目指すは孫悟空 作:黒沢
俺はドラゴンボールという作品が好きだった……。魅力的な悪役、超サイヤ人のカッコよさ、怒涛の戦闘シーン……。どれも素晴らしいものだ。巷ではGTや超を黒歴史なんて言う奴も居るが、俺はその両方とも好きだ。そりゃあ、うーんってなる部分もあるがドラゴンボールであることには変わりない。
俺は小さい頃からドラゴンボールに憧れるようになった。二次元の世界に憧れを抱いたところで何かあるという訳でもないのに……。ましてや、二次元の世界に行けるわけがないのに……。俺はひたすら筋トレを行った。筋トレを行っていつの日か孫悟空、カカロットのようになりたいと考えるようになった。
そんなある日、俺はデパート内で無差別殺人事件に巻き込まれた。俺は犯人から凶器を取り上げようと、昔見た米海軍の格闘技を見よう見真似で真似た。そして、凶器をすぐに投げて俺は一瞬安堵していた。
しかし、気づいていなかった犯人がもう一人居ることに……。もう一人の犯人は逃げようとしている人を刺そうとしているのを見て、俺は急いで走った。間に合わないかもしれない。そんなことを考えていた俺は咄嗟に刺されそうになっていた人の前に立ち、俺の胸元にナイフが刺された。すぐにナイフを引き抜いたが、意識が朦朧としていた。
周りが救急車を求める声が聞こえる。ああ、そうか……。
俺死ぬのか……。自分が死ぬのにすぐに理解できた。でも、良かった……。目の前で誰かが刺される現場なんて見たくねえから……。
その瞬間、俺の体から力が抜けて俺は倒れて行った。
これが俺の前世の最後だ。
人によってはとても素晴らしい最後とも捉えるかもしれない。俺にとっても多分そうだ……。俺はきっとこのまま天国か地獄とやらに行くのだろう……。
「初めまして、私は神様です!」
次に目覚めるとそこは白い部屋だった。目の前には白いワンピース姿の神様と名乗る少女が椅子に座ってこちらに話しかけていた。閻魔のおっちゃんみたいにこれから天国か地獄と宣告されるのだろうか……?
「貴方の死因は見せてもらいました。まだ若いのに亡くなってしまうなんて……!」
「……あの後はどうなった?」
俺が庇ったあの現場がどうなったのか気になっていた。
「気になりますよね。あの後、二人共逮捕されました。貴方の行動のおかげでたくさんの命が助かったんですよ」
良かった……。
俺が危ない橋を渡ることで多くの命が助かったんだ……。
「そうか……。それを聞けてもう満足だ。早いところ俺を天国でも地獄でも連れて行ってくれ」
「そのことなんですが、貴方に提案があるんです!違う世界に転生してみませんか……!?」
思っていた内容と随分違う内容の発言が飛んできた。
「違う世界に転生ってことは……。そこの世界で人生をやり直すってことか?」
「そういうことです……!実は今救いを求めている世界があるんです。その世界は今にも悪が秩序を支配しようとしています。このままでは最悪な事態も考えられます。どうか貴方の力を貸していただけませんか!?」
悪が秩序を支配しようとしているか……。どの人間にも心に悪を抱えているものだ。もし、それがないとしたらそれは孫悟空たちぐらいだ。
「分かった、俺をその世界に転生させてくれ」
「え?いいんですか……!ありがとうございます……!」
「ああ、構わない。まだあの世に行くわけにはいかないようだからな」
此処で悟空なら強い奴と戦えるかもしれないからワクワクっすぞとか言うんだろう。俺も内心そんな気持ちはあった……。
「ありがとうございます!それで特典についてなんですけど……。どうしますか?」
特典……?
なんだそれ……?
「ああ、特典というのは例えばこの世界に行って最強魔法を使えるようにして欲しいって頼めたりすることが出来るんですよ」
俺の心を読んできた神様。
「そういうことか……。なら、サイヤ人としての力が欲しい。但し、最初から強くしないでくれ。程よい強さにしてくれ」
俺がそうお願いしたのは、最初から強くてもそれは意味がないと考えていたからだ。そんなんじゃ、俺は孫悟空にはなれない。自分自身の力で強くなってこそ意味がある。
「ふむふむ、サイヤ人で程よい強さですか……!分かりました……!それじゃあ、貴方が今から送られる世界は僕のヒーローアカデミアと言う世界です」
「では、お気をつけて……!」