桐山君は清滝家の長男坊?【本編完結済】   作:紫電海勝巳

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運命の竜王戦第4局・旅館ひな鶴(前編)

ダイヤモンドエンペラーでの第1局で奇襲からの我慢比べの末に勝ちをもぎ取った後、続く第2局・第3局も連勝し、迎えた第4局であるが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開催場所が……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石川県・和倉温泉………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って事で、最早将棋界年間行事開催会場として御馴染みの場と化した日本一の名門旅館・『ひな鶴』となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ有り体に言えば八一君のホームで、僕には完全アウェーな厳しい空気の場となる訳ではあるのだが………

 

 

 

 

 

 

 

な〜んか以前の「名人」(現連盟会長)みたいな絶対最強のラスボス扱いってのは幾らなんでもどうにも馴染めないんですがね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳で最寄駅に着き、『ひな鶴』への道中では、矢張りと云えば矢張り八一君とあいちゃんカップルが大歓迎を受け、もみくちゃにされ通しとなり、10分そこらの筈が結局1時間掛かった有様で………

 

一方で僕の方はとなると、曾ての「名人」の時とは異なり、こちらも完全スルーとはならず、歴史的対局の一方の雄と見做されてそれなりには歓迎の意を示され、又、八一君の兄弟子にして、あいちゃんの身内扱いな立場って事もあり、僕の方も到着までそこそこ時間を費やすハメとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

到着後、荷物を宿泊部屋に置くや早速対局場の検分に向かったのだが、その場所は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『臥竜鳳凰の間』

 

であり、既に八一君と関係者各位が到着済であった。

 

 

 

関係者各位………

 

 

 

竜王・八一君

 

挑戦者・僕

 

立会人・佐伯宗光永世竜王

 

副立会人・鏡洲飛馬八段

 

記録係・登龍花蓮四段

 

『ひな鶴ホールディングス』代表取締役会長・

雛鶴亜希奈さん(案内役兼任)

 

他、『旅館ひな鶴』スタッフ、

専門チャンネルスタッフ等……

 

 

 

が注目する中、慎重に検分が行われ、空調や光加減等の細かい注文程度だけで他は恙無く問題無しとなり、対局環境としては最高の状態で臨める事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして着替えた後の前夜祭………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は???

 

これは竜王戦前夜祭ですよね?

 

なんだか以前見たようなデジャヴが目の前に展開してるんですが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『雛鶴家・九頭竜家披露宴』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ確かに迎え撃つ竜王は八一君で開催場所はこの『ひな鶴』なんですがね……、

 

そして実際に八一君とあいちゃんが婚約してるのも紛れもない事実な訳ではあるんですけど………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な〜んか地元の方々が矢鱈多く招かれているのは僕の僻目なんですかね?

 

って程にはあいちゃんと八一君応援団的雰囲気が満載な会場の空気なんですけど………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな空気の中、流石に少し身構えそうになりかけた処で声を掛けて来たのは大盤解説を引き受けてくれた神宮寺さんだった。

 

「なんだなんだ、桐山程の最強絶対神がらしくねぇぞ!!ってか、九頭竜、否、『ひな鶴』のアウェーの空気が其処まで異質過ぎるって事かよ!!けどお前、それでもちと神経過敏なんじゃねぇの?なんなら桂香の胸にでも飛び込んで神経落ち着かせてみろ!!あ、けどそれじゃ万智ちゃん氷の怒りこっちに向けられそうだから抱きつくなら万智ちゃんかwww」

 

 

とか、相も変わらず好き放題奔放に言ってくれるもんだ……

 

 

ってかこれ、桂香さんなり万智なりが聞いてたら確実に僕に何らかの刃が幾筋かは当てられてるのが丸わかりなんですが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、どうやら8年振りの茶番開催のようで………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、今回は神父じゃなくて神主(禰宜?)の衣装を纏った現会長(十八世名人)が立会役となって神式(?)形式の婚約披露となる流れのようで………

 

 

 

 

 

まぁ、前回は銀子ちゃんが超絶不機嫌MAXに至った事から僕が詫びに動き回るわ天衣も冬司も銀子ちゃんのせいでテンションダダ下がりもいいところだったから、こっちのフォローにも気を配らなきゃ到底収まりつかなかったし、対局に集中出来ただけ八一君が僅かにでも妬ましかったのは此処だけって事で………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

 〜雛鶴家・九頭竜家婚約披露式〜

 

 

 

 

司会(神鍋歩夢九段)

「それではっ!!新婦・終盤の魔王妃、雛鶴あい五段!!新郎・西の魔王・ドラゲキン、九頭竜八一竜王!!固めの席に就き給え!!!!」

 

 

 

この号令で前回どころじゃない茶番が始まった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禰宜(十八世名人会長)

「詳細は省きます。新婦・雛鶴あい五段、貴女は今後生涯九頭竜八一竜王を愛し慈しみ貫く所存でありますか?」

 

あいちゃん

「はい!!あいこそが八一さんの全てを愛し慈しむ存在そのものだからです!!!!」

 

禰宜

「新郎・九頭竜八一竜王、貴男は今後生涯雛鶴あいの全てを愛し慈しみ貫く所存でありますか?」

 

八一君

「………、はい、その所存です………」

 

 

 

 

八一君…、対局前から疲労困憊に近い疲れ振りだけど明日からの対局、マトモに出来るんですかね?

