ミトに至る倒錯   作:氷の泥

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04 三分の一の

 人は、様々なことに対してすぐに慣れる。痛みだけがその例外である……と言う人もいるけれど、それは私には分かりようもないことだ。

「理科だよ絹川さん。一緒に行こう?」

「うん」

 砂切に手を引かれて……というわけではないけれど、彼と並んで歩いて理科室へ向かう。理科の授業はいつも理科室で行われるので、確かに一ヶ月ほど前に宣言された通り、二鍵先生と会う機会の約三分の一は理科室が占めているように思えるものだった。

 高校生になってから、砂切と知り合ってから、大体一ヶ月くらいの時が経過した。カレンダーはとっくに五月を報せている。どこかにいるであろう患者は自身がそのキャリアであることをひた隠しにしているのか、五月病に苛まれているらしき人を身近にはまだ一人も見たことがない。

 つまり、相変わらず砂切は元気だった。むしろ一月前よりもさらに楽しそうに学校生活を送っているくらいで、休み時間に移動教室に昼食に、ことあるごとに私に声をかけてくる。私の方だってそれだけの時間を過ごしたあとでは、彼の馴れ馴れしさを自然な物だと感じるようになっていた。

 いつかの身体測定の日と違って、今日の廊下は人通りが多い。他のクラスメイトたちもチラホラと理科室へ向かっていた。胸の前で教科書やノートを抱えた砂切が言う。

「絹川さんって部活はやらないの?」

「今?」

 この高校の大抵の部活動はいつでも部員を募集している。しかし、メインの入部期間は四月をもってほとんど終了した。今の各部活の状態については、「募集している」というより「受け入れることが出来る」と言った方が正確な表現になるだろう。

「だってさ、部活に入れば……」

 突然、何かに気付いたように砂切が言葉を切る。

「入れば?」

「……入れば、楽しいかなって」

「私は家でゲームしてるのが一番楽しいよ」

「そっかぁ……」

「何か興味のある部でもあるの?」

「いや、ない」

「ないんかい」

 やりたいことがなくても部活をしていた方が青春っぽい……という感覚があること自体は、分からないでもない。しかし、砂切がどうかは知らないけれど、私はそもそも青春というやつに興味がなかった。……むしろどちらかといえば嫌いかもしれない。

「絹川さんは中学の時も帰宅部だったの?」

「そうだよ」

「そうだったんだ」

「そっちは何かやってたの?」

「一瞬だけ、合唱部だった」

「えっ」

 意外。その一言に尽きた。

 けれどそうか、言われてみれば確かに、砂切が所属する可能性のある部活は限られている。彼の入部する可能性のある部活は、女子比率の高い部活だけだ。

 ……しかしまぁ、それにしても、そうかぁ、合唱かぁ……。それはどうにも、気が合わなさそうだ。合唱が好きな人間と私とでは、ちょっといろいろと……。

「どうかしたの?」

「うん? いや別に」

 歩きながらの砂切が心配そうにこちらを覗きこんでくる。「学校」「合唱」といったワードから連想される悪い思い出を、脳内によみがえらせていることが悟られたらしい。心配してほしいわけではないから、私もそれを考えるのはやめることにした。

「ところで、歌うまいの?」

「ううん、普通。しかも練習がキツくて、すぐ辞めちゃった」

「あ、そうなんだ」

 ちょっと嬉しそうな声が出てしまった。

「なにー? 帰宅部シンパシー?」

「そうかも」

「まあ絹川さんが部活やらないなら、僕も帰宅部だからね」

 そんなこと言わずに次は美術部にでも、と言いかけて、やめた。部活の良さを理解できない人間が、どうして人にそれを勧められようか。

 理科室に到着すると、二鍵先生が黒板の前の椅子に座ってジャンプを読んでいた。マジかよと思う。彼の担任するクラスメイトとして生活して一ヶ月、そんなフリーダムな先生のことは初めて見た。

