僕の名は『身大生長』雄英高校に通う背の低い事がコンプレックスの普通科の学生だ。僕の個性はヒーローには向かないのでヒーローを諦めて普通科に進んだありきたりな経歴。そんな僕には最近知り合って付き合い始めた彼女が居る。
「ごめん、お待たせ身大」
「ううん、それじゃ帰ろうか」
一緒に帰ろうと普通科の教室まで迎えに来てくれたのはヒーロー科の耳郎響香。僕の恋人だ。彼女と知り合ったのは入学してから二ヶ月が過ぎた頃だった。
◆◇◆◇
僕は移動教室に遅れそうになり、廊下を走っていた。別に遅刻したから罰がある訳では無いが遅刻してしまうのは不味いだろうと考えて授業に間に合わせようと必死だった。だから曲がり角の人影にも気付かなかった。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
曲がり角に差し掛かる所で誰かとぶつかってしまう。声からして女子なのだと直ぐに分かったけど僕は情けない事に、ぶつかった女子と同じ様に廊下に僕は尻餅を着いてしまう。
「痛ったぁ……」
「いつつ……ご、ごめ……あ」
同じ様に尻餅を着いた女子に謝って立たせようとした瞬間、気付いてしまった。女子が尻餅を着いた拍子にスカートが捲れて足が開いていた事に。
「〜〜〜っ!」
「ご、ごめんなさ……はぎゅっ!?」
僕の視線に気付いた彼女の耳から伸びて来た何かが僕の耳に繋がり、その直後爆音が鳴り響いて僕の意識は飛びそうになる。
「このスケベ!」
「ごめんなさい、こんなんでも健康な男子なんです」
飛びそうになった意識は女子の怒号でなんとか繋ぎ止める。お怒りはごもっともだとは思うけど過剰防衛なのでは?廊下に倒れた僕を見て女子も怒りが多少収まったのか僕を抱き起こしてくれた。
「ああ、うん……ウチもちょっとやりすぎた。少しイライラしてたから、その怒りをぶつけちゃった」
「いや、僕も……その見ちゃったし……」
どうやら、この女子はスカートの中を見られた事と溜まっていたストレスを一気に僕で発散したらしい。廊下に座り込んだままにはいかないので、女子に手を引かれながら立ち上がる。女子に立たせてもらうのは少し情けなかった。しかも立ったら女子の方が背が高かったのが更に泣ける。
「ウチはヒーロー科の耳郎響……あれ?」
「僕は普通科の……どうしたの?」
立ち上がった女子が名前を教えてくれそうだったのだが急に口を閉じた。いや、言葉を失ったと言うべきなのか。耳郎さんはなんと自分の胸を揉み始めた。いや、何事!?僕は目の前の光景から目が離せなかった。
「お、大きくなってる……なんで……」
耳郎さんは信じられないと言った表情になっている。耳郎さんの胸は制服がはち切れんばかりに膨れている。あ、これはもしかして……
「それ、僕の個性かも。ごめんなさい、さっき発動させちゃ……ぐぇ!?」
「詳しく聞かせて」
僕の言葉を遮り耳郎さんに胸ぐらを掴まれる。耳郎さんの方が背が高いから僕の足が爪先立ちなってしまう。どれだけ必死なの!?
「ぼ、僕の個性は『生長』僕が触れた物は一時的に生長させる事が出来るんだ。さっき耳郎さんとぶつかった時に個性が発動したから、その……耳郎さんの胸が成長したんだと思う」
「そ、そっか……アンタの個性でウチの胸が……これなら……他の箇所も……」
掴まれた胸ぐらは離されたけど僕の視線は耳郎さんの胸へと行ってしまう。ブツブツと何かを呟く耳郎さんだけど制服がはち切れそうな巨乳になっているから色気が凄い。
「ねぇ……この個性ってズッとこのまま?」
「ううん、発動しているのは僅かな時間だけだよ。長い期間触れて個性を馴染ませれば長い時間成長させらるけど、ちょっと当たった程度なら一時間くらいかな」
耳郎さんは胸に手を当てたまま聞いてくる……なんかグラビア見たいなポーズだったのでドキッとしてしまう。
「そ、そっか……ねぇ、アンタ名前は?」
「僕は身大生長。普通科だよ」
先程遮られたけど僕は自己紹介をする。すると耳郎さんは頭を下げて来た。
「お願い!ウチにその個性を馴染ませて!」
「え?」
突然のお願いに僕はポカンとするしかなかった。
◆◇◆◇
それから僕は学校がある日の放課後は毎日耳郎さんに個性を使用し続けた。最初は「ヒーローとして成長したいからウチの体を成長させて」と言われてやっていたのだが二週間過ぎた頃に本当の事を聞かされた。なんでもクラスメイトが巨乳だったり、腰つきが良かったり、麗かボディだったり、浮かぶ下着だったり、意外オッパイだったりと自分に色気が無いと悩んでいたらしい。そこで僕の個性を使って色々と成長させたかったのだとか。いや、浮かぶ下着って何?
「そ、それで身大の個性ならウチも……って思っちゃって」
「ううん、女子の悩みだし……うん、仕方ないんじゃ無いかな。でも、嫌じゃなかったの?男子に触られるのって」
顔を赤くしながら俯く耳郎さんが可愛かった。そんな事を思いながら耳郎さんに聞いてみると耳郎さんは僕に背を向けた。
「そ、その……最初は抵抗があったけど…… 身大に触ってもらってるとドキドキして……その最近はもっと触れて欲しくて……それで身大に嘘は言いたくなくなって……ううぅ……」
耳郎さんは僕に背を向けたままイヤホンジャックを突き合わせているのだろう。カチャカチャと音がする。そして多分、顔も真っ赤なのだろう。だって後ろ姿からでも耳まで真っ赤になっているのが見えるから。
「耳郎さん、その……僕も耳郎さんにもっと触れたい」
これは僕の本音だった。耳郎さんの身体を成長させる為に様々な箇所に触れたのだが柔らかいし、良い匂いがして毎回理性がギリギリだったりする。耳郎さんが本当の事を言ってくれたんだから僕も嘘を言いたくなかった。
「だから、その……身体を成長させるって理由じゃなくて僕は耳郎さんと付き合いたい。だから僕とお付き合いしてください」
「うん……ウチで良ければ」
僕の告白に耳郎さんは振り返り、僕が差し出した手を握ってくれた。こんなやりとりがあってから冒頭の付き合い始めの下りとなったのだ。
人生、どんなきっかけで恋人が出来るか分からないものだ。個性事故から始まる恋もあるんだね。
『身大生長』
雄英高校の普通科一年の生徒。
一人称は「僕」
個性『生長』
背が低い事がコンプレックスで力も無い気弱な貧弱ボーイ。触れた物を一時的に生長させる個性の持ち主。明らかにヒーロー向きでは無い個性なので幼い頃にヒーローを諦めた。
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