桐山君は清滝家の長男坊?【本編完結済】   作:紫電海勝巳

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さて、王位戦第2局が北海道で始まりました。
初日は長考だらけであまり手が進まなかったようですが、2日目の動きが楽しみでなりません。

って訳で本編スタート!!


ハワイ

今年の第30期竜王戦第1局は通常の東京の協賛企業所有の施設ではなく、1年に1回もない海外開催で、場所はハワイである。

今回のハワイ行きの面々はまず両対局者の竜王・八一君と挑戦者・『名人』に、連盟代表の月光会長、正立会人の山内和馬九段、副立会人の久留野義経七段、記録係の鏡洲飛馬新四段、現地大盤解説の僕と聞き手の鹿路庭珠代女流二段等となっている。

他に観戦記者として鵠さん(正体は供御飯万智山城桜花)も同行し、更に観戦と観光を兼ねて清滝師匠に桂香さん、銀子ちゃん、あいちゃんの清滝御一行と天衣に冬司も一緒に渡航する事となった。

 

あ、これまでは僕は2人の事を「ちゃん・君」で話してたけど、奨励会合格後に天衣の方から「もう記録上の師弟になったんだから呼び捨てにして。」って申し出されたので、冬司にも確かめた上でそれから呼び捨てで呼ぶようになった。

 

で、観戦観光組はと言うと、師匠御一行は羽伸ばしと気分転換を主目的でハワイ同行を決め、冬司は僕への弟子入りから供御飯家を出て福島の僕の一軒家で同居してるので、僕の不在時に1人にしておけないので一緒に渡航する手筈となった。一方天衣は元々は渡航予定はなく、神戸で中継を観戦する筈だったのだが、冬司が行くと聞き、「あの子1人で放置したら国際問題になりかねないわよ!」って事で姉弟子として冬司を管理監護する気になったらしい。冬司は「将棋以外はウザい」って毒づいてたようだけど。

 

関西国際空港からの直行便でハワイに向かい、座席は竜王・挑戦者・会長等の主役級はビジネスクラス、他の同行者はエコノミーとなっていたけど、僕と天衣、冬司はアップグレードを使い、ビジネスを利用した。何しろ天衣がファーストかビジネスしか知らないのだから仕方なかった。

で、天衣と冬司相手に目隠し2面将棋を指してると、何時の間にやら供御飯さんが僕の膝に乗っかってきており、「零はん、こなたの相手もしとくれやすぅ」って何考えてるの?僕は貴女とそういう許し合った関係じゃないんですけど…

案の定、天衣も冬司もあからさまに不機嫌と怒りが明白に出てるし、天衣は「山城桜花、あんた師匠の旧知以上でもないのに随分馴れ馴れしいわね。」って警戒心満々のセリフ吐いて、冬司も「万智ちゃんみたいな弱い人に零さんは相応しくないから」って突き付ける始末でどうしようかと考えたけど、供御飯さんが「天衣ちゃんも冬司も夜叉の顔やわぁ、おお怖わ」ってややおどけるように一言発すると直ぐに膝から降りて自分の席に戻っていった。

ってか、2人とも僕に師匠以上の何らかの感情持っているの?それはそれで話が小難しくなりそうなんだけど…

 

そんなこんなでハワイ到着。

 

早速師匠と桂香さんが一悶着。

師匠「●田ちゃんのプレミアムカード取らなあかんのや~!!」

桂香さん「そのカードなら無料ガチャでゲットしたわよ。って事で今回は娘たちに投資しなさいね。」

師匠「うおぉ~!!儂は今絶好調じゃあ~!!」

って師匠、アロハシャツに短パン、サンダル履きと日本なら如何にも怪しいオヤジ満載な格好で通りを爆走するって完全に壊れたキャラでしょ…

一方、師匠のクレジットカードを取り上げた桂香さんと銀子ちゃんは、あいちゃんも預かって買い物土産探しに熱中…

それを生暖かい目で見ていた会長に男鹿さん、僕に天衣と冬司だったが、会長がサングラスをかけてるのを不思議に思い尋ねると、会長は「盲目でも光の具合ははっきり感じますからね。用心に越した事は無いですから。」

確かに事前準備は重要ではあるが、会長の格好、これ、まんま男鹿さんと一緒…ペアルックだろ…これは完全に男鹿さんあからさまに狙ってたな…

確かに元から男鹿さんの会長LOVEは将棋界では周知ではあるけど、海外くんだりまでそれでいいのか?