 ともかく、六つあるテーブルのうち、窓側後方隅の席に砂切と隣り合って座る。分かりやすいように、教室の席順と理科室の席順を連動させることにしようと決まったのは、一番最初の理科の授業でのことだった。

 授業の開始時刻までは、まだあとほんの数分あるので、私は砂切に提案してみることにした。

「砂切くん」

「うん?」

「今度カラオケ行かない?」

「えっ!!」

 有名アイドルの突然すぎる結婚報道でも聞かされたのか? というくらい大きな声が飛び出た。理科室中の生徒がこちらを見る。先生も漫画から目を上げて「何?」という顔をする。砂切は恥ずかしそうに縮こまった。

 そして、先生は漫画の続きに釣られて、他の生徒は私と目が合いそうになったことで、全員が各々の世界に戻っていく。

「ご、ごめん、変な声でた」

「びっくりしたよ」

 嘘である。私にそんな機能はない。

「ごめん」

「いいよ。で、行かない?」

「え、い、い、行きたい…………けど」

「けど?」

「……いいの?」

「……何が?」

 上目遣いになる砂切に、私はたぶんものすごく冷たい視線を向けていたんだろうなと思う。それは単なる疑問の眼差しでしかないのだけれど。

「え、だって、カラオケってさ……」

「うん」

「………………………密室じゃん」

 聞き取れるギリギリの声量で、彼は俯きながらそう言った。

 今度の私は、わざとジトーっとした視線を彼に向ける。向こうもすぐにその視線に気付いて、ドキッとしたような顔をした。

「砂切くん」

「え、あっ、な、なに……?」

「発想が怖い」

 あくまでも客観的な感想だった。

 しかしその時の砂切の表情は、なかなか必見の物であったように思う。あわあわあわ……と、口元が本当に、まるで揺らぐ水面のように見えた。

「ご、ごめんっ」

「冗談だよ」

「えっ」

「そっちもそうでしょ?」

「……え……と」

 沈黙の中に、彼の葛藤を見た。

 砂切は表情豊かで人懐っこい人間だけれど、時として常日さんでなくても内心を把握できてしまうくらい、明らかに過剰なほど感情が顔に出ていることがある。私はそれを見ていると面白いと感じるけれど、本人はたまったものじゃないだろう。

 今だって、あー、これは今の本気で言ってたんだなぁと、手に取るように分かってしまった。……そして彼が次の言葉を発するよりも先に、授業開始のチャイムが鳴ってしまう。

 まあ断られることはないだろうと思って、約束を後回しに私は教科書を開いた。砂切もそれに倣う。

 

 

 

 

 

 

 

 その週の土曜日に、私たちは最寄り駅で集合した。

「おお……こんにちは……」

「こんにちは……」

 出会って数秒の間、お互いにお互いの私服へ見入っていた。

 彼の服装を見て 私たち二人は女性のファッションの理念的な部分で、ある意味では共鳴しているように思えた。砂切は当然のようにロングスカートを穿いていた。私はそれを見て、彼はスカートの類しか身に着けないのではないかと感じた。

 向こうも、それと似たようなことを察知したようだった。

「絹川さんってもしかして」

「うん?」

「普段はスカート穿かない人?」

「よく分かったね」

 大正解である。

 とりあえず出発しようか、ということで、近場のカラオケ店へと向かう。子どもの頃、常日さんに連れて行ってもらった場所と同じところへ。私も母に負けず劣らずの引きこもりなので、それ以外のカラオケを知らなかった。常日さんとカラオケに行くこと自体は未だにあるけれど。

「砂切くんってさ、もしかしてスカート系の物しか着ない?」

「え、うん」

「スカートのこと世界で一番かわいい服装だと思ってる?」

「えっ、なに、占い……!? 当たってる……」

「フフフ」

 やっぱりそうだった。私たち二人は共鳴する部分を持っているのだ。まさに表裏一体と呼ぶにふさわしい感性を持っている。

 スカートなんていう女の子女の子した物、おいそれと身に着けるわけにはいかないじゃないか……! という気持ちと、スカートなんていう女の子女の子した物、身に着けない手はないじゃないか……! という気持ちと。

