桐山君は清滝家の長男坊?【本編完結済】   作:紫電海勝巳

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暫く振りです。
色々ゴタゴタがございまして更新遅れました。
ゴタゴタが何かは聞かないで…
さて、桐山君、八一君、銀子ちゃん、それぞれに取っての転機・新たなスタートの年度明けとなりますが、これからどんな茨道を突き進むのやら興味が尽きません。
って訳で本編スタート!!


国民栄誉賞

4月1日…

 

世間的にはエイプリルフールだけど、同時に年度明け初日でもある。

将棋界にとっても新年度に突入すると同時に新年度最初にして前年度最大最後の大イベントとなる「名人戦」が開幕するのが将棋に生きる者のルーティンとなっている。

 

今年、その「名人戦」に臨むのは現名人の僕と、つい先頃世間の注目の的だったタイトル通算100期を達成した「名人」である。

 

これを語るには順位戦最終戦前後のタイトル戦戦線に触れなくてはならないのだが、最終戦については概ね前話を見れば…だけど、盤王戦と玉将戦はここで改めて触れて置く。

 

まず、玉将戦は生石玉将vs神鍋歩夢六段(番勝負中に七段)の勝負となったが、順位戦最終戦での困惑模様は何処へやら、AIが弾き出した最新型の棋風を存分に活用した歩夢君が生石玉将の粘りを振り切り、4勝1敗1持将棋1千日手で自身初タイトルを手にした。因みに歩夢君曰く、タイトル獲得を師匠の釈迦堂先生に報告した際、「ゴッドコルドレンよ、報告は今暫く掛かると考えていたが、こうも早く獲得とは、余の考え以上に成長が早いと見る…」と言われたそうで、釈迦堂先生的には「名人」獲得までは無冠と予想していたのだろう…

が、何にせよ、関東勢では「名人」以来の10代タイトルホルダー誕生となった。ライバルの八一君も油断してると足下掬われるだけの地力があるからな…

 

一方、盤王戦ではタイトルホルダーの僕が挑戦者の「名人」を迎え撃つ図式となったが、フルセットの末、終盤に連勝した「名人」が逆転でタイトル獲得、通算100期達成となった。

僕としては10連覇が潰えた悔やまれる戦いとなったが、それでも50歳近い「名人」がまだまだ地力が落ちていないのを体感出来、これからの「名人戦」への恰好の材料を収集出来たのが自分なりの収穫にはなったと思う。

 

 

 

そしてタイトル100期を機会に「名人」が将棋界史上初の「国民栄誉賞」を受賞する事となった。

実は同時期に囲碁界でも史上初のタイトル七冠独占を2度達成した「井川裕一」名誉名人本因坊資格者にも「国民栄誉賞」の打診があり、精査の結果、日本古来のマインドスポーツの第一人者として、2人同時受賞の運びとなったものである。

 

 

その時の「名人」のスピーチに、

「400年を超える将棋界の歴史に近いうちに新たな足跡が刻まれる予感がする。その新たな足跡に是非触れてみたい…」

と言うのがあった。

これまでの将棋界での未踏とは、女性のプロ棋士と外国出身のプロ棋士が挙げられ、外国出身者は奨励会員自体不在なので現時点では現実味がないが、女性プロ棋士については今回、銀子ちゃんが三段リーグに足を踏み入れたから可能性としては幾分でも望みが出て来たとしても違和感はないと思う。

 

つくづく以前に打診されたのを断っておいて正解だったと思う…

 

そして今回の「名人戦」は僕にとっても非常に重要なポイントになる。何しろ勝てば獲得5期となるので十九世名人の資格を得られ、将棋史に確たる足跡を刻める大チャンスなのだから…

 

 

 




4月前半、今期三段リーグがスタートした。
参加36人で半年にわたり全9節18局が行われる地獄に巣食う鬼達の狂宴である。
今期は史上初の女性三段となった銀子ちゃんと、史上最年少で開幕日8歳の冬司が注目の大目玉である。
三段リーグは開幕2局と最終2局が千駄ヶ谷の東京・将棋会館で行われる他は、公平を期する為、東西行ったり来たりの日程となっている。

銀子ちゃんの初戦の相手は前期年齢制限の中、10勝8敗で勝ち越し延長の恩恵を受け、今期に賭ける宮森三段となった。
その宮森三段曰く、「奨励会員には種類が2つある。サメとイワシだ。獰猛に喰らうのがサメ、見栄えはしても喰われるのがイワシ、俺の目にはお前は見掛け倒しのイワシにしか見えん。早速喰ってやる。」
そんな先制のジャブを受けながらも的確に対応する銀子ちゃん、終盤に入るや、過去に3度自力他力昇段チャンスを潰した宮森三段に無形のプレッシャーが伸し掛り、致命的悪手を指してしまった。
この千載一遇の大チャンスを銀子ちゃんが逃す筈も無く、一気呵成の逆襲攻勢で一発回答で討ち取った。

一方、冬司は前期降段点を喰らった野口三段と当たった。
その野口三段曰く、「三段リーグは長期戦だから今は良くても中盤終盤になると必ずバテるからそこを考えなくちゃいけないよ。果たして君に出来るかな?」と言ってきた。
けど冬司である。「心配無用、目の前の相手を1人1人倒せばいいだけ。それとも口先だけで勝ったつもり?」
開始1時間であっさり決着。

初日2局は銀子ちゃんも冬司も幸先よく連勝スタートとなった。
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