 

 

 

 

 

 

 

ん?いい具合に酒の入った地元の顔役と思しき初老の男性がいきなり誰の許可もなく壇上に上がって来たけど、会長気付いてる?

 

 

あ、会長気付いたようで直ぐ様歩夢君からマイクを受け取って顔役に一言……

 

 

 

「和倉温泉自治会長様、御多忙の処態々御足労頂き、誠に恐縮至極で御座います。つきましてはこの婚約披露に地元を代表して祝辞を述べたいとの事で、是非にもお願い致します。」

 

 

 

 

 

あれ?月光先生ならまぁ予想つくけど、「名人」会長がまさかの絶妙な切り返し披露してくれるとは………

 

 

 

 

でそんな訳で自治会長さんからの祝辞………

 

 

「改めまして和倉温泉街自治会長を務めさせて頂いてる奥山と申します。この度、我が街のスーパーアイドル・ヒロインたる雛鶴あい先生がその師匠にして最愛の御仁たる九頭竜八一竜王と婚約披露為さる事、誠に目出度い話であり、我々和倉温泉街自治会としてもこの場での披露、生涯の誉れと心得る次第であります。そして私の私情としては雛鶴先生、否あいちゃん、その小さな身体で家業の修行・手伝いに邁進していた少女時代を熟知しているだけに今こうして婚約披露する事感慨無量であります………。九頭竜竜王、雛鶴の御夫妻からも申し渡されているとは思いますが、改めて我々からも、もしあいちゃんを泣かせたら和倉温泉全体が九頭竜潰しを主導する心構えである事、然と御承知して貰いたい。」

 

 

ってこれまたなんとも不気味な八一君への圧力満載な御挨拶をカマしてくれて………

 

 

 

けど、あの破壊的なファーストコンタクトから8年半余りか……

 

 

 

そりゃ八一君も父親にもなるし、あいちゃんもまた女性として盛りにもなるよな………

 

 

まぁ、あいちゃんの眼には八一君以外は視界の外だったようだけど。

 

 

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

 

 

そんなサプライズな大騒動もなんとか終了………

 

 

 

後は明日明後日で一気に決めたい処ではあるけど、あの『西の魔王』ですからね………

 

それに史上唯一の3連敗4連勝の大逆転劇の主役ですし、勢い主体で臨むと逆に呑まれる危険もあるし………

 

 

 

何にせよ、明日からだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

  〜八一君の竜王戦戦歴〜

 

 

16年→vs後藤正宗竜王 4勝3敗(竜王獲得)

17年→vs「名人」  4勝3敗(3連敗4連勝)

18年→vs桐山零名人 4勝3敗(竜王vs名人)

19年→vs宗谷冬司七段 4勝2敗

20年→vs空銀子七段  4勝1敗(永世竜王資格取得)

21年→vs於鬼頭曜九段 4勝2敗

22年→vs山刀伐尽九段 4勝3敗1持将棋(自身初の持将棋)

23年→vs神宮寺崇徳帝位 4勝3敗

24年→vs神鍋歩夢賢王 4勝3敗  





 〜前夜祭後の神宮寺の部屋side神宮寺〜


さてと………、なんだかクソ面白ぇ前夜祭も終わって俺も幾分いい具合に酒も回って来たから部屋でもう一杯呑んでとっとと寝るか……


あん?鍵開いてんじゃねーか?誰だ開けたの?

一瞬チンプンカンプンになりながらも部屋に入ると………





桂香が仁王立ちしてたんだが………




で、有無を言わさず切り込んできやがった!

「で、崇徳?アンタ嫁を他人の慰み者にしようとかどんな性根しとるんや?これ、相手が零君やなかったら即刻絞め殺す話やで?解っとるんか?」

やべ……、ガチギレしてるぞ……

「いやな、桐山があまりに神経過敏なもんだったから少し緩めさせようと思ってだな……、けど、流石に悪ノリし過ぎた、スマン。けどお前、あの時俺達の近くには居なかったよな?誰から聞いた?」

即座に返って来た。

「万智ちゃんからよ。気付かなかった?まぁ零君もあの後ちょっと説教貰っていたけど。でも崇徳ほどの男ですら万智ちゃんの存在見逃すって相当ね、あの子」


ん〜…供御飯ちゃんか……、

と一瞬考えに浸ってたら桂香め、更にブッ込んで来やがった……



「崇徳、そんな余分な思考、今直ぐウチが精力毎丸々吸い取ったるから覚悟しぃ♥♥」




やれやれ、マジか……

となると、そろそろもう1人作らなきゃならんかね?将馬1人でもなかなかに骨なんだがな……

けど桐山なんてあの齢で娘3人の親父な訳だしな……

桂香も時間的にあまり余裕無くなって来てるし、マジで次作る事になりそうだな……






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