第31期竜王戦もいよいよ最終決戦!
二冠に後退した桐山名人と二冠に躍進した九頭竜竜王…
初の兄弟対決もこれで決着!
って訳で本編スタート!!
旅館ひな鶴・「臥竜鳳凰の間」
…竜王戦最終決戦の場である。
竜王vs名人の最高峰対決として話題度の高かった(去年程沸騰しては無かったが)七番勝負もこれが否応なしに最後となる。
午前8時45分、まずは僕が対局場に入り下座に座り、瞑目して待機した。
それから程なく八一君が8時50分頃に入場し、タイトルホルダーとして上座に座り、僕に一言声掛けした。
「兄弟子、今日明日の2日、全力で勝たせて貰います。」
と、多少の緊張感を帯びた力強い言葉で。
となると僕も応える義務があるだろう。
「此処まで来たら僕も竜王が欲しい。だから今日明日2日で八一君には泣きを見て貰うから。」
と笑って返した。
最終戦なので改めて振り駒を行い、先手は八一君だった。
一手目はオーソドックスに指した八一君…
次の二手目‥‥
僕が指したのは「後手番一手損角換わり」である。
最後に来て態々挑発的一手に及んだのは、以前「名人」に同じ手を喰らい、そこから大きく崩れた八一君だからこそで、それから1年‥、どれだけ進化成長したか確かめたい思いが多分にあったのは否定しない。
流石にこれには一瞬面食らった顔を見せた八一君だったが、それでも10分程考慮しただけで次の一手を力強く指してきた。
ここからは角交換を経てお互い防御の陣を構築に入り、途中で昼食休憩となった。
八一君→のどぐろのお造り御膳+ウーロン茶・ホットコーヒー
僕→ひな鶴特製豊漁お造り御膳+ホットレモンティー
をそれぞれ注文し、食事と体力回復に休憩を費やした。
午後からも陣の構築を続け、お互い完遂したのは3時のおやつタイムが間近になった頃である。
おやつタイムの後はそれぞれ慎重に駒を動かし、開戦前の下準備に専念し18時30分が近づくと、少し時間が早かったが現在の手番である僕が封じ手の作成を行う事にした。
結局初日は水面下での駆け引きが主体で開戦は明日となった。
翌日…
この日も昨日と同時刻に僕が先に対局場に入り、八一君も昨日同様の時刻に入場、9時になると昨日一日の棋譜をなぞり暫く機械的に指し、いよいよ封じ手開封となった…
この一手、明確に開戦の手であり、観戦記者や報道陣は驚きの声を上げ、一方の立会人である師匠は肚を括った顔で、(零、八一、お前らの戦い、儂がしかと見届けるで!)と僕らにだけ解る雰囲気を放っていた。
八一君はと言えばこちらは覚悟を決めた顔をしており、改めてお互い後戻りの出来ない戦闘となるのを実感せざるを得なかった。
早速八一君から動き、此処からは激しい駒の動きと駒交換が続き、昼食・おやつ休憩を経てもまだお互い決定的チャンスが見い出せない激戦が継続していた。
この竜王戦、持ち時間がお互い8時間なので夕食休憩は無く、午後のおやつタイムの後は最後までノンストップで決着が着くまで指し続けなくてはならない。故に体力も重要なファクターとなるのは自明だ。
元々同世代でも体力にはやや自信のない僕だったが、それでも長年タイトル戦を戦うと加減とかコントロールというのがそれなりに身についていた。
一方の八一君もタイトル戦は2日制しか経験がない分(竜王戦も帝位戦も2日制持ち時間8時間対局である)、この戦いには長じており、お互いの有利不利はまずない。
19時20分、まずは八一君が時間を使い切り、1分将棋に突入。
しかしこの時点で僕も残り時間は僅かに9分であり、出来るだけ消費を避けたいので、此処からはお互い1分以内の早指しで先の見えない殴り合いに足を踏み入れた。
それから1時間…終わりの見えないまま更に63手を費やし、まだ行く手の先が見えず、しかし、もう体力も極限に迫っていたので遂に残り時間を使い、最後の読みを行った。
当然八一君もこの時間を利用して読み返すのは承知していたが、それでも此処が勝負所と踏んで懸命に詰み手順を探った…
いよいよ僕も1分将棋に突入し、後はどっちの読みが上回るかで勝負が分かれる事となった。
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〜side八一〜
去年の「名人」もだけど今年も兄弟子じゃあ、毎年地獄の竜王戦だろ!
っても竜王戦に出て来るのは毎年年間最強の棋士だから宿命っちゃあ宿命なんだよな…
そもそも一昨年俺が勝った当時の後藤竜王(現九段)にせよ、元々は兄弟子から竜王を奪って2連覇してたし…
で、今年も変わらず時間の使い方が「名人」や兄弟子程巧みじゃない…マジでこの2人のタイムマネジメントってかタイムコントロールってのが傑出してるわ…月光会長やニ海堂さんでも届いてなさそうなレベルなんだよな…
けど此処で…それも俺の考えよりも早く最後の考慮に入ったとなれば俺も全力で手順を探らなきゃいけない。残り10分弱…
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さあ、最後の戦いだ!
