桐山君は清滝家の長男坊?【本編完結済】   作:紫電海勝巳

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はぁ…、王将戦はストレートで決着…。
棋王戦も捏造魔人が10連覇に王手…

A級は既に相対的には興味なし状態…

もう五冠天才瀬戸物でしか話題を作れない将棋界の低迷傾向…

誰か有望な若手棋士の台頭が待たれて早や15年…




って訳で本編スタート…!!


竜王戦八銀決戦第5局・inひな鶴

今期・第33期竜王戦第5局

 

開催場所→石川県和倉温泉・旅館「ひな鶴」

 

竜王・九頭竜八一竜王(3勝1敗○○●○)

    vs

挑戦者・空銀子七段(1勝3敗●●○●)

 

 

で行われ、八一君が勝てば竜王防衛で5連覇となり、史上3人目の永世竜王資格を取得する事となり、一方で銀子ちゃんが勝てば決着はまだ先に続くと共に史上初の女性タイトルホルダーへの道を繋ぐ事となる重要な大一番である。

 

 

で、今局の主だった関係者は…

 

 

立会人→山刀伐尽九段

副立会人→神鍋歩夢八段

記録係→峠なゆた四段

 

 

大盤解説→桐山零名人

聞き手→供御飯万智クイーン山城桜花

 

 

専門チャンネル

解説→生石充九段

ゲスト解説→辛香将司五段

聞き手→清滝桂香女流二段

 

 

となり、いいのか?この布陣?

って具合に大概色濃い組み合わせとなった…

 

 

 

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〜side銀子〜

 

 

兎も角も1勝は返したけど、次の場所はあの目障りな小童の実家の「ひな鶴」…、小童なんてもんじゃない企みの権化みたいな座敷ババァ(ひな鶴女将)の地盤な訳で…

あの座敷ババァの事…、想いが通じ合ってるとは云え、現状では入籍してない事を突いて八一に婚姻関係が無い事を根拠に手段撰ばず小童の公式婚約者に仕立て上げる算段を仕組んでるのは明白…

となると、此処は何としても勝って最低でも次の第6局に進まなければならないのは自明の理な訳だ…

 

 

 

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〜side八一〜

 

 

3勝1敗の状況で「ひな鶴」…、

どう考えても最悪のシチュエーションだろ…

 

勝ったらその勢いで「ひな鶴」囲い込み包囲網の餌食決定…、

一方で負ければ、それはそれで何だかんだと忖度疑われかねないし…

 

そんな訳で結局どうあろうが此処で銀子ちゃんを打ち破り、永世竜王資格を勝ち取らねば俺に発言権1つ無いのは明白だった。

 

 

 

そして「ひな鶴」に入り、御両親と共に、女流名跡のタイトルを手にしたあいと再会…

その成長と俺への変わらぬ想いをぶつけられ、やっぱりあいはあいなんだなぁ…と、改めて感じた次第であった。

 

 

 

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この第5局…

 

お互いが選択を相掛かりとし、様子を窺いながら初日は無風でまずは終了…

 

そして2日目…

 

封じ手は銀子ちゃんが行っており、初日の進行を全て終えた後の封じ手公開…

 

これは完全に開戦の一手であった。

 

一方の八一君はと言えば…、画面越しから見てもゾクゾクするようなある種八一君らしくないとも言える獰猛な笑顔であり、いよいよに迫った激戦を待ち侘びている風情であった。

 

そして、開戦…

 

 

 

お互い激しい駒の動きを展開し、昼休憩…

 

八一君→能登近海豊漁御造り御膳+レモンティー

 

銀子ちゃん→能登牛ヒレステーキ御膳+能登牛タンシチュー+レモンティー

 

 

 

1時間の休憩を終えると、再び激しい攻め合いを再開…

 