「絹川さんはどうしてスカート穿かないの? ズボンも似合ってるけど」

「それは、穿くところまで性格が達していないから」

「性格が達するってなに……!?」

 それが具体的に何なのかは、私にも分からない。けれどなんとなく伝わるものはあるはず。砂切と私を、二人の振る舞いや言動の違いを見ていれば、誰にでもなんとなく分かる何かがあるはずだ。

「それより今日なに歌うの?」

「絹川さんは?」

「砂切くんの知らない歌」

「えー、なんだろう? 楽しみ」

「下手だよ」

 子どもの頃、常日さんが「ヨルちゃん上手~!」としきりに褒めてくるので、それを真に受けたことがあった。お気に入りの歌をしばらく家でも歌い続け、そしてある時ついに自分の歌声を録音して、真実と鉢合わせてしまった。

 ちなみに常日さんは歌が上手い。上手くて、そして、他人の歌の出来にあまり興味がないんだと思う。「私はヨルちゃんの歌好きだけどなぁ」とあの人は今でも言ってくれるし、それが本当のことのように聞こえるのだ。自分より下手なことは当然として、それはそれとして好きだと、本気で思っていそうな感じがする。笑顔の仮面の奥を見透かすような技術が私にあると自負できる根拠なんて、どこにもあるはずがないのだけれど。

「何名様でしょうか」

「二人です」

 指を二本立てて受け付けを済ませる。ドリンクバーも頼んだ。白ぶどうジュースにする。砂切は初っ端からホットのココアを淹れていた。

 私は痛みを認識できないばかりに熱い飲み物とは距離を置いている。どうも普通の人は「これを飲むとやばい」という温度が分かるらしいのだけれど、私にはそれが出来ないので、触らぬホットに祟り無しといったところだ。

 真っ暗な部屋に先陣を切って踏み入り、電気と空調のスイッチをオンにして、ソファの一番奥に座る。砂切はおどおどした様子で続いて来て、あちこちキョロキョロと見回しながら、とりあえずココアをテーブルに置いた。

 そして深呼吸をしながら、部屋のドアを引いて閉じる。カラオケの部屋のドア特有の、少し重々しい音が部屋を伝った。

「先どうぞ」

「あ、う、うんっ」

 選曲の機械を受け取って、彼は私からそれなりに離れた位置に座る。曲を選ぶ彼の表情や雰囲気の中から、どこか焦りのような物を感じ取ることができた。

 それから間もなく彼が入れた曲。それはCMなんかでもよく聴く、最近の流行りの曲だった。前奏が流れ始めたところで、意地が悪いとは思いつつも、言いたかったことを言う。

「さぁ、見せてもらいましょうか、一瞬合唱部だった人の実力を」

「えぇっ、ちょ、そんな期待しないでって……!」

 と言いつつ、彼は起立した。そしてその後、私たちの立場は完全に入れ替わることになる。

 砂切の歌唱終了後、困ったことになったなぁと思うようになったのは私の方だった。

「砂切くんさ」

「は、はい」

「上手いなら上手いって言わないとダメだよ……」

 何かを上手くできる人間の言う「こんなの普通ですよ」ほど傲慢な物もほかにないだろう……。ドリンクバーでホットココアを持ってこられる人間はこれだから……!