 

で、僕は天衣と冬司を連れてまずは土産探しにショッピングモールに行き、一通り買い込むと次はワイキキビーチに行き、桂香さんたちと合流し、海辺で遊びに興じた。っても普通の遊びに大して興味のない冬司はあいちゃんに引き摺られて不機嫌MAXだったし、基本的に馴れ合いが嫌いな天衣も桂香さんたちのはしゃぎ振りに呆れてテンション低下しまくってた。

 

そして夕方近くに指定のホテルにチェックインし、今回は天衣の付き人の晶さんが不在なので部屋は僕と天衣と冬司の3人部屋となった。

そこで荷物を置き、着替えて前夜祭会場に赴いた。

 

会場はハワイ在住の日本人客や日系人が大勢集まり、大盛り上がりの雰囲気になっていた。

 

そして壇上での両対局者挨拶。

八一君も『名人』も差し障りなく、そして闘志も露に気の籠った挨拶で周りのテンションも盛り上がっていった。

そして対局者挨拶に次ぐイベントのトークショーとなったのだが、対談相手が僕と供御飯さんってナニコレ?会長どういう事ですか?

 

始まるや否や早速供御飯さんから「竜王はんのお兄はんとして今回はどう思ってはります?」ときたので無難に「兎も角厳しい戦いになるのは自明の理とは思いますけど、それを突破できる潜在力が竜王にはあると思っています。只、『名人』もこれだけのシチュエーションで臨む戦いは最初で最後でしょうからこれまでの力以上に力を引き出し、発揮するものと思っています。よって、将棋史最大最高の番勝負になるものと考えております。」と回答しておいた…のだが供御飯さん、今度は唐突に天衣と冬司について聞いてきた。

「名人は今、奨励会に2人のお弟子はんを持ってはるのですけど、お弟子はんについてはどう考え、どう育てようと思ってはるのですか?」

これは「現在、天衣も冬司も小学生で、中学高校生に比べ、才能は兎も角体力面では格段に見劣りするのは明白ですから体調管理とか体力面でのコントロールとかに格別に注意させながら戦わせているところです。」と回答した。

そうしたら供御飯さん、今度は八一君のエピソードに手を突っ込んで来たから矢継ぎ早にして藤本さん顔負けのマシンガントークに根負けした僕があの破廉恥エピソードをぶっ込まざるを得なくなってしまった。

「八一君、あいちゃんにアパートに乗り込まれて…僕が訪ねた時、なんでか八一君があいちゃんを…流石に110番に通報しようかと…」

あ、八一君脱け殻状態だ…でも嘘ではないから仕方無い。

でもなんか怪しげな雰囲気になりつつあったから何とか供御飯さんのツッコミ質問を言葉巧みに止めてトークショー終了に持ち込んだ。

 

終了後、部屋に戻ると早速天衣から「はぁ、師匠、なんで通報しなかったの?あんな恥ずかしいのが将棋界の代表たる竜王って棋士でもない私たちですら赤面ものよ」

って苦言を頂きました…

冬司はあまり興味なさそうに聞いてたようだけど、「竜王以上に恥ずかしい人間は居ないって事だよね」と一言だけ呟いてた。

 

なんのかんのと一騒動となったハワイの前夜祭だった…




ホントは第1局も書く予定だったけど、ハワイ行きから前夜祭が長くなったもんだから第1局はこの次って事で

って事でまた次回!!
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