桐山君は清滝家の長男坊?【本編完結済】   作:紫電海勝巳

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お久しぶりですwww


夏に入り、棋聖戦は10代最後の対局を制した瀬戸の天才児が軍曹を降し棋聖3連覇となり、王位戦は天才児が隙無し相手にタイとして先の展望が楽しみになった模様で………


一方で竜王戦本戦トーナメントを見ると、天才児のライバル候補は3回戦で現役A級に敗退……、竜王経験者の2組2位も緒戦敗退と、トーナメントに残っている竜王経験者は2組優勝者のみとなり挑戦経験者も他には1組3位だけで、天才児への挑戦者は竜王初挑戦になる可能性がありそうな予感がするような……


って訳で本編スタート!!


運命の竜王戦第4局・旅館ひな鶴(後編)

 

 

第4局初日、午前4時半過ぎ………

 

 

 

 

思ったよりも早くに目覚めてしまった………

 

 

 

 

只、意識が覚醒した以上、再び眠りに就く事は不可能だ。

 

 

 

 

 

 

第1局での振り駒の結果により、第6局迄の奇数局は八一君、偶数局は僕が先手を摑む事となっていたのだが………

 

この第4局は僕が先手であり、とあるアンケートに於いての結果を閲覧して見ると………、

 

 

僕の優勢に傾いては居たのだがそれでも4対3程度の差であり、8年前の前代未聞の窮地からの大逆転をやってのけた八一君への支持もかなりな物であったのは流石に戦慄を禁じ得なかった………

 

 

 

そして一旦スマホの電源を切り、戦闘モードへのスイッチを押すべくシャワーを浴び、しっかりと戦闘態勢モードが身体中に染み渡ったのを確かめ、フロントに朝食準備を伝えたのだった………

 

 

 

 

 

 

朝食メニューは………、

 

御飯(茶碗5〜6杯分のお櫃)、味噌汁(お椀3〜4杯分の鍋)、鯵の開き、白菜とホウレン草のお浸し、出汁巻玉子、冷奴、板わさ、香の物、能登特産フルーツ盛合せ…の組合せであった。

 

 

 

 

 

そしてしっかりと身支度を整えると少し早目ではあったのだが、午前8時30分頃には………

 

 

 

『臥竜鳳凰の間』

 

 

 

に入場し、戸惑う登龍花蓮四段に、

 

「登龍さん、僕の事は気に掛けなくていいから対局準備に集中する事を優先して下さい。」

 

とだけ告げて対局モードへの沈浸を早速始めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 〜side八一〜

 

 

 

朝の4時……、目覚し5時セットだったよな……、なんでこうも早くに目が覚めるんだ?!

 

まぁ以前みたいに崖っぷちの3連敗からの正念場って事もあるんだろうけど、今回はあの「名人」…現連盟会長相手のプレッシャーなんてもんじゃない程に強烈過ぎるからか?

 

 

そもそも俺自体が創設以来初の竜王10連覇の懸かった全国注視なシリーズである上に、対局相手が事もあろうにあれだけの棋歴を誇りながらも唯一竜王だけは俺のプロ入り以前に1度だけ獲得したきりで以後は地元の敵対してる親族(本人的には縁切り認識らしいが)の妨害の影響で結局俺の逆転防衛となった回しか番勝負にすら登場出来て居なかった兄弟子な訳で……

 

 

只、今期の竜王戦は残りの3局も長野開催でない為、その点では兄弟子も安堵してるとは思うが……

 

 

 

まぁそれ以前に只今絶賛3連敗中で後の無い俺が心配する余裕ねぇだろ…って言われたら確かにそうなんだよな……

 

 

 

 

兎に角これ以上は寝られないから即刻シャワーを浴びて、少し早目ではあったけど、朝食の準備をお願いした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食メニューは……、

 

 

 

 

御飯(茶碗5〜6杯分のお櫃)、味噌汁(お椀3〜4杯分の鍋)、鰤の煮付け、鯵の開き、白菜とホウレン草のお浸し、出汁巻玉子、冷奴、板わさ、香の物、能登特産フルーツ盛合せ…の組合せであった…。

 

 

 

その後はゆったりと着替え、午前8時40分には会場入りしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 〜観戦記・対局開始前〜 

 

 

 

 

 

 

 『臥竜鳳凰の間』

 

 

 

 

開始20分前……、10連覇へ後の無い竜王・九頭竜八一が入場した。

 

 

下座には開幕3連勝を果たし、八冠完全制覇に早くも王手を掛けた挑戦者・桐山零名人が既に座り、目を閉じて集中力を高めていた……

 

 

 

やがて今対局立会人の佐伯宗光永世竜王と同副立会人の鏡洲飛馬八段も入場し、対局開始へ待った無し!

 

 

尚、今対局の先手は桐山名人となる。

 

 

2日間の熱戦が……さあ、間もなく火蓋が切られる……!!