先に敵陣を荒らし回ったのは…銀子ちゃんであり、後先無しで何としてもこの攻めで決着を付けんと八一君の対応手に関わらず次から次へと攻め駒を投入・侵攻させ、元々守りを薄くしていた八一君の陣は金銀だけでどうにか持ち堪えている有様であった。

 

が、其処から最後の一押しになかなか行けず、やがて銀子ちゃんの攻めは途絶えた。

 

この時、午後6時…

 

残り時間は…、

 

八一君→15分

銀子ちゃん→40分

 

であり、遅くとも午後8時迄には決着となる感じであった。

 

 

そして反撃に出た八一君…、守りながら奪った駒を駆使し、一転銀子ちゃんの陣を破壊に掛かった。

さっき迄一方的に攻めていただけに守備が幾分疎かになっていた銀子ちゃんの陣は忽ち破壊し尽くされ、1時間後にはもう投了迄の通過儀礼が待ち構えているだけとなった…

 

銀子ちゃんの玉に突き付けられていたのは「龍王」であり、もう保たないのは明らかであったのだが、それでも銀子ちゃんは投了せず、更に一手進めた…

 

僕には銀子ちゃんが「龍と銀は寄り添う物、だから銀で止めを刺して…」と八一君に盤上で語り掛けてるように見えた…

聞き手の万智もそれは察していたようだが、特段僕に振って来なかった…。

彼女もこの盤上の会話とその意味を十二分に理解していたからだろう。

 

 

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〜side桂香〜

 

 

……、午後7時…、いよいよ今期竜王戦も終焉のカウントダウン…、此処まで奮闘した銀子ちゃんだけど八一君相手で今の力ではこれ以上は力及ばず…となり、後は投了だけとなった筈なのに、まだ次の一手を進めた…

これには解説の生石さんもゲスト解説の辛香さんも啞然としていたが私には一瞬で理解出来た…。尤もこれは遥か昔から銀子ちゃんと八一君の事を誰よりも熟知している私だけ…否もう1人、恐らくは零君と2人だけは銀子ちゃんが「龍と銀を寄り添わせて止めを刺して」と盤上で八一君に訴えているのが手に取るように響いたからだ。

 

八一君、貴方の鈍感は常々承知してはいるけど、この銀子ちゃんの魂の叫びを汲めないようなら力尽くで対局場に乱入してでも貴方に解らせてあげるしかないのかな…?

 

…、八一君に動きが…

 

 

 

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銀子ちゃんの一手から残りの持ち時間を使い、時を空費し続ける八一君…、まだ決断を下さないのか?

僕なら今後がどうあろうとも一気に決着付ける処でしか無いのだが…

 

……、ひょっとして雛鶴家に囲われたくなくて決着を躊躇してるのか?

それなら銀子ちゃんにも失礼だし、そもそもからして勝負に不向きとしか言えない訳で…

実際それなら対局場に乱入してでも八一君を引き摺り出してその不覚悟を詰問しなくてはならない。

 

あ…、八一君が次を指した。

これは…、

 

 

 

 

龍王の隣に銀を打ち付け、最早銀子ちゃんに逃げ場無しを明確にして即時投了を投げ掛ける意図だ…

 

 

そしてこの一手を以って銀子ちゃんが投了、八一君が竜王戦史上初の5連覇と共に史上3人目の永世竜王資格を勝ち獲った歴史的1日となった。

 

 

 

その夜の打ち上げパーティーの場にて…

 

 

勝者挨拶の壇上に立った八一君…

 

マイクを握るや、

「改めまして竜王5連覇を果たした九頭竜八一で御座います。今夜は私の許嫁・最愛の人を壇上に紹介致したい次第であります。それでは早速紹介致します。空銀子七段であります!!空先生、壇上にお願い致します。」

 

マジか…、ま、僕個人からすれば本来的には幾分遅めではあっても漸く…って心境な訳だけど、なにせ場所が場所であまりにも自分から地獄に突撃したとしか思えない特攻状態としかな…

 