「えっ、そ、そう? よかったぁ」

「私本当に下手だから、やりづらいんだけど」

「えー、歌って歌って。絹川さんの歌気になる」

「後悔しないでね」

「そんななの……?」

「さぁね……」

 ジャイアンや歌下手芸人よりはマシな自信がある。一方で、動画サイトで同レベルの物を聴いたら即行でブラウザバックをする確信もある。

 とりあえず、砂切のことを見ていて思い出した曲があるので、それを歌うことにした。見てもいいことがない気がしたので、座る砂切の方は一切見ずに歌う。そのうちサビが近付いて来た。

 

「救いなんてない時代~ 言葉など甲斐もない無価値 違うか。そんなポンコツに縋んなよ……。

 モデラートなペースで回る世界! 滑って落ちんのはどなた様! ふかした顔した化け猫が 転ぶ 果てる さぁ(いち)抜けた!

 空っぽのままでも迫る未来! 終わってしまうならその程度! 笑っても泣いてもこいつが最終便だろうー!」

 

 間奏の時間がやってきた。砂切が「上手いじゃん!」とお世辞を言ってくれるけど、そこに常日さんと同じ物を感じて、なんとも言えない気持ちになる。

 曲名、20XX。「モデラート」の意味は「中くらいの速さで」らしい。つまり「普通に」ということだ。上手くないよ~普通だよ~、とのたまう砂切の歌を聴いてこの曲を思い出した。

 間奏が明け、終わりまできっちり歌って、後奏が完全に鳴りやんでから、私は砂切の顔を見る。

「ね?」

「いや、上手だったけど」

「ありがとう」

 そう言ってくれるなら、それ以外の言葉は見つからない。

 その後砂切は一曲歌うごとに、どんどんエンジンが温まっていったようだった。彼の曲選択の速度は増し、前奏時の表情にポジティブさが色濃くなっていく。楽しそうで何よりだ。

 一方で私はネガティブな歌詞の曲ばかり歌う。砂切とは曲の好みがほとんど対照的なようだった。きっと私が結婚式で流れそうな恋愛ソングを歌うような日は永遠に来ないだろう。

「ジュース取ってくる。そっちのも入れて来ようか?」

「あ、自分で行くよ」

「でも曲始まりそうですけど」

「え~じゃあオレンジジュース!」

「ホット?」

「ないでしょ!?」

 アイスのオレンジジュースがご所望のようだから、ココアの入っていた耐熱カップは部屋に置いて行く。

 部屋を出てドアを閉めると、分厚い扉をそれなりに貫通してくる砂切の歌声が聴こえた。声が扉を貫通することについては私も同じだし、他の客も同じだろう。近付いても聞こえないほどの防音なんて中々あったものじゃない。

 そして……新しいコップにオレンジジュースを注いでいる時のことだった。私の脳細胞が唐突に遠い日の思い出を呼び覚まし、そのまま名案を思いつかせた。

「砂切くん、歌ってほしい歌があるんだけど」

 戻ってきて早々、飲み物を置きながら言う。

「どんな歌?」

「メルヘンデビューって知ってる?」

 それはかつて、中学生の頃の私が面白半分で常日さんにリクエストした曲だった。そして私は、それを完璧に歌い上げたその人を見て思ったのだ。いやアイドルじゃん……と。

 それからというもの、おそらく私の心の埋もれた部分に「親しい人間の歌うメルヘンデビューが気になる」という概念が生まれたのだと思う。今の今まで忘れ去っていたくらい、それはどうでもいい興味なのだけれど、しかしその興味はしぶとく蘇った。

 ちなみにメルヘンデビューに限らず、母は私と同じくらい歌が下手だった。遺伝……?

「メルヘンデビュー?」

「うん」

「知らない曲だ」

「知らないかぁ。こういう曲なんだけど」

 イヤホン付きのスマホを差し出す。世は女子高生でさえ「ンゴ」という語尾を使いだすような大インターネット時代。砂切がアングラな文化を知らなくても、どこかで聞いたことがあったりするのではないかと期待してみた。