 

 

 

 

 

 

  (鵠)

 

 

 

 

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第4局初日……、

 

 

今回の先手は僕であり、先ずは四間飛車から入って八一君の出方を窺うとするか………

 

 

 

一方で後の無い八一君は……と云うと、エース戦法の後手番一手損角換わりから戦闘準備に取り掛かる方針を示して来た……!!

 

 

 

其処からは陣固め迄はサクサクと駒を動かして防御を固め、その先は開戦迄の下準備とそれに伴う考慮に費やされ、初日終了……

 

 

 

封じ手は八一君が64手目を封じ、明日に備える事となった。

 

 

 

 

 

そして夕食後、燗酒1本(2合銚子)と軽い酒肴を頼み、晩酌しながら翌日の展望を汎ゆる角度から検討し続け、23時頃に眠りに就いた……

 

 

 

 

 

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 〜side八一〜

 

 

 

64手目を封じて明日の決戦に備え、夕食になったのだが……、

 

 

あい……、幾ら実家でどれだけ融通が利くからって専属仲居ってのは流石にやり過ぎじゃないの??

 

 

まぁ銀香を連れてきて、その無垢無邪気な笑顔に触れると色々と小難しい事なんて後回しでも構わねぇって位には銀香可愛いし、癒される♥

 

 

けど…あい、だからって高校卒業前の段階で既成事実作ろうとするのは流石に勘弁してくれ……

せめて俺の移住後でお願い致します………

 

 

 

 

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 第4局2日目

 

 

専門チャンネル事前予想スペシャル

 

 

チャンネル解説→神鍋歩夢九段

 

聞き手→岳滅鬼翼五段

 

 

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 〜とある女流棋士の独り言〜

 

 

 

「ゴッドコルドレン」こと神鍋歩夢九段が女流棋士初の棋士・奨励会員を弟子に持った女流レジェンドの釈迦堂里奈クイーン四冠(女流名跡、女流玉将、女流帝位、山城桜花)門下であるのは周知の事実であるのだが、そんな神鍋以前に釈迦堂が初めて弟子に持ったのが『不滅の翼』こと、岳滅鬼翼であるのは世間的には余り知られては居ない……

 

そんな姉弟弟子関係ではあるのだがこの2人、何時の間にか九頭竜・空同様に男女交際に及んでいるのは何故か公にはなっておらず、知るのは師匠の釈迦堂とその夫・清滝、そして彼らとは少なからず関わりの深い桐山、九頭竜、供御飯、月夜見坂、清滝桂香、二海堂、鹿路庭、神宮寺、鏡洲、神鍋馬莉愛程度に限られている。

これは神鍋人気が妙齢の女性に支えられているのが極めて大きな事に依るものであり、公表した際の悪影響がどれほどのものか予測がつき難い故、現在まで公表出来ずにあるものである。

 

 

………、まぁ公表のタイミングなんざ本人次第だけどよ、歩夢も翼さんももういい齢なんだしそろそろいいんじゃねぇかとは思うんだがな……(某大天使)

 

………、一体何を迷っているのか公表に踏み切らないって、いい加減もどかしいんだけど……(某ロリ王)

 

………、確かにこの2人、付き合うイメージが簡単に湧きにくいけど、それにしても未だ公表せずって嗅ぎ付けられた時がかなり面倒になると思うんだけどな……(某絶対神)

 

 

 

 

 

 

 

 

……………、彼等を熟知していると思われるこの3名ですら未だに隠すのは不自然と感じているようで、本当にとっとと公表して貰いたいもんどすなぁ………

(某他称女狐)=独り言の主

 

 

 

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そして2日目………、

 

 

 

八一君の封じ手は………、

 

予想に違わず開戦の1手であった。

 

 

 

 

此処からは午前中から激しい攻防が繰り広げられ、昼食休憩迄に何と昨日と同じ64手も進む乱戦模様に入ってしまった……

 

 

 

〜昼食休憩〜

 

 

八一君→能登近海豊漁御膳、レモンティー、地元特製ソフトクリーム

 

 

僕→能登牛ステーキ3種盛り御膳、ミルクティー、地元特製イタリアンジェラート

 

 

 

を注文、今後の展開を考えつつ、気が付けば30分余りで完食していた………

 

 

 

 

 

そして僕の手番である129手目から午後の対局に突入………、

 

 

 

 

激しい攻防はまだまだ続き、3時のおやつタイムの段階で手番は八一君で実に172手目に入っていた………

 

 

 

 

 

 

〜2日目午後のおやつ〜

 

 

八一君→能登半島特産フルーツ盛合せ、レモンティー(大容量ポット)

 

 

僕→ミルクティー(大容量ポット)、オレンジジュース、アップルジュースと、飲み物だけを注文。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして午後6時過ぎ……、

 

 

 

僕の手番……、239手目にして今局初めての長考に突入……

 

 

 

 

 

 

 

 

この段階での残り持ち時間は……、

 

 

 

八一君→21分

 

 

僕→1時間2分

 

 

 

 

 

 

午後6時50分過ぎ……、

 

記録係の登龍四段から、

 

「桐山先生、持ち時間残り10分ですのでカウントダウンに入ります。」

 

