俺の名は武藤慶次。無個性のしがないサラリーマンだ。今の時代、無個性だと色々と言われてしまうが俺はもう慣れたもんだ。そんな俺は仕事終わりに居酒屋で一杯やっていたのだが……
「あー……もう!なんでモテないのよ、私!」
「まあ、飲めや」
居酒屋のカウンターで酒を飲みながら愚痴る女性『土川流子』コイツは『ピクシーボブ』と言うヒーロー名で『プッシーキャッツ』と言うヒーローチームでヒーローをしている俺の中学の時の同級生だ。
流子とは仲が良く別々の高校に進学し、卒業した後でもこうして時折り飲みに出る仲だ。まあ、半分くらいはコイツの愚痴を聞く為の飲み会なのだが。俺はビールを追加で注ぐ。
「うー……またよ、また。新たな出会いを求めて合コンに行こうと思ったら、その日に事件が起きて合コンに行けず、合コンに行った友達は彼氏が出来て……婚活しようと思ったら……」
「すいませーん、芋のロックで」
話を聞きながら俺はビールを止めて他の酒の追加注文をする。すると流子はキッと俺を睨んできた。
「聞いてるのっ!?」
「聞いてるよ。それで流子はどうしたいんだ?」
話を聞いていないと思ってキレた流子は怒鳴ってきたが俺は冷静に返した。すると流子はカウンターに肘を着いて、うつ伏せになる。
「本当はさー……分かってんのよ。ヒーローやってれば良い男との出会いが無いなんてのはさ。良い男よりもヴィラン追っかけてる事が多いんだからさ。でも、割り切れないのよ。愚痴りたくなるのよ……」
「だから、こうして俺が付き合ってんだろ。市民の前ではヒーロー、ピクシーボブだったとしても、俺の前じゃ流子で良いんじゃねーか?」
愚痴る流子に俺はタバコに火を灯して答える。
「アッハハハハッ!アンタにキザな台詞なんて似合わないっての!」
「うん。お前がモテない理由が良くわかるわ」
結構良い事を言った筈なのに流子からは爆笑された。そんなリアクションしてりゃ、モテる訳ねーわな。
この後、流子の愚痴と悩みを聞きながら飲み会は続いた。俺は酔い潰れた流子を背負って店を出た。この状態でタクシーを呼んでも拒否られる可能性があったからだ。俺は流子から紹介されて友達になった送崎信乃(マンダレイ)に電話して迎えに来て貰う事にした。同じヒーロー仲間で流子とも仲が良く、こうやって流子が潰れた時には良く連絡をしていた。
送崎からは迎えに行くから駅前まで流子を連れて来て欲しいと言われたので流子を背負って駅を目指して歩いていた。因みに流子はスカートで来ていたので俺の上着を腰に巻いてから背負っている。じゃないとスカートの中身が丸見えになってしまうからだ。
「うー……ばっかやろー……リア充はしぃ……ねぇ……」
「およそヒーローの口から出たとは思えない台詞だな」
俺の背中で恨み節全開の流子。どんだけストレス溜まってるんだよ。俺は流子が背中から落ちない様に背負い直す。ちゅーか、男の前で酔い潰れて体を預けるって警戒心なさ過ぎだろうよヒーローさん。
「もう、ばかぁ……すぅ……すぅ……」
背中越しに伝わる熱にドキドキしていたら寝息が聞こえてきた。酔い潰れて寝やがったよ、コイツ。顔の位置が俺の肩の辺りなので吐息が掛かってるんだけど。無自覚にしてるから尚更、タチが悪い。
「まったく……良い男探しか。ここにずっとお前の事が好きな男が居るんだが、気付かないんだよな、お前は」
俺はポツリと呟く。そう、俺は中学の頃から流子が好きだった。だが、この関係を崩したくなかったから告白しなかった……それがまさか此処まで長い友達付き合いになるとは思わなかった。それとなく好きだと告げようとしたが流子は俺を仲の良い……なんでも愚痴れる友達くらいにしか見てないのだろう。
「なによー……なんか言った?」
「なんでもねーよ。迎えが来る場所まで運んでやるから、寝てろ酔っ払い」
俺の呟きが聞こえたのか流子が起きた。とは言っても力が抜けて俺の背に体を預けっぱなしだから寝ぼけてるのだろう。面倒な事になりそうだから、そのまま寝てろっての。
この後、俺は流子を迎えに来た送崎に任せてアパートに帰った。流子の腰に上着を巻きつけたままだったと気付いたのはアパートに到着してからだった。
『武藤慶次』
無個性のサラリーマン。
ピクシーボブとは中学時代の同級生で無個性だった為にヒーローの道には進まなかったがピクシーボブとは仲が良かった。成人してからは飲みに行く間柄となった。
次回のキャラは?
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発明に必要な事?(発目明)
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組手仲間(拳藤一佳)
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逃げる私、追う彼(爆豪勝己)
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手の掛かる幼馴染(轟焦凍)
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増やさないで(トゥワイス)