って訳で本編スタート!!
第38期竜王戦第1局…
今回は通常のスポンサー直営の能楽堂ではなく、かと言って海外の名所での対局でもなく、僕ばかりか月光先生ですら想定外だった豪華客船での巡航対局と相成った・・・・
これ自体は本戦トーナメント開始時点で現会長から公表されていたのでまだ覚悟は出来てはいたのだが、挑決終了後に正式に決定すると改めてその規模と影響に怖気を震う程のヤバさを感じざるを得なかった………
その豪華客船とは…………、
世界最高の豪華クルーズ客船である
『ダイヤモンドエンペラー』
であり、日程としては、
11時30分入船、13時出航
17時30分前夜祭、19時30分対局者退場、20時前夜祭終了
2日目→9時振り駒、直後から対局開始
10時午前のおやつタイム、12時30分昼食休憩
13時30分午後の対局スタート
15時午後のおやつタイム
18時30分頃に封じ手で初日終了。
3日目→9時、前日の棋譜を復唱して封じ手まで詠む。
封じ手開封。
この封じ手から対局再開。
10時午前のおやつタイム、12時30分昼食休憩
13時30分午後の対局スタート
15時午後のおやつタイム
以後は対局終了までノンストップで対局が続く……
って訳で兎も角も逃げ場の無い船上対局が緒戦となった訳で……
僕ら対局者の宿泊部屋は最上級のスイートであるのだが、会長と立会人の山刀伐さん、副立会人の坂梨さんはプレミアムとなっており、記録係の健司君(現在B級1組七段・竜王戦3組)は特設会場のシアタールームを寝床にし、異例尽くしの対局にそれぞれ具えていた。
初日…………
将棋連盟貸し切りに依り、対局関係者だけが乗り込み…、
陣容は、
竜王→八一君
挑戦者→僕
会長→十八世名人
立会人→山刀伐尽九段
副立会人→坂梨澄人六段
記録係→土橋健司七段
と、
現地大盤解説
解説→夜叉神天衣八段
聞き手→雛鶴あい五段
のメンバーで行われる事となった。
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〜by山刀伐尽〜
今年も紅葉の季節となり恒例の竜王戦に入ったけど、今回は会長(十八世名人)の100期&永世七冠の懸った大一番以来の全国的対局って事で連盟の力の入れようも段違いだね(微笑)。
何しろ第1局の会場が長い将棋史の中でも前例の無い豪華客船を借り切る奇想天外なものだから、幾ら会長の顔が広いからとは云え、随分派手に仕掛けたものだなって僕も思わず目が点になったのは此処だけって事で………
大体こんな大仕掛を水面下で出来る人なんて僕の知る限り、月光さん位しか考えられないんだけど、盤上真理の追求が最優先な会長がまさかこんな仕掛と根回しを巧妙に熟していたとは………
しかもこの大仕掛を僕ら主だった幹部理事に伝えたのが零君と夜叉神君との挑決直前と来たものだから気短なタイプの生石君や正宗なんかは半ば本気で会長に詰め寄りかけた程には頭に血が昇ってしまい、僕や於鬼頭君がどうにか鎮めるのにかなり神経を使ったのがまたなんとも………
けど八冠時代初のタイトル独占の懸った零君と、一方で史上初の竜王10連覇に手を掛けた八一君…、共に清滝さんの下で幼少年時代からその薫陶を受け、若くして棋界をリードする存在に成長し、今、雌雄を決するにこれ以上の舞台はなかなか見当たらないのも事実なんだよね………
そしてこの対局は主要関係者以外では、乗員スタッフ以外の乗客は、かなり限定されてもいた………。
連盟棋士及び女流棋士からして10名だけであり、他は観戦記者3名、放送スタッフ6名、他6名の合計25名だけがこの延べ4日間の衝撃の船旅を体験する事となったのだった………
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さて、乗船した乗客の面々であるが……
棋士は……、
於鬼頭曜九段(連盟常務理事)
後藤正宗九段(連盟常務理事)
宗谷冬司玉座
神宮寺崇徳九段(前帝位)
夜叉神天衣八段(前棋帝)
鏡洲飛馬八段
隈倉健吾八段
雛鶴あい五段
花立薊女流五段
月夜見坂燎女流玉将
以上の10名(解説・聞き手含む)
観戦記者は……、
売詠新聞嘱託記者
ジャパンTV将棋解説者
鵠
以上の3名、
放送スタッフは……、
専門チャンネルスタッフ6名
他の人物は……、
花立女流五段の家族(夫、子供4名)5名
鏡洲角馬(鏡洲・月夜見坂夫妻長男)
と、棋士の身内が乗船。
そして始まった前夜祭……
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〜by前夜祭〜
人数限定の前夜祭での挨拶にて……
八一君
「竜王10連覇の懸った今回、前例の無い豪華客船対局を迎えた事、誠に光栄至極に存じます。これまでも多数の強敵相手にしんどくも何とか勝ち残り今現在に到った事、皆様の叱咤激励、御助力の賜物と考えております。よって今回の竜王戦、全身全霊を以って勝ち上がる所存であります。相手が兄弟子であるからこそ、尚更にその思いを強く持つ次第です。後は対局で証明して見せます。」
僕
「今期、7年振りに竜王戦番勝負に出場する事、光栄に思います。これまで他のタイトル戦では全て5連覇以上及び永世資格を取得し、それなりには将棋界には貢献出来たのかなとは憚りながらも考えてはいるのですが竜王戦だけはとんと縁が無く、10年以上前に1度だけ獲得したきりで直ぐに失冠し、以後も前回九頭竜竜王に敗れただけの1度きりですので今回は何としても竜王に復帰し、八冠完全制覇のチャンスを物にしたいと存じます。このようなチャンスなどもう二度とは無いと考えておりますので全力で捩じ伏せる次第であります。」
………、どっちも戦闘準備万端の強気挨拶に終始した前夜祭であった………
第1局、ここで書き切る積もりでしたけど、前夜祭までの前フリが長引いたので、対局は次からって事で……
って訳でまた次回!!