との勧告を頂き、更に己の全てを研ぎ澄ませ、ゾーンに入った。

 

 

 

 

 

 

 

午後7時過ぎ……、

 

「桐山先生、持ち時間を使い切りましたので此処からは秒読みとなります。」

 

と、登龍四段が宣言……

 

 

 

……、僕の読みが完璧ならば後は詰み迄押し通せるが相手は八一君だ、僕の詰み手順も読み切った上で尚上を行く手順を突き詰めている事も頭に入れなくては到底突き抜けられないのは自明の理だ……、

 

 

 

 

此処からは秒読みを意識しながらまずは詰み手順の通りに指し、八一君が外すか異なるアプローチに持ち込むかになれば後は秒読み限度での最善手(勝率98%以上)を続け、我慢勝負に打ち勝つしか無い………

 

 

 

そして30分………、

 

 

今度は八一君の手が止まった………

 

 

 

残り20分……、八一君も限度一杯迄考え、

 

「九頭竜先生、持ち時間を使い切りましたので此処からは秒読みとなります。」

 

との宣言を貰い、午後8時に至り、両者秒読みの地獄の地雷回避の泥仕合に突入する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

然しその泥仕合も1時間後になると千日手の様相となり結局午後9時30分頃に千日手が成立、30分の休憩後に先後入替での指し直しとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後10時過ぎ………、

 

 

 

今度は先後入替により、八一君の先手で始まった指し直し局………、

 

 

 

 

 

 

僕は早見え早指しの鉄則のままにサクサクと時間を浪費せず陣容を整え、戦闘準備に掛かっていた。

 

 

 

 

一方の八一君はと云えば、こちらもサクサクとマイペースに陣形を作り、攻防万全に持って来た。

 

 

 

 

 

 

30分後、開戦………!!

 

 

 

 

 

 

 

先ずは八一君が歩夢君を準るが如くに香車を前進、此方に楔を打ち込み、巧妙に牽制して来た……

 

 

 

 

ならばと僕は桂馬を跳ね、八一君の玉と大駒狙いを明示すると八一君、守備に戻って来た……

 

 

 

 

此処からは一気呵成に攻勢に出、敵陣を荒らし回って玉を孤立させた処で投了させなきゃ此処は勝ち取れ無い………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……が、どうやら八一君も想定内だったようでギリギリ保ち堪えている薄い守備をどうしても喰い破れず、攻めが切れるや否や今度は八一君の逆襲ターン………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こっちも早期決着へ研究研究更に研究………を重ねてはいたのだが八一君、魔王の二つ名は伊達ではないようで、指し直し局はほぼほぼ八一君の想定内の展開であり、外そうがどうしようが変えようも無い局面に持ち込まれ………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後は形作りだけを行い、投了するしか無くなった………

 

 

 

 

 

   

 

 

結局、第4局は本局331手を以て千日手成立………

 

指し直し局は119手にて僕が投了……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら流れが変わり、八一君に風が吹きつつあるようだ………

 

 

 

 

 

次の第5局は1週間後……、立て直すには時間が足りなく、最終第7局迄の全体的対策で対応するしか無いだろうな………

 




第4局を終えた翌日、真っ直ぐに京都に戻らず神戸に足を運んだ……



で、市内一等地にデンと構えたタワーマンション最上階(地上55階地下2階建、地上高226m)にある天衣の家に入り、天衣・晶さん・冬司の出迎えを受けた。


そこでまず紅茶で一服した後冬司の研究部屋に入り、先の第4局の検討に取り掛かった……


そこから見えたのは………、

本局後半での激戦の中、知らず知らずの内に八一君に千日手模様に誘導されている絵図であった……


前回の将棋人生でもこんな周到な罠に搦め捕られた試しなんて無いに等しかったのに、この大事な局面で見事にしてやられるとはな……












………、この先は400年余りの将棋史でも類を見ない究極至高の死闘激戦に為る事最早疑い無いだろうな……





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神戸の超高層タワーマンションの管理者は夜叉神グループの不動産企業であり、実質のオーナーは夜叉神弘天会長であるのは周知の事実である。
故に健在している唯一の身内(実孫)である天衣の要望に即座に応えたのは必然であった……


そして弘天会長も宗谷冬司少年をつぶさに観察し、その性質人間性を見極めた上で孫婿として認め、同棲(付き人・警護要員込み)も認可したとの事だ……


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そんな訳で冬司の高校卒業(冬司自身は中卒で十分らしいが天衣と弘天さんが高卒資格を望んでいるようだ)のタイミングで入籍する運びとなるようだ……

そういえば冬司も170cm程に身長も伸び、身体自体は僕と殆ど変わらない位になっている……

一方で天衣も高校卒業間近であり、身体つきも大人の女性然となっており、確かに弘天さんが過剰に心配するのも理解出来る。

けど警護のメンバーが一般人どころか一流アスリートすらも漏らさせるレベルなだけに不用意に天衣に近付くなんて土台不可能とは思うけど………
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