 そして曲を聴いた砂切がいつにも増して目をキラキラさせ始めたので、なんだやっぱり知っていたんじゃないかと思ったその瞬間。

「なにこのかわいい曲! 初めて聞いた!」

 普通に気に入っているだけだった。

 そして、無邪気な報いの刃が来る。

「絹川さんこれ歌って!」

「え」

 正気か? と思った。

「あのね砂切くん、かわいい曲をかわいくない人に歌わせるとね、カレーに生クリームを絞るような現象が」

「絹川さんはかわいいじゃん」

「どこがよ」

「全部」

「えぇ……」

 砂切のそれは、考えてみれば当然の認識ではあった。なぜなら、かわいい物が好きな砂切流は、かわいくない人には積極的に話しかけに行ったりなんてしないだろうから。問題は彼の「かわいい」の基準なのだけど……。

 正直、自分の容姿そのものは悪くないと思う。けれどそれと「かわいい」とは別だ。だって極端なことを言ったら、財前時子にメルヘンデビューを歌ってほしくはないでしょ……? さすがに自分の容姿が財前時子と同等だとまで言うつもりはないけれど、でもそういうことなのに、その例えが砂切には通じないだろうことがもどかしい。

「歌ってよー」

「本当に……?」

「うん、聴きたい」

「……はぁ」

 私は、生まれ持った異能力によって「怒り」以外のあらゆるストレスを感じない。痛みも感じない、悲しみも感じない、それから……羞恥心もない。

 一曲歌うだけなのだ。自分のことを褒めてくれる相手にそこまでお願いされて、それでも断るほどのことなのだろうかと考えると、私は…………マイクを握った。

「砂切くん」

「うん?」

「羞恥心の欠損した人間が歌うメルヘンデビューを見せてあげる」

「やったー!」

 やったーじゃないが。……まあとにかく選曲機にそれを入力した。画面にはすぐに曲名が表示され、やがて前奏が……というところで、なぜか砂切もマイクを持った。

 彼は、その美声を間違った方向に使う。

 

「そのとき空から、不思議な光が降りてきたのです……。あ、あれは誰だー! 誰だー! 誰なんだー!」

 

 冒頭の台詞パート(そこ)からやるの!?

 あまりの不意打ちにツッコミの声も出ない。しかし覚悟が完了している私は、ここで砂切の無茶ぶりに乗らなければ、むしろ何か負けた気がすると思った。負けるのは悔しい。悔しさとは、不甲斐ない自分への怒りだ。

 私は、自分の物ではない名前を、ありったけの思いを込めて叫んだ。語尾にしっかり☆マークを付けて。

 

 

 

 

 

 

 駅近くのカラオケから改札までの短い道のりを行く。砂切は、これまで見た中で間違いなく一番の上機嫌だった。満面の笑みで、私の横で、悪気なさそうに口ずさむ。

「ミンミンミン♪ ミンミンミン♪ ウーサミーン♪」

「そんなに気に入った……?」

「うん! 覚えるよ。お姉ちゃんと一緒に」

「姉と……」

 ウサミンの輪が広がっていく。これを期に砂切がアイマス沼に浸かり始めたらどうしよう。重課金なんかしようものなら一大事だ、うっかり人の人生を狂わせてしまったのかもしれない。

「じゃあ僕、電車だから」

「うん、じゃあね」

「また学校で!」

「はーい、またねー」

 砂切の背中を見送って、自分も家路につく。と言っても本当に数分程度の道のりだけれど。

 道中、住宅街の広くはない道を、野良猫が一匹横切った。三毛模様のそいつは一瞬だけこちらに目を向けたあと、サッとその場から去っていく。猫界のマフィアの首領みたいな顔をしていた。

「はぁ」

 わけもなくため息が出た。

 一度合唱部に入って、すぐにやめた男の歌がどんなものか、純粋に興味が湧いただけだった。その興味に対する結論は「そもそも入部しようと思える時点で、歌に自信があったんだなぁ ヨルを」といった感じになったけれど、そんなことよりも……。

「なんか楽しかったな……」

 口に出してみると、なおのことそれが気のせいではないことを自覚した。

 

 

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