ですが、魔王(魔太郎)渡辺名人相手にまたも
2戦連取し、早くも棋聖防衛リーチとは…
続く王位戦も、「序盤中盤終盤隙がない」
豊島(きゅん)竜王を迎え、最高峰の戦いが
まさに始まろうとして、世間的には、
「藤井君の凄まじくも熱い夏」って雰囲気
ありありな風情ですな…
さあ、我らが主人公、桐山君もいよいよ
栄光への第一歩を刻まんと、大勝負に突入です
って訳で本編スタート!
8月に入った。夏休み真っ最中、上位に残った
棋戦はいよいよ大詰めだ。
竜王戦、3回戦は1組5位の生石充八段に挑む。
相手は「振り飛車党総帥」「捌きの巨匠(
マエストロ)」の異名を持つ振り飛車党の
カリスマ。
振り駒で先手となった生石さん、当然の如く
エース戦法のゴキゲン中飛車で攻めかかる。
これに対し、僕は生石さんのお株を奪う彼の
もう1つの武器にして代名詞でもある
『捌き』
を存分に活用し、彼の攻めを抑え切った。
ここからは僕のターンだ。
攻めが切れたところを今度は巧みにカウンターで
攻めかかり、次第に相手陣を侵食し、
崩し切ったところで生石さんが投了。
A級棋士に連勝となり、また周りが騒がしく
なってきたようだ。
生石さんとの感想戦中、何故か生石さんから
「今度家に遊びに来い、それと、娘に
会わせてやる。」って、いきなり何を…
生石さん、まだ30前後ですよね…
お嬢さん、少なくとも僕より幼いでしょう…
それは兎も角、竜王戦は4回戦に進んだ。
一方、玉座戦は準決勝。
相手は師匠、清滝八段。現役A級棋士である。
早くも恩返しの機会が巡ってきたが、
「儂は今が盛りや、明日が最盛期なんじゃ!」
と早速吠え、勝ち取るオーラ全開にしてた。
勿論、全開はこちらこそ望むところ。
まずはお互い矢倉で守りを構築し、今回は
僕から開戦。桂馬を巧みに活用し、師匠の
矢倉の陣を丁寧に崩していく。
だが、「鋼鉄流」の異名は伊達じゃなく、
崩壊に瀕しながらも、なかなか崩し切れない。
そんな状態で師匠は反転、攻めにかかった。
が、僕も最大限の想定内だったので、
半ば崩されつつも最後の一線は防ぎ通した。
師匠の攻めが切れたところで今度は再び僕が
攻めを再開。崩れかけたところを更に崩し、
結局119手で師匠が投了。
感想戦になると、中盤頃までは極普通に
振り返っていたが、弟子(甥)に負けた悔しさ
からか、段々顔色も表情も険しくなり、
次の瞬間、奇声を上げたかと思うと、
「弟子に負けたぁ~!!」
って叫ぶや、スーツからシャツ、ズボンから
下着まで脱ぎ散らかして全裸で対局室を
飛び出そうと走り出した。
が、そこは記録係だった鏡洲さんが全力で
師匠を抑え付け、周りもすぐ気付いて確保
してくれたので、大事にはならずに済んだ。
その夜は桂香さんに事情を告げた上で、
師匠は拉致状態の格好で家に送り、
僕は鏡洲さんと関係職員の方々に夕食を
御馳走した。
地域の焼肉の評判店で、少し物入りだったが
アレが表面化する位なら安い出費と自分に
言い聞かせ、僕も美味しく味わった。
けど、翌朝起きたら、銀子ちゃんが絶賛不機嫌。
どうやら桂香さんから僕が夜遅くなるって聞いて
不満全開だったらしい。
しかも焼肉の匂いが充満してれば、怒りたくなる
のもムリないかも…
勿論八一君も激おこ状態で、
「お兄ちゃんズルい!」と不満たらたら。
けど、元は師匠の不始末の尻拭いでこうなった
のだから、それに免じて…と言いたかったが、
2人とも納まらないな…。仕方ない。
「今度ケーキ食べ放題のお店行こうか!」
と言うと、銀子ちゃん、スイーツ大好きだから
「うん、今度の土日で」と、何とか収まった。
八一君も納得してくれて、どうにか収拾ついた…
その玉座戦の挑戦者決定戦は、山刀伐六段と対局
となった。
お互い勝った方がタイトル初挑戦となる大一番。
山刀伐さんは僕に戦型を委ねてきた。
僕はあえて守りの弱めな雁木を選択。
当然山刀伐さんは崩し易いと攻めかかるが、
最後の一線は守り切る自信があったから
守りつつ、攻めへの準備に取りかかった。
一転、今度は僕が攻めに入ると、たちまち
山刀伐さんの陣が崩れてきた。
が、詰める段階までは行かず、山刀伐さんは
