められ、敗退。これで年内は玉座戦防衛戦だけとなった。

 

 

 

 

 

 

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竜王戦挑戦者決定戦

 

一方は僕を打ち破り、タイトル通算100期と永世七冠(竜王だけ永世資格未取得)に大きく前進した「名人」

 

もう一方は6組優勝から一気に挑決に勝ち上がった「ゴッドコルドレン」こと「神鍋歩夢」六段の組み合わせとなった。

 

この挑決第1局の解説は僕で聞き手の女流棋士は鹿路庭女流二段だった。




なんともあれよあれよ、って言ってる間に宗谷君、桐山君の正式な弟子になってしまいました。

本編では触れてませんでしたが、天衣ちゃんと宗谷君の関係は姉弟弟子ではありますが、当人同士の印象としては、

天衣ちゃん→宗谷君「強さは人間飛び越えているけど、将棋以外は師匠を除いてまるで興味を示さない純粋将棋特化生物ね。」との事らしい…

宗谷君→天衣ちゃん「見かけは定跡通りだけど、定跡を外れてからの受けと攻めのバランスが面白い。」との事で、それなりに認めているらしい…

そして玉座戦の挑戦者と、竜王戦挑戦者は一体誰?って事でまた次回!!
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