僕はありったけの駒を総動員し、総攻めを敢行。
八一君はというと、生石さん仕込みの捌きをフル活用し、僕の攻めを防ぎいなし、そこから1時間…遂に僕の攻めが切れてしまった。
此処からは八一君のカウンターが襲いかかり、懸命に防戦するもいよいよ追い込まれた…
そしていよいよ覚悟を決めるとポットからお茶を注ぎ、一口飲んで喉を潤すと一言、
「負けました」
と告げ、この瞬間、僕の今期竜王復位は成らなかった。
一方の八一君はこれで竜王3連覇を達成。銀子ちゃんという生涯のパートナーと結ばれた強さをまざまざと見せられた竜王戦だったと言うのが僕の実感したところである。
けど、年明けにも玉将戦と盤王戦に挑戦するからまだまだ落ち込んではいられないな。
今期玉将戦本戦リーグ戦出場者
1位(前玉将)生石充九段
2位→ 桐山零名人
3位→ ニ海堂晴信棋帝
4位→ 山刀伐尽八段
5位(予選通過者)九頭竜八一竜王
5位(同) 後藤正宗九段
5位(同) 鏡洲飛馬四段
と、東西均等の顔触れであり、又、若手新人からは八一君と鏡洲さんが初の本戦進出となった。それにしても今年もやたら濃く強いメンバーが揃ったものだ。実際、玉将の歩夢君も警戒心隠してなかったし。
結果…
1位→桐山零名人 6勝0敗
2位→九頭竜八一竜王 5勝1敗
3位→ニ海堂晴信棋帝 4勝2敗
4位→山刀伐尽八段 3勝3敗
5位→後藤正宗九段 2勝4敗
6位→鏡洲飛馬四段 1勝5敗
7位→生石充九段 0勝6敗
で、僕が歩夢君に挑戦する事となり、残留は八一君・ニ海堂・山刀伐さんとなった。一方で生石さんはタイトル失陥から1年でリーグからも陥落と厳しい結果となった。
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今期盤王戦本戦トーナメントベスト4
桐山零名人
佐伯宗光九段
篠窪太志八段
神宮寺崇徳四段
と、ベテランは佐伯九段だけで後は僕、篠窪さん、神宮寺さんと20代前半の若手が集う新旧交替がイメージされた陣容となった。
準決勝
○桐山名人−佐伯九段●
○篠窪八段−神宮寺四段●
決勝
○桐山名人−篠窪八段●
敗者復活1回戦
○神宮寺四段−佐伯九段●
敗者復活2回戦
○神宮寺四段−篠窪八段●
挑戦者決定変則二番勝負(勝者側は1勝、敗者復活側は2連勝でタイトル挑戦)
第1局
○神宮寺四段−桐山名人●
第2局
○桐山名人−神宮寺四段●
で、最終的に僕が挑戦権を摑んだ。
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秋に決勝トーナメントが行われた大河戦
準決勝
○桐山名人−山刀伐八段●
○神宮寺四段−ニ海堂棋帝●
決勝
○桐山名人−神宮寺四段●
で、何とか神宮寺さんを破り、2年振りに優勝した。
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毎朝杯将棋オープン戦
本戦トーナメント出場者
◎本戦シード
前回優勝→ニ海堂晴信棋帝
準優勝→篠窪太志八段
ベスト4→桐山零名人
ベスト4→神鍋歩夢玉将
◯タイトルホルダー&A級上位
九頭竜八一竜王
於鬼頭曜九段(前帝位)
「名人」盤王
月光聖市九段
以上8名
◎予選勝ち上がり
清滝鋼介九段
関崎勉八段
櫻井岳人八段
滑川臨也八段
久留野義経七段
鏡洲飛馬四段
椚創多四段
神宮寺崇徳四段以上8名
計16名で争われる。
1回戦組み合わせ
(Aブロック)
篠窪八段−久留野七段
月光九段−清滝九段
(Bブロック)
桐山名人−櫻井八段
於鬼頭九段−椚四段
(Cブロック)
神鍋玉将−滑川八段
九頭竜竜王−神宮寺四段
(Dブロック)
ニ海堂棋帝−関崎八段
「名人」−鏡洲四段
と決まり、年明けから2月にかけてトーナメントが行われる事となる。
桐山君の最終決戦のお相手は?
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西の魔王・九頭竜八一
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浪速の白雪姫・空銀子
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神戸のシンデレラ・夜叉神天衣
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神の子or悪魔の子・宗谷冬司
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風林火山・ニ海堂晴信
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盤上の探検者・土橋健司
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盤上の格闘家・隈倉健吾
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猖獗の大魔神・氷室将介
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新世代の申し子・椚創多
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ゴッドコルドレン・神鍋歩夢
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その他