入玉目指し、王を前進させてきた。
が、万一に備え、入玉対策も組み入れた僕の
陣に入る事は叶わず、僕に詰まされた。
これで、玉座戦トーナメントを勝ち切り、
小学6年でタイトル初挑戦となった。
感想戦は極淡々と行われたが、最後に
「名人も君を注視している。期待してるよ。」
に加え、もう一言、
「晴信も秋から三段リーグ入りになって、
君を目標に気合いが充満してるから、
君にはそれだけの責任がある。重いかも
知れないが、桐山零という存在はもう、
それだけ将棋界の顔という認識がある事を
自覚はしてほしい。」
なんとも小学生には重すぎる評判を
ぶつけてきたもんだ。
続く竜王戦本戦4回戦は、1組4位の佐伯宗光
九段だ。
バリバリのA級棋士ながら、名人にだけは
1度も届かず、それでもタイトル通算11期を
記録した紛れもない大棋士である。
この人は、1990年代から現在に至るまで
月光先生、氷室十六世名人、現名人と並ぶ
「史上最強4強世代」と評される程の歴史的
強豪棋士として名実共に評価が高い。
対局開始すると、静かに、しかし己の意思を
明確に盤上に示し、
「君が何者であるか、確かめよう。」
と、早速戦闘態勢に入った。
ここで応えなきゃ僕は男失格だし、そもそも
棋士な資格すらない。
喜んで戦いに応じ、激しい駒のやり取りに
応じた。
無限の地獄と可能性を満喫した戦いは、
最後は連続限定合駒で辛うじて僕が制した。
「10年前に君がいれば、もっと充実したかも」
と言われたが、僕は、
「今からでも楽しめます、充実出来ます。」
と返し、
「次、楽しみにしてる。」
と言われた。
新人戦は準決勝、山崎五段に完勝。
決勝は関崎五段とだったが、彼は感覚主義で、
兎に角定跡軽視な棋風だったので、
その変則気味な将棋にやや戸惑いながらも
隙を突けばあっという間に詰ませて
新人戦優勝となった。
竜王戦本戦準決勝、相手は後藤正宗九段。
おいおい、後藤さんまで乱入?
念のため、プロフィールを検討すると、
現在での僕より15歳程年長で、生石さんより
2~3歳下らしい。
で、得意戦法は「居飛車穴熊」と、前回と
変わらず重厚な棋風なのは面白い。
それで、家庭環境も調べると、前回でも
奥さんだった美砂子さんと変わらず結ばれ、
今回は前回恵まれなかったお子さんにも
1人だけだが恵まれて、公私とも充実著しい
状態に突入してる伸び盛りって、これは
只全開を解き放てる絶好の機会だろ。
対局開始するや、早速居飛車穴熊に構えた
後藤さん、これに対し僕は後々警戒されようが
承知の上で藤井システムをぶつけた。
後藤さん、守りの構築中にいきなり居玉のまま
相手が攻めかかるとは予想外だったようで、
慌てて防ぎに転じようとしても、攻めが
鋭敏で、たちまち穴熊崩壊、僅か47手で投了。
後藤さん、感想戦で、
「お前、どこからそんな発想したんだ?」
と問うたので、
「十五世名人の棋譜を浚い尽くした結果です」
とだけ答えた。
「全く空恐ろしいクソチビだな…」
と呟いたが、
少なくとも前回みたいな確執には至らない
予感だけは感じ取った。
続く竜王戦本戦挑戦者決定戦3番勝負は
月光先生との大一番だった。
第1局は先手月光先生で、169手で僕が投了
続く第2局は逆に121手で僕が制し、最終戦へ…
先手は幸いにも僕が掴み、思うがままに挑んだ。
のっけから乱戦模様となったが、
中盤、月光先生の攻めの手が一段と激しくなって
きたので、カウンターのチャンスもあると考え、
耐え凌ぎながら逆襲の一手を考え続けた。
ここで月光先生の攻めが切れた。
これが唯一最大のワンチャンスと気を入れ、
逆襲に転じ、只ひたすらに攻め続け、
結果、143手で、月光先生が投了。
これで玉座戦に続き、竜王戦も挑戦者となった。
玉座戦のタイトルホルダーは、「名人」
竜王戦のタイトルホルダーは「首藤竜王」
新たな戦いも目前だ。
ライオンどころか、「月下の棋士」まで投入
しちゃいました。
もう将棋マンガ絶賛投入だらけで、私も
収拾つかなくなってますが、
「りゅうおう」、「ライオン」、「月下」
の3作混入で通したいと思ってます。
桐山君のタイトル戦は次回って事で
お待ち頂ければ…