そんな僕の懸念を感じたか、万智が僕の脇腹を軽く突いて、

「心配無用どす。竜王はんに今一番必要なんは銀子ちゃんどすからな」

って、この縁組を最大限歓迎していた。

 

かと思ったら今度は桂香さんが、

「銀子ちゃん、15年来の永きに渡る念願を叶えられて本当に御目出度う!!、八一君、これからの人生で銀子ちゃんを1度でも泣かせたらお父さんと零君が許しても私は輪廻転生しても八一君を赦さないから!!」

って超絶保護者全開のコメントかましてくれました…

 

 

で、壇上に上がった銀子ちゃん…

「竜王…、否、八一、本当に私がアンタの生涯の伴侶でいいの?私はアンタの年下の姉弟子でしかない中途半端で未熟な新米棋士に過ぎないのよ。そんな私じゃアンタの足枷にしかならないのは自明の理…、それでも私を娶るのなら評価も批難も全て呑み込む覚悟を一生涯持ち続けなきゃ到底折れるだけよ。覚悟は?」

 

八一君の返答…

「何もかも承知の上だし、俺に絶対不可欠なパートナーは銀子ちゃん以外いやしない!!、後の責任は全て俺が取る。だから是が非でも銀子ちゃんには俺のプロポーズを受けて欲しい…」

 

 

 

 

 

 

って訳でひな鶴女将さんのドス黒いオーラとあいちゃんのハイライト消失した暗雲漂う仄暗い視線をどうにか回避しながらも銀子ちゃんと八一君の実質結婚セレモニーはどうにか完了の運びとなった…




翌日…、
関西所属の面々は大阪行き特急を、関東所属の面々は東京行き北陸新幹線をそれぞれ利用し、帰路につく事となった。

その待ち時間中に僕は八一君を捕まえて昨日の電撃婚約発表の真意を質してみた。

八一君曰く…、
「兄弟子や桂香さんなら解るでしょ?どっかのタイミングで何れは公表しなくちゃならなかった訳だし…。それに全責任を負うってのも、あいとお母さん(ひな鶴女将)の怒り怨みはどのみち俺が背負わなきゃならない訳で…。あいからの想いには気付いていたけど、俺はその気持ちに応える事は出来なかった…。やっぱり誰を取るかとなると、銀子ちゃん以外無かったから…だからこそ彼処で決着を着けなきゃならなかったんですよ…。」

…八一君、本気で肚を括っていたんだな…

そう言えば僕もあの壇上での万智へのプロポーズの際、天衣が何処か悔しそうに俯いていた記憶がある…!
となると、天衣も本音は洩らさずとも僕に特別な想いが有り、僕は無意識の内に天衣を振っていた訳か…
まぁ天衣の事だ、そんな本音なんて殊更僕には隠し続ける積りだろう。僕も気付かないフリする嫌な大人になるしかないか…

そんな僕の僅かに見えた困惑顔を見抜いたか、桂香さんがやって来てコッソリ耳打ちして来た。
「零君、天衣ちゃんなら想いは持っていても引き摺らないわ。寧ろ今は冬司君の矯正に熱心みたいだし…、今暫くはこのまま様子見で気長に眺めるしか無いんじゃない?」
と言われ、明確な答えは出ては無かったけど、何となくは納得出来たと思う…。

そんなこんなでそろそろ乗車時間となり、僕と万智、冬司、リーナは京都迄、他は大阪迄の旅路についた…

桐山君の最終決戦のお相手は?

  • 西の魔王・九頭竜八一
  • 浪速の白雪姫・空銀子
  • 神戸のシンデレラ・夜叉神天衣
  • 神の子or悪魔の子・宗谷冬司
  • 風林火山・ニ海堂晴信
  • 盤上の探検者・土橋健司
  • 盤上の格闘家・隈倉健吾
  • 猖獗の大魔神・氷室将介
  • 新世代の申し子・椚創多
  • ゴッドコルドレン・神鍋歩夢
  • その他
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